こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。先日ある開発者の方からご連絡をいただき、ソフトウェアのレビューを依頼されました。以前も書いたことがあるのですが、ウインタブでは個人とかスタートアップ企業の開発したソフト(アプリ)については積極的にレビューしていきたいと思っています。この方がどういうお立場の方なのかはわかりませんが、個人名でメールをいただいています。
「Intervalon 2D-Interval Explorer(以下、Intervalonといいます)」という、ストアアプリではない、デスクトップソフトウェアなのですが、タッチ操作を前提としたものなので、タブレットや2 in 1での操作に向きます。「楽器ソフト」です。いただいたメールの文面を見ていて、「ああ、ピアノね」と思いました。なお、Intervalonは無料で、広告表示もありません。
1.ダウンロードとインストール
Intervalonはデスクトップソフトウェアなので、Microsoftストアにはありません。下記のサイトからダウンロードします。
Intervalon 2D-Interval Explorer
サイトは英語オンリーですが、製作者は日本人です。このサイトの中ほどにダウンロードリンクがありますので、そのリンクをクリックもしくはタップしてZIPファイルをダウンロードします。
なお、私はChromeを使ってダウンロードしたのですが、このような警告メッセージが出ました。Googleが独自にダウンロード数の少ないファイルの際にこのメッセージを表示するようで、ウイルスではありません。また、FireFoxやEdgeだとこのような警告は出ません。
ZIPファイルをダウンロードし、解凍すると上の画像のようなフォルダとなります。赤枠で囲んである「Intervalon」がソフトウェア本体で、これをクリックもしくはタップすると即起動します。つまり、インストールの作業はありません。なお、製作者ご自身も言っておられましたが、心配であればZIPを解凍する際にウイルススキャンをして下さい。
また、画像にありますが、このフォルダには日本語の説明文書も入っていますので、わからないことがあればこれを参照して下さい。
起動するとこの画面です。思わず呆然としました。だって、全然ピアノじゃないですし、ドレミファソラシドもない…。音楽の知識が皆無といっていい私でも音階はアルファベット表記される、ということは理解しています。しかし、「ドはどれよ、ドは!」ということになりました。
ちょっと語弊があるかもしれませんが、わかりやすく言うと、上の画像の長方形ひとつひとつがピアノの鍵盤です。なので、それぞれの長方形をタップするとピアノと同じように音が出ます。しかし、普通のピアノでも「ねこふんじゃった」すら弾けない私が、これを使って何ができるというのか…。
画面の左上にあるボタンを押すと、非常に細かい設定が可能です。ただし、英語表記の上、楽器にまったく明るくない私にはなんのことやらサッパリ…。
製作者の方に「何なんすか、これ」と聞いてみたところ、「似たような形の鍵盤は19世紀以降伝統的といえるぐらいよくあります。楽器屋さんではあまり売っていませんが、generalized keyboard とか isomorphic keyboard でGoogle検索するといっぱい出てきます。 ピアノはハ長調しかひけないというかたに特にお勧めです。」
ということで、generalized keyboardとisomorphic keyboardという言葉でGoogle検索してみたら、いっぱい出てきました。ただ、これについて語り始めるとキリがない、というか、いつ記事が完成するのか見当もつかなくなるので、興味のある人はご自身で確認をお願いします。
あと、ハードウェアも存在していて、「こういう楽器」もあるということですね。ホントに知りませんでした。この画像は「Terpstra Keyboard」というもので、INDIGOGOでも出資を募っていました(出資目標達成で、プロジェクトは終了しています)。
そんなわけで(どんなわけだ?)、私の力ではこのソフトウェアはレビューできません。少し操作してみてピアノそっくりの音が出るなあ、とか、思ったよりも音質がいいなあ、ということを漠然と感じたのみで、楽器として使うことはできませんでした。ただ、せっかくウインタブに記事の依頼をしていただいたのにソフトウェアの実力が全然引き出せない、というのは非常に残念なので、「我と思わん」読者の皆さんにぜひインストールしていただいて、使い勝手をコメントしていただければ、と思っております。よろしくお願いします。
最後に、製作者の方の「こだわりポイント」を引用しておきます(ソフトウェアの日本語の説明文からの抜粋です)。「ミートーン調律」とか「倍音列」とか、私はわからんのですよ!でも、理解できる人ならすごく楽しく使えるソフトウェアなんだろうなあ、と思います。
ミーントーン調律
・ドレはやや狭く、ミファはやや広い。その程度によって多くの種類がある。
・昔の人は皆ドレミ、レミファは多かれ少なかれミーントーンのイメージで持っていた。
・そして1オクターブ12キーに制限されない。つまり例えば#DとbEは別のキーで別の音。
・ヘンデルは1オクターブ17キーのオルガンを好んだ。
・当ソフトのキー配置はピアノとは大きく違っていますが自然かつ柔軟ですぐになじんで頂けると思います。倍音列を弾く
・倍音列は超重要なのにそれが弾ける楽器はあまりにも稀。で、超おすすめです。
音質
・発音はmidi/SoundFont によります。
・定評のあるBass Audio Libraryを使用しています。
・サウンドフォントに入っている音色波形データは多くの場合ハイレゾどころかローレゾですが、(たぶんinterpolationのおかげで)結構いい音に聞こえます。(Bass libraryの実装は全体的に素晴らしいですが、16 point sinc interpolationに関してもそうですね。)
・音質は使用するサウンドフォントに大きく依存します。
・当ソフト用に編集したサウンドフォントを同梱しています。音色数は17です(増減します)。ネット上で公開されていて尚且つライセンスの寛容ないくつかのサウンドフォントを基にしています。現在いわばベータ版状態で、非常に頻繁にアップデートしています。
・WASAPI (高音質/低レイテンシのためのWindows機能)が使えます(exclusiveでのみ)。pushモードはpullモードで音が出ない時に使ってください。
コメント
おお、これは!!
