こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。先日、10インチクラスのWindowsタブレット(エントリークラス)について比較記事を書きました。
Windows タブレット & 2 in 1 スペック比較 (2014年11月:10インチ版、エントリークラス)
どこまでがエントリークラスでどこからが中上位クラスなのか、という基準はあまり明確ではありません。しかし、10インチクラスのWindowsタブレットの市場は盛況で、多くのメーカーからたくさんのモデルが登場しているので、全てを1つの記事にまとめることは難しく、便宜的に中心価格5万円台を境目として区分けしています。タブレット購入の際、結局は各人の予算が一番ものを言うと思います。それ以外に他意は全くありませんのであしからずご了承ください。
さて、今回は10インチのタブレット、あるいはタブレットが分離できる2 in 1とみなせるPCで、キーボード込みの価格が5万円~10万円くらいまでの製品、という基準で選んでいます。CPUがAtomじゃなくて、11インチ以上の製品についてはまた別記事として書くつもりです。
目次
1.ノミネート機種
富士通 ARROWS Tab QH55/S
OS: Windows8.1 with Bing 64bit
CPU: Intel Atom Z3795(1.59GHz/バースト時2.39GHz)
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB
サイズ: 265.5×188.8×10.2mm(タブレット単体)、265.5×223.8×17.6~18.2㎜(キーボード接続時)
重量: 約680g(タブレット単体)、約1.38kg(キーボード接続時)
価格帯: 118,584円(Amazonでの価格。販売開始は2014/12/20)
備考: 64ビットOS、4GBのRAM、Atom Z3795とタブレットとしては最上位の性能。広辞苑など高額な辞書ソフト4種類をバンドルしていることもあり、やや価格が高い。キーボードはヒンジのついた本格的なもので、サブノートPCとしての実用性も高い。Office Premium Home&Businessもバンドルしており、当然OneDrive1TBも1年間は無償で利用できる。
機種紹介:
富士通 ARROWS Tab QH55/S 10インチのWindowsタブレットも出た!2 in 1なみにすばらしいキーボードつき
Lenovo ThinkPad 10
OS: Windows8.1 with Bing 32bit/64bit
CPU: Intel Atom Z3795(1.59GHz/バースト時2.39GHz)
RAM: 2GB/4GB
ストレージ: 64GB/128GB
サイズ: 256.5×177×8.95mm(タブレット単体)、256.1×196.5×26㎜(別売ウルトラブックキーボード単体)
重量: 約598g(タブレット単体)、約1.13kg(別売ウルトラブックキーボード接続時)
価格帯: 65,578円~81,346円、別売ウルトラブックキーボード12,960円(Lenovo直販価格)
備考: 32ビットOSで2GBのRAMのモデルもあるが、ここは64ビットOS、RAM4GBモデルを選びたい。CPUはAtom Z3795で、発売後3カ月以上経過しても10インチ級最強スペックはそのまま。タブレット単体使用時の軽さと薄さ、ThinkPadらしいクールなデザインも魅力。キーボードは別売りで、Lenovo純正モデルから色々なタイプを選べるがタブレット本体との合計価格に注意が必要。設計は旧IBM大和事業所で、Lenovo製ながら本物のThinkPadである。
機種紹介:
ThinkPad 10 個人向けに64ビットOS、4GBメモリを選べるカスタマイズモデルが追加されたよ!
NEC LaVie Tab W
OS: Windows8.1 with Bing 32bit
CPU: Intel Atom Z3795(1.59GHz/バースト時2.39GHz)
RAM: 4GB
ストレージ: 64GB
サイズ: 256.5×177×8.95mm(タブレット単体)、256.5×197.4×16.8~23.8mm(キーボード接続時)
重量: 約598g(タブレット単体)、約1.15kg(キーボード接続時)
価格帯: 78,269円~86,900円(Amazonでの価格)
備考: Lenovo ThinkPad 10の兄弟機ながらOSは32ビットのみ。またキーボードはオリジナルデザインでタブレット本体としっかり接続できるのでノートPCとしての使い勝手も良い。デジタイザも搭載しており、手書き入力やイラストを描くことも快適。キーボードのないモデルも設定している。キーボードを接続した際のデザインが非常に魅力的。Office Home&Business2013が付属する。
機種紹介:
NEC LaVie Tab W - 新鋭10インチ日の丸タブレットにして中身はThinkPad10?
