Teclastのタブレット「P50」の実機レビューです。TeclastのタブレットにはTシリーズ、Mシリーズ、Pシリーズがあり、最上位がTシリーズ、ついでMシリーズ、最も安価なのがPシリーズとなります。今回レビューしているのはP50ですからTeclastでも低価格帯の製品、ということになります。
数年前の「低価格タブレット」は「安かろう、悪かろう」的なものもありましたが、現在Amazonなどで販売されているTeclast、Blackview、HeadWolfなどのタブレットは「1万円ちょっと」くらいのものでも割と快適に使えます。
P50は「1万円ちょっと」よりは高く、15,000円台ですが、ある程度の割り切り(ゲーム性能には期待しないなど)を持って使えばごく満足できる品質です。また、低価格帯の製品はウインタブとしては「大好きなジャンル」でもあります。
なお、今回レビューするP50はディスプレイのリフレッシュレートが90Hzとなったマイナーチェンジ後のモデルです。マイナーチェンジ前のモデル(リフレッシュレート60Hz)についてはライターのオジルさんが実機レビューをしていますので、こちらのレビュー記事もあわせてご覧ください。
Teclast P50 レビュー - Android 14搭載でそこそこ使える11インチタブレット、1.5万円の価格は魅力的!
ここがおすすめ
・価格の割に質感が高い金属製の筐体、筐体色も爽やか
・ディスプレイのリフレッシュレートが90Hzに高速化
・Android 14搭載でクセのない大画面デバイス向けUIを採用
・低価格品ながらスピーカーはしっかりステレオ
ここはイマイチ
・ディスプレイ解像度は1,280 × 800と低い
・設定メニューやカメラアプリに日本語化されていない箇所あり
・カメラは画素数13MPの割に低画質
販売サイトはこちら
TECLAST P50:Amazon
1.製品概要
スペック表
Teclast P50 | |
OS | Android 14 |
SoC | UNISOC T606 |
RAM | 6GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 10.95インチIPS(1,280 × 800) |
LTEバンド | FDD:B1/3/5/7/8/20 TDD:B34/38/39/40/41 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン5MP/アウト13MP |
バッテリー | 8,000 mAh |
サイズ | 258 × 170 × 8.6 mm |
重量 | 530 g |
コメント
前回のレビュー時点からスペックはほとんど変わっていません。というか変わったのは「ディスプレイのリフレッシュレートのみ」ですね。OSはAndroid 14、SoCはUNISOC T606と、低価格帯の中国タブレットとしては「標準的」な型番が搭載されています。T606はゲーム向きではありませんが、OSの基本操作や動画視聴、ニュースアプリなどではもたつきを感じません。
RAMは6GBで拡張機能により最大16GBとして使え、ストレージは128GBです。ディスプレイの解像度は1,280 × 800と低めで、人によっては画面表示に粗さを感じるかもしれません(そのへんの感想は後ほど…)。ただし、WidevineはL1でNetflixでもL1判定になりますので、ほとんどの動画サブスクリプションサービスでHD画質視聴ができます。また、この製品はLTE対応します。
では、外観から見ていきましょう。
2.外観
同梱物です。取扱説明書(日本語もあり)、保証書、ACアダプター、USBケーブル、SIMイジェクトピンが入っていました。ACアダプターは日本のコンセント形状に合うもので出力は10W、USBケーブルは片方がUSB Type-A(ACアダプター用)、もう片方がUSB Type-C(P50本体用)です。
タブレットケースは付属せず、フィルムもありません(フィルムはあらかじめ本体に貼り付け済みです)。
前面です。ベゼル幅は低価格帯タブレットとしては細めで画像上部中央(上部ベゼル)にインカメラがあります。また、液晶保護フィルムは貼り付け済みで、レビュー個体については気泡は全く気になりませんでした。
背面です。背面素材は金属で色は「シアン(やや緑みの明るい青)」です。個人的にはキレイな色だと思いました。筐体の剛性感はいまひとつ(強めにねじると少しミシミシという音が出る)ですが、実用上は全く問題のないレベルです。
