昨年末に日本でも発売されたARM版Windowsマシン、Surface Pro Xをご紹介します。確か発売当初は「法人向け」的な打ち出しがなされていたと思うのですが、先日Microsoft ストアをチェックしていたら、現在は普通に個人向けとしても購入ができるようになっていました。Surface Pro Xに関しては以前海外ニュースサイトの少々辛辣なレビューについて引用記事を書かせていただいたのですが、とっても意欲的なニューモデルであることは間違いないです。
1.スペック
OSはWindows 10 Homeのみ、としていますが、法人向けモデルだとWindows 10 Proも選べます。ただ、Microsoftストアは法人向けモデルの購入ハードルが高い、というか、そもそも電話注文になってしまうようなので、個人が気軽に購入できるようなものではありません。
CPUはMicrosoftとQualcommが共同開発したSQ1です。「Snapdragon 8cx(Windows PC向けのSnapdragon)」がベースになっています。ARM系のCPUなので、32ビットアプリは動作するものの、64ビットアプリの動作には制約があります。「WOS(Windows On Snapdragon)向けに開発された64ビットアプリは動作するが、既存のWindows OS用に存在している64ビットアプリは動かない」ということです。もちろんMicrosoft Officeは32ビット(64ビット版もありますが、普通は32ビット版ですね)ですし、主要なソフトウェアの多くは動作すると思っていいでしょう。
RAMは8GB/16GBを選べ、ストレージは128GB/256GB/512GBの3種類があります。1月27日現在、Microsoftストアで販売されているバリエーションモデルは下記のとおりです。
8GB/128GB
8GB/256GB
16GB/256GB
16GB/512GB
この4種類ですね。なので、RAM16GBと128GB SSDとかRAM8GBと512GB SSDという組み合わせは選べません。あと、SQ1というCPUを使う際にRAMは8GBでいいのかそれとも16GB必要なのか、というのはなんとも言えないところです。ウインタブ的には8GBでも十分なんじゃない?とは思いますけど、実機をしばらく使ってみないとはっきりしたことはわかりません。
ディスプレイはIntel版のSurfaceシリーズとは異なります。ちなみにSueface Pro 7は12.3インチ、クラムシェルのSurface Laptop 3は13.5インチですし、一般的なモバイルノートの13.3インチでもありません。Surfaceシリーズの特徴はディスプレイのアスペクト比が3:2(一般的なノートPCは16:9)なのですが、Surface Pro Xもやはりアスペクト比は3:2とやや縦に長くなっています。解像度は非常に高く、PixelSensなので、発色も素晴らしいはずですね。
また、Surface Pro Xは4,096段階の筆圧に対応するSurfaceスリムペンが使えます。通常のSurfaceペンとは異なり、タイプカバー(キーボード)に収納できる構造になっていますので、この製品を購入する場合はぜひ一緒にセットしたいところです(別売りです)。
ARM版Windowsということで、当然LTEにも対応します。通常のnanoSIMカードのほか、日本ではまだあまり普及していないeSIMにも対応します。
入出力ポートも他のSurfaceシリーズとは違っています。ただ、ポートの数が乏しい、というのは共通ですね。この製品の場合、USB Type-Cポートが2つだけです。HDMIもSDカードリーダーもありません。Surface純正ポートと言えるSurface Connectを使ってのハブ接続というのを視野に入れたほうが良さそうです。
サイズはSurface Pro 7よりも若干大きめですが、注目したいのが横幅で、これだけはSurface Pro 7よりも小さくなっています。それはつまり、「ベゼル幅が細くなっている」ことを意味します。詳しくはこのあと。
2.筐体
Microsoftは中国メーカーのTeclastではないので製品画像を盛ることはありません。なので、これが正しい正面画像です。これ、本体がタブレットの製品としては非常にベゼルが細いです。もともとデザイン性に優れたSurfaceシリーズの中でもピカイチのスタイリッシュさだと思います。
Surfaceなので、当然キックスタンドも付きます。というか、こうしてみるとIntel版のSurface Proシリーズと共通の基本デザインになっていますよね。筐体素材は「陽極酸化アルミニウム」で筐体色はマットブラックのみです。ややメタリックな外観のIntel版とは少し印象が異なります。また、ここも重要ですが、この製品は「ファンレス」です。
キックスタンドの開口角度が大きいというのもSurfaceシリーズの特徴です。ペン入力、さらに言うとイラストやマンガなどの制作の際には、細かく角度調節ができるのが大きなメリットと言えるでしょう。
3.価格など
Microsoft Surface Pro XはMicrosoftストアで販売中で、1月27日現在の価格は下記のとおりです。
8GB/128GB:142,780円
8GB/256GB:164,780円
16GB/256GB:204,380円
16GB/512GB:241,780円
※すべて税込み価格
なお、Surfaceシリーズのお約束として、「タイプカバーとペンは別売り」です。おそらくどちらも購入時にセットすることになるので、実際に支払う金額はこれよりも高くなってしまいます。ただ、1月27日現在キャンペーンをやってまして、Surface Pro Xと同時購入でタイプカバーとペンが20%OFFになります。
それと、この製品には「Office Home&Business 2019」が標準で付属しますが、なぜかOffice 365 Soloのサブスクリプションが半額になる、というのもやってます。ここは正直首を傾げたくなるところ。製品版Officeが転売可能なら意味はありますが、これOEM版なんで規約上転売はできないんですよね。
CPU性能だけ見ればIntel版のSurfaceのほうが高性能だと思います。しかし、ARM系のCPUを搭載することによりスリープからの高速復帰やスリープ中のネットワーク通信など、単に処理性能だけではない利便性があるのは間違いありませんし、おそらくバッテリー稼働時間もIntel版のSurface Proシリーズよりも長くなっていると思います(ウインタブではメーカーの公称稼働時間を全く信用していないので、こういう書き方をしています)。
しかし、コミコミで20万円弱くらいからですか…。ちょっと考えちゃいますよね。
コメント
LTE時のバッテリ持ちやスリープ中の動作やその後の復帰速度を求める(つまり可用時間を重視する)層が
わざわざ(まず間違いなく不安定になる)新アーキテクチャに行くのかは疑問ですが、
値段を下げてもそれは同じでしょうから、価格については妥当でしょうね……。
ハードウェア品質の高さでソフトウェアのアラをカバーできるかどうかが勝負ですかね。
実機レビューじゃないとか発売日前にやっとけ
確かに