こんにちは。ひつじです。なんだか最近Lenovo製品を紹介したり触ったりする機会が多いのですが、印象が変わりました(IBMのころのThinkPadは使ったことがあるのですが、ちゃんと美点を引き継いできたんだな、と感慨深いです)。
今回はThinkPad P73を紹介します。先日はP53を紹介していましたが、単純に言えばP53が15.6インチなのに対しP73は17.3インチ、というのが一番の相違点になってくるでしょうか。
ただ、こういったワークステーション級の性能を要求する3D-CAD等はディスプレイサイズが疲労に影響してくると思われますので、サイズ展開があるのは嬉しいですね。デスクトップのワークステーションと比較すると性能面で妥協はあるかもしれませんが、バッテリーがついていて設置スペースも比較的小さくてすみ、持ち運びも可能な点はありがたいところ。そういったところにメリットを感じる方は是非検討をしてみてください。
1.スペック
シリーズだから、と言えばそれまでなのですが大まかな部分はP53とあまり変わりません。ただUSBポート数、外部GPU、バッテリーサイズ、それから筐体の大きさと重量には違いがありますね。
ディスプレイですが、P53と違いnit数は実質選択不可です(FHDは300nitのみ。UHDのnit数は不明です)。UHD側はAdobe RGB100%+Dolby Vision HDR対応であるため、液晶としてはかなり質が良いものです。またX-Rite Pantoneファクトリー・カラー・キャリブレーションもオプションで選択可能なので、印刷物や映像の加工にも対応可能でしょう。なお、15.6インチと違い有機ELに関する言及はありませんが部材として17.3インチの有機ELは調達し難いんだと思います。この点は致し方ない点でしょう。
CPUですが、vPro非対応のi7-9750H以外に、vPro対応のi5-9400H、i7-9850H、i9-9880Hが選択可能です。更にサーバーやワークステーション用途に用いられる、vPro及びECCメモリ対応のXeon E-2276Mも選択が可能です。単純な性能であればi9が最上位、次いでXeon、クロック差により3番目がi7-9850H、という序列になるのでしょう。特別な理由がなければXeonを選ぶ必要はありませんが、この製品の購入層はそういったところも含めて把握済み、なんでしょうね。ECCメモリ搭載であれば冗長性を高めることができますので、データ消失や変質等が怖い用途にはXeonが最適解なのだと思います。
外部GPUはQuadroシリーズのみが選択可能ですが、P620は処理性能が高いものではありません。T2000はレイトレーシング機能などはディスコンされているものの、Turning世代のチップでそれなりの処理性能を有します。RTXシリーズがレイトレーシングに対応しているのは言わずもがな、ですね。いずれもOpenGLに最適化されている点がGeforceとの相違点です。ゲームも動きますが決してGeforceより上位、というわけではない点にご注意ください。OpenGLを使用する中で2Dを用いるのか3Dを多用するのか等、お使いの用途に合わせて選ぶのが良いと思います(この辺りも購入される方は分かっているんでしょうけど…)。
ストレージはM.2(2280 PCIe)が2つと2.5インチが1つ搭載可能。うち最低でも1つのM.2にはSSDが初期搭載されています。RAIDはRAID 0かRAID 1が設定可能。RAID 5はありませんが冗長性を保つためであればRAID 1のみ対応でも問題ないでしょうね。
Wi-Fiでax規格(Wi-Fi 6)を採用しているのもさすが、といったところ。恐らくac規格の次に定着するであろう高速Wi-Fi規格ですから、長期間使うワークステーションがそれに対応しているのは素直に歓迎したいところです。
筐体のサイズや重量は「及第点」だと思います。そもそも製品のカテゴリとして訴求点はそこではないでしょう。「その気になったら運べる」以上を求める人もそんなにいないはずですから。逆に華奢な筐体だと怖い、ということもありますし個人的には問題ないスペックだと思っています。
2.筐体
改めてトップ画像をから本体を俯瞰してみましょう。がっしりしていますよね。堅牢さが伝わってきます。なんとなく往年のThinkPadを思い浮かべてしまいますね…。
キーボードです。画像は英語配列になっていますが、日本仕様の標準キーボードは日本語配列です(英語配列も選択でき、その場合1,080円のオプション料金がかかります)。P53と同様、トラックポイント用のクリックボタンとタッチパッド用のクリックボタンがあったりと使い勝手はかなり意識されていますね。
目立ちにくいですがスピーカーもキーボード面に搭載されています。
底面です。シンプルでかつ開口可能(ユーザーによるメンテナンス用の開口部がある、という意味です)なのが良いところ。少し昔だとバッテリーって着脱できたりしたものですが、さてこの機種はどうなんでしょう。開口部が大きいのでつい期待してしまいます。
側面と入出力ポートです。USBが3側面にある点は良いですね。電源コネクタが後部なので奥行きは少し意識しておいた方がいいかもしれません。
ThinkPadとしては最大サイズながら、ヒンジ構造では他のThinkPadと同じように水平位置(180度)の開口が可能です。
3.価格など
Lenovo ThinkPad P73はLenovo直販サイトにて販売中で、8月25日現在の価格は218,851円から、となっています(週末のセール価格です)。ただP53と同様に、この製品は「ノートの形をしたパソコン」としてはハイエンドですし、購入検討される人も「その道のプロ」だと思いますので、最低構成のまま購入するということは考えにくく、実際にはCPUやGPU、ストレージなどを思い思いにカスタマイズすることになるでしょうから、218,851円でOK!という感じではないと思います。
本質的にはエンタープライズ向け製品と思われます。また、「手が届きやすい」とは気安く書けませんが、細かいカスタマイズ注文ができますので、個人で「購入予算をにらみつつ…」という人にも検討しやすいワークステーションだと思います。