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GEEKOM XT13 Pro レビュー - コンパクトなサイズにCore i9-13900Hを搭載、本格デスクトップPC並みの能力を備えたミニPC

GEEKOM XT13 Pro
こんにちは、natsukiです。高性能なミニPC「GEEKOM XT13 Pro」のレビューをお届けします。もはやすっかり1つのジャンルとして確立した感のあるミニPC。ミニPCが世に出た当初は、エントリークラスの製品が多く、現在でもエントリークラスや旧世代のCPUを搭載した製品を比較的多く目にしますが、中には、本格的なデスクトップに匹敵するようなハイエンド製品もリリースされるようになってきました。今回レビューする「GEEKOM XT13 Pro」も、CPUにIntel Core i9-13900Hを搭載する、ミニPCのジャンルとしてはトップクラスの製品の1つです。こんなサイズでCore i9搭載とは……、まさに隔世の感がありますね。

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今回のレビューは、メーカーからのサンプル機提供によって行っています。なお、CPUに同じIntel Core i9-13900Hを積み、似た構成の「GEEKOM Mini IT13」も、すでにウインタブでレビューしています。「GEEKOM Mini IT13」のレビューは、下記をご覧ください。

GEEKOM Mini IT13 レビュー - 第13世代のCore i9-13900Hを搭載する高性能ミニPC、大容量RAM/SSDを搭載し、ポートも高規格です

おすすめポイント
・手のひらサイズの小さな筐体に高性能のCore i9を搭載
・セラミックのような高級感ある筐体
・SSDは読取約7,000MB/s、書込約6,000MB/sと高速
・低負荷時の排熱は優秀で、ファン音は非常に静か
・高規格の充実したポート類
ここは注意
・GEEKOM Mini IT13と比較すると、2.5インチSATAベイとSDカードスロットをオミット
・CPUの特性から、Core Ultra HシリーズやZen 4世代Ryzenと比べるとグラフィック処理は苦手、それでも原神くらいならプレイ可能
・高負荷時の排熱に難を抱え、サーマルスロットリングが発生しやすい
販売サイトはこちらです
GEEKOM NUC XT13 PRO:メーカー直販サイト
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※Core i9モデルは読者クーポン「XT13wint5000」が使えます
※製品ページのクーポンと読者クーポンは併用できません
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1.スペック

  GEEKOM XT13 Pro
OS Windows 11 Pro
CPU Core i7-13620H/Core i9-13900H
外部GPU なし
RAM 32GB(DDR4-3200、デュアルチャネル、最大64GB)
ストレージ 1TB/2TB PCIe4×4(M.2 2280)
M.2 2242 SATA SSDスロット 空き1
光学ドライブ なし
ディスプレイ なし
ネットワーク WI-Fi6E、Bluetooth5.2
入出力 USB4 Type-C×2、USB3.2 Gen2 Type-A×3、USB2.0 Type-A×1、
HDMI2.0×2、3.5mmオーディオジャック、LAN(RJ45)、DC-IN
カメラ なし
バッテリー なし
サイズ 117 × 111 × 38.5 mm
重量 550g(実測553.3g)

CPUは、Intel Core i7-13620H/Core i9-13900Hを選択可能。今回レビューするのは上位のCore i9-13900H版です。

passmark
目安の1つとして、Passmarkのスコアはご覧の通り。なんと、記事執筆現在のスコア上はCore Ultra 7 155HやCore Ultra 9 185Hを上まわります。もちろん、Core i9-13900HとCore Ultraシリーズでは特性がかなり異なるので、このくらいのスコアの多寡で性能を量ることはできません。それでも、ハイエンドクラスのCPUであることは十分に分かります。

ただしこのCPUは、多くのパソコンで、GeForce RTXなどの独立したGPUと合わせて運用されることが多く、内蔵GPUはIntel Iris Xe Graphicsなので、Intel Arc graphics内蔵のCore Ultra Hシリーズや内蔵GPUの進化が著しいAMD Ryzenの最新シリーズなどに比べると、グラフィック処理能力はやや貧弱です。そういう面では、ブランド名が示すとおりの尖った「GEEK」な製品と言えるでしょう。

