こんにちは、近郊ラピッドです。ASUSのゲーミングノート「ROG Strix G15 G513RW(2022年モデル)」の実機レビューです。従来モデルからAPU(CPUとGPUを統合した製品)が変更され、最新のRyzen 6000シリーズが搭載されています。また、GPUもRTX 3070 Tiで、従来モデルのRTX 3070よりも1ランク上の性能となっています。
なお、17.3インチサイズの「ROG Strix G17 G713RW(2022年モデル)」も同時発表されていますが、この記事は15.6インチサイズの製品のレビューとなっております。また、今回レビューするモデルのバリエーションモデルとして、APU Ryzen 7 6800H・ストレージ 512GB・GPU RTX 3060となったG513RMというモデルも存在します。
・最新のRyzen 6000シリーズAPUの搭載で確実にパフォーマンスがアップ
・高負荷時にはしっかりとパフォーマンスを発揮し、低負荷時には良好な静音性を示す
・2560×1440・DCI-P3 100%の高品質なディスプレイでクリエイティブ用途にも向く
・3辺のベゼルが細く、意外とスペースを取らない
ここはイマイチ
・価格自体は高価
・APUのベンチマーク結果はCore i9-12900Hより低い傾向あり
・DDR5-4800・RTX 3070Tiなので仕方ないが、この価格でメモリー16GBは少し物足りない(ただ、32GBだと値段が跳ね上がると思います)
販売サイトはこちら
ROG Strix G15 G513RW(レビュー機):ASUS
ROG Strix G17 G713RW(17.3インチモデル):ASUS
※この製品は近日発売予定です
目次
1.ROG Strix G15 G513RW スペック
スペック表
ROG Strix G15 G513RW | |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 9 6900HX (ベース3.3GHz/最大4.9GHz) |
外部GPU | NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Laptop |
RAM | 16GB(DDR5-4800) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0 x4接続) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチ (2,560×1,440) 165Hz |
ネットワーク | 有線LAN 最大2.5GBASE-T 無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax Bluetooth 5.1 |
入出力 | HDMI、USB3.2(Type-C/Gen2)×2(内1つは映像出力・給電対応)、USB 3.2(Type-A/Gen1)×2、オーディオジャック、LAN(RJ45) |
カメラ | なし |
バッテリー | 駆動時間 最大13.5時間(JEITA Ver2.0に基づく) |
サイズ | 354.9×259.9×22.69~27.2 mm |
重量 | 2.3kg |
バリエーションモデル
G513RW:今回のレビュー機種です。
G513RM(G513RM-R76R3060):APU Ryzen 7 6800H・ストレージ 512GB・GPU RTX 3060に変更し、価格を税込219,800円に引き下げたモデルです。この機種はレビュー対象ではないため、今回は取り上げません。詳しくはこちらの紹介記事をご覧ください。
また、ROG Strix G15 G513RWには17.3インチ版の「ROG Strix G17 G713RW」が存在します。ディスプレイのリフレッシュレートやサイズの違い、テンキーの有無以外には基本的に差はありません。レビューの際に両モデルの写真を撮ったのですが、天板の写真を見てもどちらのモデルか区別が付きにくいほどです。筐体画像についてはこの記事の「3.ROG Strix G17(17.3インチ版)の筐体」をご覧ください。
ポイント
APUは最新のRyzen 6000シリーズの中でもハイエンドモデルとなるRyzen 9 6900HXとなっています。最上位の6980HXとの違いは、最大クロックが4.9GHzか5.0GHzかという点のようです。確かに5.0GHzという数字の方がインパクトがありますが、実際には違いを体感することは殆ど出来ないと思われます。
また6900HXはオーバークロック対応です。しかし、標準添付のユーティリティーやUEFIセットアップメニューではオーバークロックは出来なかったので、今回はテストを実施していません。
コア・スレッド数は8コア・16スレッドです。競合となるAlder Lake-HがPコア6基・Eコア8基という構成を取っているのに対し、Ryzen 6000シリーズは従来通りのコア構成となっています。
