こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。Windows タブレットの機種比較特集、今回は「10万円前後の、Atom機としてはハイスペックなもの」という切り口でいきます。10万円というとCore i7搭載のノートPCなんかも買える価格なのですが、そこであえてAtom機を選ぶ価値、というのも十分あると思います。処理速度だけがパソコンじゃありませんしね。すごく個性的で、記事を書いていて思わず欲しくなっちゃうようなものばかりを選んでます。なお、このクラスだとSurface 3も入れるべきなんですけど、別の特集記事で紹介してしまっているので今回は外してます。
目次
1.対象機種
富士通 arrows Tab WQ2/X
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8500
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB / 128GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,920 × 1,200)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1
カメラ: イン200万画素/アウト800万画素
入出力: USB3.0、USB 2.0、microHDMI、microSD、オーディオ
バッテリー稼働時間: 10.3時間
サイズ:
(タブレットのみ): 264 x 170.7 x 11.8 mm / 重量 685 g
(キーボード込み): 264 × 205.7 × 22.1 mm / 重量 1,355 g
価格: 80,678円(2016年3月4日現在の直販サイト価格)
※専用キーボード別売り 14,796円
※この記事での価格表記は最下位構成です
富士通の直販専用モデルです。同じ富士通の「arrows Tab QH35/W」の上位機という位置づけで、OSは64ビットに、CPUは同じCherryTrail世代のAtomでもワンランク上のZ8500に、RAMは4GBに、という具合にスペックアップしていますし、筐体も防水・防塵性能が飛躍的に高められています(ただしその分厚くて重いです)。
別売りになりますが専用オプションとして設定されている「スリムキーボード」はヒンジを備えた本格的なもので、これを接続するとほぼ完全なノートPC形態となります。また、「拡張クレードル」など、デスクトップでの利用もしっかり考慮されたオプション群も揃っています。
Lenovo ThinkPad 10
OS: Windows 10 Home 64ビット(Pro版も選択可)
CPU: Intel Atom X7-Z8700
RAM: 2GB / 4GB
ストレージ: 64GB / 128GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,920 × 1,200)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: イン120万画素 / アウト500万画素
入出力: Micro HDMI、USB 3.0、オーディオ、ドッキングコネクタ、電源コネクタ
バッテリー稼働時間: 10.3時間
サイズ:
(タブレットのみ): 256.5 x 177 x 9.1 mm / 597g
(キーボード込み): 複数選択肢あり
価格: 64,152円(2016年3月5日現在の直販サイト価格、クーポン割引後)
※別売りで専用キーボードが2種類あり
フォリオキーボード: 10,584円
ウルトラブックキーボード: 10,584円
紹介記事:Lenovo ThinkPad 10 - 個人向けモデル、ついに登場!
直販サイト製品ページ:ThinkPad 10
ThinkPadシリーズのタブレットはThinkPad 10のほか、「ThinkPad X1 Tablet」という新製品がありますが、これはAtom機ではなく、価格もかなり高いのでこの記事の対象としていません。さて、ThinkPad 10ですが、Windowsタブレットとしては古参の部類に入ります。しかし、随時リニューアルしていて現在でも最新スペックと言って良い構成になっています。OSは64ビット、CPUは日本で買える製品としては数少ないAtomの最上位モデルであるZ8700、RAMは4GBを選べ、ストレージも128GBまで選べます。
ThinkPadシリーズのセールスポイントとしては並外れた耐久性・堅牢性というのがあります。私はThinkPad 8を持っていますが、他のタブレットとは明らかに別物といっていいくらいに固い筐体です。落としたこともありますがキズひとつつきませんでした(落とし方にもよりますので真似しないで下さい)。ThinkPad 8の場合「そのかわり重いけどね」というのがありましたが、ThinkPad 10はギリギリ600 gを切る重量になっているので、軽量とはいえませんが十分合格点をあげられると思います。
また、これもThinkPadシリーズの伝統なのですが、オプションで多彩な周辺機器が用意されています。例えばキーボードで、この製品には軽量なカバー一体型の「フォリオキーボード」とヒンジこそないものの安定感の高い「ウルトラブックキーボード」の2種類が選べます。
TOSHIBA dynabook N40
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 10.1インチ(1,920 × 1,200)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: イン200万画素 / アウト800万画素
入出力: microUSB、microHDMI、オーディオ、USB 2.0 × 2(キーボード側)
バッテリー稼働時間: 7時間(キーボード接続時13時間)
サイズ:
(タブレットのみ): 258.8 x 178 x 9.1 mm / 552 g
(キーボード込み): 258.8 x 185 x 21.6 mm / 1,094 g
価格: 86,400円(2016年3月5日現在の直販サイト価格、型番はNZ40)
※専用キーボード(物理接続)付属
紹介記事:TOSHIBA dynabook N40・N29 - ヒンジつき2 in 1に強力なニューフェース登場!
