どうも。ひつじです。先日執筆いたしましたCoreBook Proの機種紹介記事ですが、今回CHUWIより実機をお借りしましたので、改めてレビューを致します。結論から言えば、Intel系CPU搭載の4万円前後のノートPCの中ではベストバイに近い製品じゃないかな、と感じました。
今まで触ってきたCHUWIの製品は高品質なのですが、「中華PCとしては大変に」みたいな前書きを付けることが多かったんですね。これはレビューをする以上、人によって感覚が異なる部分なのでどうしても必要な枕詞でした。
ただこの製品にはこの前書きは不要だなと感じました。大手PCメーカーに並べても遜色ない、もしくは上回るだけのクオリティを確保してきています。正直手放したくないなと感じる良質なモデルです。
1.スペック
CoreBookPro | |
OS | Windows 10 Home |
CPU | Intel Core i3-6157U |
外部GPU | 内蔵GPU:Intel Iris Graphics 550) |
RAM | 8GB |
ストレージ |
256GB SSD NVMeのM.2 2280ストレージ搭載可 |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 13インチIPS(2,160 × 1,440) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2 |
入出力 |
USB Type-C、USB 3.0 、オーディオジャック、 microSDカードリーダー、DCジャック |
カメラ | 搭載 |
バッテリー | 46.2Wh(約8時間) |
サイズ | 289 × 219 × 17.75 mm |
重量 | 約1,34kg |
先日の記事から上記の表は引用しています。(すみません…。カメラ解像度を見ていませんでした…。)既に紹介していることが多いためスペックの詳細はそちらを見て頂くとして、特徴と言えるのが第6世代のIntel Core i3を採用していること、内蔵GPUがIrisであること、NVMeのM.2を追加搭載可能であること、ディスプレイ比率が3:2で解像度も2,160×1,440と非常に高いこと、充電がUSB Type-Cと専用DC端子の両方で可能であることが挙げられます。
他のスペック面についても必要十分、と言えるだけの内容になっており、USB端子の少なさ以外に欠点が何もない仕上がりになっています。ちなみに無線LANはIntelのAC7265、SSDはKingston製を採用しています。Kingston製品はこういったストレージにおける高い実績を有するメーカーですから、この点も良好と言えると思います。
2.筐体
まずは付属品から。といってもレビュー端末が故、なのかもしれませんがアダプターだけと非常にシンプルでした。IntelのN系列(N4100等)やM系列(M3等)を搭載しているモデルよりは大きなアダプターです。大きさはすごくざっくりですが、110×45×31mm位、といったところ。規格上はセンタープラスで出力が19V/3.42A(65W)ですね。PSE認証なども得ているので質も問題ないでしょう。
次に本体。天板ですが金属製で質感も非常に高いです。やや紺色~紫がかったダークシルバーといった感じ。メーカーロゴもメタル加飾されてはいますがシンプルなもの。好ましいと思われる方が多いのではないかと思います。またサイズもかなり小さいと感じます。体感的には11インチクラスの奥行が伸びた?位の印象です。
比較用に14インチのASUS製Chromebook(C434TA)と並べてみましたが、横幅が非常に短いんですよね。奥行はCoreBook Proの方が長いのですが、C434TAは14インチクラスとしては極めて奥行が短いノートです。重量も不満にならない範囲ですし、持ち運び時のサイズで苦労することはまずないと思います。
続いて左側面。USB端子とオーディオジャックが搭載されていますね。
右側面にはDC端子とUSB Type-C端子。このUSB端子は充電にも対応しており非常に便利です。実際私はこちらで充電してレビューをしていましたが何もトラブル等はありませんでした。
背面には特に何もなし。
前面も天板を開く手がかりがあるくらいでシンプルです。
最後に裏面。天板同様金属素材です。手前に2つスピーカー用のグリルがついていますね。技適のマークも記載されていますが、少なくともこのレビュー機(おそらく大量生産前のロットと思われます)には技適の認証番号の記載はありませんでした。
また、M.2 SSDを追加搭載するための開口部もあります…がSATA?各所でNVMeタイプとふれ込みがあるのにおかしいですね。
中を確認させて頂きましたが、端子部分の切れ込みが1つ。搭載可能なのはNVMeタイプでしょう(AHCIタイプならごめんなさい)。印字不備ではないかと思います。ヒートシンク付きのものは少しスペースが厳しいかもしれませんね。
開いた様子がこちらです。キーボード面の天板素材は冷たさが無かったため樹脂のようにも感じたのですが詳細は不明。使用している限り安っぽさなどは感じません。またベゼルもかなり攻めた細さに仕上がっていて非常にスタイリッシュです。
ちなみにヒンジは180度近くまで開きます。ただ接地面がフラットにならず安定しないので参考程度に。
印字不備はあるものの、CoreBook Proは総じて質感が良く、またそもそもボリュームボタンなども筐体には搭載されていないので操作上の不満なども発生せず、非常に満足度の高い仕上がりになっていると感じますね。
