13.3インチノートで「世界最軽量」の座を争っているのが富士通とNECです。どちらも700 g台という驚異的な軽量化を実現していて、これだけハイレベルなのであれば、どちらが「最軽量」の座を射止めるのかということはどうでもよくて、その努力はともに高く評価されるべきだと思っておりますが、メーカーさんとしては「負けられない」という意地があるんでしょうね。というか、エンジニアに意地があるからこそ日本の製造業は発展したんだと思います。
ということで一方の雄、富士通がついに700グラムさえも下回る、698 gというウルトラ級の軽量ノート「LIFEBOOK UH(WU2/C3)」を発表しました。これね、13.3インチなんですよね。富士通の近辺だけ重力が小さいんじゃないですか?と言いたくなるくらいの快挙です。
1.スペック
富士通のPCには「カタログモデル(量販店向け)」と「カスタムメイドモデル(Web限定)」があり、「UH」という名称はカタログモデルの方に使われています。カスタムメイドモデルは「WU2/C3」という名称が使われます。基本的に同一筐体、同一スペックですが、この記事では注文時に構成のカスタマイズができる「カスタマイズモデル」を中心に説明します。
OSはWindows 10 HomeとProを選べ、CPUは第8世代、Whiskey LakeのCore i3からCore i7までを選択できます。簡単に言うと従来と変わらない第8世代ながら、Wi-Fi機能が強化されたバリバリのニューCPUということです。おそらくこの冬に発売される最新ノートPCの多くがWhiskey LakeのCPUを搭載することになると思います。
RAMは4GBから16GBまで選択できますが、例えばCore i7とRAM4GBという組み合わせは不可となるなど、一部制約があります。またRAMは「オンボード」なので、注文時以外にDIYで増設するなどの作業は出来ないと思います。ちょっと思ったのですが、ここまで軽量化を進めていくと、RAMのチップ(せいぜい数グラムくらいですよね?)すら重量増につながってしまうんでしょうね…。でも、世界最軽量モデル(698 g)のモデルはしっかり8GB搭載されています。
ストレージはすべてSSDで、128GBから1TBまで選べます。私はもうわからないんですけど、128GBのSSDと1TBのSSDって、構造的に1TBのほうが重くなるんでしょうか?と、はじめてそんなことを考えてしまいました。世界最軽量モデルでも1TBを選べるようになっているので、重さは変わらないのかな?
ディスプレイは13.3インチのFHD解像度で、富士通ではIPSという表記をしていませんが、「広視野角」という説明がありますので、IPS(相当)と考えていいと思います。また、重量は重くなると思いますが、タッチパネルの選択も可能です。
この製品のすごいところは、これだけの軽量化を実現しつつ入出力ポートが全然省略されていないところだと思います。USBは合計で4つ、HDMIにLAN、SDスロットまで完備されていますので、省略どころか一般的なモバイルノートと比較しても充実している部類となります。軽量化にこだわるあまり、必要以上に実用性を犠牲にするのでは意味がないですからね。このあたり、さすが富士通だと思います。
また、バッテリーは25Whと50Whの2種類が設定されます。ただし、ここはどうしようもないところですが、世界最軽量モデルは25Wh(稼働時間11.5時間)しか選べず、タッチパネル搭載モデルは50Wh(稼働時間15.5時間)しか選べません。最大の稼働時間24時間となるのはタッチパネル非搭載かつ50Whバッテリー搭載の場合です。バッテリー稼働時間の公称値というのはどこのメーカーであっても正直あまり信用できませんが、公称値で10時間を越えているのであれば実用的であると評価できるのかも知れません。また、24時間ということなら話半分としても終日はバッテリー切れを心配しなくて済みそうです。
サイズを確認してみます。この製品は13.3インチとしては世界最軽量ということなので、タテ・ヨコサイズが世界最小であるDELL XPS 13と比較してみます。
LIFEBOOK UH: 309 × 212 × 15.5 mm / 698 g
XPS 13: 302 × 199 × 7.8-11.6 mm / 1.21 kg
こうしてみると、LIFEBOOK UHはタテ・ヨコサイズがそこまで小さいというわけではないことがわかります。もちろん13.3インチサイズとして大きいということではありませんが、タテ・ヨコ、そして厚さということならLIFEBOOK以上に小さい製品を探すのは難しくありません。しかし、重量はやはり「異様」ですね。ただし、698 gというのは特定の構成でのみ達成される重量であり、多くの構成だと747 g以上はあります。特に50Whのバッテリーを搭載してしまうと一気に重くなり、タッチパネル非搭載で915 g、タッチパネルまで搭載すると934 gとなります。それでも1 kgを切っているので、立派であることは間違いないですけどね。
