Blackviewのブランド「Tabwee」のAndroidタブレット「Tabwee T90」の実機レビューです。SoCにUNISOC T615を搭載するエントリーモデルで、豊富な付属品がセットされ(トップ画像に写っているキーボード、マウス、タブレットケースはすべて付属品です)、初めてAndroidタブレットを購入する人にも向く製品です。
なお、このレビューはメーカーよりレビュー機のサンプル提供を受け、実施しています。
・キーボード、マウス、ケースなど、豊富な付属品
・Android 16搭載
・普段使いに不足のない性能
・価格以上の筐体品質
・お買い得価格
ここはイマイチ
・LTEには非対応
※クーポンコード「DCXKWNYA」で16,499円。7月29日まで。
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Android 16(レビュー機はAndroid 15) |
SoC | UNISOC T615 |
RAM | 8GB(拡張機能により最大24GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 11インチIPS(1,920 × 1,200)60Hz |
バンド | 5G/LTE非対応 |
無線通信 | Wi-Fi 5、Bluetooth5.0 |
ポート類 | USB Type-C 、microSDカードリーダー 3.5 mmオーディオジャック |
カメラ | 前面:5MP/背面:13MP |
バッテリー | 8,000 mAh |
サイズ | 257.3×168.8×8.3 mm |
重量 | 505 g |
※レビュー機のOSはAndroid 15でしたが、7月15日以降販売される製品は「Android 16搭載」です
※UNISOC T615はT606とほぼ同じ仕様ですが、周波数が少し上がっており、若干高性能です。ただし、体感上はほぼ同性能と考えていいです。
※WidevineはL1です。NetflixアプリでもL1判定されていることを確認しました。よって、動画サブスクリプションサービスでHD以上の画質で視聴ができます。
2.外観
Tabwee T90には非常に多くの付属品が同梱されます。
・ケース(画像左)
・PET素材の液晶保護フィルム(中央上部)
・Bluetoothキーボード(中央下部)
・取扱説明書(右上)
・USB Type-A – USB Type-Cのケーブル(右上)
・マウス(右の中央)
・ACアダプター(右の中央)
・タッチペン(右下)
・タブレットスタンド(右下)
です。初めてAndroidタブレットを購入する人は特に重宝しそうですし、入学祝いなどのプレゼント用としても魅力的ですよね。なお、取扱説明書は多言語で書かれており、日本語も含まれていますが、内容は「各部名称とタブレットの基本操作の解説」程度です。ACアダプターは日本のコンセントに合うプラグ形状で、出力10Wのものでした。
前面です。ベゼル幅はエントリーモデルとしては普通くらいですが、直近でレビューをした上位クラスの製品(AvidPad A90やTeclast T65)よりは太めと感じられました。
背面です。金属製で弱めにサンドブラスト加工が施されており、手触りや質感は高いです。また、しっかり感(剛性感)もあり、軽くねじった程度では異音(ミシミシという音)は出ません。
上側面です。電源ボタンと音量ボタンがあります。
左側面には何もありません
下側面です。左右にスピーカーグリルがあります。Tabwee T90はステレオスピーカー搭載です。
右側面には左端にイヤホンジャック、中央やや右にmicroSDスロット、その横にUSB Type-Cポートがあります。
付属のケースです。高級感はありませんが「必要十分」であることは間違いありません。なお、Tabwee T90はホールセンサーは搭載していないようで、ケースのフタを開閉しても自動的に画面ON/OFFされません。
このケースはスタンドとしても使えます。「動画視聴時にスタンドは必須」だと思いますし、筐体保護の観点からもケースは「絶対に欲しい」ですね。
付属品のキーボードとマウスです。キーボードは充電式、マウスは電池式(単4乾電池2本使用)で、どちらもBluetooth接続のものです。まあ、少なくとも高級感はないですね…。
キーボードは英語配列でキーピッチは約17 mmと狭いですが、11インチタブレットの付属品であるということを考慮すれば妥当なサイズ感だと思います。
こちらはタブレットスタンド。角度調整もできますし、タブレットの下側面が触れる部分には柔らかい素材が貼られており、傷つきを防げそうです。
T90をスタンドに置いたところです。上に掲載したケースもスタンドとして使えますが、細かく角度調整したい場合はこのスタンドのほうが便利です(ケースをスタンドにする場合、角度調整はできません)。
タッチペンです。…まさにタッチペンですね。筆圧対応など、高度な機能を期待することもないペン先です。本格的なイラストやマンガの制作には使えそうにありませんが、これはこれでアリだと思います。
トップ画像を再掲します。「期待しかない」外観ですよね。さて、使いやすいでしょうか?便利でしょうか?