RAMは当然デュアルチャンネルの32GB。ストレージはPCIe4×4で2TBと十分な容量があります。また、M.2 SATA 2242 SSDの空きスロットが1つ。拡張するならここを使います。一方、GEEKOM Mini IT13に搭載されていた2.5インチSATAスロットはオミット。その分、筐体がスリムになりました。

USBポートは、2つあるUSB Type-CはいずれもUSB4規格で、映像出力はもちろんのこと、外部GPU接続にも対応します。私が外部GPUを持っていないためレビューでは確認できませんでしたが、本機は、上述のようにCPUの高度な処理能力に比してグラフィック能力が低めなので、外部GPU接続はかなり実用的な選択かもしれません。4つあるUSB Type-Aも、うち3つがUSB3.2 Gen2、つまり、最大データ転送速度10Gbpsに達するType-Aとしては高性能なものです。その他、ポート類は十分と言ってよいでしょう。

OSは、Windows 11 Pro。ミニPCでは「Pro」版の搭載が多いですが、これはミニPCの特性上、大切です。さしあたり、リモートデスクトップのホストに設定できるという点は重要でしょう。また、ライセンスは間違いなくOEMであることを確認しました(ライセンスに問題はない、ということです)。

2.筐体

箱と同梱品

box
では、実機を見ていきましょう。まずは箱です。

box-open
この箱、かなり凝った造りになっています。まず、フタをガバッと開けると黒地に金色のロゴがフタ裏側のクッション材に大きくプリントされていて、思わぬ出迎えにテンションが上がります。さらに周辺機器は、ご覧のように引き出し構造で収納。

bundled-items
同梱品です。上段左から、HDMIケーブル、電源アダプター、電源ケーブル。下段左から、マウント固定用ネジ、VESA規格マウント用部品、サンクスカード、マニュアル、です。必要十分ですが、あえて苦言を呈すなら、せっかくのUSB4ポートをフルに活かせるよう、USB4の性能に耐えうるUSB Type-Cケーブルも欲しかったかなと思います。

power-adapter
電源アダプターは最大120W出力。コンセント形状は、漏電防止の3ピンのため、一般的な家庭のコンセントに挿すには変換アダプターが必要になります。変換アダプター自体は、Amazonで数百円くらいで売っています。

本体

overview
本体です。天板はプラスチック素材のようですが、梨地のサラサラした表面加工がされていて、セラミックのような高級感があります。側面と底面は金属です。Intel N100など搭載のエントリーミニPCと比べても、サイズ感は変わらず。個人的には、Core i9というと、冷却やら電源ユニット(まあ、ミニPCやノートPCの場合はアダプターで外部化しているわけですが)やらで、デスクトップか、ノートパソコンにしても相当にゴツい筐体というイメージを持っていたので、このサイズにCore i9とは、やはり単純に驚きです。

weight
サイズ感ついでに、先に重量を見ておくと、本体重量はほぼカタログスペック通りの553.3g。電源アダプターと電源ケーブル全部込みで、927.8gです。

front
前面です。USB 3.2 Gen2、つまりUSB Type-Aとしては最大スペックでデータ転送速度10gbpsのポートが2つ。それから、3.5mmオーディオジャック、電源ボタンが配置されています。

right-side
向かって右側面には、何もありません。ハニカム状の穴は吸気口です。

left-side
向かって左側面には、ケンジントンロック穴と吸気口。

back
後ろ側面に、ポート類が集中します。上部は排気口です。DC-IN、USB4規格のUSB Type-C×2、USB 3.2 Gen2規格のUSB Type-A×1、USB 2.0規格のUSB Type-A×1、HDMI×2、有線LANポート×1。ちなみに、SDカードスロットは、無い……んですが、というのはまた後ほど。

bottom
底面です。4カ所のネジを緩めることで、内部にアクセスできます。なお、ネジは完全に緩めても本体から外れないようになっているので、なくす心配はありません。ささやかながら嬉しい配慮です。しっかり技適マークが表示されています。

