こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。読者の「大枝さん」にすごく面白い記事を投稿していただきました。中華製品のトラブル対応の事例なのですが、単に面白いだけでなく、同様の症状に悩んでいる人の参考になると思われる、有益な内容になっています。大枝さんは非常に高いPC知識をお持ちなので自己解決しちゃいましたけど、普通の人なら泣き寝入りしてしまいそうなトラブルです。すごいわ、この人…。なお、最後の「考察編」のところが超面白いのですが、あくまでも推論(投稿者の推論でもあり、それを掲載するウインタブの推論でもあります)であることをあらかじめご了承ください。では、大枝さんのお見事なトラブルシューティングと考察をご覧ください!
目次
1.はじめに
はじめまして、ウインタブ読者の大枝(@AUE_OEDA)と申します。JumperのEZbook 3 Proをウインタブさんで知って即購入(初代Verでした)、余りにも気に入ってしまったため『もう1台欲しい!』とばかりに最新バージョンの登場を待ち続け、GeekBuyingさん経由で輸入してみました。俗に『v4』と呼ばれているバージョンですね。
実機レビューあたりは、別のJumperフォロワーの方が書きたくてウズウズしているでしょうから、さて置くとして。
実はこの子をセットアップする途中、いかにも『あ、これ新製品だなあ』というトラブルを経験する事になりまして。餅は餅屋とばかりにウインタブの中の人と「コレ、何でこーなっちゃったんだろうねぇ?」とDMで話していく中……、
大枝「……というワケで、ここまで僕の推論でしかないですが。このようにWindowsのOEMな内幕がチラッと見えまして」
ウインタブ『もうYouがまるっと記事に起こしちゃいなよ、ウチに載せちゃおうZe!』
大枝「お、おう!? がんばってみます……よ?」
と、なった次第です。
ちょっとだけ推論を深掘りした有力案ひとつは、最後のパートで触れます。ひょっとすると似たようなトラブルはニアミス含めて、今年の夏以降に新発売がアナウンスされたWindows10搭載マシンで、メーカーさんが「ウチもやらかすとこだった……!」となっているのかもしれません。似たようなトラブルに巻き込まれた方や、OEMライセンスの実装に詳しいメーカー関係筋のタレコミをお待ちしております。
2.『発覚編』
— アイエエ!? プロダクトキーもWindows Updateも通らない!? —
いったいどういうトラブルだったかと言いますと、この画像の通り。
『プロダクトキーが別のデバイスで既に使用されているため』
って、……アバーーーーッ!(爆発四散!)
しかも末尾5ケタを除いて全て”X”で埋まった、謎すぎるプロダクトキーです(画像では一部隠していますが)。そりゃアクティベートできませんよね。ついでに言うと、何らかの理由でWindowsUpdateが失敗し続けている事にも気付きました。ワリとお手上げです。
更に加えて、MeiMengMeng(中柏服務)という謎のexeファイルが常駐している状態。この原稿を書いている段階では対応済みですからスクショがありませんけど、堂々と常駐を示すアイコンまで丸出しです。
……す、すす、ステキー!すごーい! あやしーい!何コレ、怪しすぎて最ッ高!(←本気で言ってます。トラブル楽しむ気まんまんですから)
もしも、仕事で使うFUJITSUとかNECのPC数十台が、こんな状態で国内のキッティング屋さんから送られてきたら!瞬時にブチ切れて、キッティングを手配した代理店に鬼電と鬼メールのうえ全機をモニターごと送料着払いで送り返し、ついでに営業マンを向こう3年は出入り禁止にするところです。いやマジで。
が、今回のオーダーはいわゆる『人柱』覚悟の純然たるホビーなのです。スキルアップのイイ機会とばかりに、自己解決できないかググりまくってみました。……もちろん解決できなかった場合に備えて、GeekBuyingへ『プロダクトキーくださいっ!』と半泣きでメールする事も忘れちゃいませんでしたが。
思いつく限りの検索ワードをGoogleで検索する事、十数分。
中華PC&タブレットマニアかつ『人柱』志願者が一目置きまくる、G.Chrisさん運営のtechtablets.comフォーラムにヒントがありました。そのひとつが、このURL。そのまんまのタイトルでした。
Jumper Ezbook 3 pro v4 Windows 10 Activation
どうやら、皆さん9月に届きはじめてすぐに何とか解決しちゃったみたいです。さすが人柱と言うか何というか、オタクすごい。ぶっちゃけ僕は状況把握に一晩、ググってから仮説立てて問題解決までにもう一晩かけてます。
翻訳プラグインを活用しつつ英文をアタってみる限り、以下の3つが連鎖的に悪さをしているらしい、とアタリがつきました。
1.”MeiMengMeng.Win.Clients.exe”がスタートアップから立ち上がる状態では、WindowsUpdateがブロックされてる感じかなー。
→でも隠しアプリとかそういうのじゃないので、除去はとても簡単。
2.”services.msc”(日本語版では『サービス』)から、Windows Updateを[Auto]にしてやる必要があるよーん。
→これ、全く気付いてませんでした。うかつ!
