レノボがノートPC「ThinkPad E14 Gen 7 (AMD) / E16 Gen 3 (AMD)」を国内発売しました。E14 Gen 7/E16 Gen 3は一足先にIntel版が発売されていて、Intel版は2種類のCPU(Raptor LakeとArrow Lake)がありますので、今回AMD版が追加されたことにより「3種類のCPU」を選べることになります。
Intel版の製品紹介記事はこちらです
Lenovo ThinkPad E14 Gen 7 / E16 Gen 3 (IRL/IAL) - ThinkPadシリーズのエントリーモデル、2種類のCPUを搭載して新しくなりました!
1. スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | AMD Ryzen 3 210/Ryzen 5 230/Ryzen 7 250 |
RAM | 16GB/32GB (DDR5-5600) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB SSD (M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4) |
ディスプレイ | E16: 16インチIPS (1,920×1,200) タッチ 16インチIPS (1,920×1,200) E14: 14インチIPS (1,920×1,200) 100%sRGB 14インチIPS (1,920×1,200) タッチ 14インチIPS (1,920×1,200) |
無線通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4 |
ポート類 | USB4 Type-C (映像出力対応) USB 3.2 Gen 1 Type-C USB 3.2 Gen 2 Type-A USB 3.2 Gen 1 Type-A HDMI、LAN (RJ45) 3.5mmオーディオジャック |
カメラ | 720p/1080p (顔認証)/5MP |
バッテリー | 48Wh/64Wh |
サイズ | E14:313 x 220.3 x 10.1-19.7 mm E16:356 x 249 x 10.1-21.15 mm |
重量 | E14: 約1.41 kg/E16:約1.71 kg |
2. CPU
E14 Gen 7とE16 Gen 3のシステム構成はディスプレイを除けばほぼ同じです。
搭載CPUはRyzen 200シリーズです。新しい型番ですが、シンプルなので(名称に「AI」が含まれず、数字も3桁、末尾にアルファベットもない)、大したことがないように見えます。また、国内販売されているPCに採用例がまだ少ないこともあって、大丈夫なの?と思ってしまいますが、決してそんなことはありません。開発コードネームは「Hawk Point」、つまりRyzen 8000シリーズと同じです。Ryzen 200シリーズはRyzen 8000シリーズのリブランドと言えます。
これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。比較用としてRyzen AI 300シリーズ(Krackan Point)のスコアも掲載しました。Ryzen 200シリーズ(左側の3つ)はまだサンプルが少ないので今後大きくスコアが変動する可能性がありますが、一応現時点ではKrackan Pointと大きな性能差はなさそうに見えます。
ただし、Passmarkスコアに含まれない「グラフィック(内蔵GPU)性能」と「NPU性能」は異なります。内蔵GPUの型番がRyzen 200シリーズでは「Radeon 7XXM」、Ryzen AI 300シリーズでは「Radeon 8XXM」なので、グラフィック性能には結構な差が出るものと思われますし、NPU性能はもっと大きく違います。
Ryzen AI 300シリーズのNPU性能は最大50TOPSと高く、Copilot+ PCの要件を満たしますが、Ryzen 200シリーズのNPUは最大16TOPSと低めでCopilot+ PCの要件も満たしません。さらに下位型番(この表ではRyzen 3 210)はNPUを搭載していません。
とは言え、そもそもRyzen 8000シリーズは現在でも十分に高性能ですし、Ryzen 200シリーズに関してもCopilot+ PC対応ではないという点を除けば全く不満を感じない実力がある、と言っていいでしょう。
Ryzen 200シリーズについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。ライターの渋谷Hさんの投稿ですが、渋谷Hさんも記事中で「個人的には価格性能比(コスパ)で考えてこちらの方に食指が動くことが多いかなと思います」と高く評価しています。
ノートPC用CPUの選び方 - 2025年前半・バリューCPU編
3. RAM/ストレージ
RAMは16GBと32GBで、ちょっと面白いことにシングルチャネル(RAMが1枚)とデュアルチャネル(RAMが2枚)を選べます。そのまま使うのならデュアルチャネルにすべきですが、後々の増設可能性を考慮してシングルチャネルを選ぶのもアリかもしれません。
SSDは256GB/512GB/1TBから選べます。SSDの空きスロットの有無については説明がありませんでした。
4. ディスプレイ

ThinkPad E14 Gen 7

ThinkPad E16 Gen 3
E14(14インチ)、E16(16インチ)ともIPS液晶、1,920 × 1,200解像度、45%NTSCの発色品質、タッチ対応の有無を選べ、E14のみ100%sRGB・タッチ非対応も設定されています。Intel版には高解像度(E14は2,880 × 1,800、E16は2,560 × 1,600)で100%sRGBのタイプがありますが、残念ながらAMD版にはありません。
45%NTSCというのはPCディスプレイとしては「並」クラスなので、できればE16でも100%sRGBのものを選べるようにしてほしいと思います。
5. 筐体
以下に掲載する画像の多くはIntel版のものです。AMD版の高解像画像がなかったため、製品ページを確認の上、外観はIntel版と同じであると判断し掲載しています。

ThinkPad E14 Gen 7

ThinkPad E16 Gen 3
筐体の見た目やサイズはIntel版とAMD版で違いがありません。異なるのは重量で、AMD版のほうが100 g弱重くなっています。また、E14とE16も「大きさとキーボードのテンキーの有無」くらいしか違いません。

ThinkPad E14 Gen 7

ThinkPad E16 Gen 3
E16はテンキーつき、E14はテンキーレスのキーボードです。また、E14のみキーボード面の左右にスピーカーがあります。また、この画像では英語配列になっていますが日本仕様は日本語配列と英語配列を選べます。赤いデベソ(トラックポイント)のついた、おなじみのThinkPadキーボードです。

ThinkPad E16 Gen 3
筐体はアルミ製で筐体色は「エクリプスブラック」です。E14とE16で同じデザインで、他のThinkPadシリーズともほぼ同じ見た目です。

ThinkPad E16 Gen 3
側面と入出力ポートの配置です。この画像はE16のものですが、E14も全く同じ配置になっています。USBポートは合計で4つありますが、規格がまちまちですw USB4あり、USB 3.2 Gen 2あり、USB 3.2 Gen 1あり…。また、有線LANポートもありますね。
6. 価格など
Lenovo ThinkPad E14 Gen 7 (AMD)とE16 Gen 3 (AMD)はレノボ公式サイトで販売中で、7月12日現在の価格はE14が89,100円から、E16が90,882円からです。価格は変動しますので、公式サイトで確認するようにしてください。
AMD版が追加されたことにより、E14/E16は3種類のCPUを選べるようになりました。どのCPUを選ぶかは人それぞれですが、「NPU内蔵」であることを重視する場合はIntel版のArrow Lakeモデル(IAL)もしくはRyzen 3を除くAMD版ということになります。
7.関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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