直販サイト製品ページ:dynabook NZ40(Atom x5)
今回は東芝製品を2機種選んでいます。N40のほうは比較的「普通の」2 in 1となっていて、デザインも割とおとなしめです。スペックの方はそれほど高いわけではなく、64ビットにCherryTrail世代のAtomを搭載していますが、RAMは2GBです。キーボードはキーピッチ19mm、キーストローク1.2mmとノートPCとしてみても十分使いやすい本格的なものである上、バッテリーも内蔵しています。大手メーカーの製品という安心感があり、奇をてらわず使い勝手の良い製品だと思います。
また、東芝は季節ごとに型番を新しくするのですが、内容的にはあまり変わっていないことが多く、同じ型番の2015年8月モデルだと5万円台まで値崩れしているので、あえて旧モデルを購入する、というのも賢い選択だといえます。
TOSHIBA dynaPad N72
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom X5-Z8300
RAM: 4GB
ストレージ: 128GB
ディスプレイ: 12インチ(1,920 × 1,280)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: イン200万画素 / アウト800万画素
入出力: microUSB × 2、microHDMI、オーディオ
バッテリー稼働時間: 7時間
サイズ:
(タブレットのみ): 299.4 x 203 x 6.9 mm / 579 g
(キーボード込み): 299.4 x 203 x 14.9 mm / 999 g
価格: 109,649円(2016年3月5日現在の価格ドットコム最安値)
※専用キーボード(物理接続)付属
※Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス付属
紹介記事:TOSHIBA dynaPad N72 - Surfaceの新たなライバル登場、イラスト好きにもおすすめ
直販サイト製品ページ:dynaPad NZ72(Atom Z)
この製品のみディスプレイサイズは12インチとなり、価格も10万円を越えます。ただし、製品版のOfficeが付属するため、実質的には決して割高ではなく、むしろ割安感もあります。CPUこそAtomですが、RAM4GB、ストレージ128GBと余裕のあるスペックになっていて、ディスプレイはアスペクト比3:2の高精細なものが使われています。
非常に特色のある製品で、ワコムと共同開発した高性能なデジタイザーを搭載し、手書き入力を強く意識しています。12インチサイズながら厚さはわずか6.9 mm、重量も579 gと10インチタブレットと同等以下に抑えているのもその一環と言えます。
DELL Venue 10 Pro 5000
OS: Windows 10 Home 64ビット(Windows 8.1およびそれぞれのPro版選択可)
CPU: Intel Atom X5-Z8500
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB / 128GB
ディスプレイ: 10.1インチIPS(1,920 x 1,200)
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac 、Bluetooth 4.1
カメラ: イン200万画素 / アウト800万画素
入出力: USB 3.0 Type-C、USB 3.0、Micro HDMI、オーディオ、microSD
バッテリー: 32WHr
サイズ:
(タブレットのみ): 262.6 x 175.8 x 9.85 mm / 662.1 g
(キーボード込み): 299.4 x 203 x 14.9 mm / 999 g
価格: 60,458円(2016年3月5日現在の直販サイト価格)
※専用キーボード別売り 22,111円
紹介記事:DELL Venue 10 Pro 5000 - CherryTrail搭載だけじゃなく、あちこちスペックアップした10インチタブレット
直販サイト製品ページ:New venue 10 pro 5000 シリーズ(2016年1月20日発売)
DELLの最新10インチ2 in 1です。64ビットOSを搭載したCherryTrail機で、RAM4GBとなっているため性能にも期待できます。また、ストレージ容量によって2つのバリエーションがあり、128GBだとかなり余裕がありますね。比較的おとなしいデザインになっていますが、別売りの専用キーボードはヒンジとバックライトがついた本格的なものです。
価格の方は本体だけだと安く感じますがキーボードは比較的高価なため、トータルで見ると8万円以上、ということになります。まだ未発売ですがLTEモデルの追加もあるはずです。
2.性能で選ぶ
今回の対象機種は複数のバリエーションを持ったモデルが多いので、最上位構成で比較してみます
1位:ThinkPad 10: Z8700、4GB、128GB
2位:arrows Tab: Z8500、4GB、128GB
2位:Venue 10 Pro 5000: Z8500、4GB、128GB
4位:dynaPad N72: Z8300、4GB、128GB
5位:dynabook N40: Z8300、2GB、64GB
スペック表の数値をもとに比較するとこのような順位が付けられます。5位のdynaBookのみ若干見劣りすると感じられますが、それ以外は大差ない、というのがウインタブの見解です。AtomのZ8300、Z8500、Z8700の3つの性能差をどう評価するか、ということが判断基準になりますが、実用上の差は決して大きくないと思っています。もちろんテストをすればZ8700が最も優秀な成績になるはずで、予算とこだわりがあるのならThinkPad 10にすべきですが、実用上Z8300でもそれほど悔しい思いはしないはず、というのがCherryTrail機を試用してきたものとしてのアドバイスです。
