こんにちは、オジルです。今回はミニPC界隈の新たな勢力になりそうなGEEKOMというメーカーの「Mini IT11」レビュー記事をお届けします。ちなみにこちらのGEEKOM、あまり馴染みがありませんが、2003年設立で2021年にミニPC市場へ参入した台湾メーカーのようです。おそらくIntelがNUCの製造・販売を終えるこのタイミングで攻勢をかけるべく日本進出といったところかと思いますが…さて、その実力はいかに。
・第11世代のインテル高性能CPUを搭載し、快適な動作
・RAMとSSDへのアクセスが容易
・USB4ポートをふたつ搭載している
・内部の金属フレームなど細部にこだわりを感じる
・外部GPU非搭載ながら、設定次第ではゲームも楽しめる
ここはイマイチ
・電源アダプターが3ピンコンセント
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目次
1. GEEKOM Mini IT11 スペック
スペック表
GEEKOM Mini IT11 | |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Intel Core i7-11390H/Core i5-1155G7 |
外部GPU | なし |
RAM | 16GB/32GB(DDR4/2スロット/最大64GB) |
ストレージ | 512GB/1TB PCIe3.0 SSD(M.2 2280) 2.5 インチ SATA スロット(7mm)空き1 |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | なし |
ネットワーク | WI-Fi6、Bluetooth5.2 |
入出力 | USB4 Type-C (映像出力、PD対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A × 3、HDMI2.0、Mini DisplayPort、SDカードリーダー、オーディオジャック、LAN(RJ45) |
カメラ | なし |
バッテリー | なし |
サイズ | 117 × 45.6 × 112 mm |
重量 | 564.9 g |
バリエーションモデル
・Core i7-11390H/RAM16GB/512GB SSD
・Core i7-11390H/RAM32GB/512GB SSD
・Core i7-11390H/RAM32GB/1TB SSD
・Core i5-1155G7/RAM16GB/512GB SSD
※上記以外にもOS/RAM/SSDなしのベアボーンモデルあり
なお、レビュー機の構成は「Core i7-11390H/RAM32GB/1TB SSD」でした。
コメント
Mini IT11は搭載するCPUが2種類あり、ひとつはCore i7-11390H、もうひとつはCore i5-1155G7です。どちらも第11世代のモバイル向けCPUで、PASSMARKで公開されているスコアを見ると両方とも10,500程度となっていますが、TDPが異なり、11390Hは35W、1155G7は28Wです。レビュー機は前者で、OSはWindows 11 Proでした。
RAMは2スロットで16GB/32GBから選択でき(Core i5モデルは16GBのみ)、最大64GBまで搭載可能です。
ストレージはCore i7モデルの32GB選択時のみ1TBを選べるようになっていて、それ以外は512GBです。後述しますが2.5インチのドライブベイで増設もできるため、個人的には512GBでいいのかな、とは思います。
ポート類は充実していて、とりわけUSB4がふたつあるのがポイントです。
●USB4に関する参考リンク(BUFFALO):
【かんたん解説】新規格「USB4」とは?USB従来規格と何が違う?
サイズは「よくあるミニPC」とほぼ同じで、あまり持ち運びを前提としないでしょうけど、やはり小さい・軽いのはミニPCならではのメリットですね。設置スペースに縛られないのはもちろんのこと、PCデスク周りのレイアウト変更に伴う移動も容易にこなせるでしょう。
2.GEEKOM Mini IT11 筐体
外箱です。欧米チックというか、どことなくPCパーツのような趣のデザインになっています。
本体以外の同梱品です。ペーパー類と電源アダプター、HDMIケーブル、VESAマウント用の金具・ビスですね。アダプターは3ピンコンセントになっていて、変換プラグもしくは対応する電源タップが必要になってくるため要注意。
説明書はご覧のように一枚モノとなっていて、テキストでの説明はほぼ皆無。下手に説明されるよりも、こうやって対象項目ごとに図解してくれるほうがありがたいかもしれません。
本体天面です。撮影するスマホが写り込んでしまいましたが、最初からフィルムが貼り付けられています。はがしてみると、金属っぽいマットな質感のプラスチック素材がお目見えします。
続いて底面部です。RAMやSSDの換装、ストレージ追加など本体内部へアクセスする際は四隅のネジを外して行います。ネジの外周にはゴム足がついていて一体化しており、裏蓋から取れない仕様になっています。こういった細かな配慮は「ネジが吹っ飛んで隙間に入り込んでしもた…」といったトラブルを回避できるため地味にありがたかったりするんですよね。
また、内側にもゴムがありますけど、こちらはディスプレイなどにマウントする際にゴム部分を外してVESA金具に取り付ける仕組みになっています。
正面から見たところ(前面)です。左から順にUSB4(Type-C)、USB3.2 Gen 2(Type-A)、オーディオジャック、電源ボタンとなっています。
背面は左から電源ジャック、Mini DisplayPort、USB3.2 Gen 2(Type-A)×2、USB4(Type-C)、HDMIです。DP規格がミニなのは理由があるんですかね?筐体サイズからしてもフルサイズにできたような気はしますけど…。
それはさておき、最大の40Gbps規格ではないとはいえ、現行のミニPCでは珍しい(というか初?)USB4の搭載が嬉しいポイントですし、前後の振り分けもちょうどいいかと思います。固定の配線は背面に、前面は必要に応じてハブを接続して周辺機器を、といった使い方がなんとなくイメージできます。
左側面にはフルサイズのSDカードスロットを備えます。周辺がスペースの許す限り通気口になっている設計はいいですね。
右側面にはセキュリティスロット以外何もなく、左側面同様、通気スペースを十分確保しています。
開口するとこのような状態に。右にある底面のフタは2.5インチのドライブベイになっています。右端にテープのようなものが貼ってありますけど、きっとSSDのヒートシンクですね。全然違ったら申し訳ないですが、「うまいこと考えたな」とか「優しいな」といった感情が芽生えました。