横持ち時の上面と下面です。…すみません、この画像だと少し湾曲して見えますよね?これは私の撮影がまずかったせいで、実際には全く湾曲していません。
上面には音量ボタン、下面には何もありません(右端にイヤホンジャックが見えますが後述します)。
左右の側面です。左側面には電源ボタンとスピーカー、右側面には中央にUSB Type-Cポート、右側にSIM/microSDスロット、左側にスピーカーとイヤホンジャックがあります。Teclastのタブレットはほとんどのモデルにイヤホンジャックがついています。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。素直なUIといいますか、素のAndroidに近いですが、大画面デバイス向けのUIが採用されており、画面下部にタスクバーが表示され、一部のアプリでは横持ち時に2列表示が可能です。
プリインストールアプリも少なく、Google関連サービスのほか、若干の独自アプリがあります。
また、「FMラジオ」のアイコンもありますね。FMラジオはイヤホンの接続が必要(アンテナ代わりにする)ですが、P50の場合は周波数帯域が「76.0MHzから」なので、ほとんどの日本のラジオ局を聴取できます(中国製品の一部はFMラジオがついていても周波数帯域が合わず、日本では使用できません)。FMラジオはインターネット接続がなくても使えますので、非常時などには重宝すると思います。
ストレージの初期容量とメモリ拡張機能の設定画面です。初期状態で使用済みになっているのは9.3GBで120GB近くが空きになっていました。また、P50は最大で10GBまでメモリ拡張が可能です。
…ただ、この画像を見ていただければわかると思いますが、設定項目のうち、Teclast独自のものは日本語化されておらず英語のままです。そんなに難しい単語でもないので多くの方には特に支障はないものと思われますが、日本でも販売好調なTeclastですから、独自設定項目でもできるだけ日本語化を進めてもらいたいところです。
P50のディスプレイは(私の印象だと)初期状態で少し寒色(青み)が強いと感じられました。単体で使うぶんにはそんなに気にならないのですが、スマホとかPCのディスプレイが近くにあると「ちょっと青いなあ」と思いました。しかし、設定項目に「Colors & Contrast」というのがありまして、ここで色味を微調整できます。私の場合、初期状態でコントラストが「Automatic Contrast」になっていたところ「Standard」に変更したら青みが弱まり、自然な感じになりました。画像下の「円」のところで手動で調整もできますので、多くの方はお好みの色味にできると思います。
それと、P50のマイナーチェンジの目玉「リフレッシュレート」ですが、この画像の右側のように「Auto(利用シーンに応じてシステムが自動的にリフレッシュレートを変える)、60Hz固定、90Hz固定」の3種類の設定が可能です。リフレッシュレートを上げると画面スクロールが滑らかになりますが、一般にバッテリー消費量が大きくなるとされていますので、「Auto」にしておくのがいいんじゃないかと思います。
4.性能テスト
Antutuベンチマークのスコアです。260,261点というのはUNISOC T606搭載機としては「ごく普通」です。なので、ポジティブにもネガティブにもサプライズはないです。
このスコアで重量級ゲームをプレイするのは時間の無駄なので、今回は久しぶりに「ウマ娘」をやってみました。「もう遊んでないよ」という方も多いと思いますが、最近のウマ娘は「育成システムがインフレ化」してまして、以前だと「無課金ではかなり厳しい(時間がかかる)」UG(SS+のさらに上)とかのスコアが割と簡単に出たりしますので、読者のみなさんもお試しくださいw
すみません、少し脱線しました。ウマ娘では画面の切り替えの際のロード時間が少し長めになりましたが、特に問題なくプレイできました。ただし、レース中の画面にシャギーが目立ちました。これ、UNISOC T606の描画性能によるものなのか、それともP50のディスプレイ解像度が低いのが原因なのかは判然としませんでしたが、処理落ち(画面がカクカクする)という感じではなく「ちょっと汚い」という感じでした。そこを気にしなければプレイに支障はありません。
他のゲームアプリでも「ロード時間」は全般に長めになり、ロードしたあとはそこそこ楽しめる、という感じでした。UNISOC T606はあまりゲーム向きとは言えないSoCですが、比較的軽量なゲームであればある程度(あくまで「ある程度」)は楽しめます。
5.使用感
ディスプレイ
