どうも。ひつじです。今回は私の姉を巻き込んでXP-PENの「Artist 22R Pro」の実機レビューをお送りいたします。評価者が姉、執筆者がひつじ、というところですね。
今回の「Artist 22R Pro」はいわゆるイラストなどに活用できる液晶ペンタブレット(以下液タブ)ですが、実機を触る機会ってどうしてもWacom社のものを除き少なく、決して安い買い物ではない点も相まって手を出し辛い製品ジャンルになっているんですよね。
(結果的に比較相手には申し訳ないのですが)他社製品となるべく比較することを前提にレビューをしています。なるべく購入における不安要素を取り除けるような内容をお伝えできればと思っておりますので是非ご参考ください。
なお今回は実機をXP-PENより提供頂いております。ありがとうございます!
1.スペック
対応OS:Windows7以降、MacOS X 10.10以降
ボタン数:リングホイール×2、ショートカットキー×20
接続方式:USB Type-CまたはHDMI(VGAでも可)+USB ※電源供給はDCのみ
ディスプレイサイズ:21.5インチ(1,920×1,080)
ディスプレイ形式:不明(恐らくIPS)
色域:sRGB≧120%・NTSC 88%・Adobe RGB≧90%
タッチ操作:非対応(ペンのみに反応)
応答速度:14ms
傾き検知:60度
筆圧感度:8,192レベル
精度:±0.254mm(中央)
読み取り解像度:5,080LPI
レポートレート:最大200RPS
読み取り高さ10mm
対応ペン:XP-PEN PA2
ペンバッテリー:不要
寸法:570×334.8×44.8 mm
重量:4.56 kg
XP-PENでは「ショートカットキー」を「エクスプレスキー」と表記しているようですが意味が伝わりやすいのは前者かと思いますので記事内ではそちらで統一させて頂いています。
カタログスペック上で注目点と言えるのがまず「リングホイール」の存在ですね。リングホイールを有する競合機種は極めて少ないのですが、イラスト用途との親和性が極めて高くペン先のサイズ変更や拡大縮小等に効果を発揮します。
接続方式も従来同様の「HDMI or VGA」とUSBによる接続をサポートしていますが、新たにUSB Type-Cでの接続にも対応しています。後者の場合接続するパソコン側の対応も必要ですがシンプルな接続環境が構築できる点は魅力的です。
ディスプレイ解像度はFHD。ディスプレイ形式は明確な記載はありませんがIPS形式で間違いないでしょう。色域も広く、グラフィック向けディスプレイ単体として見ても魅力的なスペックを有しています。一方タッチ操作には非対応のため、ペンが無ければ画面操作はリングホイールやショートカットキーを除き対応不可ですが中途半端なパームリジェクションを実装するくらいならばこの方がはるかに精神衛生上楽です。
応答速度は筆記した線の表示に影響する関係上、快適性に直結しますが液タブとしてはかなり高速な部類。また傾き検知も実装(線の太さにも反映)されています。筆圧感度や精度等、液タブとしてのスペックも上々でしょう。
対応ペンはXP-PENの「PA2ペン」ですが、これはバッテリーや充電が不要な仕様でかつ、ペン先の沈み込みもほぼ無いものになっています(知覚するのが難しいレベル)。
2.筐体
まず付属品から。かなり多いですね。クリーニングクロス、保証書や説明書等、手袋、VGAケーブル、HDMIケーブル、USB Type-Cケーブル、USB Type-CとType-A(通常のUSB)変換アダプター、本体に取り付けるペンホルダー、マイナスドライバー、ペンケース(ペンスタンドと兼用、替え芯8本付属。1本のペンを収納可能)、ペン2本(1本はペンケース内)、ACアダプターが付属しています。なお、ペン1本とマイナスドライバーは「ギフト」扱いになっています。
なお説明書は日本語訳されていますが内容はあっさりとしたもの。特に初心者の方などで迷う部分があればインターネットで検索などをして調べた方が良いでしょう。
なお、ペン芯の交換はペンケースを活用するようです。ペンケースの替え芯が収納されている側中央の穴にペン先を斜めに差し込んで回せば芯は取れるようですね。
ペンは13.5gでバッテリーや充電は不要。右クリック機能と消しゴム機能を有しています(ホバリング~画面にタッチしていなければ当然動作しません)。筆圧感度がやや硬いため元々筆圧がかなり弱い人だとそこは意識しないといけないかもしれません(調整は可能。また姉は筆圧が極端に弱い・強いといったことはありませんがデフォルトで問題なし)。
ペンそのものの価格は非常に安価ですし、特に納期を気にしないといけないタイプの方は替え芯もかなりリーズナブルなので予備を常備しておくのもいいかもしれませんね。
