Dynabookの15.6インチノートパソコン「dynabook PZ(PZ/HP)」の実機レビューです。PZシリーズは筐体色がブラックのみ、筐体素材も樹脂で、ビジネス色の濃いパソコンと感じられます。しかし、非常に使い勝手がよく、性能・品質の割に価格が安くなっていますので、実用本位でパソコン選びをしている人には強くおすすめできる製品です。
なお、この製品はDynabook Directがウインタブ読者のために開放している「クローズドサイト」から割引価格で購入ができます。下記からアクセスしてください(IDとパスワードの入力が必要です)
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開設期間: 2021年9月30日(木)17:00まで
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目次
1.dynabook PZ/HP スペック
スペック表
dynabook PZ | |
OS | Windows 10 Home/Pro |
CPU | Intel Celeron 5205U/Core i3-1005G1/Core i3-1115G4/Core i5-1135G7/Core i7-1165G7 |
外部GPU | なし |
RAM(メモリ) | 4GB/8GB/16GB(最大32GB) |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB/1TB SSD (モデルにより1TB HDDの追加可能) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチ(1,366 x 768) 15.6インチ(1,920 × 1,080) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0 |
入出力 | USB 3.1 Gen2 Type-C、USB 3.1 Gen1 × 3、HDMI、LAN(RJ45)、オーディオジャック、SDカードリーダー |
カメラ | Webカメラ(200万画素)顔認証対応 |
バッテリー | 約10-10.5時間 |
サイズ | 361.0 × 244.0 × 19.9 mm |
重量 | 1.72 kg |
バリエーションモデル
dynabook PZシリーズは非常にバリエーションが多く、「PZ/HS、PZ/LS、PZ/HP、PZ/LP」と、4つの型番があります(第10世代CPUを搭載するPZ55/Rを含めると5つ)。今回のレビュー機は「PZ/HP」ですが、参考までにPZシリーズの4つの型番のバリエーションモデルを掲載します。
PZ/LS
●Celeron/4GB/128GB SSD
※OSはWindows 10 Pro
※このモデルのみディスプレイは1,366×768
PZ/LP
●Core i3/8GB/256GB SSD
●Core i3/8GB/256GB SSD+1TB HDD
※OSはWindows 10 Home
※CPUはCore i3-1005G1(第10世代)
PZ/HP
●Core i5/8GB/256GB SSD
●Core i5/8GB/512GB SSD
●Core i5/8GB/256GB SSD+1TB HDD
●Core i5/8GB/256GB SSD+1TB HDD
●Core i7/8GB/256GB SSD+1TB HDD(レビュー機)
●Core i7/8GB/512GB SSD+1TB HDD
●Core i7/16GB/512GB SSD+1TB HDD
●Core i7/16GB/1TB SSD+1TB HDD
※OSはWindows 10 Home
※CPUは第11世代
PZ/HS
●Core i3/8GB/256GB SSD
●Core i5/8GB/256GB SSD
●Core i5/16GB/256GB SSD
●Core i7/8GB/512GB SSD
※OSはWindows 10 Pro
※CPUは第11世代
ポイント
●Intel 第11世代(Tiger Lake)CPU搭載
●SSD+HDDのデュアルストレージに対応
●Wi-Fi6対応で高速なデータ通信が可能
●シンプルでビジネス向き、オフィス向きの筐体
なお、これ以降は「PZ/HP」の筐体構造や筐体品質、性能テスト結果等についてご説明します。他のPZシリーズとは一部仕様が異なっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
2.dynabook PZ/HP 筐体と使用感
同梱物
同梱物です。Dynabookのパソコンは割とペーパー類が多めについてきますが、基本的には画像右上の「スタートアップガイド」に目を通しておけば、パソコン初心者の人でも戸惑うことなく使い始められるでしょう。
また、レビュー機はOffice付属モデルだったのでOfficeのライセンスカードがついていましたが、当然これはOffice非搭載モデルには付属しません。ACアダプターは比較的小ぶりなサイズで、電源ケーブル込みの重量は259 gでした。
天板と底面
