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PIPO W2Sの実機レビュー - 希少な8インチでシングルブートの中華Windowsタブレット

PIPO W2S
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中国の8インチWindowsタブレット「PIPO W2S」の実機レビューです。中華の8インチWindowsタブレットというのは非常に数が多く、また期待に違わぬ低価格なものがほとんどなのですが、残念ながらほぼ全機種が「WindowsとAndroid(それもバージョン5.1)のデュアルブート、かつストレージ32GB」です。経験上OSとストレージがこの組み合わせだと「早晩行き詰まる」ことになります。デュアルブートというのは中華製品の専売特許のような感じで、とてもおもしろい構造ではありますが、ストレージ容量32GBをWindowsとAndroidという2つのOSでシェアするのはかなり無理があります。特に年2回のペースで実施されるWindowsの大型アップデートの際には裏ワザみたいなことを使わないとアップデートに必要な容量が確保できません。そのため、「デュアルブートにするならストレージは64GB」もしくは「ストレージ32GBまでならシングルブート」にしておくのがウインタブのおすすめです。

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ということでPIPO W2Sです。この製品はデュアルブートのモデルとシングルブートのモデルがありますが、レビューするのは当然シングルブートのほうです。結論から言うと「普通の8インチWindowsタブレット」なわけですが、しっかり使えて実売価格が100ドルを切っているのが魅力です。

なお、この製品は中国の通販サイト「Banggood」に提供していただきました。Banggoodにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。

1.スペック

PIPO W2S スペック表
スペック表を確認してみます。この製品はディスプレイ解像度が1,920 × 1,200と高精細になっていることのほか、特に目立ったところはありません。8インチのWindowsタブレットとしてはごく標準的です。国内向けの8インチタブレットとしてはドスパラのDiginnos DG-D08IW2Lが最も人気がある(というか競合製品が少ない)と思いますが、Diginnosタブレットとの比較では「ディスプレイ解像度はPIPOが上、ストレージ容量はDiginnos(64GB)が上」ということになります。また、Wi-FiについてはDiginnosが5GHz帯にも対応するのに対し、PIPOは2.4GHz帯しか対応しません。

あと、サイズのほうは結構コンパクトになっています。Diginnosタブレットとの比較だとこんな感じ。

PIPO W2S: 208.5 x 120.5 x 8.6 mm / 335 g
Diginnos DG-D08IW2L: 214 x 128 x 9.1 mm / 380 g

Diginnosは金属製の筐体を採用した、わりと頑丈な製品なのですが、それにしてもPIPOのタテ・ヨコサイズは小さいと思いますし、重量も335 g(実測値です)というのは立派だと思います。

PIPO W2S システム構成
PIPO W2S ストレージ構成
レビュー機のシステム構成です。バリバリのニューモデルではないこともあり、OSのバージョンは1607と、結構古いですね。なので、購入された場合、すぐに大型アップデートをする必要があるでしょう。Atom機は大型アップデートにかなり時間がかかってしまうんですよね…。

あと、ストレージですが、シングルブートなだけあって、空き容量が15GB近くあります。もちろんこれで十分とは言えませんが、デュアルブート機だとWindows側の空きは5GB以下というのが普通ですから、これだけでも将来に向けてかなり安心感があります。

2.筐体

PIPO W2S 同梱物
同梱物です。本体のほか、取扱説明書(中国語のみ)、保証書、検査合格証、ACアダプター(日本のコンセント形状と同じです)、主に充電用のUSB(オス)- microUSB(オス)のケーブル、USB(メス)- microUSB(オス)の変換ケーブルが入っていました。

PIPO W2S 正面
前面です。サイド(この画像だと上下)のベゼルは比較的細めですね。また、前面にはWindowsのロゴ(多くの場合、Windowsボタンになっています)はありません。

PIPO W2S 上面
上側面です。ポート類はこちらに集中しています。

PIPO W2S 上面
アングルを変えてみました。画像左端のボタンはWindowsボタンですが、このように物理ボタンでWindowsボタンが装備されているタブレットは最近だと結構珍しいですね。その右にある溝のようなものがmicroSDスロット、続いてオーディオジャック、microHDMI、microUSB、そして一番右にある溝がスピーカーです。この製品のスピーカーはモノラルです。

PIPO W2S 右側面
右側面です。こちらにはオーソドックスに電源ボタンと音量ボタンがあります。

PIPO W2S ボタン
ボタン類の立て付けはよく、カチッ、と確実に押せます。

PIPO W2S 左側面
PIPO W2S 下面
左側面と下側面には何もありません。一応下側面にはマイクの穴がありますが、「ホントに穴」ですし、画像が暗くてよく見えませんね…。

PIPO W2S 背面
背面です。筐体素材はプラスティックですが、表面にラバー上のコーティング(シリコンコーティング?)が施されており、わずかに弾力があって滑りにくくなっています。高級感はありませんが、実用上は便利だと感じます。

