こんにちは、natsukiです。スマホやタブレットなど、携帯可能な電子機器が増えてくると、一緒に増えてくるのが電源アダプター。しかも、機器によって電圧・電流が違うので、ポートの種類が同じだから兼用しちゃえ、ってなワケにもいきません。
そこで今回は、Ankerの充電器「PowerPort+ 5 USB-C Power Delivery」で、ごちゃごちゃしてきた電源アダプターをこれ1台にまとめてみます。んでもって、電流・電圧をチェックして大丈夫そうか見てみよう! というわけです。ちなみに、Amazonで¥3,999でした。ついでに、ケーブルのレビューもしてみます。
結論を言えば、とってもスッキリまとまって大満足です。ただ、私自身の知識としては中学校理科レベルの理解ですので、もし一見大丈夫に見えても「それはマズイよ!」というところがあればご指摘いただければと思います。
目次
1.Anker PowerPort+5 USB-C Power Delivery の特徴
このAnkerの PowerPort+5 USB-C Power Delivery の特徴は、電源出力が2系統に分かれているところです。
まず、通常のUSBポート×4つ。こちらは、電圧は一定の5V。電流は1ポートあたり最大2.4A、4つ合計で6A以内で、実際の電流は「Aneker独自技術PowerIQとVoltageBoostが搭載されており、あらゆる機器に最大速度での充電を可能(各ポート最大2.4A)」ということで、機器ごとに最適な電流を流してくれるそうです。
多くのスマホやタブレットなどの電子機器は、5Vの電源に対応しているので、たいていはこちらを使うことになりますね。ただし、Qualcomm Quick Chargeには非対応ですのでご注意を。
それから、この製品の最大の特徴がこちら。USB Type-Cポートは、最大20VのPower Deliveryに対応しています。この製品の購入の決め手はこれです。
従来、USBからの電源供給は、5Vに限定されてきました。これはUSB 2.0だろうが、USB 3.xだろうが、USB Type-Cだろうが共通です。これに対し、Power Deliveryは最大20V、電力にして100Wまで対応する規格です。もっとも、この製品ではPower Deliveryの出力は最大でも30Wに抑えられており、電圧20Vなら電流は1.5Aとなります。それでも、5Vを越える規格の電化製品に電源を供給できるメリットは大きいと言えます。
2.通常USBでの充電
まずは、通常のUSBでの充電です。Power IQなるものの力を見てみましょう。
microUSBへの充電
充電の際は、ケーブルの選定も重要です。ながらく使われていたUSB 2.0は、電源供給の上限が5Vの0.5Aでした。USB 3.xでも0.9Aです。それに対して、充電用の場合、2Aくらいまで要求することもしばしばです。つまり、何も考えずにケーブルを購入すると、そのケーブルが強い電流に対応していない場合があるというわけです。
今回、使用するケーブルは、「Tecbillion 2in1巻取りusbケーブル」です。
もともとの目標が、電源周りをスッキリさせることなので、
・巻き取り機構があってかさばらない
・一本でmicroUSBとUSB Type-Cの両方の形状に対応
・USB Type-Cのキャップがつながっているので無くしにくい
・急速充電対応(強い電流もOK?)
ということで、これにしました。
なお、巻き取りによってコンパクトにまとまりますが、ケーブルはきしめん状ながらそこそこの太さがありますので、写真では分かりにくいですが、¥100ショップなんかで売っている同様の仕組みのケーブルよりは一回り大きくなります。それと、ちょっと不安なのが、「急速充電」対応で、なにをもって「急速充電」としているのか、具体的な電流の値が不明なのですが、まあ、やってみよう、というところです。
では、いくつか試してみます。実測値は、電流・電圧計によって計測したものですが、電流・電圧計は¥200程度の安物のうえ、実際は揺らぐので、だいたいその辺という目安にしていただければと思います。
・Vivotab Note 8(8インチ Windowsタブレット)
純正アダプタ 規格値:5V-2A
実測値:5.28V-1.70A
PowerPort+5(& 純正ケーブル) 実測値:5.15V-1.45A
PowerPort+5(& Tecbillionケーブル) 実測値:5.13V-1.59A
・NEC LaVie TabPC-TE508S1W(8インチ Androidタブレット)
純正アダプタ 規格値:5V-1.5A
実測値:5.01V-1.36A
PowerPort+5(& 純正ケーブル) 実測値:5.15V-1.37A
PowerPort+5(& Tecbillionケーブル) 実測値:5.15V-1.37A
・HUAWEI Ascend G620S(Androidスマホ)
純正アダプタ 規格値:5V-1A
実測値:5.01V-0.91A
