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DELL Inspiron 14 (AMD、5445) レビュー - 10万円以下で驚異のスペック、細かい残念部分をどう見るかで評価が分かれるPC

inspiron-14
こんにちは、natsukiです。DELL Inspiron 14(AMD、5445)のAMD Ryzen 7 8840U/RAM16GB版を購入して家族用のパソコンとして使っているので、そのレビューをお届けします。すでに各所で話題になっている、2024年最大級のスペック番長といってよい機種で、CPU/RAM/ストレージといったパソコンの基本能力と価格のバランスが「ぶっ壊れ」です。私が購入したのは、CPUにAMD Ryzen 7 8840U、RAMが16GB、ストレージは1TBのバージョン。これで8万円台というのだからとんでもない。ただし実際に使ってみると、細かな残念部分がわりとあり、万人にお勧めできる機種というわけではないな、というのが率直な感想です。使用用途や環境によって、残念部分を「気にしないよ」という人にとっては期待通りの超ハイコスパマシンとなる一方、人によっては欠点が目立つ場合もあるかもしれません。

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おすすめポイント
・Ryzen 7 8840U/RAM16GB/ストレージ1TBで8万円台という、信じがたい価格設定
・その他のバリエーションも価格破壊
ここはイマイチ
・素材はプラスチック製
・キーボードバックライト無し、指紋認証/顔認証無し、WEBカメラはHD画質など、ハード面の機能はコストダウンも
・Ryzen 7 8840Uにしては、処理能力が振るわない(それでも実用レベルでは十分すぎるが)
・重量1.62kgと、14インチにしてはやや重い
販売サイト
Inspiron 14 ノートパソコン(5445) (2024年3月15日発売):DELL直売サイト

1.スペックとバリエーション

購入機のスペック

DELL Inspiron 14は、非常にワイドバリエーションで、記事執筆現在、CPUの種類を基準に大きく「AMD」「インテル」「Snapdragon」の3種に大別され、また、その中でもCPU/RAM/ストレージなどの組み合わせが多くあります。そして、これら3種のうち、「インテル」でも搭載CPUによって筐体が大きく2種に分かれ、都合計4種の筐体は、構成がまったく別物といってよいくらい違います。この筐体の違いについては後述します。私が購入したのは、CPUにAMD Ryzenを搭載するInspiron 14(AMD)もしくはInspiron 14(5445)と表記されるタイプで、詳細なスペックは以下の通りです。

  Inspiron 14(5445)
OS Windows 11 Home
CPU AMD Ryzen 7 8840U
外部GPU なし
RAM(メモリ) 16GB(DDR5)
ストレージ 1TB SSD(M.2 PCIe NVMe)
光学ドライブ なし
ディスプレイ 14インチ(1,920 x 1,200)
ネットワーク Wi-Fi6(802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.3
入出力 USB 3.2 Gen2 Type-C(映像出力、PD対応)×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、
HDMIポート、SDカードスロット、オーディオジャック
※クラムシェル版はType-Cポート1つのみ
カメラ Webカメラ(720p)
バッテリー 54WHr
サイズ ノート:314 × 226.15 × 19.9 mm
重量 最小構成1.61kg(実測1.62kg)

うーん、これで8万円台は狂ってますね。はじめに確認したように、CPUはRyzen 7 8840U。ノートパソコンでRyzen 7の8000番台を積んで10万円以下って他にまず見ない気がします。RAMは十分に16GB。なお、32GBに増量が可能で、それでもセール価格次第では10万円切ります。ストレージは、大盤振る舞いの1TB。

ただし、下記のように、同じInspiron 14シリーズの中でも、筐体にはコストダウンが見られます。また、重量は約1.6kgと、14インチにしては重めです。ディスプレイはタッチ対応しません。