内部

open
底面を開けたところです。フタには、SSD冷却用のヒートシンク(サーマルパッド)があります。

open2
内部の解説です。「GEEKOM Mini IT13」と比べると、外側の筐体はまったく別物ながら、基板は非常に似ています。左側「1」に、DDR4規格RAMスロットが2段。中央「2」にSATA規格M.2 2242サイズのSSDのスロットがあり、これは空いているので、増設可能です。右側「3」がメインストレージのM.2 PCLe4.0×4 NVMe SSDスロット。そしてその下「4」に、SDカードスロット……。んんん!?SDカードスロットぉ? ものは試しと挿してみたら、なんか普通に認識しました(笑)。ただし、筐体の構造上、SDカードを挿したままでは底蓋を閉められません。つまり、通常の使用ではSDカードを使用することはできません。メーカーがなぜこのSDカードスロットを封印したのかは謎です。すると、もしかして、GEEKOM Mini IT13では2.5インチSATAスロットにつながっていて、本機では空いているSATAコネクタも、M.2 2242 SATAスロットとは競合せずに生きているんじゃなかろうかなどと思ったりもするわけですが、コネクタも持っていないし、さすがにそこまでは試していません。

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ともあれ、M.2 2242 SATA規格のSSDの増設は容易で、メモリとM.2 PCLe4.0×4 NVMe SSDも、その気になれば簡単に換装できる構造になっています。ただ、贅沢を言えば、空きスロットもNVMe規格であっては欲しかったところです。今どき、SATAもNVMeも、性能は段違いなのに容量あたりの購入価格はあまり変わりませんからね。

なお、装着されていたRAMは「Wodposit」製で、型番までは分かりませんでした。SSDは「Acer N7000」。カタログスペック上は読取7200MB/s、書込6200MB/sという高性能なもので、後述のように、期待に違わぬスピードをたたき出します。

3.性能テスト

排熱とファン音

run
ベンチマークの前に、先に排熱の話をしておきたいと思います。本機は、この小さな筐体にCore i9-13900Hという高性能CPUを積んでいるわけですが、予想に違わず、高負荷時には排熱で苦労しているようです。各種ベンチマーク時には、かなりの勢いでファンが回り、排気口からは熱風と言っていいレベルの風が出てきます。また、下記ベンチマーク時に「HWiNFO」でモニタリングしていたのですが、ストレージ転送速度を測るCrystalDiskMarkを除き、処理能力を計るすべてのベンチマークで、途中でCPU温度が100度に達してサーマルスロットリングが発動していました。また、エアコン無し室温20度台前半で試用していましたが、本機を熱のこもりやすい狭い棚に置いたときと、比較的風通しのよいリビングのテーブルの上に置いたときでは、約1%~3%程度、リビングのテーブルの上に置いた方がベンチマーク結果が向上しました。下記のベンチマーク結果は、リビングでの試行の代表的なものを掲載しています。使用感に影響が出るとは思えない僅かな差ですが、それぞれ数回ずつの試行で結果が逆転することはどのベンチマークでも1回もなかったので、有意の差と言ってよいと思います。

その一方、レビュアーが違うので単純比較はできないものの、同じCore i9-13900Hを積む「GEEKOM Mini IT13」のレビューでは、低負荷な作業時にもそれなりのファン音が出ます、とのことでしたが、このGEEKOM XT13 Proの方は、動画視聴やブラウジング、テキストや数値の資料作成、簡単な画像編集といった軽量な作業では、ファン音は極めて静音で(常時回ってはいる)、気になることはまったくありませんでした。生活音にほとんどかき消されてしまうくらいです。色々並列作業したり、バックグラウンドでWindowsアップデートが入ったりすると、さすがにファンが一段階強く回るときがあるものの、それほど大きな音ではなく、また一時的なものですぐ収まります。このあたりが、部品構成やシステムなどの見直しによるものか、2.5インチSATAスロットのオミットによって排熱効率が上昇したのかは分かりません。

以上から、本機の特性として、限界ギリギリの高負荷でブン回すような使い方の場合には、排熱能力に難を抱える。しかし、ある程度までの低負荷運用時の排熱はむしろ優秀で、静音性も高いと評価できます。すると、構造上、底面から冷やすようなPCクーラーを設置することで、高負荷時の挙動が改善する可能性はありますが、そこまでは試せませんでした。