東芝 dynabook Tab S50
OS: Windows8.1 with Bing 32bit
CPU: Intel Atom Z3735F(1.33GHz/バースト時1.83GHz)
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB/64GB
サイズ: 258.8×175.0×9.0mm(タブレット単体)
重量: 約555g(タブレット単体)、約995kg(キーボード接続時)
価格帯: 48,400円~69,120円(Amazonでの価格)
備考: OSは32ビット、RAM2GBでCPUもAtom Z3735Fと、今回比較対象機種としては最も低スペックであり、最安価格帯の製品。東芝ブランドは先代8インチタブレットVT484の頃から定評があり、海外での人気も高い。キーボード付属のモデルはデザインの一貫性が高いものの、キーボードカバーを使ってタブレット本体を立てかけるタイプ。タブレット単体としては厚さ9mm、重量も555gと軽量で、どちらかと言うと手軽な利用に向く。
機種紹介:
薄く、軽くなった日の丸Windowsタブレット dynabook Tab S50 & S38 - でも7インチはまだよ
2.純和風に近い組み合わせだよ
すみません、ノミネート機種に東芝dynabook Tab S50を入れたのですが、この機種は明らかにエントリークラスに入れるべき製品でした。でもいまさらエントリークラスに入れるわけにもいきませんし、キーボード付属モデルの実売価格も7万円弱となっているので、どうぞご容赦を。
さて、今回のノミネート機種、4機種中3機種が日本のメーカーの製品です。富士通にNECに東芝と、往年のメンツです。またLenovoは中国のメーカーですけどThinkPadはもともとIBMのブランドで、ThinkPad 10は旧IBM時代からある大和事業所の設計によるものですから実質的に日系の製品だと言えます。私、別にネトウヨだと思ってませんけど、日系の製品だけで比較記事を書くのはなんとなく気持ちいいです。
3.スピードキングは?
1位: 富士通 ARROWS Tab QH55/S
1位: Lenovo ThinkPad 10
性能面ではARROWS TabとThinkPad 10が同じCPU、RAMを搭載し、OSも64ビットと全く同じスペックなので、同点で1位となります。ついでNECのLaVieとなりますが、その差はOSが32ビットしか選べないという点だけです。処理速度という点では64ビットのほうが上なのですが、業務系ソフトの安定動作ということに関しては32ビットの方が優れているということも言えますし、画像加工系やオンラインゲーム以外の分野では32ビットでも目立って遅いということはないはずなので、普通の人はあまり気にする必要はないと思います。
最下位はdynabookとなります。これはやむを得ないでしょう。dynabookだけはタブレットを気軽に使う、ということに重点が置かれていると考えるべきで、比較的ライトな利用であれば特に問題はないはずです。
4.筐体の出来は?
1位: 富士通 ARROWS Tab QH55/S
2位: Lenovo ThinkPad 10
エントリークラスの記事と同様、やっぱり私の主観が入ります。1位のARROWS Tabのみキーボード接続時にヒンジがつきます。再三書きますけど、これってやっぱりすごく重要なことで、ヒンジがあれば画面の角度調整もできますし、完全にノートPCと同様の使い勝手になります。
2位と3位の差はあってないようなものです。3位はLaVie Tabなのですが、LaVie Tabの付属キーボードとThinkPad 10の別売ウルトラブックキーボードは仕様がそっくりで、サイズが若干異なる程度です。本体と同様、キーボードも同じものと考えていいでしょう。ただ、ThinkPadの場合、ウルトラブックキーボード以外にもカバー付きキーボードというのが選べ、さらにドッキングステーションも用意されています。このためにあえてキーボードを別売にしているんですね。そういうわけでThinkPadの方を2位にしています。
5.拡張性は?