3. システム
Tabwee T90はAndroid 16搭載です。しかし、レビュー機は発売前にメーカーから送付されたため、Android 15搭載でした。以下の説明はAndroid 15環境のものです。市販品とは相違点が大きい可能性がありますので、この点ご了承ください。
ホーム画面とアプリ一覧画面です。TabweeというのはBlackviewのブランドですが、Blackviewの独自UI「Doke OS_P」は非搭載です。ほぼ「プレーンなAndroid 15」ですね。また、アプリ一覧を見ていただけるとわかりますが、Doke AIと称するAI関連アプリ群もプリインストールされていません。
独自のアプリとしてはOffice互換アプリ「WPS Office」と「FMラジオ」くらいです。FMラジオアプリは中国タブレットの多くにプリインストールされていますが、インターネット回線がないところでも使える(要するに本当にラジオです)ので、いざというときに便利かと思います(ただし、FMラジオアプリを使うためには有線イヤホンの接続が必要です。イヤホンのケーブルをアンテナ代わりにするためです)。
設定項目はほぼ完全に日本語化されており、英語のまま放置されているところは見つかりませんでした。独自の設定項目もほぼ皆無でしたが、他の中国タブレットと同様「色とコントラスト」という、ディスプレイの発色傾向を調整できる機能とメモリ拡張機能はついていました。ただ、メモリについては初期搭載で8GBありますので、UNISOC T615(T606)搭載機としては拡張する必要はないものと思います。
4. 使用感
ディスプレイ
Tabwee T90のディスプレイは11インチIPS液晶、解像度は1,920 × 1,200(WUXGA)、リフレッシュレートは60Hzです。製品価格が1万円台半ば(しかもキーボードやマウスなど豊富な周辺機器セット)のUNISOC T615搭載タブレットの場合、解像度がWUXGAのものとWXGA(1,280×800)のものが混在しており、製品選びの際には注意が必要ですが、T90の解像度であれば「合格」でしょう。
発色はキレイです。他の上位クラスのタブレットや99%sRGBのPCモニターと比較すると若干色味が淡いようにも感じられますが、「他と比較するから」そう感じるのであって、T90を単体で使うぶんにはまず不満は感じないと思います。また、タッチ感度についても基本操作レベル(OSやアプリの基本的な操作や画面スクロールなど)では問題を感じませんでした。
ただし、リフレッシュレートは60Hzと「並」クラスなので、高リフレッシュレートのスマホなんかを常用している人だとスクロールの滑らかさがイマイチと感じる可能性はあります。
スピーカー
レビュー期間中に音楽を聴いたりNetflixで動画を観たりしました。音質は「可もなく不可もなく」というレベルで、音楽用としては少し物足りない(低音が弱いなど)ものの、動画用としては十分な音質かと思います。T90は横持ち時の底面にステレオスピーカーを搭載しており、ステレオ感はしっかり出ます。
キーボードとマウス
「意外に使える」んですよw キーボードは英語配列で薄っぺらく、普通にタイピングしても少したわむような感じで少々頼りなく、キーピッチも手採寸で約17 mmと狭い(一般的なキーボードは約19 mm)のですが、メールを書いたりするには十分な使用感でした。見た目よりもキーストロークが深いのも好印象でしたね。
ただし、これはT90の問題とは言えないのですが、現行の「GboardとAndroid 15の組み合わせ」には少々問題があります。付属のキーボードは英語配列なので、日本語入力をする際に「@」とか「(」「)」の位置が日本語キーボードとは異なります。これを修正すべく、IMEを日本語のままにしてGboardの物理キーボードを英語配列にしようとすると「できません」。「IMEの切り替えをすると自動的にキーボード配列も変わる」という意味不明な仕様です。なので、IMEが日本語である限り、システムはキーボードを日本語配列として認識するので、「@」や「()」の位置はズレたままです。英語入力の場合は問題ないというか、キーボードの印字どおりの配列になります。
この点、散々調べましたが、「Android 15とGboardの仕様」のようです。これを回避するにはGboardではなく、別のIMEをインストールする必要がありますが、ソフトウェアキーボードの方にも影響が出そうなので「ズレたまま使う」のでいいかな、と思いました。
