こんにちは、日々、Aliexpressでスリリングな買い物を楽しんでいるnatsukiです。Aliexpressは、たびたび注意喚起しているように、雑多な出品者がひしめき合い、メーカー公式や零細ながら非常に良心的な出品者も多数いる一方で、一部に詐欺的な出品者もまぎれ、さらには、まっとうな商品とそうでないものもごちゃ混ぜで販売している清濁併せのむような出品者もいます。その中で、商品の信頼性をあらゆる角度から「目利き」するのもまた、大きな娯しみなんです。
一例として、ロジクールの定番マウスSignature M550を購入した際の経験を見てみましょう。先に結論を言っておくと、結果的に、購入した製品は「ほぼ間違いなく本物」です。しかし、ロジクール製品は国際的には偽物も横行しているため、「どんなことに注意して購入し」「本物かどうかをどのように検証したか」という話になります。ひとつの体験談として、あるいは、ロジクール製品を購入したけれど何かおかしいな?と思ったときの、検証の参考にもなればと思います。
先にお断りしておくと、今回の記事は、Aliexpressの危ない部分に、分かった上であえてチャレンジしているものです。従って、以下の点はあらかじめご諒承ください。
第1に、この記事で行っているような買い物の仕方は、リスクを十分に把握して、またそれに自分で対処できる(Aliexpressの保証システムを把握し、万一の場合に臨機応変なやりとりが英語で可能であることなど)前提での行動です。読めば当然分かりますが、他人に勧めるものでないことは、あらかじめ念押ししておきます。
第2に、Aliexpressでの買い物のリスクは、そのかなりの部分が出品者の信頼性に依るものです。メーカー公式やそれに準ずる出品者の場合は、少なくとも商品そのものに対する信頼性については基本的に心配する必要はありません。もちろん、海外通販ゆえに、配送品質や万が一のトラブル対応についてはAmazon等の国内通販に劣る面があるのは事実です。ただそれも、継続的に利用している身からして、Aliexpressのサービス品質は日々向上していてトラブル対応も洗練されてきています。配送に関しても、いまだ箱潰れ程度はよくありますが、最近はトラッキングがしっかりしているので、期日までに届かなかった場合の詫びクーポンや返金も、基本的にスムーズに行われます。ともかく、それだけ「出品者の見極め」が重要ということです。
目次
1.基本的にAliexpressでロジクール製品を買うメリットは薄い
「ロジクール」と「ロジテック(logitech)」について
先に、本筋とは関係無い名称の確認です。日本での「ロジクール(logicool)」は、本来、国際的には「ロジテック(logitech)」です。しかし、日本にはすでにスペリング違いでカタカナ同名の日本企業「ロジテック(logitec)」があったため、海外企業「ロジテック(logitech)」は日本展開にあたっては「ロジクール(logicool)」を名乗ることとなりました。なお、日本企業「ロジテック(logitec)」は、現在エレコムの子会社でもあります。このような経緯から、Aliexpressの日本語表記では「ロジクール」「ロジテック」が入り乱れています。記事中では混乱を避けるために、実際の表記にかかわらず「ロジクール」で統一します。
Aliexpressにロジクールの公式ショップはない
私が知る限り、Aliexpressにロジクールのメーカー公式ストアはありません。ロジクール(ロジテック)のブランド名を冠する出品者はいますが、これはあくまでロジクール製品をメインに扱っていますよと出品者が勝手に名乗っているだけと思われます。
なお、一部の出品者には、Aliexpressのシステムとして信頼性が高いことを示すゴールドマークやシルバーマークが示されたり、商品ごとに「認定ブランド/メーカー・認証正規品」の記載があったりしますが(この辺の表記ルールはいつの間にか変わったりもしています)、これらはあくまでAliexpressによる判定です。
実際のところ、私自身の経験からいえば、これらの信頼性を担保する表記のある出品者や商品で、不良品や偽物に遭遇したことはありません。ただし、発送されずに全額返金になったり、予定配達日に届かなかったり、箱がボコボコにつぶれていたりといった(後2者は出品者ではなく配送業者の責任の可能性もある)、「Aliexpressを使うなら笑って許せる」レベルのトラブルは経験しています。
ロジクール製品はニセモノも多い
さて、そういう危険性もあるAliexpressですが、やはり、特に危険な領域、いわゆる「地雷」というのがあります。例えば、ストレージ系製品はその最たるもので、膨大な容量偽装製品が横行しています。これは日本のAmazonなどですらそうなので、Aliexpressでは何をかいわんやですね。