一方dynaBookの場合はRAM2GBなので、ブラウザーでタブをたくさん開いたり、複数のアプリを動かすとメモリ不足の警告が出やすくなります。これは使う人間が多少気を使えば回避できる問題なのですが、64ビットOSにCherryTrailという組み合わせなのであれば少し気になるかもしれません。ただし個別のアプリの処理速度にはほとんど差はないと思って大丈夫です。
3.機能で選ぶ
比較機種は個性的なものが多く、機能も多彩です。
周辺機器ならThinkPad
ThinkPad 10は本体価格だけだとそんなに高価ではありません。しかし、キーボードが付属しないので、別に購入する必要があります。しかも上に書いたとおりキーボードだけでも2種類が用意されています。また、ドッキングステーション(拡張クレードル)やスタイラスペン、Windowsタブレットとしては非常に珍しい「風呂蓋カバー(開閉すると自動的にスリープ/スリープ復帰する)」などがありますし、地味にケーブル類も充実しています。気に入った周辺機器を全部揃えていくとかなりの出費になってしまいますが、使い道に合わせてタブレットをどんどん便利なものにできる、というメリットがありますね。
手書き入力ならdynaPad N72
今回唯一12インチサイズとなったdynaPadですが、大きなディスプレイには高性能なデジタイザーが搭載されています。東芝の搭載するデジタイザーは評判がよく、イラストなどを描く趣味のある人でも使えると思います。他にもデジタイザーかどうかは別として筆圧に対応する製品ばかり(dynaBookを除く)なのですが、手書きにこだわるのならdynaPadでしょう。
ビジネス利用なら
Atom機といえどこのレベルになるとビジネス利用も十分視野に入ります。結論から言うと、「全部ビジネス向き」ということになるのですが、中でもarrows TabとVenue 10 Proはおすすめかな、と思います。まずヒンジつきの本格的なキーボードがあること、拡張性が高いこと、そして堅牢なことです。特にarrow Tabはサイズ感を犠牲にしてでも拡張性と堅牢性を重視しており、過酷なビジネスシーンにもピッタリな製品だと思います。もちろん「富士通製」というのも信頼感が高いですしね。
4.筐体で選ぶ
筐体についてもそれぞれ個性があって、全部魅力的なのですが、使い方によって好みはわかれると思います。
頑丈
筐体が丈夫なのはThinkPadとarrows Tabです。もちろん他の製品が頑丈じゃないとは思っていませんけど、この2機種は特にすごいです。ThinkPadは手にとって見るとその固さが伝わってきますし、arrows Tabは防水・防塵機能に加え、非常に過酷な耐久テストをクリアしています。「キズとか、そんなに気を使ってられないから」という人にはいい選択でしょう。
薄型軽量
薄くて軽いのはdynaPadです。12インチサイズであるにも関わらず、キーボード込みだと対象機種中最薄・最軽量です。薄型の製品というのはえてしてデザイン性も高く、洗練された印象があります。偶然ですが他の対象機種がやや無骨に見えることもあり、dynaPadは余計にエレガントに感じられますね。
dynaPadの影に隠れてしまった感のあるdynaBook N40ですが、こちらも筐体の軽さは評価できますしデザイン性も高いと思います。東芝お得意の「サテンゴールド」の色もいいですね。N40は「ここがすごい」というのはないんですけど、必要にして十分なパッケージングだと思います。
5.まとめ
今回は「これがおすすめ」という判定はギブアップします。どれも個性的で利用シーンによって向き不向きがはっきりしているので、普遍的にこれが一番、みたいなことはわかりません。以下、「個人的な好み」だけ書きます。
私はもともと「ThinkPad推し」を自認していて、その意味ではやはりThinkPadが一番気になります。それと、私だけでなくガジェット好きな人というのは、お金をためて少しづつ気に入ったガジェットの周辺機器を買い揃えるのが快感だと思うのですが、「それならThinkPadかな」とは思います。ThinkPad 10を買う場合、最初にウルトラブックキーボードをセットにして、何カ月か後にフォリオキーボードを追加で買って…みたいなつきあい方をすることになるんでしょうね。
あとはLTEモデルということでVenue 10 Proですかね。まだ発売されていないので何とも評価はできないのですが、これから新しくタブレットを購入するのならSIMスロットがついていてMVNOの格安SIMを入れて使ってみたいです。Windows タブレットって、LTEモデルは思ったよりもずっと少ないのが残念ですよね。
今回の対象機種は構成をカスタマイズして必要なオプションを揃えると10万円前後になるものが多いです。そうなるとクラムシェルノートのCore i搭載機なんかに手が届く価格になってしまうので、「とにかく速いマシンを」という人にはあまりおすすめできません。そのかわりオリジナリティというか、独自の個性をもった製品ばかりですよね。タブレットとしてもPCとしても使えて、一般的なビジネスシーンでストレスを感じることがない、安っぽくない製品を、という人には素晴らしい選択になるでしょう。
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コメント
性能的にも値段的にも後から後悔しそうな感じがしますよねこの辺りは
こんにちは、コメントの返信が遅れすみません。確かにそうかもしれませんが、使い方かな、とも思います。
arrows Tab、もう少し安ければ・・・直販の特売狙いかな。