こんにちは、natsukiです。先日、「Kindle Oasis」の紹介記事や、ひらちょんさんによる「Yotaphone 3」の紹介記事がありましたが、その他にも、このところ電子ペーパーの野心的な製品が次々と発売、発表されています。もともと電子ペーパーが尖った特性を持つだけに、いずれもガジェットマニアの心をくすぐるような、一癖も二癖もあるような製品ばかりです。
そこで今回は、ざっと見渡してみた中で、気になる製品をピックアップして紹介してみようと思います。網羅的なものではなく、あくまで個人的に面白そうだと感じたものですので、その辺はご承知おきください。
1.ONYX BOOX Max2
まず、取りあげたいのは、Android搭載の汎用電子ペーパー端末であるONYX BOOXシリーズの最新製品「BOOX Max2」です。BOOXシリーズといえば、レビューさせていただいた「BOOX C67ML Carta2」は、生活に欠かせないパートナーとして肌身離さず持ち歩いております。
さて、そのBOOXシリーズはサイズも色々ありまして、BOOX Maxというのは13.3インチの最大サイズのもの。デジタイザペンも搭載して、ソニーの「DPT-RP1」と非常によく似た製品特性を持ち、第2世代の「Boox Max Carta」が今年になって発売したばかりです。その第3世代の「Boox Max2」が、早くも発表されました。しかもこれ、単なる後継機ではなく、一台に様々な機能をこれでもかと詰め込んだ、とんでもない製品です。
まずは、公式HPに掲載されているスペックから。13.3インチで2200×1650ピクセルの高解像度は継承。そして、システム面が大幅に改善。OSにはAndroid 6.0を搭載し、クアッドコアCPUに2GBのRAMと、今までの数世代遅れだった部分を一気に取り返してきました。BOOXシリーズはこれまでOSがAndroid 4.2や4.0だったために、定番の電子書籍アプリですら旧バージョンを入手する必要があったりとせっかくの汎用性が犠牲になってしまっていたので、Android 6.0搭載というのは素晴らしい朗報です。
そして驚くべきは、HDMI入力に対応して、「電子ペーパーディスプレイ」として機能するということ! Notebook ItaliaさんがYOUTUBEに製品説明会の動画をアップしていますので、ご覧ください。
うーん、さすがに動画はガクガクだし、反応はワンテンポ遅れるし、通常のディスプレイとして常用するのは厳しそうか? ただ、発売に向けてこれから改善もされるでしょうから、どこまで質を上げてくるのか注目です。
それと、もともとデジタイザペンには対応しているのですが……
え? いま、確かに「WACOM Stylus」って言ったよね!? すでに、ワコムはソニーの「DPT-RP1」や楽譜電子ペーパー「GVIDO」にも専用のデジタイザを提供していますが、ついに、ONYX BOOXとも手を組んだ模様です。
まさに、電子ペーパーを知り尽くしたONYX BOOXブランドだからこそ製品化を実現できる、全方位対応の電子ペーパー端末と言えるでしょう。これは期待せざるを得ない。
なおBOOXシリーズには、さらに「BOOX Note」「BOOX Canvas」という新機種の情報も流れています。これらもそれぞれ非常に面白い特徴を持った機体となっていおり、電子ペーパ端末を引っ張っていくんだというBOOXブランドの意気込みが感じられます。
2.Dasung Paperlike Pro
さて、さすがの「BOOX Max2」も、ディスプレイとしての機能は辛そうでしたが、それをハイレベルで克服したのがこちら、Dasung社の「Paperlike Pro」です。こちらは純粋に電子ペーパーのディスプレイです。すでに販売がはじまっている製品で、「Paperlike Pro」で検索かけると紹介動画やレビュー動画が大量にヒットしますから、是非、見てください。サイズは13.3インチで、解像度は1600×1200ピクセルと「BOOX Max2」にはやや劣るものの、実用性は十分でしょう。そして、レビュー動画を見る限り、遅延はほぼない模様。動画の再生も、なめらかとはいきませんが、まあ、なんとかという感じ。
この製品は、BOOXシリーズの輸入も手がけている日本国内の輸入代理店SKTショップで取り扱っているので、今回紹介している製品の中では比較的簡単に手に入れることができます。もっとも、そのお値段は154,800円と、アレ?桁を1つ見間違えたかな? と、思わず見直してしまうような金額ですが。
ちなみに、このDasung社もONYX社に負けず劣らず電子ペーパーには並々ならぬ思い入れのある会社のようで、製品の1つ「PaperMovie」なんかは、もはやマッドサイエンティストの発明品の域に達している(褒め言葉)感があります。
3.reMarkable
お次に紹介するのは、「reMarkable」。10.3インチ、1872×1404ピクセルのディスプレイで、限りなく「紙」の書き心地を目指した、デジタイザの性能に特化した電子ペーパー端末です。
