こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は久しぶりにAndroidのTV Boxの実機レビューです。TV Boxに関しては過去に何度か実機レビューをしていますが、読者のみなさんの反応は概して薄いです。たぶん、位置づけが中途半端なのかなあ、とも思います。Android機としても使え、(インターネット)テレビの視聴も可能、テレビに接続するもよし、PCモニターに接続するもよし、ということだと、「どっちつかず」なのかもしれません。
今回紹介するPROBOX2 AVA」は「かなり変わった」特徴があります。ある意味「振り切って」いると思いますので、あるいは読者のみなさんからの注目度も高くなるかもしれません。そして、初の試みとして、外観レビューを私が、そしてシステム説明や使用感を読者の方(T-bao Tbook x7の読者レビューをしてくれたChloéさんです。ネットワーク関連の知識をお持ちということで、この製品のレビュアーとしてスカウトしました)にレビューしていただいています。
なお、この製品はメーカーさん(W2COMP COMPANY LIMITED@香港)から直接提供していただいております。W2COMP COMPANY LIMITEDにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
目次
1.スペック
OS: Android 6.0 + OpenWRT(NAS)
CPU: Realtek RTD1295DD
RAM: 2GB
ストレージ: 16GB(2.5インチのHDD搭載可)
ディスプレイ: なし
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
カメラ: なし
入出力: HDMI-IN、HDMI-OUT、USB 3.0、USB 2.0、SDスロット、LAN(RJ45)、DC-IN、SPDIF
サイズ: 200 x 125 x 21 mm / 265 g
ウインタブでは実機レビューの際に、OSのバージョン、CPUのスペック、RAMやストレージの容量ばかり優先してチェックしてしまうので、この製品の特殊性についても最初は全然気づきませんでした。「Android 6.0でしょ、RTD1295DDなんて型番は知らん、RAM2GBにストレージ16GBなんて大したことないよね」とバッサリ…。
しかしこれ、よく見ると単なるTV BOXのスペックじゃありません。まず、NAS(自宅なりオフィスなりの、LAN環境下で直接接続できるストレージ)として使えます。そして、「最大4TBまでのHDD(2.5インチ)」を増設するためのベイがついています。
また、HDMIポートが2つあります。ひとつは一般的なHDMI出力端子ですが、もう一つは「入力端子」です。これ、サラッと書いてますけど、実は「相当な変わり者」と言えます。この機能とNAS機能がこの製品のセールスポイントです。
2.筐体
初めてレビューする会社の製品なので、外箱から。私あんまり外箱に関心がないので、コメントなしですw ただ、製品はしっかり保護されていました。また、この製品は日本のAmazonで買えます(メーカーがAmazonに出店しています。つまり直営店がAmazonにある、ということです)し、在庫はAmazonの倉庫にあるので、海外配送のように箱がへこんでいるとかもありませんでした。
同梱物です。本体のほか、着脱式のアンテナ、取扱説明書(英文のみ)、ACアダプター(日本のコンセントで使えます)、HDMIケーブル(1本のみ)、リモコン2つ(?)が入っていました。この製品の持ち味を生かすためにはHDMIケーブルはもう1本必要ですね。もちろんお手持ちのケーブルでも大丈夫です。
筐体前面です。デジタル時計がついています。この製品には電源ボタンがなく、電源に接続するイコール電源オン、電源を外すイコール電源オフです。AndroidのTV Boxにはこのような構造のものがよく見られますが、Windowsユーザーとしては「大丈夫なのか?」と少し不安になりますよね。
筐体はプラスティック製で、高級感はありません。少し辛辣に書くと、価格の割に安っぽいですね。余計な装飾を一切していないから、ということも言えますけど。
左側面です。アンテナの形状がわかるように画像を少しずらしました。この面には、画像左からUSB 3.0、USB 2.0、SDスロット(mini規格ではありません)がついています。
背面です。ポートは画像左からHDMI-OUT、HDMI-IN、有線LAN(RJ45)、SPDIF、DC-INがついています。
で、HDDベイ(トレイ)がこのように…。DIY前提といいますか、誰でも簡単に取り付けが可能です。ただし、一応器具を使わずにトレイを開けることはできるものの、かなり力がいります。なにか器具を使ったほうがいいかもしれません。
トレイを開けると、使用できるHDDの要件が記載されています。
先に底面から。HDDトレイはこんな感じになってます。また、この製品は「ファームウェアアップデートボタン」というのがついていて、まるでリセットボタンのように尖ったもので押すしくみです。
