LenovoがChromebookのニューモデル「Chromebook Plus Gen 10」を発売しました。製品名にあるように、Googleの新基準「Chromebook Plus」に対応しており、最大50TOPSのNPUを内蔵するMediaTek Kompanio Ultra 910を搭載、高いAI処理性能を備えた製品です。ただし、価格は11万円を超えており、もはやWindowsのノートPCと同等の水準です。
目次
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | ChromeOS |
SoC | MediaTek Kompanio Ultra 910 |
RAM | 16 GB (LPDDR5X-8533MT/s, オンボード) |
ストレージ | 256 GB UFS 4.0 |
ディスプレイ | 14インチ OLED (1920 x 1200) タッチ, 60Hz |
無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
ポート類 | USB 3.2 Gen 1 Type-C (映像/PD対応)×2 USB 3.2 Gen 1 Type-A 3.5mmオーディオジャック |
カメラ | Webカメラ (500万画素) |
バッテリー | 60 Wh (約17時間) |
サイズ | 314.2×219.1×15.79mm |
重量 | 約1.26kg |
2. Chromebook Plusとは
Googleの公式説明では「パワフルな仕様、生産性と創造性を高める高度なアプリを備えた新しいカテゴリのChromebook 」となっており、下記のハードウェア仕様を満たす必要があります。
・CPU:第12世代Core i3以上/AMD Ryzen 3 7000シリーズ以上
・RAM:8GB以上
・ストレージ:128GB以上
・Webカメラ:1080p 以上
・ディスプレイ:フル HD IPS 以上
※出所:Google
また、新製品でなくても、Googleが指定する既存モデルであれば、上記スペックを満たすことでChromebook Plus OSアップデートの対象となります。
「いや、でもLenovo Chromebook Plus Gen 10はSoCがARM…」と言いたいところではあります。しかし、Googleもこの製品をかなり推しているようで、Chromebook Plusの公式ページからも製品ページへのリンクが張られています。
Chromebook Plusでは特にAI機能が強化されており、新たにChromebook Plusを購入するとGoogle AI Pro (Google Oneの上位プラン)が12ヶ月間無料になるなどの特典も用意されています(PlusではないChromebookでも特典が受けられますが、無料期間が3ヶ月となります。詳しくはこちら)。
3. SoC:MediaTek Kompanio Ultra 910
搭載SoCのKompanio Ultra 910は、MediaTekがChromebook向けに投入した新型番で、高性能なARMベースCPUに最大50TOPSのNPUを統合しています。最大50TOPSというのはWindowsであればCopilot+ PCの要件をクリアするAI性能です。またGPUも従来より強化されており、ChromeOSやAndroidアプリの動作も快適です。今後レビュー機会があれば、その実力や実際の操作感を検証してみたいと思います。
4. RAM/ストレージ
RAMは16GBと、ChromeOSを動かすには十分すぎる容量ですが、オンデバイスAIを前提とすると「これで普通」くらいなのかもしれません。ストレージも256GB UFS4.0と、やはり「従来のChromeOSの使い方」としては大きな容量と言えます。
5. ディスプレイ
ディスプレイは14インチの有機ELで解像度はWUXGA(1920×1200)、「DisplayHDR 500 True Black, 100%DCI-P3」と素晴らしい発色品質です。また、タッチ対応もします。Chrome OSはAndroidアプリの利用が可能で、それらのアプリの中にはタッチ操作を前提としているものも少なくないので、ウインタブはChromebookではタッチ対応ディスプレイは必須であると思っています。
6. 筐体
メタル天板が採用され、筐体色はYogaシリーズでも使われている「シーシェル」です。画像を見る限りYogaシリーズと同様、高級感のある筐体に仕上がっている印象を受けます。。
キーボード面です。Lenovoでは詳しい仕様を開示していませんが、Windows PCよりもキー数が少し少ない、一般的なキー配列と思われます。
また、キーボード面の左右にスピーカーが見えますが、この製品はドルビーアトモス対応の4スピーカーを搭載しています。
個人的な感想ですが、筐体の質感やスピーカー品質に関しては「Yogaシリーズ(非常に質感の高いシリーズです)」に準じているのかな、と思いました。
側面と入出力ポートの配置です。Windows PCと比較すると「あっさり」していますが、USBポートは合計で3つあり、うち2つのType-Cポートは映像出力とUSB PDにも対応していますので、Chrome OS用としては十分な構成ではないかと思います。
7. AI機能について
Lenovoのプレスリリースによれば、Lenovo Chromebook Plusで利用可能なAI機能は下記です。
・Google フォトのAI機能 写真の自動補正・編集
・背景のパーソナライズ機能 ビデオ会議用カスタム背景
・リアルタイム翻訳字幕生成機能 多言語コミュニケーションをサポート
・文書作成サポート機能 AI搭載のライティングアシスト
・文書読解サポート機能 複雑な文書の要約・解析
・ビデオ会議を快適にするAI機能 音声・映像の最適化
・Gemini Deep Research 情報収集からレポート作成を簡単に実行
GoogleのAIと言えば「Gemini」です。ただ、オンデバイスAI(Gemini Nano)への対応状況について気になるところではあります。私のスマホ(Pixel 8)でGeminiに「Gemini NanoでどのくらいオンデバイスAI使えるのか?」と質問してみたところ「あれもできます、これもできます」と回答してきたので「では日本語で使えるオンデバイスAIは?」と再度聞いてみた回答がこちら。
(ちょっと脱線しますが)、もう少し突っ込んで調べてみたところ「Gemini Nanoの(オンデバイス)要約機能は日本語対応しているが、Google標準のレコーダーアプリの要約機能はまだ日本語に対応していない」とのことでした。ただ、これは「システム開発上の逃げ」でしかないですよね。最終的にユーザーが日本語で機能を使えないのであれば、内部的に日本語に対応していようといまいと「使えない」ということです。
Windowsもそうですが、Chrome OSのオンデバイス対応も、まだ先が長そうです…。
8. 価格など
Lenovo Chromebook Plus Gen 10はLenovo公式サイトで販売中で、7月29日現在の価格は115,280円です。数年前までは「Chromebookは安くて当たり前」だと思っていましたが、最近の上位モデルはもはやWindows PCと変わらないお値段になりました。
Windowsに嫌気が差し始めている人(私なんですけどね)には面白い選択肢かもしれません。
9. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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