これ、開発中段階にウインタブでも紹介してますね。無事、今年の8月末に発売にこぎ着けました。さっそく、レビュー動画がバンバンあがっていて、その描き味は、BOOXシリーズやソニーの「DPT-RP1」が文字のメモ書きレベルにとどまるの対して、十分にスケッチやイラスト作成に耐えうるクオリティに達している模様。もっとも、日本への発送には対応しておらず、日本での入手のハードルは高い状況です。早く、どっかが輸入を初めて欲しいものです。
4.GVIDO
以前に紹介記事を書きました、楽譜に特化した電子ペーパー端末「GVIDO」です。13.3インチ電子ペーパーディスプレイを2枚つないで見開きにしたというシロモノで、見た目の奇抜さだけではなく、譜めくりや楽譜の管理などのための独特の機能が満載です。こちらも、無事、発売がはじまっています。銀座の山野楽器に常設で体験コーナーが作られているらしいので、めっちゃ行きたいのですが、忙しくて時間が取れそうにないんですよね……
お値段は予定通りの180,000円。まあ、今回紹介した製品の中では唯一日本製で、その信頼も含めたお値段とはいえ、さすがに、もうちょっとなんとかならんモンですかねぇ。
5.まとめ ― 広がる「電子ペーパー」の世界
これまで電子ペーパーといえば、実用レベルの性能を持ち、かつ普及したものではKindleシリーズやKoboシリーズのような電子書籍リーダーくらいでした。大型で書き込みができるSonyの「DPT-S1」や「DPT-RP1」も、基本的にはその延長線上にあります。
一方、Android OSを搭載したBOOXシリーズは非常に野心的な製品群で、音楽再生や、オセロや将棋などのボードゲームのような軽量アプリは動作するので、レトロな楽しみをこれ一台にギュッと詰め込めます。とはいえ、その処理能力の低さから、現実的にはやはり電子書籍リーダーとしての使い方がメインとなります。
中には、待ち受け部分に電子ペーパーを使ったスマホの「Yotaphone」シリーズや、電子ペーパーを使った時計などもありますが、これはよっぽどの変わり種でしょう。
それがここに来て、「電子ペーパー」の可能性が急に広がってきました。今回紹介した製品は、どれも「唯一無二のもの」を追求して、アイデア、技術ともにワクワクさせてくれる魅力があると思うのですが、いかがでしょうか。
あとは、うーん、やはりお値段、ですね……
コメント
電子ペーパーをディスプレイとして採用する製品を考える際に紙のような見やすさとノートのような軽さ、電池の持ちの3点に注目してます。
例えばソニーのDPT-RP1は13.3インチで5.9mm349gで3週間持ちます。
一方今回紹介していただいてるモノはディスプレイが電子ペーパーなだけで中身はAndroidだったりWindowsだったりします。だから重くて電池が持ちません。値段も通常の液晶より高いです。
頭が固くて申し訳ないのですが電子ペーパー技術の良さを引き出してないモノを高い金出して買うのってどうなんだろうと思っちゃいます。
コメントありがとうございます。
実際、今回紹介したのは、どれもまだ、多分に実験的な要素を含んでいる、いわゆる「ロマン枠」だとは思っています。「ここまでできるようになった」と感じられることは、一般普及レベルまでには達していないことの裏返しでもありますからね。それでも、こういった製品の積み重ねで、より技術を進歩させてきているのも事実です。あとは、お値段ですね~
個人的にはAndroidのアプリもいろいろ試してみたいので(オフライン地図アプリとかノベルゲームとかと相性がよさそう!)、多少重くても全部入りのBOOXめちゃくちゃ欲しいです。もちろんブックリーダーやメモパッドとしても優秀でしょうし。ただ一般的に電子ペーパー製品は値段が高すぎるのが困りモノですね…。
コメントありがとうございます。
スペック表を見る限り、現行BOOXシリーズは、処理能力の点ではBOOX C67ML Carta2と大同小異のはずなので、地図みたいにスクロールするのはきつそうですね。ノベルゲームは、私は触れたことないんですがどうなんでしょう? 正直なところ、BOOX C67ML Carta2ではそうとう軽量なアプリでないと動きません。
次期BOOXシリーズは大幅にスペックアップを果たすようなので、期待が高まりますね。
Paperlike Proの網点リフレッシュによるゴースト対処は画期的ですよねぇ
大型E-inkの現状を考えると使用期間や汎用性で
投資に見合うモニタがベストバイかもしれませんね
reMarkableのペンの延滞の少なさもE-inkでは素直に凄いと思います
やっぱ専用端末はリフレッシュ制御が強いですね・・・
汎用OS系だと適当にリフレッシュボタンで誤魔化すしか無いのが痛い
熱持ちそうな上位CPUと相性良くないから性能不足も辛い
非リフレッシュ方式のカラーペーパー早く来い!
コメントありがとうございます。
Paperlikeは、電子ペーパーであの挙動は意味分からないですよね。発想とゴリ押しでここまでのレベルを実現してしまうとは。もっとも、その分がお値段にきてるんでしょうけれど。
reMarkableも、動画見てる限りでは、天下のワコム搭載のソニーDPT-RP1やGVIDOを越えてそうな感じですが。どこかで実機展示してないかな?