Alder Lakeのコア構成の方がマルチスレッド性能が伸びやすくなっていますが、Ryzen 6000シリーズの方はコア構成に変更がないため、EコアとPコアの割り振りが上手くいかないという問題や、一部のゲームでEコアを上手く認識できないという問題に遭遇しないという利点もあります(もっとも、そのようなAlder Lakeの欠点も次第に解消されて行くとは思いますが)。
GPUはRTX 3070 Ti Laptopとハイエンドな構成ですが、デスクトップ版のRTX 3060 Tiと似たようなベンチマークスコアなのでデスクトップ版のRTX 3070 Tiとは別物です。この辺りはCPUと事情が似ており、デスクトップPCからゲーミングノートへの乗り換えを検討する際における注意点となっています。
メモリーはRyzen 6000シリーズ搭載機のため最新規格のDDR5のものが搭載されていますが、容量は16GBに留まります。32GBのオプションも現時点では用意されていないため、クリエイティブ作業目的で購入する場合はメモリーが不足しないかどうかを事前に確認する必要があります(この製品はASUSのあんしん保証プレミアムがつきますので、DIYでメモリーの増設・換装作業をしても保証されます)。
SSDは1TBと大容量ですが、後述するベンチマーク結果ではPCIe 4.0接続にしてはあまり転送速度が伸びませんでした。もしかするとレビュー機のSSDは製品版とは異なるものが搭載されていたのかもしれません。ただ、個人的には十分高速だとは思います。
ディスプレイは解像度が2560×1440(WQHDとも呼ばれます)と高精細で、DCI-P3 100%の美しい液晶となっています。写真や動画を扱う際により正確な表示が可能となるため、ゲーマーでなくとも広色域ディスプレイの搭載は利点となります。また、リフレッシュレート165Hz ・反応速度 3msのためゲーマーの方にも十分な仕様となっています(ただ、筆者はそのようなゲームはしないため、どの程度の利点なのかを具体的に説明することができません……)。
通信関係では、有線LANが2.5Gビットイーサネットに対応している点が大きな利点と言えます。大容量のファイルをNASとやり取りする際に威力を発揮するでしょう。デスクトップPCでは少しずつ普及して来てはいますが、ノートPCで搭載するのは珍しいですね。無線通信もWi-Fi 6やBluetooth 5.1に対応しており、現代的な構成となっています。
ただ、USBは最速でもUSB 3.2 Gen 2止まりでUSB 4には対応していません。Ryzen 6000シリーズはUSB 4コントローラーが搭載されているので、欲を言えばUSB 4端子は装備されていて欲しかったところです。
2.ROG Strix G15 G513RW 筐体と使用感
同梱物
同梱物です。ペーパー類が割と多いです。
ACアダプターとケーブルです。サイズ感が分かりにくいですが、結構巨大です。ACアダプターだけでもかなり重量があり、「モバイル」には適していません。
天板と底面
天板です。ゲーミングPCですがそこまで派手ではありません。通電時にはROGマークが光りますが消灯することもできます。
底面です。黄緑色がちょっとしたアクセントになっており、ASUSのこだわりを感じます。
側面
前面です。ポート類やボタン類はありませんが、下部が通電時に光ります。
背面です。通気口とポート類が見えます。
背面ポートの拡大写真です。ポートの内訳は、USB Type-Cポート×2、HDMI、有線LAN、電源ポートとなっており、高機能な端子が集約されています。
左側面です。通気口とUSB Type-Aポート×2、そしてオーディオジャックが見えます。
右側面です。通気口だけしかありません。こちらにもType-Aポートがあれば更に便利だったと思いますが、基板の設計の都合などで搭載が難しいのかもしれません。
ディスプレイと使用感
ディスプレイです。解像度が2560×1440と高く、DCI-P3 100%の発色性能を持ち、視野角も広くなっています。そのためクリエイティブ用途や映像の鑑賞にも向いています。リフレッシュレートも165Hzと高めであり、様々な用途に対応することができます。また、ノングレアのため映り込みも少なく目に優しい仕様となっています。
余談ですが、高リフレッシュレート表示は基本的にはゲーマー向けの機能ですが、普段の作業でもスクロールが明確に体感できる程滑らかになります。60Hzと165Hzの違いは想像以上に大きく、165Hzから60Hzに戻すとスクロールが少しカクカクしているように感じます。
解像度がフルHDよりも高いため、100%表示の場合は情報量がかなり多くなります。ただ、当然文字も非常に細かくなるため、個人的には100%表示だと常用するには小さすぎるように感じます。ただし、後述する17.3インチ版は100%表示でもギリギリ常用に耐えるように感じました。