また表面に戻りまして、これが筐体の右側面です。この面にはなにもついていません。
この製品に同梱される2つのリモコンのうち、「標準装備」と思われるのがこれ。一般的なTV BOX用リモコンと変わらず、マウスカーソルの操作もふくめ、一通りの基本操作ができます。
こちらが「Remote+」と呼ばれる、もう一つのリモコンです。USB子機もついており、この製品だけでなく、他のデバイスにも接続が可能です。
外観レビューはここまで。このあと、読者レビュアーのChloéさんにバトンタッチします。
3.システム(Chloéさん)
初回起動では最初にいくつか設定をすることになります。
しっかりと日本語も選択できます。
ホーム画面ではカテゴリー別にアプリを登録することができ、使いやすいシンプルな表示です。Google Playも標準装備で使いやすいです。
最初にインストールされているアプリ一覧です(Antutuは自分でGoogle Playから入れました)。
また少し個人的な要素なのですが設置場所がデュアルディスプレイの間あたりでして、この製品が時刻を大変見やすく表示してくれているのですごく便利に感じました。時間を忘れて夢中になっているときに、時刻が目に入りやすくはっきりと表示されていて助けられた場面がありました。
紹介したいものとして【KODI】というメディアアプリがインストールされているということがあります(なくてもストアで後からインストールはできます)。WindowsやMacなど様々なOSプラットフォームで使えるアプリです。
例えばWindowsでファイルを共有する機能がありますが、それにアクセスして動画の再生などが出来るというものになっています。
試しにこの記事を書くために用意されている画像を格納したフォルダにアクセスしてみます。
初めにWindows側でフォルダの共有を設定をします。
その後、本製品からアクセスできるようになり無事に画像たちが見えました。
さらに面白い機能としてはHDMI IN、HD IN、Picture in Pictureという機能があります。要はHDMIケーブルをINPUTに繋げると本製品を操作しながらHDMI INの映像を小さく表示や全画面表示することができます。
それには録画機能までついていますので、Windowsの操作の説明のために録画をしたりなどができます。ただしHDCP(コピーガード機能のようなもの)が付いているPS3/PS4/Xbox360/ブルーレイプレイヤーなどの機器では録画はできないと説明書に記載がありました。Chrome Castで試したところ当たり前ですが録画不可能でした。視聴だけなら使用できると思います。
Windows10に繋げてみたところセカンドディスプレイとして認識されました。この映像を配信する機能もあるようでしたが、説明書だけでは詳細な仕様がわからず試せていません。
そして本製品にはNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)=LANで接続するストレージ、として使う機能もあります。これは先ほど触れたファイル共有とは反対に本製品側をホストのよう扱っている形ですね。
4.使用感→Android TV Boxとして(Chloéさん)
最初に感じたのが、最近のリモコンはここまで進化しているのか、ということです。画面やAndroid TV Boxの設置場所とは関係なくカーソルを動かせることに驚きました。私が時代遅れなのかもしれません…。
Wiiでいうセンサーバーのようなものが必要なのかと思っていたのですが、自動で画面の端まで行くとカーソルの位置を修正してくれます。極端なことをするとリモコンを後ろに向けて操作しても普通?に使えます。
リモコン操作では動画鑑賞が使い道としては1番良いと感じました。有線LANでの安定した動画視聴が快適です(画像はAmazonプライムビデオを視聴したものです)。
さらにUSBのマウスとキーボードを接続しての使用もしてみました。リモコンは補助的に使う程度にしてみるとRemix OSとアンドロイドの中間、混ざった感じという印象です。少し拡張性のあるスティックPCのように扱えました。
2.5インチのストレージを入れるスペースもあるので、リビングに置いて動画鑑賞などで使うのもよし、ミニデスクトップPCとして使うのも良いといった印象です。
先に触れたNASとしての使用感を試すためにメディアサーバーでよく目にするDLNAという方式でスマホで音楽を聴いたり、画像を開いたりしてみました。OpenWRTという、ルーターなどにインストールして使う機能がデュアルブートのような形で本製品には搭載されています。それを用いることによって家庭内LANでメディアサーバーなどに使えるのです。設定は難しそうに思われますが、DLNAの機能をONにしてあげる程度のことで家庭内LANからアクセスできるようになります。
Androidでアクセスして音楽を再生できました。
PCでも特別な設定なしにネットワークに表示されています。
取扱説明書がないのであまり高度な使い方はご紹介できませんでしたが、NASが使えるというのもこの製品の魅力なので少しだけですが触れてみました。