Ryzen 5 8540Uか、Ryzen 7 8840Uか? ― グラフィック性能にかなりの差あり

私が購入したInspiron 14のAMD版は、CPUにRyzen 5 8540UかRyzen 7 8840Uのいずれかを選択できます。もちろん、Ryzen 7の方が処理能力が高いのは当然なんですが、特にグラフィック性能に大きな差があります。Ryzenの最新世代内蔵グラフィックであるRadeon 700番台には、Radeon 780M>760M>740Mの3種があり、Ryzen 7 8840Uは内蔵グラフィックに、上位のRadeon 780Mを搭載します。一方のRyzen 5 8540Uはというと、以下の通り。

ryzen5
フフフ・・・8540UはRyzen 5四天王の中でも最弱・・・。この表を見て分かるように、Ryzen 5 8540Uは、比較的搭載例の多いノートパソコン用Ryzen 5 8000番台系列4種の中で、1つだけグラフィックとAI性能のランクが落ちるんですよ。まあ、逆に言えば、グラフィック性能をさほど必要としないなら、なんならRyzen 7 8840Uと比べても、ほとんどのオフィスワークに使用感上の差があるとは思えないので、Ryzen 5 8540Uでもよいでしょう。ここでは、煩雑になるのでラインナップの詳しい価格には触れませんが、Inspiron 14(AMD)のRyzen 5 8540U版も、コスパでは非常に優れます。

さて、私がInspiron 14を購入したのは、できるだけ安価に一定のグラフィック性能を持つパソコンを求めたからです。従って、Ryzen 5 8540Uではなく、内蔵グラフィックにRadeon 780Mを搭載するRyzen 7 8840U版を選んだというわけです。

バリエーションによるハードの違いを吟味

上述のように、Inspiron 14は非常にワイドバリエーションで、記事執筆現在販売中のラインナップでも、大きく4種に大別されます。そしてこの4種は、ハード構成が全くの別物です。その差は、以下の通り。

hard
価格的には、セールで前後するものの、私が購入した「AMD Ryzen 7 8840U、RAM16GB、ストレージ1TB」とは、「Intel Core 5 120U、RAM16GB、ストレージ512GB」のバリエーションが、いずれも概ね8万円台で同ランクです。これだけみると、一般にRyzen 7 8840UとIntel 5 120Uでは、処理能力(特にグラフィック)でRyzen 7 8840Uに軍配が上がり、また、ストレージ容量の分、AMD版が優位です(地味にRAMの種類もAMD版のほうが少し上です)。

しかし、ハード構成を見ると、Intel版に軍配が上がります。筐体材質の差は、大きいですね。また、機能面ではWEBカメラと、顔認証・指紋認証の有無、キーボードバックライトの有無といった差があります。この差をどう捉えるか? 私は、使用用途からしてこれらの機能を重要視しないので、AMD版を購入しました。

余談ですが、もっとも廉価な13世代Intel版は、USB Type-Cポートが給電に対応しておらず専用電源アダプターが必須という、モバイル用途にわりと致命的な仕様があるのと、上位のSnapdragon版は、USB Type-CがUSB4規格ながら、独立電源ジャックもHDMIポートも省略してしまって「スッキリさせすぎて」いるということに、注意です。

2.筐体

では、本体を見ていきましょう。

bundled-items
同梱品です。ちょっとびっくりしたのは、国際大手メーカーながら、紙類が最小限ということ。

adapter_weight
電源アダプターは、65W出力で、実測321gと、そこそこの重量があります。なお、USB Type-CがUSB PD対応なので、65W以上出力の汎用充電器も使えます。もちろんそちらから給電してもよいですが、独立した電源ジャックを備えて、その分、USBが1つ空くというのは、ことのほか使い勝手に大きく影響します。据置型での利用は専用電源アダプター、モバイル時は汎用USB PDと切り替えるとよいでしょう。

loof
本体です。デザイン的には、普通すぎてコメントのしようがありません(笑)。なお、カラーバリエーションは「カーボンブラック」「アイスブルー」があり、私が購入したのは「アイスブルー」です。先述のように材質はプラスチック製。Intel 5 120U/7 150U版やAMD版前世代機がアルミニウ厶筐体だったこともあり、酷評する向きもあるようですが、そこは国際大手メーカーなので、問題があるというわけでもありません。まあ確かに、高級感や持つ喜びというのは求められませんね。良くも悪くも「オーソドックスなノートパソコン」といった体です。