カラー技術は、昨年ニュースになったのを記憶していますが、どこまで実用レベルに近づいているんでしょう? これも、実験的な製品でいいから、早く見てみたいものです。
natsukiさん初めまして。チューリップ商人のブログ→SKTサポート管理人のチューリップ商人と申します。Eink自体に癖があるのでガジェットマニアの心をくすぐる(なんというか後一歩だから何とかしたい!みたいな。)という表現には心から同意しますw
せっかくなのでコメントさせていただきますが、実はonyx製品って2バージョン(中国版、英語版)があるのです。そして英語版にはGooglePlayが最初から入っていますが、banggoodのはきっと中国版でGooglePlayが入っていないバージョンかもしれません。私は今年の夏に深センに行ってきましたが、Google関連のサービスは中国の規制でまったく使えませんでした。
後、Keplerはバックボタンは無いのですが、左右にあるボタンのうち【左を長押し→一つ前の画面に戻る】、【右を長押し→ホーム画面に戻る】という機能が割り当てられています。私はbluetoothキーボード入力ができるのでC67よりもKeplerの方をたまに持ち歩いていますね。
paperlikeの値段については…海外製品の値段って純額(為替手数料なし、送料無し、後からやってくる輸入消費税無し)で表示されるのですが、日本国内の場合は全てが込みになってしまうのでやはり高く見えますよね。
でも最後に一つ、paperlikeは本当にいい製品ですよ。二画面ディスプレイ(左がpaperlike側、右が液晶側)にしていると、液晶ディスプレイ側は凝視していないのに、なぜか右目が疲れてくるのがわかるくらいなので。ということで必要のない時は液晶ディスプレイ側は電源をオフにしています。
コメントありがとうございます。
ブログの方、かなり前から拝見しております。いつも、貴重な情報発信をありがとうございます。
GooglePlayは、なるほど、中国版だからという可能性があるわけですね。
Keplerの、Bluetoothでキーボード接続できるのは、ポメラを喰えるか?という魅力を感じます。反応速度は実用レベルなんでしょうか? ただ、片手でサクサクめくれるC67の巨大なページめくりボタンは、電子書籍リーダーとしては最高のギミックだと感じているので、そのあたりのデザイン変更はちょっと残念。BOOXシリーズには、某林檎のようなスタイリッシュさよりも、実用重視の無骨さを貫いて欲しいと思ったり。
Paperlike、凄く楽しそうですね。にしても、発想・制御力ともにとんでもない技術で、それだけの価値があるというのは十分に分かるのですが、ディスプレイだけでSurfaceが買えてしまう値段というのは、グググ…… この記事で紹介したものって、私の感覚だと、もし5万円程度なら即買いなものばかりなんですが、現実はそうはいかないあたりが「ロマン」なんですよね。
ただ、そんな中でも、BOOXシリーズはなんとか現実的な価格に持ってきていて、たいしたものだと思います。MAX2は是非、10万以内に収めて……無理かなぁ?
おお、見ていただきありがとうございます。仕事が忙しくてなかなか進まないのですが、まとめ記事&新ネタを提供できるようにはしたいものです。
Einkはテキスト入力であればポメラに勝てると思います。(dm20、dm100を過去に購入)見やすい点もさることなら最新のAndroidATOKを使えるので変換もかなり賢いです。
ただKeplerもスペックの関係で、Jota等のテキストアプリを用いて、スケジュールアプリでDropboxに同期(私はエバーノートに直接共有していますが)&A2モード(白黒二値でスピードアップ)ということを行えばそこそこ使えますよ。
2年近く前のT68の動画ですが、同じスペックなのでおいときます。
https://www.youtube.com/watch?v=AYnmbfl2Yfg
ただOffice系のアプリだと重いので、noteやMax2のような4コア機種でもっと入力しやすくなると便利でしょうね。ただoffice使ってがっつりと仕事をするなら最初からpaperlikeで自宅で仕事をすればええでしょう。
パネルの値段さえ下がれば現実的な商品になると思うのですが、ロマン価格の理由としてEinkパネル自体がかなり高いようです。白と黒の粒子を閉じ込めた玉を1200×1600個(booxmax)も並べるというのはどのようにやっているのでしょうね。
後は…おそらく日本で売れなくても、お金を持っている人が多い海外ではどちらにしても売れるので、今後は大ロマン価格になるという話をsktの中の人はしていました。末端価格で9万円近いremarkableがよく売れたとのことで、EInk製品製造者は良いものを高い粘弾でリリースしてくるような気がします。
コメント、動画紹介ありがとうございます。
電子ペーパー端末でOfficeがまともに動作……、MAX2やNOTEで実現するのか期待は膨らみます。
しかし、お値段はその話だと残念ですね。ともかく、もう正規製品化は間違いなさそうですから、実際の販売開始待ちですね。