3.使用感
ディスプレイ
3:2の画面比率は確かに使い勝手がよいですね…。縦の情報が多くなる分、複数ウィンドウを開いたときに使い勝手が良いです。
(IPSにしては)多少視野角が狭いかも、という点とディスプレイ下部にバックライト起因の照度ムラがある点は気になりますが、実使用上問題はありません。
今どきのノートPCとして見れば色温度は高い方ではありません。低彩度における色再現性は高いと思います。高彩度になるとよりビビットに振れてしまう(特に赤、次いで緑もわずかに)様子は見て取れますが極端ではありません。癖を把握すればイラストレーターはもちろん、恐らく写真を扱われる方も利用可能じゃないかなと思います。
キーボード・タッチパッド
タッチパッドはクリック感が結構固めですね。音も結構目立ちます。タッチパッドそのものは「まあ使える」といった感じです。
一方キーボードは剛性をしっかり感じられる使い勝手の良いものに仕上がっています。ENTERキー周りの配置や右Ctrlの不在等は人によっては困るかもしれませんが、キーピッチが約19mmでストロークも深め、しかもキーがたわんだりせずバシバシ打てる(メンブレン式としてもかなり硬質な方)のでミスタッチなどが起こりにくくかなり好感が持てる仕様でした。配置に不安がなければ、テキストライティングも快適にできる質に仕上がっていると思います。特に他のノートPCのキーが柔らかすぎるといった不満を持っていらっしゃる方にとってはうってつけではないでしょうか。
スピーカー
高域の表現は的確ですね。中音域に付帯音、低域に多少籠りがあります。ただ筐体に対して無理のない表現をしており再生音そのものへの違和感は特にありません。実用品としては十分以上の内容ですし、ミドルクラスのノートPCとしては不満の無い内容ではあると思います。ただ筐体が小さいためか、ステレオ感はやや薄めです。
ただ、音質以上にスピーカーのゲインが大きく、他社のボリューム100%位がこの機種だと50%位なんじゃないか、という位に大きな音が出ます。(すみません。私は住環境都合で100%で再生テストできず…。その位大きい音です)日常使いなら10%位でもいいのではないでしょうか。Windowsの場合、ボリュームに応じて再生音声のビット落ちが発生するため、このゲインの大きさは音質面ではOS起因によりややマイナス要素(もしかしたら上記の音質の不満もこの点が起因かもしれません)ですが、会社のプロジェクターに映像を投影する時にスピーカーが無い、みたいな状況には救世主になるかもしれませんね。
バッテリー
ボリュームを20%、バッテリー設定はデフォルト(高パフォーマンス)にした状態でYoutubeのFHD動画を1時間流したところ、消費したバッテリー量は20%でした。1日中充電なしで仕事をする、といった場合にはもう少しバッテリー消費を抑える必要はあると思います。ただ画面照度等を落とすだけで随分と改善はされそうです。
その他
冷却ファンはこまめに制御されている感じはありますが基本的には静かです。一方恐らく電源由来と思われるコイル鳴きが発生していたのは気になりました。
4.ベンチマークなど
旧世代とは言えGPUにIrisを搭載している都合上、ゲーミングノートとしての活用も視野に入るかなと思い、いつもより多めにベンチマークを回しています。3DMark、PCMark、CrystalDiskMark、CineBenchの結果に加え、参考までにDQ10ベンチマーク、ドラゴンズドグマオンライン、FF14紅蓮のリベレーターについても記載しておきます。(これらは過去のウインタブ内レビュー機種で多用していたベンチマークたちです)
参考:
HP ENVY x360 13(Ryzen 5 4500U) : 2,667、9,673
HP ENVY x360 15(Ryzen 5 3500U) : 2,269、7,922
Lenovo ThinkPad E595(Ryzen 5 3500U): 2,259、7,741
Lenovo ThinkPad E495(Ryzen 5 3500U): 2,257、7,874
マウス m-Book X400B(Ryzen 5 3500U): 1,528、4,659
HP ENVY X360 13(Ryzen 7 3700U): 1,513、6,808
HP ENVY 13 X360(Ryzen 3 2300U): 1,513、5,396
ASUS VivoBook S15 S531FA(Core i7-10510U): 1,241、4,733
Lenovo ThinkPad X1 Yoga(2019)(Core i7-8665U):1,211、4,946
Lenovo ThinkPad X280(Core i7-8550U): 1,211、4,871
Lenovo ThinkPad T490s(Core i7-8565U): 1,181、4,845
DELL XPS 13(9380)(Core i7-8565U): 1,189、4,586
HP Spectre x360 13(Core i7-8565U): 1,178、4,574
DELL XPS 13(9370)(Core i7-8550U): 1,161、4,719
Microsoft Surface Laptop 2(Core i5-8250U): 1,157、4,652
Microsoft Surface Pro 6(Core i5-8250U): 1,136、4,524
ドスパラ Altair F-13KR(Core i5-8250U): 1,126、4,746