PowerPort+5(& 純正ケーブル) 実測値:5.01V-0.85A
PowerPort+5(& Tecbillionケーブル) 実測値:5.17V-1.13A
さすがに優秀。ほぼ、規格値通りか、規格値より少し上の値です。Tecbillionのケーブルも純正ケーブル以上の性能を示しています。HUAWEIのスマホが、Tecbillionのケーブルでやや電流多めですが、このくらいなら危険性はないでしょう。
USB Type-Cへのへの充電
PIPO W1 ProがUSB Type-Cでの充電なので、これを試してみます。
・PIPO W1 Pro(10.1インチ Windows 2in1)
純正アダプタ 規格値:5V-2A
実測値:5.09V-1.91A
PowerPort+5(& 純正ケーブル) 実測値:5.10V-1.91A
PowerPort+5(& Tecbillionケーブル) 実測値:5.12V-1.63A
Tecbillionのケーブル使用時にけっこう電流が下がっていますね。このケーブルはmicroUSBがデフォルトの状態で、USB Type-Cはそこにキャップを被せる形状なので、その辺が影響しているのかもしれません。あるいは、このあたりの数値がこのケーブルのMAXなのか? それでも、実用には十分なレベルでしょう。
DC-INへのへの充電
レアなケースと思いきや、中国製タブレットはDC-INが独立して設けられている場合が多いですよね。愛用しているPIPO X10の電源がこれです。ちなみに、サイズは外径3.5mm、内径1.35mmのものでいけました。ところが、USBとDCプラグをつなぐケーブルってあんまり無いんですよね。
今回使用したのは「USB電源ケーブル 3.5/1.35mm ブラック 【110cm長】」です。理由は、他のケーブルは電流が0.5Aかそれ以下にしか対応していないことが規格やレビューから分かっていて、これは不明だったからです(笑)。まあ、ダメ元で。
・PIPO X10(10.8インチ Windows TV BOX(?))
純正アダプタ 規格値:5V-2.5A
(USBを経由しないので、実測はできてません)
PowerPort+5 実測値:5.04V-0.57A
うん、まあ、そうだよね。そうなるよね。
充電は可能だけど、単純計算で、充電速度は1/5まで下がってしまうということですね。PIPO X10はファンが付いているために電力消費は大きめなので、これでは使用しているとマイナスになってしまいます。うーむ、さすがにここまでの差があると実用的ではないか… これはPowerPort+5の問題ではなく、ケーブルの問題なので、引き続き、なんかいいケーブルがないか探してみたいと思います。PSP対応のUSB→DCプラグ(外径4.0mm、内径1.7mm)だと、1A以上流れるのもあるらしいから、せめて2Aくらい流れるのがどこかにあるといいんですが…
以上、通常USBの充電は、ケーブルがきちんとしていれば「機器に応じた電流」をしっかり流してくれることが分かりました。これで5VのmicroUSBとUSB Type-C電源は一本化できました。DCプラグ(外径3.5mm、内径1.35mm)は、十分な電流の流れるケーブル探しですね。
3.Power Deliveryでの充電
さて、本命のPower Deliveryです。ポートの形状はUSB Type-Cとなります。それで、USB Type-Cで5Vより高い電圧を要求する機器なんてあるのかということですが、例えばMacBookが代表格ですね。実際、このPowerPort+5は、MacBookのお供にということで売れまくっているようですから。
しかし、ここはウインタブです。というか、私がApple製品持っていないだけですが。それで、今回試すのはこれ。
先日レビューしましたCube Mix Plusです。DCのところに「12V」と書いてありますね。そう、こいつは12Vなんですよ。5V電源では通電しません。これはDC、USB Type-Cともに確認してみましたがダメでした。12Vを要求されているのに5V電源を差すと、最悪の場合電流の逆流が起こって大変なことになりかねないので、タスクバーに電源マークが出ないのを確認してすぐ抜きましたけど。
それで、見てのとおり、Cube Mix Plusは本来はDCプラグによる電源供給なのですが、USB Type-Cは電源供給にも対応している場合が多いですし、某掲示板では前身機i7 BookはPower DeliveryならUSB Type-Cでの給電が可能だったという報告もあるので、こっちもたぶんいけるだろうということでやってみました。
おっと、その前にケーブルの選定も重要です。ちゃんとPower Deliveryに対応しているケーブルでなくてはいけません。現状では、Power Deliveryに対応したケーブルはまだまだ少ないので注意が必要です。今回、購入したのはエレコムの「USB3-CCP10NBK」です。こちらもAmazonにて、¥1,718で購入。
それでは、USB Type-Cポートに接続してみます。
ぃよっしゃ! キタ!!