マウスは「本当に普通」です。特に使いやすいとか使いにくいとかは感じませんでした。強いていえば、かなり薄型なので、普段大きめのマウスを使っている人は使い始めのうち少し違和感があるかもしれません。あと、電池式(単4乾電池2本)で電池は付属しませんので、別途購入する必要があります。
タッチペン
上で説明した通り、「見るからにタッチペン」で、筆圧や傾き検知などを期待し得ない形状なので、その意味では悪くないと思います。どちらかと言うと「指の代わりにアイコンをタップしたり、画面をスクロールさせたりするのに使う」感じですね。Keepアプリで手書き入力をしてみましたが、冗談抜きに「2テンポくらい遅れて描画される」感じだったので、文字入力用として使う場合は少しストレスを感じると思います。
カメラ
カメラアプリです。(若干怪しい表現もありますが)ほぼ完全に日本語化されています。設定項目は少なく、HDRにも対応しません。画素数は前面カメラは8MP(4:3)のみ、背面カメラが13MP(4:3)、9MP(16:9)、6MP(1:1)の3種類です。
背面カメラで何枚か写真を撮ってみました(オリジナルは13MP、サイト掲載用に1,200×900・1MPに縮小しています)。
「晴天の日中」に撮影したこともあり、キレイに撮影できています。色味も割と自然です。

4倍ズーム
ズームは最大4倍まで可能です。ただし、4倍ズームにするとかなり画質が悪くなってしまいます。拡大鏡代わり、という感じでしょうか。
5. 性能テスト
Antutuベンチマークスコアは241,056点でした。UNISOC T615搭載機としては若干低めですが、異常という感じではありません。このスコアだと、動画視聴やWeb閲覧、ニュースアプリ、パズルアプリ、SNSの利用等ではストレスを感じないと思います。
6. レビューまとめ
Tabwee T90はAmazonで販売中で、7月15日現在の価格は16,499円です(クーポンコード「DCXKWNYA」を使用。7月29日まで)。
UNISOC T615/T606搭載の10インチ~11インチくらいのAndroidタブレットは1万円強くらいから購入ができ、ウインタブでレビュー実績のあるメーカー製品でも15,000円弱くらいのものが販売されているので、Tabwee T90は必ずしも最安値とは言えません。
ただし、T615/T606搭載の低価格タブレットの場合、ディスプレイがWUXGA(1,920×1,200)解像度ではなくWXGA(1,280×800)解像度の製品も混在しているため、購入検討にあたっては注意が必要です。
Tabwee T90はスペック面では「Android 16搭載(レビューでは未検証)」「ディスプレイがWUXGA」「(仮想RAMを含まない)RAMが8GB」という点に優位性があり、「LTEモデルではない」というのが注意すべき点と言えます。そして「ケース、キーボード、マウス、保護フィルム、タッチペン、スタンド」がセットになっているのが大きな魅力で、これらの付属品の価値をどう評価するか、というのが購入検討のポイントになると思います。
タブレット本体の性能は「想定通り」と言え、ディスプレイやスピーカーの品質、及び筐体の品質(質感や剛性感)はT615搭載タブレットとして高い水準にあると評価できます。また、キーボードやマウスは「それなり」ではありますが、実用に耐えるものでした。これらの点を踏まえると、16,000円台という価格は妥当であり、お買い得でもあります。
初めてAndroidタブレットを購入する人、キーボードやマウスを接続してGoogleドキュメントやWPS Officeなどを駆使して事務仕事に使ってみたいという人には面白い選択肢になると思います。それと、お子さんへのプレゼントとして購入するのもいいんじゃないでしょうか。
個人的には「スペックのいい上位クラスのタブレット」もいいと思いますが、Tabwee T90のように「普段使いに耐えられる性能を備え、安くて全部入りのタブレット」も大好きですね!
7. 関連リンク
※クーポンコード「DCXKWNYA」で16,499円。7月29日まで。
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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