SSDベンチマーク結果

先に話の単純なストレージのベンチマークを。ベンチマークソフトは定番のCrystalDiskMarkです。

cdb
これは、なかなかやりますね。先述のように、搭載されているSSD「Acer N7000」のカタログスペックは、読取7200MB/s、書込6200MB/sですが、ほぼそれに近い値です。ランダムの方も優秀。これだけの速度が出れば文句なしでしょう。

処理能力ベンチマーク結果

pcmark10
PC Mark10のスコアです。表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテストで、CPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、GPUの性能も少なからず影響します。

参考(過去データから一部抜粋):
MSI Titan GT77 HX 13V(Core i9-13980HX、RTX4090):9,187
HP Victus 16(Core i7-13700HX、RTX4070):8,057
ASUS ROG Zephyrus G14 GA403(Ryzen 7 8845HS、RTX4060):7,946
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS):7,521
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):7,446
MSI Prestige 16 AI Studio B1V(Core Ultra 7 155H、RTX4060):7,298
Lenovo Legion Go(Ryzen Z1 Extreme):6,691
ASUS ROG Ally(Ryzen Z1 Extreme):6,654
MSI Claw A1M(Core Ultra 5 135H):6,485
ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA(Ultra 7 155U) :6,163
GEEKOM Mini IT13(Core i9-13900H):6,096
Lenovo Yoga 7 Gen 8(Ryzen 5 7535U):6,021
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U)5,954
DELL Inspiron 14 5430(Core i7-1360P):5,929
DELL Inspiron 14 5435(Ryzen 7 7730U):5,915
HP Dragonfly G4(Core i7-1355U):5,774
DELL Inspiron 13 5330(Core i5-1340P):5,677
VAIO F14(Core i7-1355U):5,553

ふむ、同CPUを積むGEEKOM Mini IT13よりはひとまわり上のスコアとなりました。Core i9のハイエンドイメージからするともう一息欲しい感じはしますが、内蔵GPUがIntel Iris Xe Graphicsであることを考えると、GeForce搭載機や内蔵GPU性能が大きく向上したZen 4世代のRyzenとは、その分の差が出たと考えられます。

cinebench
お次は、CPU性能のみを測定するCINEBENCH R23と、CINEBENCH2024のスコアです。このテストではGeForceなどの独立したGPUの搭載有無は影響を受けないとされています。CINEBENCH2024はまだ新しく比較対象のデータが少ないので、下記にはCINEBENCH R23のデータを引用しておきます。

参考1(Core Ultra搭載機)
MSI Prestige 16 AI Studio B1V(Ultra 7 155H):1,827、16,421
MSI Prestige 13 AI Evo A1M(Ultra 7 155H):1,752、12,184
HP Spectre x360 14-eu(Ultra 7 155H):1,751、11,738
ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA(Ultra 7 155U) :1,704、8,870
MSI Claw A1M(Ultra 5 135H):1,668、10,249

参考2(過去データから一部抜粋)
MSI Titan GT77 HX 13V(i9-13980HX):2,149、30,358
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H):1,918、17,827
Lenovo LOQ 16IRH8(i7-13620H):1,857、14,383
Microsoft Surface Laptop Studio 2(i7-13700H、RTX4050):1,847、14,184
VAIO F14(i7-1355U):1,837、7,400
Lenovo Legion Pro 5i Gen 8(i7-13700HX):1,823、19,975
dynabook AZ/HV(i7-1260P):1,809、8,940
MSI Katana 15 B13V(i7-13620H):1,802、11,620
MSI Modern 14 C12M(i7-1255U):1,797、8,791
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):1,784、16,497
ASUS ROG Ally(Ryzen Z1 Extreme):1,784、13,962
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS):1,781、15,706
VAIO SX12(2022)(i7-1260P):1,769、9,334
GEEKOM Mini IT13(Core i9-13900H):1,671、1,2079
MSI Prestige 13 Evo A12M(i7-1280P):1,667、9,514
MSI Stealth 15M B12U(i7-1280P):1,659、13,793
dynabook GZ/HV(i7-1260P):1,655、7,586
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830