天板です。筐体素材は樹脂(プラスティック)製で、特に高級感はありません。いかにもビジネスマシンという風情ですが、個人的にはこういう外観とか素材感は大好きですね。
天板中央にはdynabookのロゴがあります。また、「ただの無地」ではなく、ご覧のように細かいストライプ状の凹凸(溝)がつけられています。この表面処理により、持ったときに手によく馴染みますし、滑りにくいと感じました。
底面です。この画像の上部が使用時に手前(開口部)になりますが、上部左右にスピーカーグリルがあります。dynabook PZ/HPは底面にステレオスピーカーを搭載しています。
しかし、それよりも気になるのが中央左側の「ハッチ」ですよね。
ハッチを開けるとRAM(メモリ)スロットが見えます。この製品はユーザーが簡単にRAMを換装することができます。ただし、注意したい点として、dynabook PZ/HPのRAMはすべてデュアルチャネル(RAMスロットを2つとも使っている)である、というのがあります。
例えばRAM8GBのモデルの場合、2つのスロットにそれぞれ4GBのRAMが1枚ずつ刺さっている、ということです。そのため、RAMを8GBから16GBにしようかな、と思う場合、増設できる空きスロットはなく、すでに取り付けられている4GB+4GBのRAMを取り外して、新たに8GB+8GBのRAMと交換しなくてはなりません。
なお、このハッチは簡単に開口できますが、精密ドライバー(プラスのもの)が必要です
側面
前面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。LEDステイタスインジケーターが左側にあるのみです。
背面です。こちらにも何もないですね。非常にシンプルです。
左側面には画像左からDC-IN、有線LANポート、HDMIポート、USB Type-Aポート × 2、USB Type-Cポート、そしてイヤホンジャックがあります。なお、この製品への充電/給電はDC-INからとなりますが(これは当たり前)、USB Type-Cポートでも充電/給電は可能です(別途ケーブルを用意する必要があります)。
右側面です。画像左からSDカードリーダー、USB Type-Aポート、セキュリティロックスロットです。ポート類は左側面に集中していますが、右側面にもUSB Type-Aポートがありますので、周辺機器接続に関しては使い勝手がいいです。
それと、SDカードリーダーがmicro規格ではなくフル規格というのもうれしいところです。フル規格のカードリーダーなら、下駄を履かせれば(アダプターを使えば)microSDカードも使えますが、micro規格のリーダーではフル規格のSDカードは使えませんから。
キーボード
レビュー開始時に、最初に撮影した画像です。見てびっくり、なんじゃこのシマシマは!
実はこれ、天板と同じように、キーボード面にもストライプ状の凹凸(溝)が入っているんです。なので、撮影時の光の当りかたでこんなふうに見えてしまいます。あくまで写真撮影するとこうなる、ということで、実物はこんなに不自然な見えかたにはなりません。
ということで、時間と場所を変えて再撮影。テンキーのつくオーソドックスなレイアウトでバックライトはありません。また、この製品に限らずDynabookのノートパソコンの多くはキートップの印字が大きめで、アルファベットがキートップの中央に配置されていますので、非常に視認性がいいです。
なお、メーカー資料によれば、キーボードの仕様は「105キーJIS配列準拠(テンキー付き)、キーピッチ:18.7mm、キーストローク:1.5mm、抗菌対応」となっています。「どのくらい抗菌なのか」という点に非常に興味がありますが、「うまいレビュー方法」が見つからず、今回は抗菌についてテストできませんでした。
キートップはDynabook製品としてはむしろ珍しいことにフラットです。ただし、印字部分が少し盛り上がっているようで、タイピングする際に少しざらついた感触となります。これがまた気持ちいい!んですよね。
それと、パームレスト部分のストライプ状の凹凸がこの画像で確認できると思います。
キーボードの使用感
ここのところ、短期間に連続してDynabookパソコンの実機レビューをしてきましたが、dynabook PZ/HPのキーボードも非常に高品質であると感じました。ただし、先にレビューしたGZ/HP(13.3インチモバイルノート)、VZ/HP(13.3インチコンバーチブル2 in 1)、FZ/HP(15.6インチコンバーチブル2 in 1)のいずれとも異なる使用感です。
これまでご説明してきたとおり、この製品は筐体素材が樹脂製で、キーボード面もまた樹脂製です。そしてパームレスト部分に細かい凹凸(溝)がつけられています。高級感はありませんが、パームレスト部分が滑りにくく、手触りも非常に気持のいいものでした。
また、キートップも(印字部分もわずかに盛り上がっているので)指のかかりがよく、打鍵感を気持ちのいいものにしています。キーピッチ、キーストロークとも標準的といえるもので、使い始めてすぐに慣れることができましたし、打鍵音も静か、タイピングの感触もカチッとしていて、個人的には素晴らしいと思いました。
キーボードバックライトはありませんが、キートップの印字が大きく、くっきりしているので、バックライトの必要性はないでしょう。