また、画像からも分かる通り、下部のベゼルは太めとなっているとはいえ3辺のベゼルはかなり細めとなっています。
キーボードと使用感
キーボードです。15.6インチですがテンキーはありません。そのかわりに右一列にキーが並んでいます。キーストロークは最近のノートPCとしては比較的深く、快適に入力が可能です。力を込めずに優しく入力するとかなり静かに入力することができます。
ちなみに、このキーボードは英語キーボードと共通の枠を使っているため、一部のキーが分離していません。また、前述の通りEnterの横一列にキーが並んでいるタイプのため、違和感を感じる方もおられると思います。ただし、このようなキーボードはDellやLenovo等の海外系PCメーカーでは一般的に見られるものなので、ASUSだけの仕様ではありません。
本機はゲーミングノートのため、キーボードのバックライトや本体は様々な色で光ります。ただし消すこともでき、消した場合はそこまで派手ではありません。
タッチパッドです。比較的大きくて操作しやすいですが、クリック感はSurface Laptopシリーズの方が個人的には好みです。クリック音は大きい訳ではありませんがSurface Laptopシリーズよりは音が響きます。
筐体その他
ディスプレイを最大まで開けた様子です。普通程度には開くという印象です。また、15.6インチですがベゼルが細いため本体サイズが意外と小さくなっており、狭い机にも置きやすくなっています。昔の15.6インチと比べるとかなりサイズ感が異なります。
暗所でのイルミネーション
部屋の照明を消してレビュー機を撮影してみました。
キーボードを撮影してみました。完全に主観ですが、ゲーミングPCは暗闇の中でLEDライトが輝くという姿が一番様になると思います。
スピーカー
スピーカーは1W×2のステレオスピーカーとなっていますが、結構音量が大きかったことに驚きました。音質も十分と言えます(申し訳ありませんが、筆者は普段は殆どイヤホンでしか音楽を聴かないため、「他機種よりも重低音がどうこう」と言った部分は詳しく説明できません)。
騒音など
騒音ですが、ゲーミングノートと言っても、軽作業時は無音~静音で快適なものとなっています。サイレントモードの場合、APUの消費電力が10~15W程度に収まる負荷なら無音になるようです。
個人的にはPCの騒音はどちらかというと気になるタイプのため、低負荷時に静かなのは割と大きな利点に感じます。またファンの制御が素早く、高負荷時に高速回転していても、低負荷に移行するとすぐにファンの回転数が下がり無音になります。
ネット閲覧程度ではファンの音は大きくならいため、普段は軽作業中心で時々ゲームをプレイするという方でも騒音に悩まされず、快適に作業できると思います。ただし静音なのはファンが停止~低回転時の場合であり、高速で回転する場合はそれなりに大きな音がします。個人的には高速回転のファンの音は流石に少しうるさく感じました。
3.ROG Strix G17(17.3インチ版)の筐体
レビュー機の17.3インチ版の位置付けとなっている「ROG Strix G17 G713RW」の筐体です。ディスプレイが大型化している他に、キーボードにテンキーが追加されています。
解像度は15.6インチ版と同じですが、ディスプレイが大きい分スケーリングを小さくしても文字が読みやすくなるため、実質的な情報表示量は増加していると言えるかもしれません。ただし、当然ながら重量やサイズは大きくなっています。
そのため、ディスプレイサイズを重視するか、コンパクトさを重視するかでこの2機種を選択すると良いと思います。15.6インチ版でも性能は高い水準のため、単純にサイズ感で選択すると良いでしょう。
4.性能テスト1―CINEBENCH R23
ゲーミングノートPCは電源設定によってAPU等の性能が大きく変化します。そこで今回は、CINEBENCH R23のベンチマークを「Turbo(AC接続)」「サイレント(AC接続)」「パフォーマンス(バッテリー駆動)」「サイレント&バッテリー節約モード(バッテリー駆動)」の4つのケースで計測してみました。ちなみに、他のベンチマークは「Turbo(AC接続)」の設定で計測しています。
レビュー機を含め、ASUSのゲーミングPCは「Armoury Crate」というユーティリティーで電源設定を変更できます。
また、大まかな傾向を掴むための参考程度ですが、添付ユーティリティーを使用してAPU消費電力の計測も行っています。それなりに誤差はありますがご了承ください。なお、APU消費電力はCPU部分とiGPU部分の両方を含んでいます(外部GPUを搭載する場合でもiGPUが使われることはあります)が、マルチスレッドテスト実行時はiGPUにはほとんど電力が供給されなくなりますので、ほぼCPU部分の消費電力と見てよいと思います。シングルスレッドテスト時はiGPUにも電力は供給されますので、少し多めになっているものと思われます。