*おおっと*、マルチコアは伸び悩み、GEEKOM Mini IT13をもわずかに下回るくらい。一方、基本操作の体感に影響が大きいとされるシングルコアでは、2,000点に届きました。拍手。ちょっと面白いスコアですね。

3dmark
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。このテストでは、当然ながらGPU性能がスコアに大きく反映され、高性能な内蔵GPUや独立したGPUを搭載している方が有利です。内蔵GPUがIntel Iris Xe GraphicsのGEEKOM XT13 Proにとっては、不得意分野ですね。なので、下記の比較対象データは、独立したGPUを搭載するものは省きます。

参考1(Core Ultra搭載機)
MSI Prestige 16 AI Studio B1V(Ultra 7 155H):3,959、8,363、29,843
HP Spectre x360 14-eu(Ultra 7 155H):3,924、8,338、24,476
MSI Claw A1M(Ultra 5 135H):3,454、7,235、24,791
ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA(Ultra 7 155U):2,280、5,121、19,020
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア
※Prestige 16は外部GPUを動作させずに測定したもの

参考2(外部GPU非搭載のノートPC・ミニPC)
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS):3,362、7,776、29,076
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):3,330、7,908、29,873
GEEKOM Mini IT13(Core i9-13900H):1,947、5,428、19,991
dynabook GZ/HW(Core i7-1360P):1,786、4,991、16,779
HP Dragonfly G4(Core i7-1355U):1,760、4,859、16,891
Lenovo ThinkPad X13 Gen 4(Core i7-1355U):1,658、4,709、14,122
Lenovo ThinkBook 15 Gen 5 (AMD) (Ryzen 5 7530U)1,281、3,137、13,730
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア

内蔵グラフィックに優れるZen 4世代のAMD RyzenシリーズやIntel Core Ultra Hシリーズに敵わないのはカタログスペックからも分かっていましたが、やはりスコアにもはっきり反映されました。もっとも、Intel Iris Xe Graphics搭載機の中では十分高性能で、Intel Iris Xe Graphicsとほぼ同じ性能を持つとされるIntel Graphics搭載のIntel Core Ultra Uシリーズとも、サンプルが1つしかありませんが同程度のスコアとなっています。ここは健闘していると言えるでしょう

全体的に見て、処理能力のベンチマークでは必ずサーマルスロットリングが発動していたわりには、それなりにCore i9-13900Hとして相応の結果を出している印象です。ただし、CINEBENCHのマルチコアのスコアは残念で、このあたりは排熱の影響が考えられます。

ゲームプレイ

genshin
「原神」を、FHD解像度(1,920×1,080ピクセル)でプレイしてみました。画質設定は「高」。すると、噴水や複数のNPCがいるモンドの広場近辺でFPSが40台前半程度、負荷の高い海祇島の滝付近で30台といったところ。滝付近で戦闘すると20台後半くらい。原神はシビアなアクションを要求するゲームではないので、これでまあ、普通にプレイできてしまいます。画質を「中」にすれば、高負荷な場合でも30台後半から40台は出るので、十分プレイ可能です。もっとも、CPUの処理能力よりもグラフィック性能の方が重要なゲームという用途は、GEEKOM XT13 Proの単独運用とはやや相性の悪い使い方なので、ゲーム「も」できる、くらいに捉えておくとよいでしょう。

4.まとめ

本機の特徴

GEEKOM XT13 Proは、エントリークラスのミニPCと同じコンパクトサイズに高性能のIntel Core i9-13900HというハイスペックなCPUを積んだミニPCです。RAMは32GB、ストレージはPCLe4.0×4規格で、実際、規格に違わぬデータ転送速度をたたき出すなど、相応の性能となっています。ストレージにM.2 2242サイズSATA規格のSSDの増設が可能な他、RAMとメインストレージSSDの換装も容易な構造になっています。

一方で、Intel Core i9-13900Hの内蔵GPUはIntel Iris Xe Graphicsのため、Zen 4世代のAMD Ryzenシリーズや、Intel Arc graphicsを備えるIntel Core Ultra Hシリーズに比べるとグラフィック処理能力が弱く、それはベンチマーク結果からも読み取れます。これは欠点ではなく、そういう特性の製品だということです。もっとも、Intel Iris Xe Graphics搭載のPCとしては十分優秀で、Intel Core Ultra Uシリーズとも同程度の能力があるので、画質を調整すれば、FHD解像度で原神をプレイできる程度の力はあります。USB4規格のポートが2つあるので、猛者の方々なら外付けでGPUを接続するという選択肢もあります。