P50の購入にあたり、ちょっと心配なのがディスプレイ解像度ですよね。11インチサイズながら1,280 × 800と低めです。ライターのオジルさんは「11インチでこの解像度だと少し粗さを感じる」と評価していますが、私は視力が悪く、年齢も高いので、使っていてそれほど粗さを感じませんでした。ブラウザーでWebサイトを開き、画面に近づいてみると確かに少々ドット感がありますが、画面と目の距離がある程度離れていれば粗さは感じませんでした。また、小さな文字が潰れて見える、ということも感じなかったですね。
また、Netflixで動画を視聴、NetflixでもWidevine L1判定になることを確認しました。また、P50の解像度が低いとは言ってもHD画質(720p、1,280 × 720)であればしっかり表示できます(フルHD画質は1,920 × 1,080なので完全に表示できません)し、動画の場合HD画質であれば個人的には粗さは感じないですね。なお、このあたりの評価には個人差がありますので、この点はご了承ください。
スピーカー
P50のスピーカーは横持ち時の両サイドにあり、横持ち時であればしっかりステレオ感が出ます。音質の方は特筆できるようなものではなく、実用品としては十分、音楽鑑賞用としては少々薄っぺらい(低音が弱く、高音も少しこもった感じ)音です。ただ、スピーカー配置が良く、動画視聴時には臨場感も出ますので、「悪くはない」ですね。製品価格を考慮すればこれでOK、とは思います。
カメラ
カメラアプリは「よくある」デザインですが、設定項目がほとんど日本語化されていないのが残念です。また、解像度(画素数)の指定はできず、Super fine、Fine、Normalの3段階で画質設定ができ(しかし画素数はみな一緒)、画面の縦横比も4:3と1:1の2種類のみです。
実際に何枚か撮影してみました。
特に調整をかけることなく、画質をSuper fineにして撮影したものですが、全体的にやや赤みが強いです。ただ、タブレットのカメラ品質を重視される方は少ない(タブレットで写真撮影をする機会は少ない)と思いますので、この程度の写真が撮れれば十分でしょう。P50のアウトカメラの画素数は13MPですが、スマホカメラの13MPと同等の品質とは言えません(スマホカメラの13MPよりもかなり劣ります)。
その他 – ケースは必須か
10.1インチタブレットはそれほど大きくはなく、重くもなく、P50も544 gということなので、取り回しに苦労する、というほどではありません。しかし、タブレットの用途で「動画視聴」というのは結構なウェイトを占めると思います。この場合、「スタンドにもなるケース」は必需品ですね。他社のタブレットだとケースが付属するものが珍しくありませんが、Teclast製品には基本的にケースは付属しません。Amazonで「Teclast P50 ケース」と検索すると(意外にも)純正品やサードパーティ製のケースがたくさんヒットし、それらのほとんどは1,000円台(高くても1,700円台)で購入できますので、P50と一緒にケースも購入されることをおすすめします。
6.レビューまとめ
Teclast P50(90Hz)はAmazonで販売中で、この記事を執筆している10月19日現在の価格は15,850円です(製品ページにある1,050円OFFクーポンを使用した価格、クーポン期限は10月20日)。この価格水準を考慮すれば筐体品質や性能は素晴らしいと評価できます。UNISOC T606は性能が高いSoCとは言えませんが、ゲームを別とすれば普段使いでもたつくようなことはありませんし、WidevineもL1なのでほとんどの動画サブスクリプションサービスでHD画質視聴ができます。
あと、ディスプレイ解像度が低い、という点について、視力の悪い私でも画面に近づけば少々粗さを感じましたが、そんなに神経質にチェックしなければ「これでいいんじゃね?」とは思いました。もう4,000~5,000円程度予算を増やせるのであれば1,920 × 1,200解像度の製品が視野に入りますので、気になる方はそちらを選ばれるといいでしょう。
読者の方々はiPhoneであるとかXperiaであるとか、スペックのいいスマホをお使いのことと思いますので、(用途にもよりますが)動画視聴やWebブラウジング、ニュースアプリなどの情報収集に使うタブレットは必ずしもハイスペックである必要はなく、このP50くらいにしておいてもいいんじゃないでしょうか。
7.関連リンク
TECLAST P50:Amazon
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。