2.筐体
ウインタブではこの製品の旧モデルとなる「LIFEBOOK WU2/B3」の実機レビューをしたことがあります。ニューモデルの画像を見ても、あんまり変わってないような…。サイズも全然変わってなくて、重量だけが変わっただけのようですし…。と書くと富士通の人に叱られるかも知れません。かなり細かく手を入れないと698 gになんて出来ないはずですから。ただ、見た目はほとんど同じ、というのは事実です。
天板も同じデザインです。筐体素材は従来モデルと同じマグネシウムリチウム合金製と思われます。
見た目があまり変わらないとはいっても、この製品は「素材や構造をゼロから見直し」とのことで、特に内部のシステム基板や冷却ファンなど、多岐にわたって手が加えられています。そして、この側面画像を見るとわかりますが、従来モデルとは異なり側面が「一枚板構造」となりました。
こちらが従来モデル。「注意して見ないとどこが変わったのかわからない」というのも事実、「筐体のいたるところに手が加えられている」のも事実、ということです。また、軽量化によって強度は全く犠牲になっていません。側面が一枚板になったというのも強度保持の一環です。
従来から使いやすかったキーボード。「プリズムクリアキー」と呼ばれる、見た目にも美しいものが使われています。もちろん日本語配列(JIS配列)で、「かな表記あり」と「かな表記なし」が選べ、86キー、キーピッチ約19 mm、キーストローク約1.5 mmですから、ノートPC用としてフルサイズになっています。
筐体色は「ピクトブラック」「ガーネットレッド」「アーバンホワイト」の3色。ただし、世界最軽量モデルのみ「ピクトブラック」しか選べません。きっと塗料の重量の関係だと思います。なんとなくガーネットレッドとかは重そうですからw
3.価格など
富士通 LIFEBOOK WU2/C3は富士通WEB MARTで販売中で、11月6日現在の価格は世界最軽量モデル(Core i5/8GB/256GB SSD/)がクーポン価格176,188円、会員価格167,593円から、軽量モデルがクーポン価格122,035円、会員価格116,082円から、となっています(すべて税込価格)。
ここでいう「クーポン価格」というのは製品ページにアクセスすれば誰でも受けられる割引、会員価格というのは富士通My Cloudに登録(無料)すれば受けられる割引です。実は私もこの記事を書くために会員登録をしました。というか会員登録をするのにリスクはないし費用もかからないので、ウインタブ読者であれば「会員価格=購入価格」と考えて大丈夫だと思います。
この価格、みなさんどう考えますか?私は安いと思います。単に軽いだけでなく、Whiskey LakeのCore i5、8GBのRAM、256GBのSSD、そしてFHDディスプレイといった上級モバイルノートにふさわしいシステム構成を備え、ビジネスにもしっかり使えるだけの拡張性もあります。しかも富士通のPCです。この価格なら文句はないでしょう。
しかし、富士通にせよNECにせよ、直販サイトでの割引が常態化していて、ずいぶんと購入しやすくなったと思います。698 g…、持ち歩いたらさぞ楽チンなことでしょう!
コメント
698gって、ほとんど初代ipad(680g)ですね!
あっちは9.7inchに対して13.3inch、その他もろもろ現代スペック。
これは快挙。
こんにちは。同感です。また富士通が入出力ポートとかバッテリー稼働時間とか、CPUの型番とかを落とすことなく、しっかり詰め込んでこの重量を達成したことに対して敬意を評したいです。
たった25Whのバッテリーで11.5時間も動くとはとても思えないんだよな。実際に購入した人のレビューが早く見たいです。実働7時間くらい持つならすごい技術ですよ富士通さん
ちなみにsurface goのバッテリーが26.12Whで公称9時間。これより画面サイズもCPUの消費電力も大きいのにバッテリー小さいんですよ…
富士通はバッテリ持続時間をJEITA測定法で計測してますが、Microsoftは独自に測っているみたいです。第三機関に計測を委託している分、富士通のが好印象です。
どーもさん、こんにちは。私ここだけの話「そのJEITAがさあ…」ということです。
日本語入力さん、こんにちは。バッテリー稼働時間に関してはウインタブの実機レビューでも公称値通りという製品はまずありません。そもそも測定の規格に問題があるのだろうと思います。でも、真面目な富士通が11.5時間と言っているのなら、7時間位は行けるかも知れません。