続いて本体。筐体が大きいのでいつものように各面を大きく撮影すると説明箇所が分かりにくかったため、必要な部分のみクローズアップしています。
まず本体前面。元々フィルムカバーが付けられていますが、これを剥がしても下にアンチグレアタイプの保護フィルムが標準で貼り付けられています。貼り付け精度も良好でこのまま使う前提で良いでしょう。フィルムそのものはペーパーライク等ではありません。もし筆記の感覚が苦手であれば別フィルムを検討しても良いと思います(替え芯が安いので、替え芯寿命に関わるフィルムもためらいなく変更できるのがいいところですね)。
ショートカットキーやリングホイールは左右に備え付けられています(左利きにはありがたい)。リングホイールはクリック感のある回し心地になっているため、タッチセンサー方式と比較して「段階」を把握しやすく使い勝手は上々。デザイン上のアクセントにもなっていますね。
液晶はフルラミネーションタイプではありませんが、視差における問題は感じられませんでした。
続いて本体上部。タッチセンサー式の操作ボタンが搭載されています。いわゆるブライトネス調整などが可能なOSD操作用と電源ボタン(長押し要)ですね。液タブの奥にキーボード等を置いた場合に手が当たる等で動作することがありますが基本的には使いやすいです。
それから本体裏面です。
スタンドが取り付けられているのが分かりますね。このスタンドは10段階の角度調整が可能なのですが液晶ベゼル側で2点支持になっている点が大きなポイント。
液タブの中にはスタンドだけで支持をするものも存在しますが、これらと違いグラつきが非常に少なく設置した場合に安定するんですよね。またスタンドの高さ調整も非常に簡単で、慣れれば片手で操作可能でしょう。
また、本体正面から見て右側からケーブルを出し入れする位置に接続端子類は集約されています。奥よりUSB端子が2つ、HDMI、VGA、USB Type-C(PCとの接続用)、DC端子となっています。端子そのものの質も高く、USB Type-Cにありがちなグラつきなどがない点も好印象。差し込んだ際に引っかかり感があって隠れた美点だと感じます。
なお本体が大きく重いので、設置後にソフトウェア等をダウンロードしたい場合は背面のシリアルナンバーをあらかじめ控えておきましょう。
また本体左右側面(やや上部)にはゴムキャップがされている場所があります。このゴムキャップは爪で剥がすことが出来るのですが、ここに付属のペンホルダーを取り付け可能です(マイナスドライバー要)。
ペンケースがペンスタンドとして利用可能とはいえ、本体の見える位置にホルダーを取り付けられる点は使い勝手の上でも良いと言えます。
筐体のサイズはこの手の液タブとしては標準的といったところでしょう。参考までに姉が今まで使っていたHUIONのGT-221Proと比較していますが、わずかにArtist 22R Proが小型、といったところです。
3.使用感
ディスプレイ品質
この点は正直驚きました。かなり良好な質を有しています。なお色温度等は付属のソフトウェアにより調整が可能ですが今回はデフォルト設定(6500K)のままで確認をしています。
まず、色温度そのものは表記通りかなり正確で狂いはほぼない、と言って良いでしょう。個別調整されたグラフィッカー向けディスプレイに肉薄するだけの質を備えています。
色表現は印刷物ではなくあくまでデジタルコンテンツを照準としているようですが色表現はかなり的確です。広色域ディスプレイらしい緑や赤の表現をしつつも、正確な色描写を維持しています。グレースケールにおける色被りもありませんし、非常にしっかりした品質を有していると言い切ってよいでしょう。少なくともイラスト制作であれば吊るしのまま使用しても大きな違和感は出ないものと思われます。
ペン先のずれ
この点も問題なし。キャリブレーションしなくともほぼ問題なく使用可能ですが、キャリブレーション後であれば中央で視差も含めほぼずれは認識不可(おおよそ1px単位で合う)、4隅付近で数pxほどずれる場合がある、といったところです。(いずれもドットバイドット)1mmも差がないようなずれ方です。これは「かなり優秀」と言って良いでしょう。またペン先もやや細く、ずれの把握がしやすい点も意外な美点、といったところでしょうか。ただこのずれはペンの持ち方などによる個人差が出やすい要素である点はご考慮ください。
補正処理など
筆圧感知について一部後述しますが「強み」あるいは「独自性がある」という評価になるかと思います。使用してすぐに感動を覚えるポイントでした。線を引いた時の感覚とその結果が極めてアナログに結びつく仕上がりになっています。これはWacomを含め、他社では感じられない秀悦なポイント。これは実に「愉快」です。イラストを描く時に感じる作業感が非常に軽減されます。1本何気なく描いた曲線や細かい書き込みが遅延なく、しかも込めた筆圧に乗っ取ってある意味シビアに反映されていく感覚はほとんどアナログそのもの、といったところです。