東芝 dynabook AZ65/G(Core i7-8550U): 1,116、4,367
HP Spectre x2(Core i5-7260U): 1,114、4,389
富士通 LIFEBOOK WU2/C3(Core i7-8565U): 1,111、4,325
NEC LAVIE Direct NEXT(Core i7-8550U): 1,097、4,471
HP Elite Dragonfly(Core i5-8265U): 1,092、4,383
Lenovo IdeaPad C340 (15)(Core i5-8265U): 1,085、4,370
DELL Inspiron 15 5000 2in1(Core i7-8565U):1,084、4,421
東芝 dynabook VZ82/F(Core i7-8550U): 1,084、4,282
iiyama Style 17FH054 i7(Core i7-8750H): 1,082、4,559
Lenovo ThinkPad X1 Carbon(Core i7-8665U): 1078、-
Lenovo ThinkPad X390(Core i7-8565U): 1,063、4,350
ドスパラ DX-C5(Core i5-10210U): 1,010、4,262
※左からFireStrike、SkyDiverのスコア
3DMarkのスコアですが、第10世代のIntel系オンボードGPUより一回り高い数値が出ています。恐らくRyzenの2000番台が好敵手なんでしょう。中でもFireStrikeは良好な結果が出ていますね。
参考:
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):6,447
Lenovo Legion Y740(17)(Core i7-9750H、RTX2080Max-Q): 6,151
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
ASUS ROG Zephyrus G14(Ryzen 9 4900HS、RTX2060 Max-Q):5,852
Lenovo Legion Y740(15)(Core i7-9750H、RTX2070 Max-Q): 5,830
ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV(Core i9-9980HK、RTX2060): 5,727
Lenovo Legion Y7000(Core i7-9750H、GTX1650): 5,618
ドスパラ GALLERIA GCR1660TGF-QC-G(Core i7-9750H、GTX1660Ti): 5,573
ASUS ROG Zephyrus S GX502GV(Core i7-9750H、RTX2060): 5,506
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(Core i7-9750H、RTX2070): 5,505
DELL G7(Core i7-8750H、GTX1060): 5,401
ドスパラ GALLERIA GCF2060GF-E(Core i7-8750H、RTX2060): 5,328
MSI GP65 Leopard(Core i7-9750H、RTX2060): 5,299
ドスパラ GALLERIA GCF1070GF(Core i7-8750H、GTX1070): 5,122
MSI GF75 Thin(Core i7-8750H、GTX1050Ti): 5,009
ドスパラ GALLERIA GCF1060GF-E(Core i7-8750H、GTX1060): 4,976
ドスパラ GALLERIA Mini 1060(Core i5-7500、GTX1060): 4,906
ドスパラ GALLERIA GCF2070GF-E(Core i7-8750H、RTX2070): 4,893
ASUS ZenBook 15 UX534FT(Core i7-8565U、GTX1650): 4,709
HP ENVY x360 13(Ryzen 5 4500U) : 4,678
ドスパラ GALLERIA GCF1050TGF-E(Core i5-8300H、GTX1050Ti): 4,545
ASUS ROG Zephyrus G GA502DU(Ryzen 7 3750H、GTX1660Ti): 4,365
OMEN X by HP(Core i7-7820HK、GTX1080): 4,290
iiyama STYLE-17FH054-i7(Core i7-8750H) : 4,281
HP Spectre x360 13(Core i7-8565U): 4,223
Lenovo ThinkPad T490(Core i7-8565U、MX250): 4,158
ASUS VivoBook S15 S531FA(Core i7-10510U): 4,155
Lenovo ThinkPad X1 Carbon(Core i7-8665U): 4,132
ASUS TUF Gaming FX505DT(Ryzen 5 3550H、GTX1650): 4,124
Lenovo ThinkPad X1 Yoga(2019)(Core i7-8665U):4,120
