こんにちは、ひらちょんです。今回は中華端末を語る上で欠かせない存在となっているMediaTek CPUについてまとめたいと思います。思い返せば4年ぐらい前までは拡大する中華端末市場に対してAmlogicやRockchip、AllwinnerやBroadcomと言った様々なCPUがしのぎを削っていました。しかし気がつけばスマホもタブレットもMediaTekに占領されてしまい、他のCPUはAndroid搭載TV BOXやアクションカメラの映像処理用CPUとして生き残っています(本来そっち向けのCPUが本業だったメーカーもあります)。
とは言え他のCPUに負けずにMediaTekがスマホ・タブレット用CPUとしてのシェアを確立したのにはコスト面や安定性で他のCPUに勝っていたからだと思います。ということで最近のスマホに搭載されているMediaTek CPU、特にスマホに搭載されているHelioシリーズについてまとめていきます。
目次
1.Helioシリーズのクラス分け
Intel CPUのCore i7やCore i3、Snapdragonの810や410と言ったようなクラス分けがMediaTek CPUにもあります。MediaTekの最近のスマホ向けCPUの場合Helioという文字列がCPU名に含めれています。例を挙げるとHelio X25やHelio P20等があります。Helioに続く英字がXならハイエンド、Pならばミッドレンジとなり、最後の2桁の数字はバージョンを示しています。
2.Helio XシリーズのCPU
Helio Xシリーズは軒並み8コアから10コアの64bitプロセッサーで構成されており、X20以降のXシリーズはデュアルカメラに対応しています。最近の中華端末に多いX25、X27、そしてスペックの発表だけされている最新のX30についてスペックを見ていきましょう。スペックの詳細はMediaTekのHPを参考にしました。
MEDIATEK 日本語公式サイト
まずはX25とX27ですが、違いが少ないため2つまとめて解説します。まずはスペックをご覧ください。
MediaTek Helio X25
CPU: ARM Cortex-A72 2.5GHz x 2、ARM Cortex-A53 2.0GHz x 4、ARM Cortex-A53 1.55GHz x 4
GPU: Mali-T880 MP4 850MHz
メモリタイプ: LPDDR3(Dual Channel)
最大メモリ: 4GB
液晶解像度: 2,560 x 1,600まで対応
カメラ: 最大3,200万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: CA対応/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE/HSPA+
LTEカテゴリー: Cat.6
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
※CAはキャリアアグリゲーションの略
MediaTek Helio X27
CPU: ARM Cortex-A72 2.6GHz x 2、ARM Cortex-A53 2.0GHz x 4、ARM Cortex-A53 1.6GHz x 4
GPU: Mali-T880 MP4 875MHz
メモリタイプ: LPDDR3(Dual Channel)
最大メモリ: 4GB
液晶解像度: 2,560 x 1,600まで対応
カメラ: 最大3,200万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: CA対応/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE/HSPA +
LTEカテゴリー: Cat.6
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
Helio X25は2016年頃の中華スマホに多く搭載され、Helio X27は2017年に入ってから中華スマホのハイエンド機で多く搭載されています。私はVernee Apolloという機種でX25を、UMI ZでX27を使いましたが、スペック表を見て分かる通りCPUとGPUのクロック数が若干上がっただけで性能はあまり変わりません。X25のAntutuは9万点から10万点に届かないくらいのスコアの機種が多く、X27のAntutuは11万点前後が多いです。Antutuでは1万点ほどスコアに差がつくのですが、実際使ってみると使用感やグラフィック処理にそこまでの違いは感じられません。
同時期のハイエンドCPUであるSnapdragon 820と比べると3D処理面で2倍近く性能差が開いています。しかし物理演算のようなCPUの性能だけが試されるテストではSnapdragon 820よりも強く、3D性能もSnapdragonのミッドレンジCPUである625よりも2倍以上の性能があるので決して3Dに特に弱いわけではありません。HelioシリーズはX20から3D性能がだいぶ上がっているのですが、X10より前のMediaTekCPUしか使ったことのない人はGPUが大幅にパワーアップしていたことを知らなかったのではないでしょうか?次にX30の性能を見ていきます。
