レノボがThinkPadの2022年モデル、「T14 Gen 3(Intel)」を発売しました。CPUに第12世代(Alder Lake)のCoreプロセッサーを搭載し、従来モデルから筐体も一新、大幅な軽量化を果たしています。価格もリーズナブルなので、人気モデルになりそうです。
1.ThinkPad T14 Gen 3 スペック
スペック表
ThinkPad T14 Gen 3 | |
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core i5-1235U/Core i5-1240P/Core i5-1245U/Core i5-1250P/Core i7-1255U/Core i7-1260P/Core i7-1265U/Core i7-1270P/Core i7-1280P |
GPU | なし / NVIDIA GeForce MX550/GeForce RTX3050 |
RAM | 8GB/16GB/24GB/32GB/40GB/48GB |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 14インチIPS(1,920 × 1,200) 14インチIPS(1,920 x 1,200)タッチ 14インチIPS(2,240 × 1,400) 14インチIPS(3,840 × 2,400)タッチ |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth5.2、(LTE/5G) |
入出力 | USB 4 Type-C(Thunderbolt 4)× 2、USB 3.2 Gen1 × 2、オーディオジャック、HDMI、LAN(RJ45)、(nanoSIMスロット) |
カメラ | Webカメラ(720p/1080p)顔認証対応可 |
バッテリー | 39.3Wh/52.5Wh 最大 約19.9時間 |
サイズ | 317.7 x 226.9 x 17.9 mm |
重量 | 1.21kg~ |
コメント
ThinkPadシリーズには注文時に構成のカスタマイズが可能なベースモデルが用意されていますが、T14 Gen 3のカスタマイズ項目は「非常に多い」です。選べるCPUはなんと9種類。
これはT14 Gen 3のカスタマイズ画面のスクリーンショットです。すべて第12世代(Alder Lake)のCore i5/Core i7で省電力タイプの「U」とバランスタイプ(でもパフォーマンスは非常に高いです)の「P」が選べ、さらに法人など組織でのPC管理に使うvPro対応のものもあります。また、この画像に写っている「金額」は、最低構成となるCore i5-1235Uを基準にして、型番を変更する際のカスタマイズ料金です。この金額は定価ベースなので、実際のカスタマイズ料金はこれよりも低くなりますが、型番ごとの価格差がイメージできます。ちなみに最も高価なCore i7-1280Pは14コア20スレッドで、第11世代の「H型番」をしのぐパフォーマンスを発揮しますし、実際ゲーミングノートへの搭載例もあります。
GPUについてはちょっと注意が必要です。まず内蔵GPUですが、T14 Gen 3が搭載可能なCPUはすべて内蔵GPUがIris Xeです。しかし、Iris Xeは「RAMがデュアルチャネルでないと真価を発揮しない」です。T14 Gen 3のRAMは「オンボードで8GBもしくは16GB、他にRAMスロットがあり、ここに8GB/16GB/32GBを搭載可能」という仕様になっています。
そのため、例えばRAM16GBの場合「オンボード16GBのみ(シングルチャネル)」と「オンボード8GB、RAMスロットに8GB(デュアルチャネル)」を選べます(同価格です)。しかし、両者はグラフィック性能が大きく異なります。ベンチマークソフトなどでシステム構成を確認すると、どちらも「Iris Xe」と表示されますが、「本当にIrisXeのパフォーマンス」が出るのはデュアルチャネルの場合のみです。そのため、レノボでは「RAMがシングルチャネルの場合、Intel UHD Graphicsになる」と説明しています。ウインタブ読者がT14 Gen 3を購入する場合、必ずデュアルチャネルにするようにしてください。でないとせっかくの第12世代CPUがもったいないです。