ブランドにも、いくつか、明らかにターゲットにされて大量のパチモンが出回っているブランドがありまして、そして、ロジクールはまさにそのひとつです。Aliexpressでロジクール製品を検索すると、異様に安い製品が目につきます。そして、レビューを詳しくチェックすると、それらの多くがニセモノであることが分かります。
一般論として、Aliexpressでロジクール製品を購入するメリットは乏しい
つまり、メーカー公式の完全に信頼できる出品者もおらず、パチモンが横行しているということで、一般的な判断としては「ロジクール製品をAliexpressで買うのは危険」となります。
もちろん、すべてが偽物というわけではなく、今回私が購入したように、おそらく本物と思われる出品も多数あります。ただ、ロジクール製品は日本の国内通販でも十分な営業努力を行っているため、Aliexpress内のまっとうと思わしきロジクール製品の多くは、日本国内購入と比べて、さほど価格優位性がないのが実情です。一方で、Aliexpressの買い物での面白さの1つは、セール価格や複雑怪奇な割引がそろったときに、スロットマシンか麻雀の役のように安値が成立することがあるというもので、この場合は価格的な魅力が生まれます。が、その場合も、上記のように「Aliexpressにおけるロジクール製品」は基本的に「地雷」なので、いつにもまして慎重な吟味とリスクに対応する覚悟が求められます。
2.買ってしまった製品
と、いうことを踏まえた上で、買ってしまったのがこの製品。ロジクール Signature M550です。出品者は、下記の「Digital 3c Factory Selection Store」。

ロジクールSignature M550/M650/M750は、ホイールにロジクール独自の「SmartWheel」を採用し、上位製品のMXシリーズに準じる、「指の勢いで」通常スクロールと高速スクロールをシームレスに使い分けることができます。詳しい解説は、下記記事をご覧ください(日本向け正規品の製品紹介記事です)。

Signature M550の国内価格は、セール時に4,000円を切るかどうかといったところ。一方のAliexpressでは、特により上位のSignature M650が1,000円台で膨大に出品されていて、これらは基本的に偽物と考えられます。さて、では私が購入したSignature M550はどうか? 私が購入した価格は、ご覧のように各種割引を適用した最終価格がアバウト2,600円。おおむねAmazonの2/3の価格です。
出品者の「Digital 3c Factory Selection Store」について、基本的なチェックをしてみましょう。出品期間は、2024年5月出品開始で、多くの明確な詐欺業者は数ヶ月で消えることを考えると、ある程度の販売実績はあります。ただ、老舗と言えるほどではありません。
取り扱い製品は、ロジクール製品が多く、それらのいくつかには「認定ブランド/メーカー・認証正規品」の記載があります。ただしこれは、あくまでAliexpress内の基準であることは先述の通りです。また、今回購入したSignature M550には、「認定ブランド/メーカー・認証正規品」の記載は、少なくとも購入時点ではありませんでした。
Aliexpressの例に漏れず、取り扱い商品の価格は日々変動し、またさまざまな割引を組み合わせるチャンスもあります。例えば記事執筆現在、私が購入したSignature M550の価格は日本国内Amazonより高価で、購入する意味はありません。一方、別のロジクール製品の中には、割引の組み合わせ次第では日本国内価格に比べて非常に安価に購入できる商品も見られます。
重要な判断基準として、Signature M550に限らず、この出品者のロジクール製品全般のレビューをチェックして、信頼性を見極めます。特に低評価レビューと、正規品かどうかの検証を行っているレビューをチェック。まあ、あとは「嗅覚」(という名の総合的判断)です。えいやッ!
3.実機と検証
配送
購入した商品はAliexpressの「Choice」サービスの対象であったため、注文から10日以内の配達が保証され、遅れた場合は詫びクーポンなどがもらえます。ちなみに、海外通販で10日はかなり無理があると見え、私はかなりたくさんChoiceサービス対象品を買っていますが、少なからぬ頻度で詫びクーポンをもらっています(笑)。それでもおおむね2週間程度では着くので、詫びクーポンも含めておいしいサービスではあります。脱線ですが、Choiceサービスは、Aliexpressの公式説明では「厳選」などの記述があるものの、ざっと見る限り、かなり怪しい出品者の商品まで対象になっています。あくまで配送に関するサービスであって、商品そのものの信頼性には関係無いと考えましょう。
さて、今回どうであったかというと、んー残念!2日オーバーで150円相当の詫びクーポンGet!