MediaTek Helio X30
CPU: ARM Cortex-A73 2.6GHz x 2、ARM Cortex-A53 2.2GHz x 4、ARM Cortex-A35 1.9GHz x4
GPU: IMG PowerVR 7XTP-MT4 850MHz
メモリタイプ: LPDDR4x
最大メモリ: 8GB
液晶解像度: 3,840 x 2,160まで対応
カメラ: 最大1,600万画素 x 1,600万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 5.0
モバイル通信: CA対応 / CDMA2000 1x / FDD-LTE / TDD LTE / HSPA +
LTEカテゴリー: Cat.10 DL / Cat.13 UL
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
Helio X30を搭載したスマホはまだ出てきておりませんが、X27と比べてGPUとモバイル通信、消費電力の面で大きく期待が持てます。まずGPUがMaliではなくPowerVRのものになり、X20と比べて35%の性能向上と50%の消費電力削減ができているそうです。また製造プロセスが10nmに変更されたりモバイル通信がCat.10やCat.13に対応したことにより従来より高速な通信に対応できます。他にも使用メモリがDDR4になり8GBまでサポートするなど最近のハイエンド機らしい性能となっています。とにかくHelio X30を搭載したスマホが発売されるのはそう遠くないでしょうし、非常に期待のできるCPUです。
3.Helio PシリーズのCPU
Helio Pシリーズはミッドレンジながらも高周波の8コアの64bitCPUを搭載していたりP20以降はDDR4にちゃっかり対応しているなど意外と侮れないCPUです。また、8月29日に新しくP23とP30が発表されたのでそちらもまとめていきます。まずはP20とP25のスペックをご覧ください。
MediaTek Helio P20
CPU: ARM Cortex-A53 2.3GHz x 8
GPU: Mali-T880 MP2 900MHz
メモリタイプ: LPDDR3、LPDDR4
最大メモリ: DDR3(4GB)、DDR4(6GB)
液晶解像度: 1,920 x 1,080まで対応
カメラ: 最大2,400万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: CA対応/DSDSサポート/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE
LTEカテゴリー: Cat.6
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
MediaTek Helio P25
CPU: ARM Cortex-A53 2.6GHz x 8
GPU: Mali-T880 MP2 1GHz
メモリタイプ: LPDDR3、LPDDR4
最大メモリ: DDR3(4GB)、DDR4(6GB)
液晶解像度: 1,920 x 1,080まで対応
カメラ: 最大2,400万画素または1,300万画素 x 1,300万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: CA対応/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE
LTEカテゴリー: Cat.6
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
ミッドレンジのあらゆるニーズに応えるためか、メモリがDDR3とDDR4の両方に対応していたり、P25ではデュアルカメラのサポート、P20ではDSDSのサポートをすると書いてある等Helio Xシリーズと比べて器用なCPUです。GPUのクロックスピードが高く、特にP25に関しては1GHzと非常に高いのですが、MP2とあるように、こちらは2コアしかないのでGPU性能は落ちています。Snapdragonと比べると625とAntutuスコアが酷似しており、CPU性能とGPU性能ともに同じくらいです。次にP23とP30のスペックを見ていきましょう。
MediaTek Helio P23
CPU: ARM Cortex-A53 2.3GHz x 8
GPU: ARM Mali-G71 MP2 770MHz
メモリタイプ: LPDDR3、LPDDR4
最大メモリ: DDR3(4GB)、DDR4(6GB)
液晶解像度: 2,160 x 1,080まで対応
カメラ: 最大2,400万画素または1,300万画素 x 1,300万画素 最大解像度1,920 x 1,080
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: 2×2 CA対応/DSDS対応(4G+4G)/TAS 2.0/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE
LTEカテゴリー: Cat.6、CAT.7 DL / UL CAT.13
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
MediaTek Helio P30
CPU: ARM Cortex-A53 2.3GHz x 8
GPU: ARM Mali-G71 MP2 950MHz
メモリタイプ: LPDDR4
最大メモリ: 6GB
液晶解像度: 2,160 x 1,080まで対応
カメラ: 最大2,500万画素または1,600万画素 x 1,600万画素 最大解像度3,840 x 2,160
Wi-Fi: a/b/g/n/ac
Bluetooth: 4.1
モバイル通信: 2×2 CA対応/TAS 2.0/ETM 2.0/CDMA2000 1x/FDD-LTE/TDD LTE/HSPA +
LTEカテゴリー: Cat.7 DL / Cat.13 UL
衛星測位システム: GPS/GLONASS/Beidou/Galileo
スペックは公式HPから引っ張ってきましたが、発表から間もないので今後変更がある可能性もあります。現時点での公表スペックとして捉えてください。
まずP23とP30ですが、単純にP30のほうが完全な上位互換というわけではなく、P23は世界初の4G同士のDSDSに対応し、P30の方はVPU(Vision Processing Unit)という画像信号プロセッサとペアになった500MHzのDSP(Digital Signal Processor)を搭載し、カメラの動作時にGPUの代わりに10分の1の電力で処理をしたり通常時のGPUの補強役としても活躍するそうです。
他にも対応ストレージにUFS 2.1が追加されていたりP23と比べGPUクロックやカメラ機能で差がついているのでP30の方が上位モデルなのは間違いないです。また、どちらもImagiq 2.0という新しい高画質化機能を搭載し、デュアルカメラでの撮影に力を入れています。見慣れないETMとTASという機能がありますが、ETMはモバイル通信の低消費電力化、TASはアンテナ品質の向上の為の最適なアンテナの組み合わせを実現する機能だそうです。
簡単にまとめると、MediaTek的には両CPU共にデュアルカメラの機能を強化して、P23は低価格帯のスマホ向け、P30は妥協のない最高のデュアルカメラの体験をしてもらうために開発したそうです。詳細はMediaTekの特設ページで英語ながらわかりやすくまとめてありますのでそちらを見ていただければと思います。
4.まとめ
CPUの性能自体はあらかた知っていたのですが、改めてまとめてみるとHelio Xシリーズは20番台同士だとあまり性能が変わっていなかった事に気が付きました。今回性能は挙げていませんがX20もX27と同じCPUとGPUを使用しており、変更点はクロックスピード程度しかありませんでした。もちろんX20からX27の間は1年ほどの期間が空いているので性能は順調に向上していますが、マイナーアップデートレベルなのでX30での大幅な性能アップにさらなる期待がかかっています。
逆にHelio Pシリーズでは、目的ごとにCPUが作られている印象があり、ミッドレンジで価格を抑えながらも何か突出した機能を!という意気込みが感じられ面白いCPUだと思います。正直なところ中華スマホの低価格帯のデュアルカメラはおもちゃレベルのものが多いのでP23やP30の画像処理性能に私は期待しています。
コメント
表で一覧表示してあると比較がわかりやすい
テーブルでまとめるとスマホで見たときに見にくくなる事があるので使用していません。わかりづらくて申し訳ないです…
MaliのG71がどのくらいの物なのか
まだ発表段階でベンチマークなども出ていないのでなんとも言えませんが、Kirin 960を搭載したHUAWEI P10はMali-G71のMP8のものを使っているみたいですね。こちらはMP2なのでどのくらい性能が落ちるかはわかりませんけども…
“Helio X30を搭載したスマホはまだ出てきておりません”
“スペックの発表だけされている最新のX30”
との事ですが
Meizu PRO 7の上位版とMeizu PRO 7 Plusの2つがHelio X30を搭載して既に発売、流通しているはずですよ〜
8月5日から販売が開始されていたみたいですね…日本でのレビューをあまり見かけないので見落としておりました。申し訳ないです。
スコアやスペックには見えにくいところですが、プロセスルールもある方がいいと思います。
X25とX27が20nmでX30が10nm
P2x系は全部16nm
一般的に小さいほど発熱も少なくなり高クロック化や電力効率向上が見込めまね。
特に発熱はゲームや野外で連続使用してると馬鹿にできない…
今回はX30だけ10nmということで取り上げましたが、他のCPUも記載があったほうが良かったですね。代わりにまとめていただきありがとうございますm(_ _)m
MediaTek CPU はゴミだよ・・・
買って暫くは良いけど、3週間もするとモッサリカクカクで駄目