次に外部GPUです。レノボの開示情報だと「外部GPUなし」「GeForce MX550」「GeForce RTX3050」が選択可能になっていますが、私が確認したところ「選択するCPUによってMX550を搭載可能、しかしRTX3050は選択不可」でした。レノボのカスタマイズ画面は結構複雑で、CPUやRAM、SSD構成をいじっていくと他のカスタマイズ項目も変化するのですが、私が試した限り、残念ながらRTX3050を搭載可能なシステム構成にたどり着けませんでした。あるいは6月4日現在だとRTX3050はまだ選べないのかもしれません。あくまで個人的な意見ですが、「外部GPUを追加するならRTX3050かな」とは思います。
SSDは256GBから最大で2TBまで選べます。ただ、レノボはSSDの増設料金がかなり高いので、2TBというのはちょっと現実的ではないような気もしますね(SSDを512GBから2TBに変更すると、定価ベースで167,200円、割引後でも108,000円程度かかります)。
ディスプレイは14インチのIPS液晶でアスペクト比(画面の縦横比)は16:10です。従来モデルのT14 Gen 2はアスペクト比16:9だったので、形状が変わりました。また、解像度は3種類、タッチパネル有無や省電力液晶も選べるようになっています。
通信周りではWi-Fi6に対応するほか、LTE/5Gモジュールの追加も可能です。ただし、6月4日現在だとLTE/5Gモジュールは追加できないようでした。
サイズは「大きく変わりました」。従来モデルと比較してみます。
T14 Gen 3:317.7 x 226.9 x 17.9 mm / 1.21 kg~
T14 Gen 2:329 x 227 x 17.9 mm / 1.47 kg~
このように、厚みは変わらないものの、横幅と重量が小さくなっています。このサイズ感であればモバイルノートとして十分使えると思います。TシリーズにはT14sという薄型軽量なモデルもありますが、T14 Gen 3はT14s Gen 3(これも2022年モデルですが、6月4日現在未発売です)とほとんど変わらないサイズになりました(厚さが2ミリほど大きい程度です)。
2.ThinkPad T14 Gen 3 筐体
筐体デザインは「いつものThinkPad」です。代を重ねるごとに少しずつディスプレイのベゼル幅が細くなったり、薄型化したりしていますが、基本的には同じ外観をキープしている、と言っていいでしょう。このT14 Gen 3に関しては、ベゼル幅が細く、ディスプレイのアスペクト比が変更された関係で、若干モダンになった…かもしれません。ThinkPadなので、もちろん筐体の堅牢性には全く不安はありません。
6月4日現在販売はされていませんが、レノボ製品ページにはシルバーの筐体色も掲載されていました。
側面と入出力ポートの配置です。ポート類は基本的に左側面に配置されます。USBポートは合計で4つ(うち2つはThunderbolt 4)、HDMI、そしてうれしいことに有線LANポートも装備しています。ここが「T14s」との大きな相違点で、T14sは厚さT14よりもが2ミリほど薄くなっているかわりに有線LANポートを装備していません。
3.ThinkPad T14 Gen 3 価格など
Lenovo ThinkPad T14 Gen 3はレノボ直販サイトで販売中で、6月4日現在の価格は最小構成(Core i5-1235U/RAM8GB/256GB SSD、その他のカスタマイズ項目も最も安いものに設定)で税込み137,225円からです。少しカスタマイズして試算してみましたが、CPUをCore i7-1260Pにしたり、RAMを16GBに、ストレージを512GBにしたり、といったカスタマイズをしても20万円以下に納めることができます。読者のみなさんもレノボの製品ページでいろいろとカスタマイズを試してみてください。
また、ThinkPad Tシリーズに関しては、今回ご紹介したT14 Gen 3(Intel版)のほか、T14 Gen 3(AMD版)、T14s Gen 3(Intel版)、T14s Gen 3(AMD版)、そして16インチのT16 Gen 1(Intel版)、T16 Gen 1(AMD版)の国内発売が予定されています。レノボの4月12日付プレスリリースによれば、遅くとも6月中旬には全てのモデルが出揃うことになっています。
ThinkPad T14 Gen 3は第12世代のCoreプロセッサーを搭載し、筐体も一新されて軽量化が進み、「一気に魅力アップ」したと感じます。また、フラッグシップモバイルノートのThinkPad X1 Carbon Gen 10よりも価格設定が低くなっていますので、「人気が出るんじゃないかなあ」と思います。
4.関連リンク
ThinkPad T14 Gen 3:Lenovo