PIPO W2S 背面2
また、背面には各ポート類、ボタン類の説明が書かれています。

3.使用感

ディスプレイ

8インチタブレットらしく、今回はタブレットモードにしてタッチ操作でいろいろと試してみました。まず、ディスプレイですが、色味がやや青みがかっています。先日レビューしたTeclast T8に少し似た感じですね。この製品を単体で、というか他の製品と比較しないで使うぶんにはそんなに気になりませんが、他の液晶ディスプレイやノートPCと並べてしまうとその差は実感できます。

個人的には普段使いしていて特に不満を感じることはありませんでしたが、色味に敏感な人、またこの製品で繊細な色の識別などをしたいという人にはちょっと厳しいかもしれません。

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また、この製品のセールスポイントである1,920 × 1,200という解像度についても、上記の色味の問題が多少関係しているせいか、あまり美しいという感じではありません。最近HPやNECのノートPCをレビューする機会があったのですが、NECとかHPの液晶は非常に鮮やかで、「黒がしっかり黒い」ので、大変美しく感じました。価格差が非常に大きいので、それらの製品と単純に比較するのは酷ではありますが、やはり「実用品レベル」といった感じで、スペック表を見て解像度が高いからといって過度の期待をすべきではないと思います。

なお、タッチ操作ですが、概ね快適です。画面の隅っこにあるアイコンをタップした際にやや反応が鈍いと感じることはありましたが、「値段なり」といいますか、大きな期待をせずに使うぶんには十分だろうと思います。

スピーカー

いやあ、これはですね、完全に「実用品」でしかないです。モノラルスピーカーですし、音量を最大にしても音が割れないかわり、「え?これで最大なの?」って感じでぜんぜん大きな音は出ません。音質のほうも音楽鑑賞などが期待できるレベルではないです。ただし、「1万円タブレット」を使っているわけですから、特に不満は感じないですね。ポジティブサプライズを期待していたけど、やっぱポジティブじゃなかった、しょうがねえや、って感じです。

バッテリー

ディスプレイ輝度50%に設定し、「ドラクエベンチ2回、YouTubeの音楽を20分ほど最大音量で流し、Webブラウジングを少々、20分ほどアイドル」でバッテリーは21%減りました。単純計算で5時間弱、ということになりますが、個人的には比較的健闘していると思います。ただ、タブレット製品という特性上、ゲームアプリなどに熱中してしまうような使い方をしがちですが、その場合は稼働時間は半分くらいになってしまうと思います。

その他の挙動

以前のウインタブではさかんにAtomタブレットをレビューしていたんですが、ここしばらくはAtom機のレビューから遠ざかっていて、中華だとCeleron N3450がメイン、国内向け製品だとHPやドスパラのCore i搭載機をレビューする機会が増えてしまいました。人間の感覚とは恐ろしいもので、このような状況だとAtom機がずいぶんパワー不足に感じられてしまいます。

とはいえ、タブレットとしてコンテンツ消費型、つまりWebブラウジングやニュースアプリ、動画視聴や音楽鑑賞などをするぶんには特に不満を感じるようなものではありませんでした。試用していて「キビシーッ!」と思ったのはOSの日本語化と試用中に流れてきたWindows Updateの適用にやたらと時間がかかってしまったときです。ただ、20万円近くするHPの最新鋭モバイルノートとか、15万円以上するドスパラのゲーミングPCとかと真っ向比較すること自体に意味はないですよね。