斜め線を数本引いてみましたがペンの傾きが60度を超えるとやや線のブレやペン先のずれは発生する場合があるようです。特に描写時にペンの傾きが変動しやすい人は描き方に気を配った方がいいかもしれない側面はあります。ただ、この補正の強さは「アナログらしさ」とトレードオフであるのも事実です。
Wacom等は補正を強めていることで上記のような描き方をする人でもブレやずれを抑え込んでいるようですが、その分「デジタルくさいイラスト」に仕上がります。人間では成し得ない位に綺麗すぎる筆圧の抜け感やあまりにも滑らかな線の仕上がり等に「やりすぎ感」が出てしまいますし、昔から板タブや液タブを使用しているユーザーの中にはそれに辟易している方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。そういった人にとってこのXP-PENの調整はむしろストライク。あくまでイラスト制作やプロユースが中心にある液タブと言って良いでしょう。
更に言えば、デフォルトで強い補正がかかっていると補正軽減は出来ませんが、元々の補正が弱ければイラストソフト等である程度は代替できる場合もあります。そういった意味でもこの調整は的確な判断だと言えます。
ただ、SAIのように元々補正の強いソフトウェアや近年のWacomの描き味を好む方は補正の薄味さに不満を感じる可能性がある、という点は購入検討時考慮しておいた方がよいでしょう。
その他ハードウェア面
ショートカットキーや消しゴムツールは他社と多少勝手が違う部分があるかもしれない、とのことでした。前者の場合はキーボードの日本語入力がONになっていると機能しない場合があるようです。また後者の場合はイラストソフト側UI上のペン⇔消しゴム切替とは独立して動作している場合もあるようで、この辺りの使い勝手についてはある程度の慣れが必要でしょう。(慣れれば使いやすいものになるはずです)
一方、リングホイールの利便性はかなり高いですね。クリック感がある、というのは非常に大切でタッチセンサー式ではコントロールできない緻密な段階操作なども容易に対応可能です。機能設定の変更も可能ですから作業の効率化にかなり寄与する実感があります。
その他ソフトウェア面
調整用ソフト「PenTablet」の使い勝手は良好です。ペン先のボタン機能変更や筆圧、キャリブレーション設定以外にモニタの色調設定やショートカットキー、リングホイ―ルの機能設定が一元的に設定可能です。仮にこのソフトウェアで充足しきれない設定や、より細かく調整したい項目があった場合はGPU側の色設定やイラストソフト側の補正機能設定等を併用すればほとんどの不満は解消できるのではないでしょうか。
また、XP-PEN公式サイトで製品を購入した場合、DL可能なイラストソフトとして「OpenCanvas」と「ArtRage」がありますが、基本的にはClipStudioやPhotoshop、SAIを持っていればあまりお世話にはならないソフトかもしれません。OpenCanvasはソフトウェア起因と思われる筆跡の途切れ等もあったため、あくまで「おまけ」位に思っておくとよいように思います。
ちなみにAmazonで製品を購入した場合openCanvasに加え、Pixivプレミアム3か月利用権が付与されるようです。
ドライバー面についても不満は特に出ませんでした。稀に操作に起因していると思われる想定外の事態も他の液タブと同程度には発生しますが、これらもPCの再起動で大体解決します。
4.他機種との比較
今回上記のような項目別レビューだけでは魅力をお伝えしきれないと判断し、家電量販店(担当者が常駐しある程度の製品管理をしている)にて実機を触れたものと比較した内容をお伝えいたします。
比較させて頂いた機種や利用ユーザーには一部申し訳ない点もあると思いますがご容赦ください。なお参考価格は税込です。
HUION
・GT-221pro(終売・約4万円程度)
発売年度、価格共にHUION側が不利な内容というのが前提になっています。この機種はそもそも姉が今までメインとして使用していた機種であることから「使える製品」であることは明白なのですがペン先のずれ、色(HUIONは白飛びする)、ショートカットキーを初めとする機能回り、ハードウェア面の微細な要素(スタンド、ペンホルダー等)、ペンの仕様(バッテリー有無)のどれをとってもArtist 22R Pro優位です。これは比較がかわいそう、といったところでしょう。
ドスパラ
・raytrektab dg-d10iwp2(参考価格:65,780円)
