Lenovoがモバイルワークステーション「ThinkPad P14s Gen 6(14.5型 Intel)」「ThinkPad P16s Gen 4 (16型 Intel)」を発売しました。ThinkPadシリーズの製品で外観も他のThinkPadシリーズとほぼ同じですが、システム構成や使われているパーツはかなり大きく異なります。
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core Ultra 5 225H / Core Ultra 5 235H Core Ultra 7 255H / Core Ultra 7 265H Core Ultra 9 285H ※235H/265H/285HはvPro対応 |
GPU | NVIDIA RTX PRO 500 Blackwell Laptop GPU NVIDIA RTX PRO 1000 Blackwell Laptop GPU |
RAM | 16GB/32GB/64GB/96GB ※最大96GB ・DDR5-5600 non-ECC SODIMM ・DDR5-6400 non-ECC CSODIMM |
ストレージ | 512GB/1TB/2TB SSD ※M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4/5 TLC |
ディスプレイ | 14.5インチIPS (1920✕1200) 45%NTSC 14.5インチIPS (1920✕1200)タッチ, 45%NTSC 14.5インチIPS (2560✕1600) 100%sRGB 14.5インチIPS (3072✕1920) 100%DCI-P3 16.0インチIPS (1920✕1200) 45%NTSC 16.0インチIPS (1920✕1200) 100%sRGB 16.0インチOLED (3840✕2400)タッチ, 100%DCI-P3 |
無線通信 | Wi-Fi 7, Bluetooth, (LTE) ※LTEはP16sのみ, オプション |
ポート類 | USB4 (Thunderbolt 4)✕2 USB 3.2 Gen 1 Type-A✕2 HDMI、オーディオジャック LAN (RJ45)、(nanoSIMスロット) |
カメラ | Webカメラ(500万画素) ※顔認証対応可 |
バッテリー | 57Wh / 75Wh |
サイズ | P14s:325.5✕227.6✕21.7(最厚部) mm P16s:361.5✕248.6✕25.35(最厚部) mm |
重量 | P14s:1.6 kg~/ P16s:1.82 kg~ |
2. OS/CPU
P14s/P16sは基本的にWindows 11 Homeを搭載しており、一部のモデルのみWindows 11 Proを選択可能です。ただし、9月15日現在だとPro版OS選択可能モデルは割引になっておらず、「これならHome版モデルを購入して、あとから自分でProにアップグレードするほうが割安」だと感じます。
CPUはCore Ultraシリーズ2 (Arrow Lake-H)で、法人など組織でPCを管理するのに有効なvProに対応する型番も選べます。Arrow Lake-HはCPU/内蔵GPU性能が非常に高いですが、AIチップNPUの性能はそれほど高くはなく (最大13TOPS)、Copilot+ PCの要件 (40TOPS以上)は満たしません。
3. GPU
GPUは標準だとCPU内蔵のもの (Intel Arc)ですが、カスタマイズによりNVIDIA RTX PRO 500/1000 Blackwell Laptop GPUを搭載可能です。
NVIDIA RTX PRO (旧Quadro)は、GeForceと同じNVIDIA製のGPUですが、GeForceがDirectXに最適化されていて主にゲームや一般的なマルチメディア用途に向くのに対し、RTX PROはCADや3DCG、CAEなど業務用ソフトが多く採用するOpenGLやVulkan向けに最適化されています。
個人ユーザーの場合、「外部GPUはゲーム用」という人が少なくないと思います。その場合は「GeForceでいいのでは?」と思います。個人購入でRTX PROを選ぶニーズがあるとすれば「3D CADや非常に高度な動画編集」に使うケースでしょうか。
4. RAM/SSD
RAMは最大96GBまで選択可能で、16GB/32GBではシングルチャネルにすることもできます (基本デュアルチャネルです)。また、「CSODIMM」という見慣れない形式も選べます (32GB/64GBの場合。96GBはCSODIMMのみ)。CSODIMMというのは「基板に圧縮コネクタで固定するタイプ」でSODIMMとは互換性がなく、接触安定性が高く、高速転送が可能な形式です。Lenovoによれば、P14s/P16sは「ユーザーによるRAMの交換が可能」とのことですが、CSODIMMは入手が容易ではないので、交換するとすればLenovo純正品に限られるのではないか、と思われます。
SSDは512GBから最大で2TBまで選択可能、512GBに関しては「 M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4」、1TBは「 M.2 2280 PCIe-NVMe Gen5」を選択でき、2TBはGen5のみとなります。SSDに関してもユーザーによる交換が可能、という説明がありました。
5. ディスプレイ

ThinkPad P16s Gen 4
P14sは14.5インチ、P16sは16インチのディスプレイを搭載しています。カスタマイズで選べるパネルはP14sが4種類、P16sは3種類で、発色品質、解像度、タッチ対応の有無、パネル形式 (P16sのみ有機ELを選べます)。
6. 筐体

ThinkPad P14s Gen 6
「モバイルワークステーション」であるP14s/P16sですが、外観は他のThinkPadシリーズと変わりません。この画像はP14sのものですが、これを見せられても「ThinkPadである、というのは一発でわかるが、どのシリーズなのかは全くわからない」ですよね?

左:P16s、右:P14s (それぞれの画像の縮小率は異なります)
P16sは16インチサイズなのでテンキーが付き、P14sにはつきません。ThinkPadシリーズなのでカスタマイズにより日本語配列と英語配列を選べます。

ThinkPad P16s Gen 4
これはP16sのポート構成ですが、P14sもほぼ同じです。ただし、P16sのみカスタマイズでLTE対応が可能なため、nanoSIMスロットが写っています (LTE対応モデルの場合。P14sはLTE対応しません)。USBポートは合計で4つ、うち2つがThunderbolt 4と高規格です。有線LANポートもついています。
なお、バッテリーはカスタマイズで57Whと75Whを選べます。
7. 価格など
ThinkPad P14s Gen 6(14.5型 Intel) / ThinkPad P16s Gen 4 (16型 Intel)はLenovo公式サイトで販売中で、9月15日現在の価格はP14sが178,849円から、P16sが181,401円からです。
ワークステーションにしては安い、と感じられますが、例えばP16sを「Core Ultra 7 265H/RTX PRO 1000/RAM64GB/2TB SSD/4K OLEDディスプレイ/75Whバッテリー」という「ワークステーションらしい構成」にすると544,203円と、「それらしい価格」にはなります。
8. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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