3.工場出荷時のWindowsバージョンはスゴく古いバージョンなんだよねー。
→Win10がアクティベーションできない理由も、この辺に原因がありそう?(大枝の推測)
以上3つを、techtablets.comに集った『人柱の達人』軍団が示してくれていますので、あとは実行あるのみですね。
3.『解決編』
— 何をすればいいのか、だけまとめました —
その1.MeiMengMengをスタートアップから無効化
win+xキーまたは、ctrl+alt+delで、いつもの[タスクマネージャ]を立ち上げ、[詳細]モードから[スタートアップ]タブ→”MeiMengMeng.Win.Clients”を左クリックして選択、[無効にする(A)]で無効化は完了。
→これで起動時にMeiMengMengが常駐しなくなります。再起動して確認しときましょう。
その2.Windows Updateを有効化
Cortanaの検索窓か、[ファイル名を指定して実行]で、”services.msc”と入力して起動。
→[サービス(ローカル)]内の”Windows Update”が無効になっているので
→左クリックで[プロパティ]→”スタートアップの種類(E):”を”自動”とし、ここでも再起動。
その3.Windows Updateの実行
最後に、普段通りのWindows Updateを行います。この課程で、デバイスIDの発行とWindowsのアクティベーションが行われている模様です。Microsoftアカウントでログインする設定ならアカウントとの紐付けも行われますので、BANされる危険性も若干排除できるかと。
その4.MeiMengMeng関連実行ファイルほかの完全除去
Windows Defenderセキュリティセンターの[デバイスのパフォーマンスと正常性]から、[新たに開始]を経由する事で最新版のWindows10がクリーンインストールされます。これでほぼ間違いなく、非純正のMeiMengMeng関連ファイルは消えてなくなるハズです。(※この原稿を書くため、僕は実行していません。後述の理由から無害なアプリだろうという類推もできたので)
最新版のWindows10への更新と、アクティベートまでの流れは以上です。Jumper製品のみならず、2017年夏以降に出たばかりの新製品で、似たようなトラブルに直面した方の参考になれば幸いです。
記事の本筋はここでおしまいです。お疲れさまでした!
4.『考察編』
— で、MeiMengMengって何だったの? —
ここから先は、Jumperファンとして同社の名誉とか、自分なりの考察も交えたヨタ話です。日本語のWebをググると『MeiMengMengは中華なスパイウェアじゃないか?』といった書き込みもあるんですが……いやいや、それはないですよ!
