8インチのWindows タブレットはここ数カ月新しいモデルが発表されていませんが、10インチのほうは4月に入ってからHPのOmni10とiiyamaの10P1000-C-VGというニューモデルが登場しています。
「8インチ」という制約を外してしまうと、Windowsのタブレットは非常に多くのモデルがあり、上は「20インチで60万円」なんてのもあります。とりあえず今回は8インチからの延長線上で考えて、「10インチくらいで5万円台以下で買えるタブレット」という枠組みで比較表を作ってみました。MicrosoftのSurface Pro 2 がバカ売れしているのはよく知っていますが、価格も性能も使い方もUltrabookと呼んだほうがいいんじゃないかな、と思いますし、「気軽に使えるタブレット」ということでは5万円台に抑えておくのがよさげです。
1.特徴
比較表中最新のモデルであるOmni10を除くと、各モデルともキーボードを備えています。Transbookは単なるキーボードでなく、500GBものHDDを内蔵し、USB3.0端子を備えた「キーボードドック」を、Pavilionもバッテリーを内蔵し、USB3.0端子やHDMI端子などの入出力インターフェースを備えた、これまた「キーボードドック」をそれぞれ本体価格に含めており、ドッキングさせたら「完全にノートPC」という外観になります。純然たるタブレットという位置づけと異なり、「2 in 1」と呼ばれるタイプです。同じくiiyamaの最新モデル、10P1000-C-VGについてもこれら2モデルのように完全なドッキング、ということではありませんが、キーボードが付属しており、キーボードケースにタブレット本体を立て掛けてノートPC的に使えます。
こうして見ると、10インチタブレットというのは8インチとは違った使い方をメーカーが提案している、ということが理解できます。タブレットながらメインマシンとしての利用を視野に入れているのでしょう。
2.サイズ感
私が個人的に10インチを敬遠しているのがこの部分です。上の画像は私がGimpで適当に合成した画像ですが、8インチは縦持ちすると(男性なら)ギリ片手で握れるサイズですが、10インチは無理です。これって、タブレットを使っているときに結構な差になるはずです。
それと、一番気になるのが「重さ」ですね。8インチの場合、400g弱というのが標準的な重さであり、これでも長時間片手持ちするのが若干しんどいのに、10インチになると600g以上ということになりますから、あんまり気軽に持てる重さじゃないと思います。「iPadはminiよりフルサイズのほうが売れてるじゃん!」という批判があるかもしれませんが、iPad Air の重量は469gでしかなく、この点「さすがApple!」と感心せざるを得ません。上の「特徴」のところに書いた通り、10インチのWindows タブレットはキーボードの使用を意識していて、そのかわりキーボード込の重さは1kgを超えてしまいます。ということなら、タブレットといいつつも、キーボード付きでの使用が主、タブレット単体での使用が従、という理解をしておくべきでしょう。
3.性能
やや発売時期の古いTransbookは8インチのWindows タブレットとほぼ同一の性能、具体的にはCPU,メモリ,画面の解像度が一緒なので、性能のほうも容易にイメージできます。私は8インチでもWebブラウジングやYouTube再生、たまにOfficeで仕事、という使い方であればメインマシンとしても十分使える、と考えているので、比較表中で最も性能の劣るTransbookでも十分、と思います。
最新モデルであるOmni10はCPU,メモリ,画面解像度などほぼほぼThinkPad 8 と同スペックで、量販モデルの価格帯もほぼThink Pad 8 と同じなので、いい意味で競合します。これからWindows タブレットを購入しようとしている人に選択肢を与えることになり、これはWindows タブレットの普及にすごくいい影響がありそうです。残念なのはOmni10の内蔵ストレージが32GBしかないことですね。ただ、直販モデルと量販店モデルの価格差が1万円以上あることから、本日時点で情報がないのですが、おそらく量販店モデルの内蔵ストレージは64GBになるんじゃないか、という気がします。
Pavilionですが、CPUにBay Trail-MのCeleron N2920プロセッサを搭載しており、Atom Z3770を上回るパフォーマンスを発揮します。OSはタブレットマシンとしては珍しく64bitのWindows8.1が入っています。ただ、メインメモリが2GBなので、64bitのメリットである大容量メモリへの対応という点ではあまり意味がないようです。入出力インターフェースはかなりの充実度で、USBやHDMIもmicro規格じゃないフルサイズです。
しかし、画面サイズが11.6インチあり、タブレット単体で790g、全体で1.5kgという重さですから、はっきり言ってタブレットというよりはノートPCである、と決めつけてしまったほうがいいと思います。1.5kgというのはサブノートPCよりも重いですから。たまーにタブレットとして使う、というくらいならアリな気がしますが…。それとOfficeもついてないので、別に購入すれば8万円くらいになってしまうのには要注意です。
10P1000-C-VGもまた発表されたばかりの最新モデルです。CPUはBay Trail-MのCeleron N2806が搭載されていますが、Pavilionに搭載されているN2920の下位に位置するプロセッサであり、Atom Z3770との比較でどっちがハイパフォーマンスなのか、ということがよくわかりません。メモリは2GB、内蔵ストレージは64GBとなっており、このあたりは8インチタブレットと同じような感じになっています。
キーボードが付属していますが、TransbookやPavilionとは異なり、あくまでも単なる専用キーボード、という位置づけです。タブレットの心臓部はあくまでもタブレットで完結していて、当然タブレット単体での使用をメインとして考えられています。税抜き4万円台という価格でありながらOffice Home&Businessをバンドルしているところも8インチの主流モデルと同じですね。その分スピーカーがモノラルだったり、液晶がIPSでなかったりと、コストダウンの跡が感じられるのがちょっと残念ではありますが、わかりやすいパッケージだと言えます。価格帯からして、十分8インチタブレットと競合するモデルです。
4.個人的感想
10インチタブレットは「キーボードとマウスをセットしてノートPCのように使うのが主、タブレットとして使うのが従」、8インチタブレットは「タブレットとして使うのが主、キーボードとマウスをセットしてノートPCのように使うのが従」という考え方がいいのではないかと思います。10インチのメリットである大画面、(8インチよりはマシな)拡張性、若干でも高速なCPUはモバイルマシンとしてよりも、ノートPCの代替、というところで活きると思います。一方で本体600g超、キーボード込で1kg超の重量はネットブックやサブノートPCと比較しても軽快さは感じられず、モバイルユースに重点を置くなら8インチのほうがはるかに使い勝手がいい、ということになるでしょう。
先日、「8インチWindows タブレットはメインマシンとなりうるか?」という記事を書いたのですが、実は10インチタブレットこそ、Windows XPマシンの後継機にふさわしい!と思ったりしてます。
5.関連リンク
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