joint
ディスプレイを開けると、いわゆるリフトアップヒンジで、キーボードに多少角度がついて打ちやすくなります。最大角はこのくらいで、実用上は十分なものの、180度展開はできません。

disp
ディスプレイ面です。普通です。縦横比は16:10で、やや縦長。個人的には、こちらの比率のほうが好みです。プライベートシャッター(WEBカメラの覆い)はありません。

keyboard
キーボードです。比較的素直な配列ではあるものの、電源ボタンがBackSpace直上にあるのは注意。個人的に、ここにあるのは嫌なのですが、致命的というほどではありません。また、これも上記のように、指紋認証とバックライトはありません。右下の方に、流行の「Copilot」キーがあります。

bottom
底面です。これも普通ですとしか。リフトアップヒンジなので、冷却性は良いと思います。実際、下記ベンチマーク中にCPU温度をモニタリングしていても、瞬間的に70度台半ば、ほとんどはベンチマーク中ですら50度台から60度台と、よく冷えています。ただし後述のように、そもそもシステム的にあまりCPU負荷をかけないようなチューニングになっているようでもあります。

front

back
前後の側面には何もありません。

right
向かって右側面です。SDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB Typ-Aポート(USB 3.2 Gen 1)、ロックスロットが並びます。

left
向かって左側面です。電源ジャック、HDMIポート、USB Typ-Aポート(USB 3.2 Gen 1)、USB Typ-Cポート(USB 3.2 Gen 2)と並びます。USBの個数は左右で合計3つ。ただ、独立した電源ジャックやHDMIポートを備えているので、及第点と言えるでしょう。

weight
重量は、実測でもやはり1.6kg強。14インチクラスとしては重めです。

全体的に、ノートパソコンとして最低限必要な機能は無難にまとまっていると思います。別バージョンとの差はすでに述べたとおりなので、評価は、それらの機能を必要とするかどうかのニーズによるでしょう。

3.使用感

キーボード

キーボードはフルサイズ(幅は実測19mm)のテンキーなし。キータッチは浅く、特に見るべきものはありませんが、押しにくいなどはなく、普通に使える品質です。右上に電源ボタンという配置、またバックライトがないというのは、先述のとおりです。なお、最上段の「マルチメディアキー/ファンクションキー」は、デフォルトではマルチメディアキーになっていて、ファンクションキーとして使う場合は「Fn」キーと同時押しになりますが、これは「Fn」「Esc」同時押しで切り替え可能です。

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ディスプレイ

ディスプレイです。OELD(有機EL)のLenovo Yoga770と比較してみます。左側がInspiron 14、右側がYoga770です。

disp_color

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もちろん、Lenovo Yoga770の方が、色の濃さや濃淡の表現に優れるのもの、Inspirone 14もかなり健闘しています。詳細仕様によれば、本機のディスプレイの色域は「45% NTSC」とのことで、標準的ながらも特段優れるわけではないのですが、わりあい鮮やかに映っている印象です。色にこだわる用途でなければ、不満は出ないでしょう。

なお、Inspiron 14のディスプレイはアンチグレアで、その分「見やすく」はあります。

スピーカー

スピーカーも、「普通」です。中音域の音声などは十分クリアに聞こえ、音楽を聴いても違和感があるような音質やバランスではありません。ただやはり、高音低音域は薄い。動画視聴くらいなら十分、本格的な音楽鑑賞には外部機器をつなごうといったところです。

設定アプリ「MyDell」

パソコンの各種設定用アプリとして、「MyDell」がインストールされています。

DELL-Setting
インターフェースは非常にシンプルです。直感的でなんの説明もなく使えると思います。特に、「電源」メニューからのパフォーマンス設定は、はじめにチェックしておくとよいでしょう。