5.性能テスト(Chloéさん)
Google Playが標準でインストールされているのでAntutuをインストールしてスコアを測定してみました。測定中は映像がカクカクとした感じで、音はちゃんとつながっているといった状態でした。
参考:
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
UMI Z(Helio X27): 110,070
Elephone S7(Helio X25): 92,543
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
※マウス MADOSMA Q601(Snapdragon 617): 48,008
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
ZOJI Z7(MT6737); 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
※印はWindows 10 Mobile搭載機です
やはりスペックを求めてこの製品を選ぶのは厳しいかなといった印象です。動画閲覧や軽いゲームを付属のコントローラーリモコンで操作する程度なら十分なスペックだとは思います。
6.まとめ(Chloéさん)
Android TV BoxやスティックPCなどはまだ一部の層でしか話題になっていないと思うのですが、こういった便利で使いやすい機器がもっと普及して選択肢が増えていってくれれば初心者もヘビーユーザーもどんどん目を向けて面白い使い方がみつかったり、それぞれの目的のガジェットを探しやすくなるのではないか、そう感じました。
これから部品の小型化によりいろいろなガジェットが小型化(もしくは大画面化や薄型化)してくると思いますが、今回のような製品の類の物はまだまだ成長や改良の幅がたくさんあると思います。この製品はその先駆け的時代の物の中の1つなのかなと思いました。
7.まとめ(ウインタブ)
ウインタブでは過去にAndroid TV Boxの実機レビューを何度か実施していますが、「いまいちピンとこない」というのが正直な感想でした。しかし、ProBox 2 AVAの場合、「ネットワーク機器」という要素を盛り込んでいる点で新しい、と感じます。実際、家庭内でホームネットワークを設定するのは難しくはないものの、かと言って誰でも簡単にできる、というようなものではありません。
なので、ネットワークの知識があれば、という但し書きが必要になりますが、HDDを増設でき、NASとしても使えるこの製品は従来のAndroid TV Boxの枠を越えた製品であると思います。また、「HDMI IN」がついている、というのは実はすごいことですよね!TV Boxだけでなく、一般的なパソコンでもHDMI OUTはあってもINなんてついてませんから。
この製品はこのあとChloéさんが継続して使用することになっていますが、ネットワーク関連知識をお持ちのこの人なら、この製品をさらに活用することができるのではないか、と思います。
ProBox 2 AVAはAmazonで販売中で、価格は税込み18,800円となっています。単にAndroid TV Boxというだけならこの価格は決して安くはありません。しかし、これまで書いてきたように、HDMI INやNASとしての利用など、この製品ならではの独自機能をきっちり使いこなせる人にはむしろ安い買い物と言えるかもしれませんね。
8.関連リンク
PROBOX2 AVA (/w Remote+):Amazon
※メーカーによる出品です。
コメント
最後まで読んでもこの製品の何をレビューしたいのかサッパリ解りませんでした。
>当たり前ですが録画不可能でした。視聴だけなら使用できると思います。
>「HDMI IN」がついている、というのは実はすごいことですよね!
何が凄い事につながるのか教えて欲しかったです。
その他・・・
>「最大4TBまでのHDD(2.5インチ)」ってことはMBR?
リモコン2つの意味は2画面の為だけ?リモコンの対応機種は?(Win?/Mac?/Android?)
ファイルシステムは?
電源管理は?(WoLなどなどNasの最低条件他)
消費電力は?
転送速度は?
きりがありませんが、中華製品は信頼性が欠如しているのに製品情報が少なすぎて
割り切った購入すら躊躇してしまいますからウインタブさんのような情報発信はたいへんありがたいです。
こんにちは、コメントありがとうございます。この製品は私にはうまくレビューができず、読者の方にお願いしてレビューしてもらいました。いろいろご意見はおありかと思いますが、実機レビューには限界があり、読者の方全員にご満足いただけるような内容にするのは非常に難しいです。
今更なのですが、ニンテンドースイッチのゲームを普通に録画できました。
Android+HDレコーダーという製品に魅力を感じる方にはとても良い製品なのではと思いました。
プレイしながらの録画ですが特に大きな遅延は感じられず(私がにぶいだけかもしれませんが)録画しながら快適にプレイできました。