スピーカーの使用感
dynabook PZ/HPのスピーカーはHarman/Kardonなどの有名ブランド製ではありませんし、FZ/HPのように4スピーカーでもありません。底面に2つのスピーカーがあるのみです。音質のほうも特筆するほどいいとか悪い、という印象はありませんでした。
しばらくYouTubeで音楽を鑑賞してみましたが、安っぽいノートパソコンのように薄っぺらな音質ではないものの、クリアさには少し欠け、各音域が少しこもった感じです。
音響システムはDTS Audio Processingです。スピーカーの「素の音質」がいまいちなので、DTSによる改善効果は大きいと感じました。このアプリは面倒な調整をすることなく、「オン」にするだけで音のメリハリも出ますし、イコライザーで好みの音質に調整することも可能です。
まあ、ビジネスマシンたるdynabook PZ/HPですし、製品価格も低めに抑えられていますので、スピーカー品質についてはあまり厳しい要求をしなくてもいいでしょうね。
ディスプレイ
正面から見たところです。「ザ・オーソドックス」という感じです。しつこいですが、私はこういう製品は大好きです。オーソドックスとは言え、2021年に販売されているノートパソコンですからベゼル幅は細く、スッキリしたデザインだと思います。誰がどこで使っても違和感はないでしょう。
ディスプレイはノングレア(非光沢)タイプですが、ご覧のように映り込みはやや大きい(激しい)です。この傾向はDynabookのノートパソコン全般に言えることで、実用性を損なうとまでは言いませんが、人によっては気になるところかと思います。
また、ディスプレイの液晶形式について、メーカー資料では「広視野角 TFTカラー LED液晶(ノングレア)」となっており、視野角の広いIPS相当の液晶ではありますが、Dynabookの上位モデルに採用されているIGZOパネルではありません。
ディスプレイの使用感
ちょうどdynabook FZ/HPとレビュー時期が重なりましたので、FZ/HPと画質を比較してみました。FZ/HPのディスプレイはメーカー資料に「高輝度・高色純度・広視野角」という記載があり、おそらくIGZOパネルと思われます。一方でこのPZ/HPはIGZOパネルではありません。なので、当初「これじゃあ画質は相当落ちるんだろうなあ」と予想していました。
しかし、実際には大健闘している、といいますか「違いがよくわからない」くらいにPZ/HPのディスプレイも発色のいいものでした。非常に鮮やかで、むしろ若干色が濃いです。「色が濃い」のと「発色が自然」なのとは別物で、おそらくFZ/HPのディスプレイのほうがより自然なのだろうと思います。しかし、PZ/HPの発色も決して不自然とは思えず「とても見やすい」ですね。
ということで、dynabook PZ/HPのディスプレイ品質は「ビジネスパソコンだから」という妥協はなく、価格以上の品質であると評価します。
ヒンジ
ヒンジの開口角度は「普通」くらいですね。一部のノートパソコンに見られるような180度開口はしません。この画像が最大開口したものです。また、最近流行りのリフトアップヒンジ構造でもありません。単にヒンジが開口するのみで、キーボード面に余計な角度がついたりもしません。
…この構造で十分なんじゃないですかね…。
バッテリー
dynabook PZ/HPのバッテリー駆動時間のメーカー公称値は(バリエーションモデルによって若干異なりますが)概ね約10時間となっています。ただし、メーカー公称値はJEITA 2.0という規格に基づいて算出されており、この規格があてになりませんし、ウインタブの過去の実機レビューでメーカー公称値通りのバッテリー駆動時間になっていたものはほとんどありません。そのため、ウインタブでは「実駆動時間はメーカー公称値の半分くらい」と考えています。
レビュー中にバッテリーの消費量をチェックしてみました。
●輝度50%、フリーソフトのGIMPで画像加工(20分)
●輝度50%、音量30~50%、ブラウザーのEdgeを使い、YouTubeで音楽を鑑賞(20分)
●輝度100%、ブラウザーのEdgeでディスプレイの品質チェック(20分)
●輝度100%、テキストエディタで文章入力(20分)
上記の通り80分測定してバッテリー消費は26%でした。この使い方の場合、単純計算でバッテリー駆動時間は約5時間ということになります。…だいたい予想通りです。15.6インチノートの駆動時間としては標準的だと思います。
また、この製品のセールスポイントとして「お急ぎ30分チャージ」というのがあります。これは「30分の充電で、バッテリー駆動時間の約40%を充電」というもので、出先での仕事中でも、お昼休みなどにどこかでコンセントを探して短時間充電できれば、バッテリー切れの恐怖から解放されますね。
その他
プリインストールされているアプリは多めです。使えそうなものももちろんあります。特にCyberLinkの動画編集アプリや画像加工アプリは役に立ちそうです。また、この画像のバックアップアプリのように、ビジネスに便利なものもいくつか見受けられました。これらのアプリの使用にはユーザー登録が必要なものも多く、このレビューではテストしていませんが、結構便利に使えそうです。