ミニサイズにハイスペックなCPUということで気になる排熱ですが、確かに、高負荷時にはサーマルスロットリングが発動し、一部のベンチマークスコアが伸び悩みます。しかし、低負荷時には極めて静音で動作し、ある程度の負荷までの排熱能力は、むしろ優れています。ここは、この製品をどういう目的で使いたいかによって評価の分かれるところでしょう。

いずれにしても、Core i9をこのサイズで運用できるというのは、やはり一種の感動がありますね。ポート類も十分にあるので、アイデア次第で可能性が広がる製品です。

GEEKOM他機種との比較

ウインタブでは、GEEKOMブランドのミニPCをいくつかレビューしています。比較的スペックや価格の近い製品について、簡単に比較しておきましょう。

特に、同じCPUを積む「GEEKOM Mini IT13」との比較は気になるところです。ここまで見たように、GEEKOM Mini IT13とGEEKOM XT13 Proは、筐体がまったく別物ながら、内部の基板は酷似しています。SSDのベンチマークを見ると、これは単純にGEEKOM XT13 Proの方がよいものを使っているので、データ転送速度が大幅にアップ。処理能力に関する各種ベンチマークでは、明確にどっちが上と言えるほどの差は出ていません。一方、レビュー環境が違うので厳密な比較は難しいながら、ファン音の動作を見る限りは、低負荷時における排熱は、後発のGEEKOM XT13 Proが改善しているように見えます。

ごく最近にレビューした、CPUにRyzen 9 7940HSを積む「GEEKOM NUC AE7」との比較で言えば、両者ともに2.5インチSATAスロットを廃した構造ながら、筐体設計面ではより無駄をなくしてスリムになったGEEKOM XT13 Proに軍配が上がるでしょう。で、肝心のベンチマークを見ると、これはもう、非常に分かりやすく「シングルコア処理能力に優れたIntel Core」と「グラフィック性能とマルチコア処理に優れたRyzen」という、古典的な評価が現れています。また、CPUの特性からか、高負荷時の排熱はGEEKOM NUC AE7の方が優れているようです。どっちをとるかは、それぞれの使用目的次第となるかと思います。

GEEKOM Mini IT11 レビュー - 第11世代Core i5/i7搭載の高性能ミニPC。こだわりを感じる筐体に加え、USB4も備えます
GEEKOM Mini IT13 レビュー - 第13世代のCore i9-13900Hを搭載する高性能ミニPC、大容量RAM/SSDを搭載し、ポートも高規格です
GEEKOM NUC AE7 レビュー - Ryzen 9 7940HSを搭載するミニPC、Ryzen 8045シリーズではないのが「逆に魅力」です

5.販路と価格など

GEEKOM XT13 ProはGEEKOM公式サイト(直販ストア)およびAmazonで販売中です。6月20日現在の価格は下記のとおりです。

公式サイト
・Core i7/1TB SSD:89,900円(製品ページの4,000円OFFクーポンを使用)
・Core i9/2TB SSD:132,000円(読者クーポン「XT13wint5000」を使用)
 ※製品ページのクーポンと読者クーポンは併用できません
 ※読者クーポンの割引額は5,000円で、クーポン期限は7月30日です

Amazon
・Core i7/1TB SSD:90,155円(5%OFFクーポン「XT137wit5off」を使用)
・Core i9/2TB SSD:132,050円(5%OFFクーポン「XT139wit5off」を使用)
 ※クーポン期限は7月30日です

6.レビュー動画

この製品のレビュー動画をYouTubeで公開しました。こちらもぜひご覧ください。

GEEKOM XT13 Pro 実機レビュー ― 手のひらサイズにCore i9!?、ハイスペックなミニPC

7.関連リンク

GEEKOM NUC XT13 PRO:メーカー直販サイト
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GEEKOM XT13 Pro ミニPC(Core i9):Amazon

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