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ACEMAGIC RX16 レビュー - Ryzen 7 7735HS搭載の16インチノート。以前の「中華ノート」とは別物の高い品質

輸入製品

ACEMAGIC RX16 レビュー
ACEMAGICのノートPC「RX16」の実機レビューです。ウインタブでACEMAGICのノートPCをレビューするのはこれが2回目で、最初にレビューした「AX15」はCPUにIntel N150を搭載し、約4万円で購入できるエントリークラスの15.6インチノートでしたが、このRX16はCPUにRyzen 7 7735HSを搭載する上位モデルです。AX15は製品価格の割に品質がよく、ウインタブのレビューでは高く評価しましたが、RX16はビジネス用のメインPCとしても使える性能、筐体品質を備えています。

AX15のレビュー記事はこちらです。
ACEMAGIC AX15 レビュー - Intel N150を搭載し、4万円で買えるWindowsノートPC。期待以上の品質!

なお、このレビューはメーカーからレビュー機のサンプル提供を受け実施しています。

ここがおすすめ
・Ryzen 7 7735HSはビジネス用メインPCとして十分な性能
・RAMとSSDを自分で増設できる
・安っぽさのない、高い質感の筐体
ここがイマイチ
・RAMがシングルチャネル  (増設可)
・キーボードが英語配列、日本語配列用シートは好みがわかれそう

※クーポンコード「SRDACYEQ」(10月12日まで)

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1. スペック表

項目 仕様
OS Windows 11 Pro
CPU AMD Ryzen 7 7735HS
RAM 16GB (DDR5 4800、シングルチャネル)
※空きスロット1、最大64GBまで搭載可能
ストレージ 512GB (M.2 2280, PCIe 3.0)
M.2 2280 スロット空き×1
ディスプレイ 16インチIPS (1,920 × 1,200) 60Hz
無線通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
ポート類 USB 3.2 Gen 1 Type-C (映像、PD対応)×2
USB 3.2 Gen 2 Type-A ×2、USB 2.0 Type-A
HDMI、オーディオジャック
microSDカードリーダー
カメラ Webカメラ(1MP)
バッテリー 11.55V/4400mAh、51Whr
サイズ 357×247.6×19.9mm
重量 2.2 kg

※OSライセンスはOEM_DMチャンネルであることを確認しました (ライセンスに問題はありません)
※レビュー機はノートPCのため、筐体の開口はしておりませんが、PowerShellを使って調査、RAMスロットは2つ、使用しているのは1つのみ、つまり、シングルチャネルで動作していることを確認しました。
※RAM/SSDとも空きスロットがあるので増設は可能です。ただし、ミニPCとは異なり、筐体内部へのアクセスはやや面倒なので、PC初心者が作業する場合は、PC知識のある人に補助してもらうことをおすすめします。

2. 外観と使用感

同梱物

ACEMAGIC RX16 同梱物

同梱物です。取扱説明書は日本語を含む多言語で書かれていました。RX16は独自のアプリは搭載しておらず、いわば「素のWindows」に近い初期状態のため、取扱説明書の内容もごくシンプルなものでした。

ACアダプターは一般的なスタンダードノート用のものよりも若干大きく、出力も最大100Wと大きめです (外部GPU非搭載のスタンダードノートの場合、65Wくらいのものが多いです)。

そして、AX15のレビュー以来ウインタブのお気に入りになっているキーボード用シート (メーカーの呼称はキーボードフィルム)です。後述しますが、RX16は英語キーボードで、このシートをキーボードに載せると日本語キーボードに早変わりします 。

天板と底面

ACEMAGIC RX16 天板

天板です。素材はおそらく金属製で、質感も悪くありません。中央にACEMAGICのロゴが入っています。

ACEMAGIC RX16 底面

底面です。中央上部に通気口があります。筐体の開口は可能ですが、ユーザーが手軽にメンテナンスできるような開口部 (ハッチ)はありません。両サイドにスピーカーがあります。ただ、この画像だとスピーカーはほとんど見えないと思いますので、側面画像のところで説明します。

側面

ACEMAGIC RX16 前面

前面です。中央にヒンジ開口用の突起があり、中央にWebカメラの物理シャッターボタン(レバー)があります。Webカメラに物理シャッターを設けているあたり、低価格帯の中華ノートPCとは一線を画しているように思われますね。

ACEMAGIC RX16 背面

背面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。

ACEMAGIC RX16 右側面

右側面です。画像左側に細いスリットが見えると思いますが、これがスピーカーです。画像中央右側にポート類が配置されていて、左からmicroSDカードリーダー、USB 2.0 Type-A、USB 3.2 Gen 2 Type-A、イヤホンジャック、セキュリティロックスロットがあります。