1位: 富士通 ARROWS Tab QH55/S
2位: Lenovo ThinkPad 10
1位のARROWS Tabにはタブレット本体にフルサイズのUSB3.0が1つ、同じくフルサイズのUSB2.0が1つついています。他にmicroHDMIがついているので外部モニター出力も可能です。ThinkPadとLaVie Tabは本体にUSB2.0が1つだけで、microHDMIはついているものの、本体でUSB3.0には対応しません。本体としてはThinkPadとLaVie Tabは同等ですが、ここでもさすがはLenovo、専用のドッキングステーションを使えばUSB3.0が3つついてきます。ドッキングステーションは14,580円と、それなりの価格ではありますが、これを使うとデスクトップPC並の拡張性になるので、使い方の可能性は間違いなく広がります。
6.重さは?
1位: 東芝 dynabook Tab S50 995g
2位: Lenovo ThinkPad 10 1.13kg
軽さという点ではdynabook Tabが1位です。キーボード込みで995gというのは評価できます。ただ、CPU性能などが互角のエントリークラスの方でMSI S100がキーボード込みで890g、HP Pavilion x2 10-j000が930gですから、必ずしも最軽量というわけではありません。2位のThinkPad 10はウルトラブックキーボード込みの重量ですが、より軽量のタッチケース(カバーを変形させてタブレットを立てかけるタイプのキーボード)だとさらに軽くなり、タブレットと合わせて約1.04kgとなります。3位はLaVie Tabで1.15kg、4位がARROWS Tabで1.38kgですが、キーボード接続時の使い勝手を考えると全機種とも合格点をあげられるんじゃないかと思います。
7.価格もやっぱり重要!
1位: 東芝 dynabook Tab S50 69,120円
3位: Lenovo ThinkPad 10 83,506円
2位: NEC LaVie Tab W 86,900円
4位: 富士通 ARROWS Tab QH55/S 118,584円
※ThinkPad 10はOS64ビット、RAM4GB、ストレージ64GBモデル+ウルトラブックキーボードの合計価格
1位は当然dynabook Tabとなりました。ただし、この機種のみCPUやRAMが見劣りしますので、低価格なのは当然といえば当然です。2位と3位は比較的小さい差となりました。また4位のARROWSは上にも書きましたがバンドルされている辞書系ソフトウェアの価値がかなり高いことを考えると、この価格差が不当、というわけではありません。個人的には10万円を切るのか越えるのか、というのは心理的なハードルが変わってくるようにも思いますが…。
8.結論
今回の比較機種は日本の伝統的な大手電機メーカーの製品が並びました。日本のモノづくり復活、みたいな感じがしてうれしいですよね。
dynabookのみ少し用途が異なりますが、あとの3機種は性能がほぼ横並びですし、価格差もARROWS Tabがやや高額ですが、バンドルソフトのことを思えば許せるレベルとなっていて、安易にこれがNo.1だ、とはとても言えません。「気軽にタブレットを使う」のなら価格の安いdynabook Tabがおすすめですし、「予算10万円以下で、ハイスペックかつ使い勝手のいいタブレット、あるいは2 in 1」ということならdynabook以外の3機種どれを選んでも後悔はしないと思います。
・キーボード接続時の使いやすさを重視するならARROWS Tab
・64ビットが必要な軽量高性能タブレットならThinkPad
・32ビットの安定した動作の高性能タブレットならLaVie Tab
ということになるんじゃないでしょうか。あと、日系ブランドと往年のIBMのブランドからの選択になりますから、「好きなメーカーで」という選択肢も大アリでしょうね。個人的にはThinkPadが大好きなんですが、この記事を読んでいる人の中には富士通ファン、NECファンがたくさんいると思います。好きなメーカーの製品で決めちゃって大丈夫です。ARROWS TabもLaVie Tabも実売価格と性能、バンドルソフトの中身から考えると、中華系に比べて割高ということはないですよ!