SKT株式会社が中国のOnyx International製のE-ink搭載Androidタブレット「Boox Max3」を発売しました。SKT株式会社は自らを「E-Ink製品の専門店」と称し、Booxシリーズを始め、「Dasung Paperlike Pro Touch(E-inkを搭載するPC用モニター)」など、様々なE-ink製品を取り扱っています。
今回紹介するBoox Max 3は13.3インチと大型のタブレットで、「Boox Max2 Pro」の後継モデルとなります。
1.スペック
OS: Android 9.0
※Google Playあり
CPU: Qualcomn Octa-core 2.0GHz
RAM: 4GB(LPDDR3)
ストレージ: 64GB eMMC
※SD、microSDカードリーダーなし
ディスプレイ: 13.3インチE-ink(2,200 × 1,650)207dpi
※16階調グレーススケール
※リフレッシュ技術:Regal
※静電容量方式タッチ
※フロントライト無し
※ワコム4,096段階筆圧検知のペン入力
入出力: USB Type-C、microHDMI
※マイク、スピーカーあり
ネットワーク: 801.11 b/g/n、Bluetooth 4.1
バッテリー: 4,300 mAh
サイズ: 309.8 x 227.8 x 6.8 mm / 490 g以下
物理ボタン: 電源、指紋認識機能付きの戻るボタン
従来モデルMax 2 Proと比較して、かなり大きな変更となりました。まずOSにAndroid 9.0が搭載されています。2019年10月時点で最新のAndroid OSのバージョンは「10」ですが、E-inkタブレットは概してOSのバージョンが古く、従来モデル(2019年2月発売)ではAndroid 6.0が搭載されていましたので、少なくともOSについては「劇的に進歩した」と言えます。
CPUは型番が明らかになっていませんが、ここでも従来モデルの「1.6GHz クアッドコア」からはパワーアップしています。E-inkタブレットはディスプレイの反応速度や描画速度が通常の液晶よりも低速なので、ゲームプレイなどには向きません。そのため「Snapdragon 855」みたいな超高性能CPUは必要ないと言えますが、それでも従来モデルから高速化したというのはうれしいですね。
RAMは4GB、ストレージは64GBで、このあたりは従来モデルと変わりません。また、microSDカードによるストレージ拡張にも対応していませんので、ブックリーダーとして使うぶんにはともかく、アプリをたくさんインストールするような使い方だと少々不足感があります(後述しますが、USBポートがOTG対応しますので、多機能ハブなどを使ってSDカードを接続することは可能です)。
ディスプレイは13.3インチのE-inkで、解像度は2,200 × 1,650(アスペクト比4:3)と、iPadを大きくしたような形状となります。ここは従来モデルから(少なくともスペック表の上では)変更ありません。すでにご存知と思いますが、念のために書いておくと「E-inkディスプレイはカラーではなく、モノクロ(正確には16階調のグレースケール)です」。
それと、この製品は従来モデルの頃からワコムデジタイザーを搭載し、4,096段階の筆圧に対応するペン入力が可能です。なお、E-inkディスプレイでのペン入力については、ライターのnatsukiさんが過去に別製品で実機レビューをしていますので、こちらをご参照下さい。
BOOX Note レビュー - ついに登場! 電子ペーパーの可能性をとことん堪能できる、ロマンあふれる端末(実機レビュー:natsuki)
入出力ポートは従来モデルがmicroUSBだったのに対し、Max 3ではUSB Type-C(OTG)です。この結果、有線キーボードの接続やSDカードによるストレージ拡張にも対応するようになりました。
次にバッテリー容量とサイズについて、従来モデルと比較してみます。
Max 3:309.8 x 227.8 x 6.8 mm / 490 g以下 / 4,300 mAh
Max 2 Pro:325 x 237 x 7.5 mm / 550 g / 4,100 mAh
実はサイズが最も大きな改善点と言えるかもしれません。確実に従来モデルよりも薄く、小さく、軽くなっています。しかもバッテリー容量は増えています。バッテリー稼働時間については公表されていませんが、E-ink端末って一般的なタブレットと比較するとめちゃめちゃバッテリーが長持ちしますので、この点はあまり心配しなくていいと思います。
2.筐体
前面と背面です。プレーンなホワイトのタブレット、と感じます。前面の「戻る」ボタンは指紋センサーも内蔵されました。また、物理ボタンの配置は従来モデルから大きく変わっています。
こちらが従来モデルのBoox Max 2 Proです。ご覧のように4つの物理ボタンを備えています。「物理ボタンが少なくなる」というのにはいろんな意味があると思います。物理ボタンのかわりにディスプレイ内のソフトウェアボタンなどを使うことになるはずですが、CPUやOS(UI)の改善により、「ソフトウェアボタンなどの操作性が向上した結果として物理ボタンが減った」と好意的に解釈したいと思います。
入出力ポートの配置です。USBポートがType-Cに変更されたのは朗報ですが、実はこの製品、HDMIにも特徴があります。従来モデルでもそうだったのですが「HDMI入力」を受け付けます。つまり、PCのモニターとして使えるということです。
こんな感じですね。サイズも13.3インチありますので、ノートPCのお供に、目に優しいE-inkのサブディスプレイが手に入る、というのも大きなメリットかと思います。また、この製品をPCディスプレイとして使う場合、複数の描画モードが選択できます。「高速だが表示が粗いもの」とか「表示が美しいが低速なもの」などですが、ユーザーは利用シーンに合わせ、モードを切り替えることになります。Max 3では新たに「Xモード」という「ウェブサイト等の閲覧に優れた」モードが追加されています。
3.価格など
Boox Max3はAmazonとYahooショッピングで販売中で、10月8日現在の価格は税込み98,780円です。Androidタブレットとしてみると高価に感じられますが、この製品の場合、電子ブックリーダー、ワコムデジタイザー搭載のAndroidタブレット(ただし、ゲーム用としては厳しいです)、そしてPC用のE-inkディスプレイなど、異なる用途で使えますので、それらの用途への適用という点では決して高価とは言えないと思います。
E-inkを電子ブックリーダー以外の用途で使う、という取り組みについては、日を追うごとに実用性が高まっていると感じます。特にPC用モニターとしては、以前だと「描画が遅くて使いにくい」と感じられたものが、直近のニューモデルでは大幅に改善されていることを確認しています。E-ink搭載端末のメリットはなんと言っても「目に優しい」ことです。画面の美しさだけを気にするのなら、わざわざグレースケールのE-inkを使う意味はないと思いますが、健康管理面では効果が期待できますので、この製品の存在意義は十分にあると思います。