すいません、USB Type-C対応の電流・電圧計を持っていないので体感になるのですが、充電時間は純正DCアダプタよりも速いようです。性能上は、PowerPort+5のPower Deliveryでの電力は最大30Wなので、12Vの場合の電流は最大で2.5Aということになります。体感でもそのくらいの感じです。
・Cube Mix Plus
純正アダプタ 規格値:12V-2A
PowerPort+5(& USB3-CCP10NBKケーブルでType-C経由)
実測値は不明だが、十分な速度で充電可。2A~2.5Aくらい流れている?
実は、一点だけ懸念があります。PowerPort+5のPower Deliveryの性能表記は「5V-3A / 9V-3A / 15V-2A / 20V-1.5A」と書かれています。つまり、Cube Mix Plusの本来の規格である「12V-2A」は入っていません。
本体にも、このとおり。これが、デジタルに「5V-3A / 9V-3A / 15V-2A / 20V-1.5A」の4種類を適宜切り替えているのか、アナログにその間の電圧や電流も調整してくれているのかは分かりません。とりあえず、事実として充電はできています。過電圧をかけられると機器が壊れる可能性があるのですが、デジタルにせよアナログにせよ、機器に応じた電圧を自動で調整する機能は付いているはずなので、Ankerを信じるしかないですね。
4.まとめ
というわけで、かなり電源まわりを整理することができました。
まず、PowerPort+5の通常USBでのPower IQによる「機器に応じた電流」の電源供給は、やはりさすがのAnker。非常に高い精度を持っています。また、Power Deliveryも、主にMacBook用として高く評価されることが多いですが、あたりまえながらMacBook以外でも、5Vを上回る電圧を要求する機器の充電に有用であることが分かりました。これらを1台にまとめられたのは嬉しい。
それから、いくら充電器が優秀でも、それを活かせるケーブルがなければ意味がないですね。「Tecbillion 2in1巻取りusbケーブル」は、安く、コンパクトで、microUSB、USB Type-Cにも対応していて、今回の使用の範囲では満足できる性能を示してくれました。ちなみに、同じシリーズでLightningのキャップ or LitningとType-C両方のキャップが付いた製品もあります。ただ、USB Type-C使用時での電流低下がちょっと引っかかりますね。1.7Aくらいが上限なのかもしれません。USBとDCプラグの変換で2A通せるケーブルはないのかなぁ…
PowerPort+5の弱点は、Qualcomm Quick Chargeに対応していないことでしょうね。管見の限り、Power DeliveryとQualcomm Quick Chargeの両方に対応した充電器って見たこと無いんですが、なんで両立できないんだろう? Power Deliveryが必要ならこれ。Qualcomm Quick Chargeが必要な場合は、他の製品という選択肢になるでしょう。
いずれにしても、Ankerの「機器に応じて適切な電流を供給するシステム」は優秀で、安心して電源まわりを任せられそうです。
5.おまけ ― 現状ではちょっと微妙なPower Delivery
さて、このPower Delivery、現状ではなかなか用途が限定されてしまう技術です。理由は単純。Power DeliveryがUSB Type-Cポートなのに対して、現在の電子機器で5Vを上回る電源の多くはDC-INポートだからです。ともあれ、今後USB Type-Cが普及していけば、このPower Deliveryの出番も多くなるのでしょうが、今のところ使うチャンスは限られています。
一方で、今回のPowerPort+5は最大出力30Wですが、Power Delivery自体の最大出力は100Wなので、これだけあれば、ほとんどのノートブックに電源供給可能なはずです(参考までに、うちのNEC LaVie Lは19V-4.74Aなので90.06W)。だったら、Power Delivery対応でUSB Type-CとDCプラグの変換ケーブルがあれば、このUSB Type-C普及の過渡期でもPower Deliveryの需要が出てくると思うのですが、そういうケーブルも無いみたい。その辺の変換ケーブルがあると、ノートブックまで一本化できて便利なのになぁ、と思った次第でした。
コメント
たまたま先日購入したので、大したものではありませんが情報をば。
この商品と、同じくANKER社のAnker PowerLine+ USB-C & USB-C ケーブル (0.9m)の組み合わせで、LENOVO社のThinkPad X1 Tablet(Type-C充電)の充電が可能でした。
ただ、本来表裏がないはずのType-Cですが、片方の向きでのみ充電でき、もう片方では無理でした。
ケーブルの不具合か相性なのか、はたまたそれ以外の理由によるものなのかは不明でしたが、とりあえず実家に放置して置くように買ったものなのでそれ以外の検証はできていません。
純正アダプターは高価だし、他のUSB機器も充電できるのでまぁいいかなと。
コメントありがとうございます。
ThinkPadもいけましたか。USB Type-Cさえ付いていれば、大活躍できますよね。
にしても、USB Type-Cの片面しか効かないって、ちょいちょい耳にしますね。ThinkPadなら、品質が悪いということはないだろうから、これは気になるところです。私は喰らったことないですが、サンプル数が少なすぎるのでなんとも。
PIPOのDC-INですが、変換プラグを使うのを前提で選択肢の多い5.5/2.1のサイズのケーブルは考慮されましたか?