ASUS ZenBook 14 UX434FL(Core i5-8265U、MX250):3,933
Lenovo ThinkPad X280(Core i7-8550U): 3,909
HP Elite Dragonfly(Core i5-8265U): 3,843
ドスパラ Altair F-13KR(Core i5-8350U): 3,778
HP Spectre 13(Core i5-8265U): 3,766
ドスパラ DX-C5(Core i5-10210U): 3,737
HP ENVY X360 13(Ryzen 7 3700U): 3,728
Lenovo ThinkPad E595(Ryzen 5 3500U): 3,714
NEC LAVIE Direct NEXT(Core i7-8550U): 3,704
ドスパラ Critea VF-HEKS(Core i7-8550U、MX150): 3,704
マウス m-Book X400B(Ryzen 5 3500U): 3,659
HP ENVY x360 15(Ryzen 3500U): 3,617
DELL Inspiron 17 5000(5770)(Core i7-8550U、Radeon 530): 3,607
Lenovo ThinkPad E495(Ryzen 5 3500U): 3,574
東芝 dynabook AZ65/G(Core i7-8550U): 3,546
HP ENVY 13(Core i7-8550U):3,534
DELL XPS 13(9370)(Core i7-8550U): 3,518
ドスパラ Critea VF-HGK1050(Core i7-7700HQ、GTX1050): 3,492
東芝 dynabook VZ82/F(Core i7-8550U): 3,491
富士通 LIFEBOOK WS1/B3(Core i7-8550U): 3,479
Microsoft Surface Pro 6(Core i5-8250U): 3,399
東芝 dynabook DZ83/J(Core i7-8550U): 3,353
マウス m-Book J(Core i5-8250U): 3,350
東芝 dynabook UZ63/F(Core i7-8550U): 3,341
Microsoft Surface Laptop 2(Core i5-8250U): 3,199
HP Spectre Folio 13(Core i5-8200Y): 3,108
続いてPCMarkです。i3でかつ第6世代、と考えれば十分によい結果だと言えるでしょう。この数値であれば一般的なオフィスユースでは、実使用上不満も出ないと思います。
CrystalDiskMarkは上記の通り。SATAのSSDとしては充当な結果、と言えます。
CineBenchはすみません…。SingleCore計測が出来ていませんでしたので参考までに。さすがにCPU単体では今時のRyzenやiシリーズにはかなわない、というのが実情ですね…。とは言えローエンド帯よりは一回り以上高い数値を出しているのも事実です。
以下はゲーム系のベンチマークです。見て頂いたら分かるかと思いますが、DQ10やドラゴンズドグマオンラインであれば最高設定で動作可能、FF14は最高設定だと「設定変更を推奨」~「設定変更が必要」クラス、FHDであっても画質を落とせば「やや快適」と、十分にプレイが可能、というポジションになっています。最新のゲームでない、あるいはスマートフォンとのマルチタイトルゲームであれば、設定次第で動作をさせることは可能かと思います。
5.まとめ
筐体そのものが非常に高品質でそれだけでも目を惹くノートPCだと感じます。そこに隙の無い性能、加えて強みになる液晶の解像度やキーボードの使い心地などが付与されているわけですから、そりゃいいパソコンになるよな…と。
CHUWIは元々筐体の質(素材感やちり合わせ)は他の中華系メーカーより1段上と言えるようなレベルなのですが、特にこの機種の場合、ライバルとして挙げられるのは中華系メーカーだけではなくてASUSやLenovo等といった「筐体の作りを強みとしている大手PCベンダー」ですね。勿論ディスプレイのバックライトや印字のミス等、目くじらを立てれば引っかかるポイントは無くも無いのですが正直どの会社でもあるよな…といった内容に収束しつつあるとも感じています。これらがクリア出来れば完全に横並びになるんじゃないかなと。
今まで手元に今後も置いておきたいと思ったPCはASUSのZenBook15、Chromebook Flip C434TA(どっちもASUSだなあ…。)なのですが、CoreBook Proにも近い印象を抱きました。性能面でもGPU込みで考えれば現行の機種に追従出来る力は十分に有していますし、セール価格を前提とした価格帯では現状ベストバイと言える1台かも、なんて思っています。
6.価格など
CHUWI CoreBook Proは通常560ドルですが、現在399ドル(42,269円)で販売されています。以前紹介していたハンドバッグは付属されないとは思いますが価格は以前のセールから据え置かれている状態です。
この価格帯だとAMD系のCPU搭載機種の一部にいくつか性能上のライバルは存在するものの、Intel系では実質不在です。更にAMD系のライバルであってもこのクラスのディスプレイや質感を有している機種にはなかなか出会えないでしょう。
検討をされている方にはちょっといつもより強めにお勧めしたい、そんな機種に仕上がっていると思います。