音楽は感性か数学かという永遠の命題について、無限に語りたくなっちゃいますね。
実用面でも、これは、使いこなせれば確実に役立つのが、音楽教育の現場です。
音楽教育の場において「あるべき音程」「あるべき和音」を示すことは非常に大切です。ところが、それはピアノでは不可能なので、多くの場合、ハーモニーディレクターを使うことになるんですが、これが高い。10万は越えるシロモノです。まぁ、楽器はどれも高いんだけど。
でも、これなら、ハーモニーディレクターと同じ事がタブレットPCと手頃なスピーカーだけで実現できますね。ある程度、音楽に理論的に取り組む必要がある人にとっては、非常に有用なソフトだと思いますよ。
面白そう! そこら辺に転がってるサウンドフォントで遊んでみたりしてみたいですな
ただ無理を言えばVSTiが使えたら……なんて思ったり。DAWみたいに使うものでは無いとはいえ、そうなると楽器としての使い道が広がるので
重ねて失礼します。
恥ずかしながら、アマチュア楽団の指導を手伝ったりもしているので、ハーモニーディレクターとして使えそうかどうか、いろいろいじってみました。
もし、以下のような点が改良されれば、音楽教育用のソフトとして、非常に有用かつ実用的なものになるかと思います。もちろん、はじめからそういう使用を意図して作られたものではないので、的外れの要望とは思いますが。というか要は、私が使いやすくなるってだけなんですけども。
・同時発音は4つまで? もうちょい増やして欲しい。
・設定項目が非常に多いので、項目を絞った簡易設定画面があると、素早く操作できて嬉しい。項目は、「A=○○○Hz の形のチューニング設定」「鍵盤のサイズ変更」「スクロール(スクロールバーが付いていてもよい)」「サウンドフォントの選択」「調律方式の変更」があればOK
以下はワガママ
・画面を2分割して、異なった調律法を比較できると面白い。
・ワンタッチで純正律3和音(できれば短和音と属7も)が鳴らせるモードがあるといいな。
作者です。
ご意見ありがとうございます。何度も読んでいます。
natsukiさんご質問/ご要望に関してとりいそぎ。
・同時発音数 最大15です。(16番目の音で最初の音が強制オフ)
4つまでしか同時に鳴らせないということですが、5番目の音を出そうとした時に
画面は反応します?、反応しない場合、思いつくのは、
モニタが10点マルチタッチではなく4点、か、PCキーボードで演奏しているかです。
PCキーボードによる演奏は結構実用的だと思うのですが、
使用するキーボードにより同時打鍵でキーの組み合わせに制限が出てくるようです。
反応する場合は…ミステリアス。
・画面を2分割
はできませんが、複数同時起動してウィンドウを縦か横に並べる、ことはできます。
この場合、WASAPIは現在exclusiveモードしか実装していないので使えないことになります。
・設定項目多すぎ、ワンタッチ和音
ごもっとも、と言ってスルー。
返信ありがとうございます。
まず、同時発音数はタッチパネルでの操作時で、これはどうも機体の問題だったようです。失礼いたしました。スペック上は10点タッチなんですが、他のキーボード系ソフトでも試したところ、4,5点目から反応が不安定になることを発見しました。ちなみにCube Mix Plusです。タブレットとしては文句なしの高性能機なので、意外な弱点でした。
そして、複数調律の比較は、同時起動でいけました。言われてみれば簡単な話で、お恥ずかしいかぎりです。
インターフェースと和音機能は勝手なワガママですので、ご容赦を。
それにしても、手軽に平均律と純正律の和音を作って比較できるので、和音構造を説明するときには、高くて重いハーモニーディレクターよりはるかに手軽で嬉しいソフトです。活用させていただきたいと思います。
これ最初、キーが雑然としてならんでるのでシーケンサーなのかなと思ったんですけどちゃんとした楽器なんですね。一応ピアノとギターは弾ける者としても、かなりハードルの高い楽器に感じました。オマケにクロマチック以上の細かい音程が出てくると私などはお手上げw
なんか皆さんすごくレベルの高いコメントを書かれていて、つけいるスキがないっす。私なんかはちんぷんかんぷんです。ウインタブの読者って、実はすごいのね、と思いました。あと、natsukiさんって引き出しが多いんだなあ、と感動。