ODM/OEMで受託生産も行う、Jumper(中柏)の事業スタイル&規模を考えても、常駐時の表示そのまま『中柏服務(実際には簡体字、服務=Serviceですね)』の目的しかない、Jumper社内用の何かと考えたほうが妥当です。
……そもそもスパイウェアを組める人材が、常駐時にアイコンを表示しっぱなしで通常のスタートアップとして起動するようなソフトへ、ヤバい機能を盛り込んでるとしたら、バカ以外の何者でもないですし。(とは言え、起動させっぱなしだと脆弱性と化す可能性はありますよ)
僕はSE的素養がゼロなので、バカ正直にCドライブ内をガーッと検索して、MeiMengMengが書き出したとみられるログファイルから一つの仮説を立てました。ログの生成日時は11/05の真夜中2時で、EZbook 3 Proの電源を最初に投入した日時と一致します。
ログの内容を仮に信じれば、[C:\WINDOWS\assembly\NativeImages_v4.0.30319_64\]というディレクトリを参照しており、命名関連の単語をこれまた仮にまるっと信じてみれば。
これは初めて電源ONとなった際に参照するイメージファイル置き場だったんだろうな、と色々つじつまが合うんです。
つまるところ、MeiMengMeng(中柏服務)というのは、出荷時のシステム展開用(+ダイアグチェッカー程度)のアプリでしかなさそうだな、と類推できなくもないんですね。
この段階では、『末尾5ケタ以外が全部Xで埋まった、仮のプロダクトキー』により、かなり古いバージョンのWindows10が動いています。デバイスIDの参照なども行っていない模様で、次にWindows Updateが動いた段階で何度か再起動。インターネット越しにデバイスIDが付与された後、OEM用としてJumper社に割り振られた認証コードでアクティべーション手順が完了。こうして、製品としてはユーザーの手元で完成というのが、2017年現在におけるOEMなWindows PCのセットアップ挙動なんだろうな、と考えられます。
ただし。NativeImages_v4.0.30319_64には若干の不具合があり……、
A.『MeiMengMeng.Win.Clients.exeをスタートアップに組み込んだまま、セットアップを完了してしまう事がある』
(※これはウインタブさんでも別のJumper機で見たことがある、との事です)
B-1.『MeiMengMeng.Win.Clients.exeからコールされている複数のプログラムのうち、セットアップ直後のEZbook 3 pro(v4のごく初期のものに限ります)に残ったどれかが、Windows Updateのサービスを無効化してしまう』
または、
B-2.『出荷時の展開用イメージファイルに一部問題があり、Windows Updateのサービスが無効になったままセットアップを完了してしまう』
……という状態を放置したまま、セットアップ用の『Xで埋まったプロダクトキー』で、Windowsがマイクロソフトのアクティベーション・システムへ接続。結果、『プロダクトキーが別のデバイスで既に使用されているため』アクティベーション不可!というびっくりメッセージが出てしまった、というのが妥当なトコでしょう。
これ、Jumper社だけを責めるのは余りに酷なんですよ。
Windowsのアクティベーション技術や、そこに準拠したメーカーさんのマスターイメージ造りって、米国本土のマイクロソフト本体と各社が交わすNDA契約(保秘義務の契約条項)で保護されている上に、恐ろしいスピードで手順が更新されている領域らしく。
どのくらいのスピードかと言えば、PCメーカーや日本のMSKKの『中の人』と思しき方が『日本語ドキュメントの作成が追いつかない』と言及されているのを、今回のトラブルシュートで複数目撃したぐらいです。OSとしてのセキュリティや、MS本体の収益といった事を考えれば当然の話ですね。
ショップブランドPCやキッティング屋さんの用意するPCなら、文字通りオーダー毎のBTOで組みますから、リテール品のプロダクトキーを順次適用すればいいんですけど、数千~数万台のオーダーに対してひとつのイメージデータを適用、順次OEMライセンスを適用するメーカーPCとなると、そうは行きません。
しかも、アクティベート周りの仕様が変わる度に、メーカーの認定技術者がMS現地法人とNDA契約を結び直し、大量の英語ドキュメントに従って自社の作業指示書を書き直して、かつNDAに抵触する箇所は伏せて……と。デスマーチ以外の何モンでもないですね、これ。
Jumper EZbook 3 proの最新バージョン(v4)のマスターデータ造りは、ぶっちゃけこの改編期にぶつかっちゃった可能性が高いハズです。
各社が年末の個人向けマーケットに合わせて新製品の企画を廻していくなか、一部未確定な箇所もありまくりなドラフト状態で出てくる、マイクロソフト側の英文ドキュメントに振り回されて……と。むろんマイクロソフトも配慮は重ねてきているでしょうが、アクティベーションに穴がある状態で大量のWindowsマシンが消費者の手に届くのは論外って言うか、セキュリティ考えたら災害そのものです。
Windows10の出荷時マスターの組み方って、ある程度は全メーカー共通っぽいですから、ひょっとするとこの秋から冬にかけて僕らニッポン人の手に届く新製品のうち、ほんの少しだけ似たようなトラブルを内包した商品が存在するのかも、しれません。
とは言え、今回のコレはあくまで2017年秋段階での、Windowsアクティベーション絡みのトラブルの一例でしかありません。最新の情報に関してはまず自分で検索しつつ、メーカーのサポートにどうやってアクセスするか考えておくのが良いでしょう。今回のケースは僕、最初に販売店のGeekBuyingにメールしてます。自己解決した段階で『解決したからこれ以上のサポートいらないよー』と締めましたけど。
ウインタブ読者の皆さんには申し上げるまでもありませんけども。『安くてイイ商品』は深センに山ほどありますが、『安くてイイうえに、他人様が丸ごと無料でサポート丸抱えしてくれる商品』って、まず存在しませんよね?