また、本体部分をよく見ると、外装と基盤の間に金属のフレームが確認できます。傍目ではプラスチックでも、内側で剛性(プラス冷却効果もある?)が担保されているのは感心します。
RAMスロットは2つあり、レビュー機にはLexar製の16GBが2枚装着されていました。同一スペックと思われるLexarのDDR4-3200の16GBメモリはAmazonにて5,000円程度で販売されているのを確認。レビュー機は32GBモデルでしたが、16GBモデルでは16GB×1なのか8GB×2なのか気になるところです。
SSDは2280サイズで同じくLexar製。型番で調べてみるとスペックとしては読み書きともに3,000MB/sオーバーで、Amazonにて8,000円弱で販売されていました。
最後に、システム情報です。Win 11 Pro/Core i7-11390H/RAM32GBとなっています。
3. GEEKOM Mini IT11 性能テスト
ベンチマークテスト
まずはビジネスシーンを想定した様々な動作のテストを行うPCMARKから。ブラウジングやオフィスソフト、ビデオチャットなどのエミュレートでスコアリングします。外部GPUを搭載しないMini IT11の性質上、主にビジネス用途や自宅での利用が主となるでしょうから、このテスト結果が日頃使っていく上での指標になると言えます。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Titan GT77 HX 13V(Core i9-13980HX、RTX4090):9,187
MSI Katana 15 B13V(Core i7-13620H、RTX4050):7,955
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U)5,954
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):5,761
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):5,564
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):5,503
MSI Prestige 13 Evo A12M(Core i7-1280P):5,500
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):5,468
VAIO SX14(Core i7-1280P):5,452
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
ASUS Vivobook 15x OLED X1503ZA(Core i7-12700H):5,244
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
ASUS Zenbook 17 Fold OLED UX9702(Core i7-1250U):5,074
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):5,031
DELL XPS 13 Plus(Core i5-1240P):4,980
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):4,967
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):4,902
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):4,834
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):4,833
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):4,066
レビュー機に搭載されるCPUはCore i7-11390Hと、ノート向けの第11世代CPUの中でハイパフォーマンスに位置付けする型番となっています。結果としては4,669と、同世代のCore i7-1165G7より若干劣るスコアとなりました。とはいえ僅かな差であり、妥当なスコアとの見方もできます。2年前のもの、かつノート向けのCPUではありますが、当然ながらビジネスシーンで利用する上では動作に不満を抱くことはまずないと言っていいでしょう。
続いて、CPUの性能に絞ってスコアリングするCINEBENCH R23でのテストです。PCMARKでのスコアが振るわなかった分、ハイパフォーマンスモデルCPUとして真価が問われますが…
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Titan GT77 HX 13V(Core i9-13980HX、RTX4090):2,149、30,358
MSI Creator Z16P B12U(Core i9-12900H):1,918、17,827
マウス DAIV 6P-RT(Core i7-12700H):1,814、12,873
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):1,809、8,940
ASUS Vivobook Pro 15X OLED K6501ZM(Core i7-12650H):1,806、14,632
MSI Katana 15 B13V(Core i7-13620H、RTX4050):1,802、11,620
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):1,797、8,791
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):1,769、9,334
MSI Prestige 13 Evo A12M(Core i7-1280P):1,667、9,514
VAIO SX14(Core i7-1280P):1,661、9,354
MSI Stealth 15M B12U(Core i7-1280P):1,659、13,793
dynabook GZ/HV(Core i7-1260P):1,655、7,586
富士通LIFEBOOK AH(Core i7-1260P):1,646、9,012
dynabook RZ/HV(Core i7-1260P):1,634、8,524
ASUS ROG Strix G15 G513RW(Ryzen 9 6900HX):1,580、14,830
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):1,551、5,160