3.dynabook PZ/HP 性能テスト
スコアの目安(2021年水準)※あくまで「目安」です | |
GeForceなど外部GPU搭載機 | 5,000以上 |
高性能なビジネスノートパソコン | 4,000以上 |
中位のノートパソコン | 3,000以上 |
エントリーノートパソコン | 2,000以下 |
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。CPU性能による差がわかりやすいですが、テスト項目にグラフィック処理も含まれるので、外部GPU搭載機のほうが高いスコアとなる傾向もあります。
スコアは「4,431」で、これはCore i7-1165G7搭載機としては標準的な結果と言えます。スペック表から期待できるパフォーマンスがきっちり実現できている、と考えていいです。
続いてCPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。このスコアはCore i7-1165G7としては「標準的~やや高め」くらいです。直近の同等クラスのCPUを搭載する製品のスコアと比較してみます。
dynabook GZ/HP(Core i7-1165G7):1,424、5,335
dynabook VZ/HP(Core i7-1165G7):1,361、4,765
ASUS VivoBook S15 K513EA(Core i7-1165G7):1,342、5,788
Lenovo Yoga Slim 750i Carbon(Core i7-1165G7):1,227、3,363
Lenovo IdeaPad Slim 750i(Core i7-1065G7):1,183、4,174
Lenovo IdeaPad Flex 550 14(Ryzen 7 4700U):1,140、6,710
MSI Modern 15 A10RBS-600JP(Core i7-10510U):1,136、3,249
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
CNEBENCH R23でも大きなサプライズはなかった、といいますか、期待通りのパフォーマンスと言っていいと思います。
ストレージの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。dynabook PZ/HPはSSDとHDDを搭載していますので、両方とも測定しました。こちらの画像はSSDのスコアです。
おそらくPCIe ×2接続と思われ、先にレビューしたGZ/HP、VZ/HP、FZ/HP(いずれもPCIe ×4接続)よりは低速ですが、ビジネス用ならこれでもオーバースペックと言えるくらいに速いです。このスコアで全く不満は感じられないと思います。
次にHDDのスコアです。HDDとしては悪くありませんが、SSDとの速度差は歴然としています。2021年の今、HDDというストレージはOSやアプリケーションをインストールするところではなく、「安価で大容量を実現できるデータ保管庫」と考えるべきで、その意味ではビジネスマシンに搭載していて損はないと思います。
4.dynabook PZ/HP レビューまとめ
dynabook PZ/HPはDynabook Directで販売中です。また、ウインタブ読者向けに「クローズドサイト」をご案内いただいていますので、通常価格、会員価格よりもさらに安く購入可能です(この記事の冒頭と末尾にリンク先をご案内しています)。レビュー機の型番「PZ/HP」のクローズドサイトでの4月14日現在の価格は税込み74,580円から、となっています。74,580円モデルの構成は「Core i5-1135G7/RAM8GB/256GB SSD」です。
レビュー機の構成「Core i7-1165G7/RAM8GB/256GB SSD+1TB HDD/Office Home&Business」だと税込み111,980円です。Officeが付属するCore i7ノートの価格としてはごくリーズナブルな水準だと思います。
なお、ここに記載している価格は「クローズドサイトにおける会員価格」です。Dynabook Directは無料で会員登録ができ、登録すると一気に価格が下がりますので、購入される場合は必ず会員登録をするようにしてください。また、クローズドサイトでも会員のほうが安く買えるケースがあります。
dynabook PZシリーズはどちらかと言うと「実用品」的な外観で、豪華さや派手さのないパソコンと言えます。しかし、これまで述べてきたとおり、パソコンとしての基本性能が高く、使用感も抜群と言える出来でした。記事中に何度か触れさせていただきましたが、私は個人的にこの製品のようにシンプルで飾り気のない製品が非常に好きです。長く使っていても飽きがきませんし、ある意味「傷がついてなんぼ」くらいの感覚で使っていけますからね。
コストパフォーマンスもよく、シンプルで使いやすい、どなたにもおすすめできる製品だと思います。
5.関連リンク(Dynabook Direct)
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