そういうのが欲しい方は、安さはソッコーあきらめて、Apple製品を銀座のGenius Barで札束積んで買いなさいよ……という話になってくるのです。
5.関連リンク
Jumper EZbook 3 Pro ー 13.3インチ、高質感な中華モバイルノート「これほんとにJumper?」(実機レビュー)
コメント
さあ、紹介した機器に紹介時にはわからなかった不具合があったことを報告するシリーズ、「ええ?キーボードにキーロガーが!?」編も早く。
https://win-tab.net/acc/mantistek_gk2_rebview_1706091/
これですね。(Gigazine経由なのでようわからんです
http://www.tomshardware.com/news/mantistek-gk2-collects-typed-keys,35850.html
ヨタ話をすると。
本記事、[デバイスのパフォーマンスと正常性]→[新たに開始]でクリーンインストールできるかも……という救済策が無ければこうやって記事にする事はなかったと思います。
出荷時用のGAC周りはホント日本語のドキュメント少なくて……!
>Apple製品を銀座のGenius Barで札束積んで買いなさいよ
ああ、iPhone6のタッチが効かなくなったときに銀座にいきましたが
「お客さんの責任ですから全損扱いの支払いで新品に交換します」としか言わない店員きたな
(実際には、タッチ制御してるICチップの不良なんだけどね)
4万ちかく払ってデータ飛びまでしたのに、2か月後に「14000円でいいので2万円ほど返します」ってメールきたなぁ
言葉使いは丁寧だけど、まったく内容説明しないやつは信用ならんw
>なおさん
AppleCareの対象じゃないケースだとジーニアスバーは見積もりマックス価格でブン投げてきますね……お見舞い申し上げます。
中華製品だから・・・と決めつけてしまう人が出てきそうなトラブルですね。やはりサービス料を払うからこそ知識がなくても使えるということを忘れてはいけないですね。
いわゆる『格安SIM』方面でもこういった問題は多々あるようで、正直ニッポンの「お客さま」というのはけっこう世界規模では異質なんじゃないか、と思い始めていたりします。
(ついでに考えると、こういうトラブルを楽しめるのはモバイルギアとかHP 200LXとかPalm/CLIEで遊べてた層に近いかなぁと。最近だとJailBreakとかroot化ですね)
先ほどEzbook 3L proが届き開封~設定等進めていくうちに!!!!!!!!!ビックリマークいっぱい出ました。でアメリカのAmazonで購入したので即文句メールを入れ(返信に2営業日程かかるらしい)ググり始めこちらへたどり着きました。今ディフェンダーのクリーンインストール中です。。。
↑のてる。ですが、、、
クリーンインストール完了したところでアクティベーションされているか確認したところ、、、まったく変わってませんでした。
今再度アップデート中です。
どの時点でアクティベーションされるのでしょう?
その3のWindowsupdateが終わった時点でアクティベーションされるのでしょうか??
とりあえず今日は放置しておきます。。。;;明日の朝笑えるようにw
報告です。
結局メーカー対応してもらうことになり、時間を設定すれば治るとのことで、やってみましたが案の定、まったく状況に変化無しで再度連絡すると、プロダクトキーを送ってきました。入力すると無事認証済みに。
何はともあれ一安心しましたが、、、、実は同じPCを別サイトでも購入してまして、、、また同じことが起こるかと思うと、、、めんどくさいですw
ありがとうございました^-^