電源接続時、Turbo
APU消費電力(iGPU込みの消費電力)
マルチスレッド時:最大95W、ただしすぐに86W程度で安定
シングルスレッド時:24W
アイドル時:6W
マルチスレッドテストは見ていて爽快感すら感じる程処理が早く、10分間にPass 11まで処理を完了できました。そのためスコアもかなり高い水準となっています。ただ、性能はとても高いのですが、流石に消費電力や発熱がノートPCとしてはかなり大きくなるため、冷却ファンの騒音がそれなりに大きくなっていました。住環境によっては同居している家族等からうるさいと言われてしまうかもしれません…… ちなみに、シングルスレッドテスト実行時は普通程度の騒音でした。
シングルスレッド性能も比較的高い水準となっていますが、Alder Lake上位と比べると少し控えめに感じてしまいます。この辺りからも、Zen 3+コアアーキテクチャーのクロック当たりの性能がZen 3とそこまで変わらないことが読み取れます。
個人的には、Turboモードでテストを回した際に想像以上に消費電力が大きいと思いましたが、それ以上に発熱の制御をしっかり出来ていた事が興味深く感じました。CPU部分の温度は95度を維持し続けるという、見ていて冷や冷やする状態でしたが、特に挙動が不安定になることはありませんでした。
ここまで消費電力が高い状態が10分以上続いても放熱が間に合うのは驚きです。液体金属グリスの採用といったASUSの高い技術力によって高い排熱性能が実現されているのでしょう。
電源接続時、サイレント
APU消費電力(iGPU込みの消費電力)
マルチスレッド時:最大69W、徐々に降下し45W程度で安定する
シングルスレッド時:23W
アイドル時:5W
サイレントモードですが、マルチスレッド性能が13000ptsを超えており高い水準となっています。シングルスレッド性能もTurbo時と同水準です。マルチスレッドテスト時はサイレントとはいえ騒音は多少ありましたが、ゲーミングPCではない一般的なノートPCと同じ程度に感じました。普段使いにはこちらの電源モードの方が向いているでしょう。ゲームやクリエイティブ作業をする時以外は基本的にサイレントに設定するという運用でも良いと思います。
バッテリー駆動時、パフォーマンス
APU消費電力(iGPU込みの消費電力)
マルチスレッド時:35W
シングルスレッド時:23W
アイドル時:5W
ゲームプレイをする場合はAC接続が事実上必須となっていますが、軽作業程度ならバッテリー駆動でも対応することができます。そこで、今回はバッテリー駆動時のパフォーマンスについても計測してみました。
バッテリー駆動時は、パフォーマンスモードでもマルチスレッド性能は電源接続時のサイレントモードに比べて少し低い水準となっています。消費電力を見ても抑えられています。一方でシングルスレッド性能は電源接続時とほぼ変わりませんでした。
確かにAC接続時に比べると低い性能ですが、十分高性能な部類と言えるでしょう。
バッテリー駆動時、サイレント、バッテリー節約モード
APU消費電力(iGPU込みの消費電力)
マルチスレッド時:15W
シングルスレッド時:8W
アイドル時:4W
実用的ではありませんが、出来る限り消費電力が低くなる設定でベンチマークを実行してみました。その結果、APUの消費電力がかなり低くなっています。平均的な薄型モバイルノートよりも低いかもしれません。ただ、その影響でシングルスレッド性能がかなり低く、マルチスレッド性能も6000pts台と、ハイエンドゲーミングPCとしてはかなり低い数字になっています。その代わりに マルチスレッドテスト実行時もほとんどファンが回っておらず、CPU温度も60度前後で安定していました。
シングルスレッド性能が異様に低いのは、消費電力が少ないことに加え、システムが低負荷と認識してiGPUにも普通に電力を供給しているためのようです。
どうしても長時間バッテリー駆動で使用する必要がある場合には有効な設定かもしれません。
全体的に見ると、ピーク性能はAlder Lake-H上位モデルよりも低いスコアに留まっています。ただし、Alder Lake-Hはかなり消費電力も大きいようなので、同一の消費電力に揃えて測定した場合は異なる結果になるかもしれません。
ただ、クリエイティブ用途ではピークパフォーマンスも重要なため、この辺りが気になる方はAlder Lake-H搭載機のほうが優れているかもしれません。
5.性能テスト2―PC Mark 10・3D Mark・Crystal Disk Mark
PC Mark 10
PC全体の性能を計測するPC Mark 10のベンチマーク結果です。7000ポイント越えは流石と言えますが、Alder Lake-H最上位のCore i9-12900H+モバイル向けGPU最上位のRTX 3080 Tiの組み合わせと比べると少し低い結果となっています(Core i9-12900H/RTX3080Ti搭載のASUS ROG Strix SCAR 17 G733ZXの実機レビューでのスコアは7,773で、8,000点以上のスコアも期待できます)。