100ドルタブレットとしては十分すぎるくらいの挙動だったと思います。

4.性能テスト

この製品はAtom Z8350搭載機なので、「ドラゴンクエスト X ベンチマーク」をやってみました。

PIPO W2S ドラクエベンチ
参考:
GPD WIN(Atom X7-Z8700): 2,829
T-bao Tbook Air(Celeron N3450): 2,814
ドスパラ Altair VH-AD3(Celeron N3450): 2,652
ドスパラ Diginnos DG-CANPC(Atom X7-Z8700): 2,618
Beelink BT7(Atom X7-Z8700): 2,488
Teclast TBook 16 Power(Atom X7-Z8700): 2,463
GPD Pocket(Atom X7-Z8750): 2,436
ドスパラ Altair VH-AD2(Celeron N3150): 2,381
VOYO VBook V3(Pentium N4200): 2,369
KINGJIM PORTABOOK XMC10(Atom X7-Z8700): 2,304
Chuwi Hi 13(Celeron N3450): 2,288
Teclast X22 Air(Celeron J3160): 2,257
Jumper EZBook 3 SE(Celeron N3350): 2,087
マウス m-Book C(Celeron N3450): 2,075
Jumper EZBook 3 Pro(Celeron N3450): 1,965
Jumper EZBook Air(Atom X5-Z8300): 1,929
Jumper EZPad 6 Pro(Celeron N3450): 1,914
ドスパラ Diginnos Stick DG-STK4S(Atom x5-Z8500): 1,871
VOYO VBook A1(Celeron N3450): 1,867
Chuwi LapBook 12.3(Celeron N3450): 1,845
Onda Xiaoma 41(Celeron N3450): 1,842
Chuwi LapBook 14.1(Celeron N3450): 1,835
※T-bao Tbook 4(Celeron N3450): 1,794
※Jumper EZBook 3L Pro(Celeron N3450): 1,774
ドスパラ raytrektab DG-D08IWP(Atom Z8350): 1,747
ドスパラ Diginnos DG-D10IW3SL(Atom Z8350): 1,732
Jumper EZpad mini 3(Atom x5-Z8300): 1,717
MINIX NEO Z83-4(Atom x5-Z8300): 1,683
YEPO 737S(Atom x5-Z8300): 1,631
Chuwi Hi 10 Plus(Atom x5-Z8300): 1,628
ドスパラ Diginnos DG-D10IW3(Atom x5-Z8300): 1,570
GOLE 1(Atom x5-Z8300): 1,556
Jumper EZBook 3(Celeron N3350): 1,540
Jumper EZPad 6((Atom x5-Z8300): 1,536
※PIPO X12(Atom x5-Z8350): 1,513
ドスパラ Diginnos DG-D09IW2SL(Atom x5-Z8350): 1,509
GOLE 1 Plus(Atom Z8350): 1,492
DELL Inspiron 11 3000(Celeron N3050): 1,446
Chuwi Hi 10 Pro (Atom X5-Z8300): 1,424
PIPO X10(Atom X5-Z8300): 1,346
HP Pavilion x2 10-j000(Z3745D): 1,199
acer Aspire Switch(Z3735F): 1,101
Diginnos DG-D08IWB 32GB(Z3735F): 1,097
Teclast X89 Kindow(Atom Z3735F): 1,074
※印はベンチマークソフトアップデート後のもの

ドラクエベンチは2017年10月にソフトウェアがアップデートされていて、以前よりスコアが出にくくなっています。しかし、それを差し引いても(仮にスコアを1.1倍とか1.2倍くらいにして考えても)あまりいいスコアではないです。BayTrailのAtom Z3735Fよりはマシかな、というくらいですね。しかし、タブレットとしてコンテンツ消費型の使い方をするのなら大丈夫、ということでもあります。キーボードを接続してテキストライティングなどをするのも問題ないでしょう。

ベンチマークテスト直後の筐体は若干熱を持ちました。しかし、「熱い」と感じるほどではなかったので、ある程度抑えめにパフォーマンス調整されていると思います。そのせいもあってかどうか、試用中のシステム挙動は非常に安定していて、ノントラブルでした。

5.まとめ

PIPO W2Sは中国の通販サイト「Banggood」で販売中で、1月7日現在の価格は99.99ドル(11,609円)です。注意していただきたいのは、この製品にはOSがデュアルブートのものもあり、しかも94.99ドル(11,029円)と、むしろ安くなってしまっているところです。ウインタブはストレージ32GBのデュアルブート機は購入を推奨しません。この製品をレビューしているのは、シングルブートである、というのが最大の理由です。

一通りレビューを終えて思うのは、この製品が「予想と同じ、普通の8インチWindowsタブレットである」ということです。レビュー中やや辛口の評価をしている部分もありますが、それもこの製品の価格を思えばすべて帳消しにしてあげていいだろうと思います。ただし、8インチの低価格Windowsタブレットがどんなものかを知らない人に過剰な期待をさせるような評価はできませんので、どうしても少しばかり足りないところのある製品だということはお伝えすべきだったと思っています。

現状、8インチタブレットにApollo LakeのCeleronを搭載するのは難しいようです(ドスパラの方にうかがいました)。そのため、近い将来8インチの革新的スペックのWindowsタブレットの登場は期待できないと思われます。また、低価格が魅力の中華タブでも8インチはほぼ全てが「ストレージ32GBのデュアルブート機」になっていて、万人向けとはいい難い扱いにくさになっていますので、シングルブートである、というだけでこの製品には価値があると思います。また、使ってみて「これで1万円なら納得」ということも言えます。予算が2万円あるのならドスパラのDiginnosタブレットをおすすめしますが、(いまのうちに)低予算で8インチタブを手に入れておきたいのなら、この製品もいい選択肢になると思います。

6.関連リンク(Banggood)

PIPO W2S(シングルブート)
PIPO W2S(デュアルブート)

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コメント

  1. 匿名 より:

    GSL1680(MSSL1680)使っていなければ購入対象・・・

    • wintab より:

      こんにちは、コメントありがとうございます。確認方法を教えてもらえれば確認できますよ。

  2. m.os.ota より:

    このスペックでギリギリですが100ドル切っているなら全然納得できますね。
    とはいえ今すぐ買うかというとまだまだ1世代前の8インチタブが現役稼働しているので必要にせまられていないのですが・・・。
    でも買っておかないともう今後製造されないかもとも思ったりでちょっと悩ましいですね…。

    • wintab より:

      m.os.otaさん、こんにちは、コメントありがとうございます。8インチはBaytrailがCherryTrailになったくらいしか変化ないですからねえ、何年もの間…。なので、すでに実機を持っている人が新製品買うのって、ちょっと考えちゃいますよね。