これも明らかにraytrektabが不利です。大きさが違う上にハードウェアとしても構想が違いますから。raytrektabは描き味についてHUION GT-221proと比較した場合だとより優位な製品なのですが、さすがにArtist 22R Proと比較した場合、サイズ感のみならず基本性能(特に筆圧感知の抜け感、応答速度、補正の自然さ等)で総じて苦しい、といったところです。ただ持ち運びできる点など、明らかにraytrektabが優位なポイントもありますしペンの選択バリエーションはどうしてもraytrektabが上。PC込みの値段、と考えればかなり優秀な製品であるとも言えますから、利用シーンによってどちらが良いかを選ぶべきでしょう。
Wacom
これが一番需要のある比較だと思います。
・DTK1660K0D(参考価格:74,580円)
価格上はライバルですが画面サイズが15.6インチと小さいです。ペン先のずれ具合は同等、筆圧はDTK1660K0Dが細かく感知するが筆圧が弱い場面だとArtist 22R Proの方が適切に制御出来ていますね。ディスプレイの色は好み次第といったところですがsRGB外で使用をするには色域がやや不足でしょう。カツカツ感はDTK1660K0Dの方が目立ちます。この機種は一応自立はするものの、「ちゃんとした」スタンドは別売な点に注意。
・DTK2260K0D(参考価格:121,000円)
個人の好み以前の問題として基本性能が総じてArtist 22R Pro優位。(端的に言って、DTK2260K0Dでは「描き辛い」です)Artist 22R Proに比べてペン先がやや沈むのと、カツカツ感はDTK1660K0Dの方が目立ちます。どちらかというとHUION GT-221proが比較すべき相手でしょう。(GT-221proより少し出来が良い、といったところ。)筆圧感知は綺麗に反映されるが補正が強いのかコントロールが効きません。
【Cintiqクラスとの比較所感】
率直に言えば、Artist 22R Proの方が優位な場面が多いと言えます。描き味等を個別に見て「Artist 22R Pro “に”肉薄する部分がある」といったところです。基本的にはArtist 22R Proを無条件でお勧めすることになるかな、と思います。
ペンの沈み方がCintiqの方が基本的に大きいため、線を引く時にペンを最初に画面に置く際のカツカツ感はArtist 22R Proの方が目立ちますが、その後細かくペンを動かす際のカツカツ感はCintiq系の方が目立ちます。
筆圧検知や手ブレ補正についてはCintiqの方が「本来の描写と異なる」場合が多いです。良い言い方をすれば少し雑な描き方をしても綺麗に整えられるようなシーンがあるし、悪い言い方をすれば常にツルツルした質感の線が出来上がりますし、Cintiqではハッチング描写がまともに出来ないんです。
好みの問題ではありますが強すぎる補正はユーザーで制御が出来ないため、アナログ出身のユーザーには違和感が大きい部分だとは思われます。逆にArtist 22R Proは補正が弱いので、デジタルネイティブなユーザーにとっては苦手なシーンが少なからずあるでしょう(ただデジタルネイティブなユーザーはそもそも液タブがダメ、という場合もある点に注意。購入前に「手元の線が見えなくなる」等の液タブのデメリットは理解をしておいた方が良いと思われます)。
Artist 22R Proはショートカットボタンが物理的に搭載されているため、ベゼル部分はCintiqの方がすっきりしています。小さい機種だとイラスト作成時に腕が当たったりすることがありますが見た目や設置条件を考えればスッキリしたベゼルは優位であるとも言えます。
ただ、物理的にボタンがあるメリットもあり、ペンを画面から離さずにキー操作が出来る、という点は大きいです。
なお考慮すべき点として「フェルト芯の存在」と「ランニングコストの違い」があります。前者はWacom優位の話で、「カツカツ感」の大きな低減が図れるペン芯が販売されているんです。おおよそ1本200円位(1,100円/5本)で、人にもよりますが姉の場合はイラスト2枚で1本消費する、とのこと。このペン芯のファンは多く、この描き味が至高、という人であればXP-PENは選び難いブランドになるかと思います。
次にランニングコストの違いですがこれはXP-PENが優位な話です。前述のフェルト芯で察しがついた方もいると思いますが、ペン芯のコストというのは考慮しておいた方が良い要素ではあります。標準芯の場合、Wacomがおおよそ1本100円程度(2,200円/20本)です。一方XP-PENの標準芯は1本30円程度(1,500円/50本)です。こうなって来ると「わずかな差」とは言えない金額になってきますね…。
・DTH2420/K0(参考価格:261,800円)
