ポータブルeGPUのONEXGPUについてのニュースです。この記事でお伝えしたいことはいくつかありまして、メインとなるのが「Ryzen Z1 Extreme用の専用ドライバーの提供が開始された」ということ、もうひとつが「セールになった(9月10日まで)」ということ、そして最後に「ONEXGPUに利用にはPC側の要件もあり。またCPUの型番による相性もあるのかも)」ということです。
これがONEXGPUのスペック表です。コンパクトサイズのeGPU(外付けGPU、GPU BOX)で、あらかじめGPUのRadeon RX7600M XTが搭載されているので、よくあるGPU BOXのように別途グラフィックカードを用意する必要はありませんが、そのかわり(RX7600M XTはモバイル用のGPUなので)デスクトップ用のグラフィックカードに換装することはできません。ONEXGPUのサイズやデザインから考えて「ゲーミングUMPC用」という印象が強い製品だと思います。
ONEXGPUは豊富なポートを備え、M.2 2280サイズのSSDも搭載可能なので、性能アップという点以外でもゲーミングUMPCに大きな恩恵を与えてくれます。ただ、さすがに外部電源は必要(300Wの電源ユニットを搭載しています)なので、サイズは小さいですがモバイルでの利用は困難です。
また、PCとの接続は「OCuLinkもしくはThunderbolt 3(以上)もしくはPCIExpressに対応するUSB4」が必要です。ただ、私は知らなかったのですが、CPUがRyzen Z1 Extremeだと正常に接続が出来なかったようなんです。それが今回、Ryzen Z1 Extreme用のドライバーが提供され、接続が可能になりました。
天空によれば、このドライバーの提供により「ASUS ROG Ally X」と「Lenovo Legion Go」でONEXGPUが利用可能になったとのことですが、ROG Ally(Xがつかない2023年モデル)はUSB4ポートがなく、接続ができません。
専用ドライバーの提供開始を記念して、セールもスタートしました。9月10日までは99,800円、それ以降は106,800円となります。
ちょっと話が変わります。ウインタブでは最近、ハイスペックなミニPCを実機レビューする機会が増えたのですが、個人ユーザー目線だと「せっかくハイエンドなCPUを搭載しているのだから、外部GPUも搭載して欲しい」と感じられます。お仕事で高度な演算(各種工学系など)にお使いの場合はGPU性能は気にしなくていいかもしれませんが、個人利用の場合は「ゲームとかコンテンツクリエーション」で使いたくなりますし、オンデバイスAIに関しても外部GPU搭載機は非常に高い性能を発揮してくれますからね。
ということで、「検証用にGPU BOXを買おうかな…」と思っていました。ただ、市販されているGPU BOXは安いものでも5万円以上はしますし、低価格帯のものだとグラフィックカードが別売りなので、GPU BOXとは別に用意する必要があり、選択するグラフィックカードによってはざっくり10万円くらいの出費になります。またGPU BOXは一般にデスクトップ用のグラフィックカードを使いますのでサイズもそれなりに大きく、ある製品だと「幅17センチ×高さ24センチ×奥行き41センチ」と、せっかくコンパクトなミニPCを買ったのにGPU BOXを接続すると省スペース性が台無し…、ということにもなりかねません。
ONEXGPUはゲーミングUMPCとの接続を意識した製品だと思うのですが、ミニPC用としても非常に優れたパッケージングだと感じられます。ハイエンドなCPUを搭載するミニPCの多くはThunderbolt 4やPCIe対応のUSB4ポートを備えていますし、最近だとOCuLinkポートも備えた製品が登場しています。それと、ノートPCやゲーミングUMPC、ミニPCと使い回す場合、他のGPU BOXだと「GPU BOXのあるところまでPCを持っていく」ことになりますが、ONEXGPUだと「PCのあるところにONEXGPUを持っていく」という感じで使えますよね。
今回のニュース「ONEXGPUにRyzen Z1 Extreme専用のドライバーを提供」というのは該当機種をお持ちの方には朗報だと思いますし、セール価格になるというのもゲーミングUMPCユーザーにはうれしい話だと思います。しかし私は「え?いままでRyzen Z1 Extremeだと使えなかったの?」と少々驚きました。また同時に「要件を満たしている(ThunderboltやUSB4ポートがある)PCならすべて接続できるのか?」ということも少し心配になりましたね。Snapdragon X Elite搭載機(これはちょっと難しいかと…)とか第14世代CoreやCore Ultra搭載機(H型番・U型番)、Ryzen AI 300シリーズ搭載機など、アーキテクチャが新しくなった型番も増えていますし。なので、もしONEXGPUを購入するのであれば、天空(ハイビームやテックワン)に電話の一本も入れて事前確認することになると思います。
関連リンク
ONEXGPU:One-Netbook日本公式サイト
ONEXGPU:ハイビーム公式オンラインストア
ONEXGPU:Amazon
Ryzen Z1 Extreme搭載モデルでONEXGPUを使用する方法:ハイビーム FAQページ
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。