ASUS ROG Flow X16 GV601(Ryzen 7 6800HS):1,543、13,832
ASUS Vivobook 15 OLED K512EA(Core i7-1165G7):1,497、5,555
MSI GP66 Leopard 11U(Core i7-11800H):1,491、12,210
ASUS Vivobook Pro 15 OLED(Ryzen 7 5900HX):1,482、12,108
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):1,477、5,526
ASUS M3700WY(Ryzen 7 5825U):1,454、9,046
MSI Bravo 15 B5(Ryzen 7 5800H):1,422、11,241
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):1,364、8,013
Lenovo Legion 560(Ryzen 7 5800H):1,348、11,419
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):1,170、6,973
ASUS ZenBook 14(Core i5-8265U):1,023、3,691
HP Pavilion x360(Core i5-7200U):790、1,740
結果としては、第12世代のCore i7-1255Uを搭載するdynabook SZ/MVよりもシングルコア・マルチコアともに高いスコアとなりました。他と比較しても順当だったように感じます。
グラフィック性能をテストする3D MARKです。外部GPU搭載機向けのTime Spy、Fire Strikeは参考までとし、Wild LifeとNight Raidのスコアで他製品との比較を行います。
参考(外部GPU非搭載のノートPC):
MSI Prestige 13 Evo A12M(Core i7-1280P):15,330、20,071
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):14,055、18,529
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U):-、16,098
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):10,684、14,119
ASUS Zenbook 17 Fold OLED UX9702(Core i7-1250U):10,931、13,960
※左からWild Life、Night Raidのスコア
結果は第12世代のCore i7-1250Uとほぼ同等のスコアとなりました。もちろん重量級のゲームを高解像度でプレイするのには厳しいですが、軽めのゲームで遊んだり、設定次第では要求スペックの高いものでもなんとか対応できるかもしれないくらいの性能はあると思います。
SSDの読み書き性能をテストするCrystalDiskMarkです。前述のSSDスペック通り、読み書きともに3,000MB/sオーバーで申し分ない結果となりました。
ゲームプレイ
少し前に手持ちのミニPCのMinisforum U820(Core i5-8259U/外部GPUなし)にてSteamのストリートファイター6のデモ版が動くかどうかテストしてみたことがあるのですが、残念ながら動作が遅く、プレイできるような状態ではありませんでした。
Mini IT11ならいけるのでは?と今回も試してみたところ、最低設定(設定画面から一括で可能)であれば動いてくれました(画質は相当悪かったですけど…)。なお、当該タイトルの必須要件はCore i5-7500またはRyzen 3 1200/GeForce GTX1060またはRadeon RX 580です。Core i7-11390Hに内蔵されているIris Xe G7(96EU)は当然要求スペックを満たさないのですが、解像度を下げるなどの設定次第で「エンジョイ勢」レベルなら格闘ゲームやFPSにも対応できそう、ということは分かりました。
ファン音・発熱
ファン音についてですが、本体の起動時やベンチマークソフトの動作中にサーッという静音ノートPCくらいの音は発生するものの、それ以外のシチュエーションではほぼ音が聞こえることはありませんでした。前述のMinisforum U820と比べてみても静かです。数年前のモデルなので比較対象になっているかは微妙ですが、そもそもU820自体が静かなマシンなのでちょっとびっくりしたくらいです。
また、発熱についても良好です。ベンチマークテスト時にはCPU温度が87℃まで上昇していましたが、テスト終了後に本体を触ってもほんのり温かい程度でした。
4.GEEKOM Mini IT11 レビューまとめ
GEEKOM Mini IT11はAmazonで販売中で、8月20日時点の販売価格は以下の通りです。
Core i7モデル:
・16GB/512GB:51,984円(46,786円)
・32GB/512GB:59,483円(53,535円)
・32GB/1TB:73,083円(65,775円)
Core i5モデル
・16GB/512GB:53,980円
※税込み価格
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※カッコ内はクーポン適用後の価格
メーカーから10%OFFのクーポンコード「Q7BT2RCQ」を頂いており、16GB/512GBモデルであれば5万円を切る価格で購入できます。また、レビュー機の32GB/1TBという構成でも6万円台半ばと、市場で最安値と言えるかは微妙ですが、USB4の搭載や2.5インチHDD/SSDでのストレージ拡張ができることを考えると、お買い得と言っていい価格だと思います。
また、Mini IT11は底面のネジが外れず紛失しない仕様になっていたり、ドライブベイにヒートシンクを配置してあったりと、ユーザーへの配慮が感じられるのも好感を持ちました。何よりこのサイズ、このスペックが4万円台から手に入るというのは素晴らしい時代になったと感じます。
これまでお伝えしてきた通り、PCでの作業に重い処理がない方であればストレスを感じないスペックとは裏腹に、圧倒的な省スペースで拡張性もあるのがミニPCの魅力。使うたびに「スタンダードデスクトップはもう必要ないんじゃ…」と常々感じます。新たに自宅用PCを購入する方はもちろん、既存マシンからのリプレースにおすすめです。
5.関連リンク
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