Artist 22R Proと最も比較しやすい性能だと感じます。基本性能はほぼ同等~ややDTH2420/K0が上、といったところ。ただ液晶解像度の高さはDTH2420/K0が圧倒的でしょう。描いている感覚としては一番近いです。線のブレはArtist 22R Proより少ないですね。(価格を抜きにすれば)好みでどちらを選択するかが変わるであろう機種です。
【Cintiq Proクラスとの比較所感】
1台のみの比較にはなっていますが、さすがに基本価格が違い過ぎるため性能比較ではArtist 22R Proより優秀な点も見え隠れします。とはいえ基本的には「いい勝負をしている」ラインだと言えるでしょう。
面白い点として、そもそもの描き味の方向性がArtist 22R Proに近いのはCintiqよりCintiq Proですね。嫌な言い方になりますが、Cintiqの描画性能は補正込みで成立している側面があるように思います。Cintiq Proの方が補正をせずとも成立する基本性能の高さが前提にあるため、滑らかすぎると感じる描写シーンはCintiqほど多くはないと感じました。
フェルト芯の存在とデジタル補正の強度、ペンの出来栄え等の好みと、その好みのために価格差分の値段を支払えるか、が購入における焦点となりそうです。
・DTHW1621HK0D(参考価格:418,000円)
Artist 22R Proより基本的なスペックがそもそも上、といった描き心地でした。このクラスになって来ると個人の好み以上の差が出てくる、といったところです。一方で発熱は気になりますね…。
【Wacom Mobile Studio Proクラスとの比較所感】
このクラスになって来ると比較は可哀想でしょう。「PC付き」とは言え40万円クラスです。一方で「現役」で居続けられる期間を考えればPCと液タブを分けて導入するという選択肢も悪くはないと言えます。それを前提とするならばCintiq Proと比較検討できるスペックを持つArtist 22R Proを考慮に入れることとなる可能性は十分にあると言えます。
5.作例
今回、Artist 22R Proを用いて2例ほどイラストを作成しています。どちらもClipStudioを用いていますが、1つ目は鉛筆ツール、消しゴムツール、色混ぜツールのみで仕上げています。(約2時間程度)2つ目はそういった制約無く作成したものです。1つ目は細かい線画として仕上げています。濃淡なども線の重ね掛けで表現していますがこういった作風を実現できる液タブというのはなかなかないんじゃないでしょうか。
5.まとめ
XP-PEN Artist 22R ProはXP-PEN公式サイトやAmazon、楽天で販売されており、価格は78,500円(税込)となっていますが、XP-PENからクーポンを頂いております。
●XP-PEN公式サイト:
会員登録をすることによって5%OFFクーポンを獲得。さらに「注文情報確認」の画面で2,000円OFFクーポンコード「Wintab22RPro」を入力することにより税込み72,575円に。
●Amazon:
製品ページに5%OFFクーポンあり。さらに2,000円OFFクーポンコード「Wintab22RPro」を入力することにより税込み72,575円に。
●楽天
こちらから2000円OFFクーポンを獲得することによって税込み76,800円に。別途楽天ポイントも付与されます
※注:この価格は9月17日に実際に購入手続きをし、確認した価格です。購入される日時によって価格が変動する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
もちろん好みや描き方の癖による評価の違いは出るものだとは思いますが、Wacomの20万円クラスと比較が出来るだけの基本性能を有している、と言い切ってよいでしょう。
正直に言えば、なかなか実機を触れる環境が都市部を含めて存在しない点が大きなネックとなっているようには思います。実機レビューではなるべく「どのクラスの製品に比類するのか」をお伝えしようとしましたが、一番良いのは検討中ユーザーが実機そのものを触れる機会があることでしょう。
量販店への展示だけでなくレンタルやサブスクリプション型の製品貸与等、方策は少なからずあると思いますがそういったことが実現できれば、訴求力あるこの高スペックぶりがちゃんと伝わると思うんですよね…。
なにはともあれ、この機種の素晴らしさは価格以上のものがある、と言って間違いないですね。液タブ導入を検討されている人だけでなく今の液タブに不満がある方も含めて、おススメできる内容に仕上がっていると思いますよ。
6.関連リンク
Artist 22R Pro:XP-PEN
Artist 22R Pro:Amazon
Artist 22R Pro:楽天