3.ベンチマークと処理能力

処理能力

DELL-Setting
以下のベンチマークでは、上記「MyDell」アプリから、「電源>温度管理」を「超高パフォーマンス」にしてベンチマークを行っています。Windowsの電源設定は、変えても少ししか差が見られなかったので、デフォルトの「バランス」です。なおそれでも、ベンチマーク時の様子をモニターしていると、CPU最大電力は25W程度、温度も最高70度台程度でした。従って、冷却能力にはまだ余裕があります。

ウインタブでは、CPUに同じAMD Ryzen 7 8840Uを搭載するパソコンとして「HP EliteBook 635 Aero G11」のレビューを行っています。また、個人的にはRyzen 5 8645HS(内蔵グラフィックスはRadeon M760、TDPはHS型番なので45Wで、U型番の28Wより有利)を搭載する「Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14」を所有しているので、これらとの比較は特に興味深いところです。

HP EliteBook 635 Aero G11 レビュー - 1キロを切る軽さ&MIL規格の頑丈さを備えた13.3インチビジネスモバイルノート:ウインタブ実機レビュー記事
Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(AMD) レビュー - 10万円以下でRyzen 5 8645HS搭載、コスパ最高・実用第一のコンバーチブル:ウインタブ実機レビュー記事

まずは、PCMark10のスコアです。

pcmark
PCMark10は、表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテストで、どちらかというとビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。このテストではCPU性能の影響が大きいとされますが、テスト内容にグラフィック系のシミュレーションも含むため、GPUの性能も少なからず影響します。

参考 過去データの例
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS):7,521
ASUS Zenbook S 16 UM5606WA(Ryzen AI 9 HX 370):7,511
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):7,446
MSI Prestige 16 AI Studio B1V(Core Ultra 7 155H、RTX4060):7,298
HP EliteBook 635 Aero G11(Ryzen 7 8840U):6,949
HP EliteBook 860 G11(Core Ultra 7 155H):6,849
Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(Ryzen 5 8645HS):6,708
Lenovo Legion Go(Ryzen Z1 Extreme):6,691
GEEKOM XT13 Pro(Core i9-13900H):6,542
MSI Claw A1M(Ultra 5 135H):6,485
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H):6,411
HP EliteBook 830 G11(Core Ultra 7 155U):6,392
HP EliteBook 630 G11(Core Ultra 5 125U):6,376
ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA(Ultra 7 155U) :6,163
GEEKOM Mini IT13(Core i9-13900H):6,096
dynabook RZ/MX(Core Ultra 5 125H):6,083
Lenovo Yoga 7 Gen 8(Ryzen 5 7535U):6,021
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U)5,954
DELL Inspiron 14 5430(Core i7-1360P):5,929
DELL Inspiron 14 5435(Ryzen 7 7730U):5,915
HP Dragonfly G4(Core i7-1355U):5,774
HP EliteBook 840 G11(Core Ultra 5 125U):5,741
DELL Inspiron 13 5330(Core i5-1340P):5,677
VAIO F14(Core i7-1355U):5,553

ううん? 悪くはないものの、いまいち伸び悩んでますね。スペック上のグラフィック能力では劣るはずのIntel Core UltraのU型番と同程度です。同じRyzen 7 8840Uを積むHP EliteBook 635 Aero G11よりも、ずいぶん低めのスコアとなりました。格下のはずのRyzen 5 8645HSを積むLenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14にも負けてしまっていますが、ここは省電力のU型番とハイパフォーマンスなHS型番の電力量の差とも考えられます。

お次は、CPU性能のみを測定するCINEBENCH R23、およびCINEBENCH2024のスコアです。

cinebench

参考 CINEBENCH R23の過去データの例
MSI Titan GT77 HX 13V(Core i9-13980HX):2,149、30,358
MSI Vector GP78 HX 13V(Core i9-13980HX):2,112、29,156
GEEKOM XT13 Pro(Core i9-13900H):2,000、11,821
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H):1,918、17,827
Lenovo LOQ 16IRH8(Core i7-13620H):1,857、14,383
MSI Prestige 16 AI Studio (Core Ultra 7 155H): 1,827、 16,421
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS):1,781、15,706
MSI Prestige 13 AI Evo A1M(Core Ultra 7 155H):1,752、12,184
HP Spectre x360 14-eu(Core Ultra 7 155H):1,751、11,738
ASUS Zenbook S 13 OLED(Core Ultra 7 155U):1,704、8,870
Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(Ryzen 5 8645HS):1,678、10,800
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,655、7,586
ASUS ZenBook 14(Core i5-8265U):1,023、3,691
※左からシングルコア、マルチコアのスコア