しかし、個人的にはこの程度の差を体感することは難しいのでは、とも思えます。ハイエンドゲーミングPCに相応しいスコアであることには間違いはないでしょう。
個別のスコアを見てもどれも高く、高負荷な作業も快適にこなせる性能を持っていることがよく伝わってきます。CINEBENCH R23ではAlder Lake-Hよりも低い結果となりましたが、PC Mark 10を見る限りでは多くの場合では大差はないのだと思います。
ちなみに、敢えてRTX 3070Tiを無効化して測定すると上記の画像のような結果となります。
iGPUの性能やシングルスレッド性能の向上によって、外部GPU無しでもかなり良い結果となっています。結果の内訳を見ると「Rendering and Visualization Score」と「Video Editing Score」が明確に下がっており、この辺りが外部GPU有りのテストとの差につながっています。一方でなぜか「Video Conferencing Score」は上昇しています。何回かテストしてもiGPUの方が明確に高いという傾向は変わりませんでした。原因は不明ですが、このような用途はiGPUの方が得意なのでしょうか。
ちなみに、Productivityは計測するたびにスコアが割と変わります。計測結果の画像ではスコア差が結構ありますが、本質的には外部GPUの有無でそこまでの差は無いと思います。
PC Mark10は純粋にCPUの性能を測るテストというよりは、PC全体の性能を見るテストですが、6900HX搭載機は基本的にSSDやメモリ等もハイエンドな構成になっていると思われるため、他機種でも似たようなスコアになると思います。
3DMark
グラフィックス性能を計測するのに特化した3DMarkのベンチマーク結果です。なお、このテストを実行する上で解像度は特に変更していません。
流石にRTX 3080 LaptopやRTX 3080 Ti Laptopには少し劣る結果となっていますが、全体的にスコアはかなり高めです。多くのゲームが快適に動作するものと思われます。ちなみに、このスコアはノートPCとしては高水準ですが、前述の通りデスクトップ版と比較すると、3060 Tiと似たような性能となっています。
CrystalDiskMark
SSDの性能を計測するCrystal Disk Markのベンチマーク結果です。
PCIe 4.0接続のSSDとされていますが、PCIe 3.0クラスの性能に留まっています。理由は不明ですが、十分高速な部類のため実用上は問題ないものと思われます。もしかするとレビュー機には製品版と異なるSSDが搭載されていたのかもしれません。
ベンチマーク結果のまとめ
各種ベンチマークテストの結果から分かる点として、Ryzen 6000シリーズのピーク性能やシングルスレッド性能は以前のRyzen 5000シリーズ(Zen 3版)と比べると確実に向上しているものの、そこまで劇的な向上は果たしていないという点が挙げられます。そのため5900HXを搭載した既存のモデルを選択する方がコストパフォーマンスが良くなるというケースもありうると思います。
とはいえ、十分高性能なのでパワー不足を感じる場面はほとんど無いと思われます。ゲームプレイ時やクリエイティブ作業において高い性能を発揮できるでしょう。
6.ROG Strix G15 G513RW レビューまとめ
ASUS ROG Strix G15 G513RWは近日発売予定で、4月22日現在の価格が税込299,800円となっています。また17.3インチ版のROG Strix G17 G713RWも近日発売予定で、4月22日現在税込309,800円です。また、いずれも「30日間返品保証」がつき、「あんしん保証プレミアム3年パック」もプレゼントされます。
実は筆者はゲーマーではないのですが、今回レビューしたPCはゲーマーに限らずとも、多くの方にとって快適に作業を行えるPCになっていると感じました。高品質なディスプレイや入力しやすいキーボードは一般ユーザーにも利点となる上に、ノート向けとしては高性能なAPUやGPUはクリエイティブ作業にも向いています。
また、大容量のSSD搭載によって外付けSSDに頼ることなく多くのデータを保存できる点は、ゲーマーやクリエイターだけでなく、一般ユーザーでもメリットを実感しやすいと言えそうです。
ハイエンドPCのため価格も高いですが、ディスプレイや性能、品質を考慮すると決して割高な製品ではないと思います。ゲーマーでなくとも、品質や性能の高さを容易に実感することができるでしょう。
7.関連リンク
ROG Strix G15 G513RW(レビュー機):ASUS
ROG Strix G17 G713RW(17.3インチモデル):ASUS