はい、届きました。箱はかなり潰れていました。これもAliexpressでの買い物なら想定の範囲内です。潰れているとはいえ、シールによる封印はしっかりなされています(重要)。
配送品質については、期間も商品保護も微妙に惜しいながら、Aliexpressのサービス品質としては標準的なものです。ちなみに、この商品は返品無料サービスの対象です。もし、偽物との確証が得られた場合は、もちろんそれを立証するのは交渉の腕次第ながら(いざとなればここには自信アリ)、これが活きてくるでしょう。
実機
実機を一通りチェックした限りでは、箱、本体ともに不審な点はありません。マウスの上側と底面はプラスチック素材、側面はシリコン素材です。クリックボタンもしっかり静音。
肝心のホイールには「SmartWheel」との表記があり、確かに、ゆっくりスクロールしたときは通常のホイールのように止まり、勢いを付けて回せば高速スクロールします。ただし、そのスクロール感にはカタカタとした安っぽさがあり、上位のMXシリーズとの間には明確な差があります。もちろん、機能としては、きちんと高速スクロールとして機能します。
他人の実機との比較
知人の、国内購入した間違いない正規品のロジクールSignature M550と比較しましたが、差異は見られませんでした。同色だったので色味も比べることができましたが、全く同じです。MXシリーズと比べると安っぽいマウスホイールの使用感は、正規品でも同じくで、これはさすがにMXシリーズとの品質の違いということでしょう。
専用アプリ「Logi Options+」による検証
パソコンに接続して、ロジクールの専用アプリ「Logi Options+」から検証します。間違いなくロジクールSignature M550として認識し、かつ、USBドングルでの接続では、ロジクール独自通信形式の「Logi Bolt」であると認識しました。この段階で、正規品であることはほぼ確定です。が、念のために検証を続けましょう。
ボタン(といってもSignature M550の場合ホイールのミドルボタンのみ)の機能割り振りも正常に動作することを確認。
ホイールの動作と、マウス感度の調整も正常に動作することを確認。
製品の各種情報も正常に表示されま……!????ここで問題発生。シリアル番号の下1桁が、箱に表記されていたシリアル番号と違う!? シリアル番号は英数12桁で、うち11桁までは一致するのですが、最後の1桁は数字で1つ違いでした(下記のように、シリアル番号からロジクール公式の製品保証を受けられるので番号は伏せます)。製品本体にも、電池ケースの内側にシリアル番号の印字があり、こちらはLogi Options+の製品番号と一致しました。つまり、製品本体のシリアル番号は、印字、Logi Options+ともに一致し、箱のシリアル番号が一致しないということになります。なお、先に触れたように、箱の封印はしっかりしたものでした。
ロジクールアカウントで製品登録を行うことによる検証
いきなり風向きが怪しくなってきたので、ロジクールの製品登録を行って、正規のシリアル番号かを確認します。以下、ロジクールのアカウントを持っていることが前提です。ロジクールの公式サイトの右上アイコンからログインして、アカウントページの「概要>製品を登録」へ進みます。


「製品を登録」画面の「シリアル番号で検索」に製品本体のシリアル番号を入力して送信。
シリアル番号から検索しているので、不正規の番号であれば製品を正しく認識しないはずですが、無事、正しくSignature M550と認識して、製品登録が完了しました。なお、箱の方のシリアル番号は二重登録になってしまうので試していません。
4.まとめ
シリアル番号についてやや不安があったものの、基本的に正規品とみなしてよさそうです。実際に購入から1ヶ月使用していて、特に不具合はありません。もっとも、だからといって、この出品者が必ず正規品のみを出品しているかどうかまでは保証の限りではありません。その点は重ね重ねご注意ください。あくまで邪道ながら、リスクを承知で「目利き」に挑んでみたという話でした。
また、記事中で触れたように、ロジクール製品の偽物は相当数出回っています。ということは、例えば日本国内においても、メルカリ・ヤフオクや、あるいはAmazonのマーケットプレイス、楽天市場などで信頼定かならぬ出品者から購入した場合、偽物をつかまされる可能性があるということです。ロジクール製品の正規品かどうかの検証についても、参考にしていただければと思います。


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