参考 CINEBENCH2024の過去データの例
ASUS S500SER(Core i7-14700):122、1,177
GEEKOM XT13 Pro(Core i9-13900H):117、687
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H):112、705
ASUS Zenbook S 16 UM5606WA(Ryzen AI 9 HX 370):110、942
ASUS Vivobook S 15 S5507QA(Snapdragon X Elite):108、1,038
Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9(Snapdragon X Elite):107、962
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):106、956
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS):106、914
MSI Prestige 16 AI Studio (Core Ultra 7 155H): 105、964
ASUS Zenbook S 13 OLED(Core Ultra 7 155U):101、533
Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(Ryzen 5 8645HS):98、585
HP EliteBook 630 G11(Core Ultra 5 125U):95,533
dynabook RZ/MX(Core Ultra 5 125H):95、516
※左からシングルコア、マルチコアのスコア

HP EliteBook 635 Aero G11はCINEBENCHのスコアをとっておらず、比較できません。Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(Ryzen 5 8645HS)と比べると、わずかに低いながらおおむね同値となりました。

そして注目の、グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。内蔵グラフィックRadeon 780Mの効果やいかに?

3dmark

参考1(Core Ultra搭載機)
MSI Prestige 16 AI Studio B1V(Core Ultra 7 155H):3,959、8,363、29,843
HP Spectre x360 14-eu(Core Ultra 7 155H):3,924、8,338、24,476
MSI Claw A1M(Core Ultra 5 135H):3,454、7,235、24,791
dynabook RZ/MX(Core Ultra 5 125H):3,392、7,301、23,168
HP EliteBook 860 G11(Core Ultra 7 155H):3,388、6,785、23,662
HP EliteBook 830 G11(Core Ultra 7 155U):2,319、5,162、19,024
ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA(Core Ultra 7 155U) :2,280、5,121、19,020
HP EliteBook 840 G11(Core Ultra 5 125U):2,081、4,826、19,421
HP EliteBook 630 G11(Core Ultra 5 125U):1,910、4,022、16,808
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア
※Prestige 16は外部GPUを動作させずに測定したもの

参考2(外部GPU非搭載のノートPC・ミニPC)
ASUS Zenbook S 16 UM5606WA(Ryzen AI 9 HX 370):3,800、8,026、31,138
GEEKOM NUC AE7(Ryzen 9 7940HS):3,362、7,776、29,076
Beelink SER8(Ryzen 7 8845HS):3,330、7,908、29,873
HP EliteBook 635 Aero G11(Ryzen 7 8840U):2,943、7,206、27,471
Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14(Ryzen 5 8645HS):2,437、6,253、24,401
GEEKOM XT13 Pro(Core i9-13900H):1,956、5,440、19,477
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H):1,953、5,439、19,553
GEEKOM Mini IT13(Core i9-13900H):1,947、5,428、19,991
dynabook GZ/HW(Core i7-1360P):1,786、4,991、16,779
HP Dragonfly G4(Core i7-1355U):1,760、4,859、16,891
Lenovo ThinkPad X13 Gen 4(Core i7-1355U):1,658、4,709、14,122
Lenovo ThinkBook 15 Gen 5 (AMD) (Ryzen 5 7530U)1,281、3,137、13,730
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア

うーん、微妙。やはり、同じRyzen 7 8840Uを積むHP EliteBook 635 Aero G11に大きく遅れをとり、Ryzen 5 8645HSを積むLenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14にもやや劣ります。同じ内蔵グラフィックのRadeon 780Mを積むミニPCのGEEKOM NUC AE7やBeelink SER8とはさらに差があります。もっとも、後者2種はCPU型番が高電力ハイパフォーマンスの「HS」でRAMも32GBなので、省電力型の「U」型番が敵わないのは当然です。おおむね、Core Ultra 7 155Uあたりと同等に落ち着いていますね(Core UltraのU型番は、内蔵グラフィックがIntel ArcではなくIntel Graphics)。これはもう、「そういうチューニングにしてある」ということでしょう。これでも、「8万円台のパソコン」としては十分すぎるほどの能力ですが、Ryzen 7 8840Uのフルスペックをぶん回すようなスコアではないということですね。

minecraft
実際のところ、うちの子供2人で、マインクラフトにMODをバンバンブチ込んで、Lenovo IdeaPad 5 2-in-1 Gen 9 14とDELL Inspiron 14でプレイしいるんですが、FPSをモニタリングしてみた感覚としては、ほぼ同じくらいです。また、マインクラフトで負荷をかけた場合は、画像のように、GPU性能よりもVRAMやRAMが先にボトルネックとなるようです。内蔵グラフィックのVRAMは本体RAMを分け合うので(どこまで占有するかとかの設定方法については割愛します)、もしゲーム性能を重視するなら、RAM32GBのバージョンを検討してもいいかもしれません。あるいは、おそらく保証対象外となりますが、RAMはオンボードではなくスロットになっているので、自分で増設することも可能です。

ストレージのデータ転送速度

ストレージは、PCIe 4.0×4のSSD。CrystalDiskMarkのスコアは以下の通り。

CDM
ここは、PCIe 4.0×4にふさわしい優秀なスコアと言っていいでしょう。

なお、なぜか、SDカードスロットがUSB2.0相当の低速です。計測結果は次の通り。もちろん、十分なスペックのSDカードを使っています。

CDM_SD
これは、なんでこんなところで品質を下げているのか理解に苦しむところです。せっかく、画像や動画編集能力なども高いのに、例えば容量の大きい4K動画など扱うときは、直接編集するにしてもいったんパソコン側にコピーするにしても、ボトルネックになるでしょう。SDカードを使うあてのない人には関係無い部分ですが、SDカードから動画や画像を多く取り込みたい人は要注意です。高速なハブを使ってUSBから取り込んだ方が速いでしょう。

5.まとめ

ともかく、基礎能力からしたコスパがすさまじいパソコンであることは間違いないです。私はセール価格で8万円台前半で購入しましたが、この価格帯で、Ryzen 7 8840Uというのも、ストレージが1TBというのも、他ではそうお目にかかれません。その一方、細かな点で至らない部分があるのも事実です。プラスチック筐体、14インチとしては重めの重量、HD解像度WEBカメラ、顔認証/指紋認証無し、キーボードバックライト無しなど、これらはいずれも、パソコンとしての根本的な使用感を大きく損なうものではないので、どこまで重く見るかは、想定する用途や環境によるでしょう。

また、実際の処理能力は、Ryzen 7 8840Uとしてはやや振るいません。実際に使用上の影響が出てくるのは、ゲームや動画編集などのグラフィック性能を要求する用途です。とは言っても、もちろん一昔前の内蔵グラフィックとは比べものにならない性能はあるので、ここも、8万円台でこれだけの性能があると評価するか、Ryzen 7 8840Uの性能を活かし切れていないと評価するかは、何に使うかによるでしょう。

と、いうことで、8万円台のパソコンとは考えられないくらい基礎能力が高い一方、意外にクセの強い機種でもあります。この製品に何を期待して購入するか、使用イメージを固めた上で検討するとよいでしょう。

6.関連リンク

Inspiron 14 ノートパソコン(5445) (2024年3月15日発売):DELL直売サイト

執筆者:natsuki
ウインタブをきっかけに、海外通販で奇天烈なガジェットを漁ることにハマる。趣味は旅行(自然も史跡も)、アマチュアオーケストラなど。自分の知識欲も満たせるので、楽しんで記事を書いています。興味を持ったもの、面白いと思ったものを、読者の皆さんと共有できれば幸いです。
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