内径2.1から1.35(たまに1.3表記)への変換プラグは単体でもありますし、他のサイズとのセットものでも安く手に入ります。ケーブルの方ですが、私は「カモン EC-5521」(Amazonで検索)というのを使って、USB2.0ハブ(4ポート)に給電できています。最高値の2A(500mA x 4)まで出ているのか分かりませんが、要求電流量の多いハードディスクや無線LAN子機等を同時使用して電流不足になったことはありません。
でも、なんとくPIPOには上の手が効かないような気がする(笑)自己責任でお願いします。
コメントありがとうございます。キャップ型DC変換プラグは無駄に豊富に持っているので、そのパターンも考えてます。ご紹介いただいた製品も、そのシリーズの他のプラグも含めて検討したのですが、カモン製はいずれのも明確に0.5Aって書いてあるので、断念しました。0.5A以上いけそうな感じですか? というわけで、サイズ変換はまったくOKなんで、2Aくらい通せるケーブル探し中です。
USB PDの規格的には受電側と電圧電流のネゴシエーションが必須のはずなんで、変換コネクタで20Vとかいうのは夢の超技術に片足半くらい突っ込んでる気がしますね…
コネクタにネゴ用のチップ組み込んで専用化する手はあるかも知れませんが、そんな高コスト確定なデバイスに需要はあるのか。
言われてみればおっしゃる通り。
コネクターの差し替えで電圧を調整するタイプのノートブック用汎用ACアダプターが、だいたい¥2,000~¥3,000なんで、コネクター部分だけ片方をUSB Type-Cにして¥1,000くらいで売ってくんないかなーと思ったのですが、そもそも規格が違いますもんね。たとえできても、あまりにもニッチ過ぎるか…
1つDC-INとType-Cの変換で知っているのがASUSのZenPowerMaxに付属してるやつです
https://www.asus.com/jp/News/zY0NgtF9wBi3hUuM
(主な付属品のところ)
ファンイベントに行ったときいろいろケーブルが付属してて驚いた覚えがあります
E=mc^2さんがおっしゃるようにUSB PDはType-C形状でネゴシエーションがあるからできるものだと思ってたんですが,どうやってるんでしょうね
↓で付属品の写真があります
http://tel03.com/smartphone/smapho-accessory/zen-power/
↓ではZenBookへの給電の写真がありますね
https://twitter.com/TrendGizmo/status/773448336997253120
この製品についても情報が乏しいので何とも言えませんが…ぐぬぬ
情報ありがとうございます。
ホントだ! でも確かにどうやって電圧を決めてるんだろう?
その後、色々探してみて、DC→USB Type-Cってのは見つけましたが…
あったとしてもPDからノートブックへの充電は危ないのでやめた方がよさそうですね。
レビューと同じAnker PowerPort+5 USB-C Power DeliveryとUSB3-CCP10NBKの組み合わせで使っていましたが、現在は使用を中止しています。なぜかというと、USB-PD対応のXPS12をこれで充電すると「間違いなく不可逆的に」USBポートがUSB機器を認識しなくなるからです。
最初はそのことに気づかず、3回もDELLのサポートに対応いただきマザーボード交換となってしまいました。3回目に怪しいと思い立ち、実験もかねて純正モバイルバッテリである電源コンパニオンを購入し充電を試みたところ、不可であったことから確信しました。
ちなみにMacBookは問題なく充電できていますのでこの商品の問題ではない可能性もあります。
レビュアー同様充電機器をひとつに統一したくてXPS12含め構築したので(この商品も計4つ購入しました)、かなり落胆しました。ご参考までに。
情報ありがとうございます。大変な災難でしたね、eternalさんの表裏問題といい、PDはまだ不安定さを抱えた技術なんですかね。