ACEMAGIC RX16 左側面

左側面です。画像左からUSB 3.2 Gen 1 Type-C (映像出力/USB PD対応)、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-A、USB 3.2 Gen 1 Type-C  (映像出力/USB PD対応)があります。また、左側面にもスピーカーがありますね。

キーボード

ACEMAGIC RX16 キーボード

キーボードです。これがデフォルトで、英語配列になっています。キーピッチは手採寸で約19 mmと標準的なサイズ、ただしテンキー部分はやや狭くて17 mm程度です。

配列には大きなクセはありませんが、右Shiftキーが小さいとかテンキー側のEnterキーが小さい、といったことが指摘できます。私は右のShiftキーを多用するので、使い始めのうち「Shiftを押したつもりがカーソルが上に移動した (左隣の↑キーを押してしまった)」ということが何回かありました。

Spaceキーなど大型のキーではやや打鍵音が大きくなりますが、全体的には打鍵音は静かなほうです。

ACEMAGIC RX16 キーボード (日本語シート)

日本語シートを貼り付けたところです。全く違和感がないw ただ、さすがにEnterキーなどの「形状」は変わりませんけど。また、Windowsのキーボード設定は初期状態で日本語になっていますので、日本語キーボードユーザーはこのシートを被せるだけですぐに日本語キーボードとして使えます (逆に英語キーボードユーザーはWindowsの設定を英語キーボードにする必要があります)。

このシート、いろいろと「ダメそう」に思いますよね。キートップの感触が変わり、打鍵のシャープさも失われるんじゃないかと…。しかし、私の評価は高いですw なにげに感触が良く、個人的には打鍵感を大きく損なうとは感じられませんでした。また、打鍵音も少し静かになります。少なくとも普通にテキスト入力をするぶんには問題ないと評価します。ただし、タイピストの人や打鍵感に強いこだわりがある人には向かないでしょうね。もっとも「打鍵感へのこだわり」を言い始めたら多くのノートPCのキーボードが軒並み「落第」しそうですけど。

ディスプレイと使用感

ACEMAGIC RX16 ディスプレイ

ディスプレイは16インチのIPS液晶、1,920×1,200解像度、ノングレア (非光沢)タイプです。ご覧の通りベゼル幅も細く、安物感はありません。前回レビューしたAX15は15.6インチで解像度は1,920×1,080、アスペクト比は16:9でしたが、RX16はアスペクト比16:10となり、「いまどき」の仕様になっています。

手持ちのPCモニター (27インチIPS液晶、99%sRGBの色域対応)と比較してみると原色が少し淡く、また輝度も低めです。おそらく45%NTSCレベル (PCモニターとしては「並」クラス)と思われます。とはいえ、ウインタブの記事執筆など事務系の作業では問題なく使えるでしょう (少なくとも個人的には記事執筆時に全く不満はありませんでした)。繊細な色の識別やデザインの評価などをするような用途では力不足かと思います。

ACEMAGIC RX16 ヒンジ最大開口

ヒンジは180度開口します。対面でミーティングをする際などには相手と画面共有がしやすいので便利です。

スピーカー/カメラ/マイク

まず、動画や音楽を視聴してみました。ステレオ感はしっかり出るものの、音質はクリアさに欠け、少々安っぽい感じです。野球中継とかニュース、トーク番組を視聴するぶんには問題がありませんが、音楽鑑賞には向きません。このあたりは大手メーカーの国内向けノートPCとは差を感じます。

カメラとマイクですが、大手メーカーが力を入れている各種AI機能 (カメラのエフェクトやノイズキャンセリングなど)はありません。また、Webカメラの画素数も1MP (720p相当)なので、特に画質がいいということもありません。私はWebミーティングでカメラエフェクトを使う機会がほとんどないです(ZoomやTeamsで「背景ぼかし」を使う程度)し、Webミーティングも比較的静かな場所でやりますし、自宅に小さな子供とかペットもいないので、ノイズキャンセリング機能はなくても困りません。ただ、国内大手メーカーの上位モデルと同じことはできないので、カメラ画質やノイズキャンセリングが必要な人はご注意ください。

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3. 性能テスト

ベンチマークテスト

ベンチマークテストの実施にあたり、レビュー機を電源に接続し、Windowsの電源設定を「最適なパフォーマンス」にしました。

レビュー機の搭載CPUはRyzen 7 7735HSです。コードネームはRembrandt RでCPUアーキテクチャはZen3+、GPUアーキテクチャはRDNA2、2023年にリリースされたので、最新型番ではありません。また、今回実施した各種ベンチマークテスト結果にはあまり影響を及ぼしませんが、AI処理チップNPUは内蔵していません。

また、「1. スペック表」のところで説明した通り、RAM容量は16GBですが、シングルチャネルです。そのため、特にグラフィック性能 (GPU性能)に多少の影響が出ます。パフォーマンスをさらに上げたい場合はRAMを増設し、デュアルチャネルにされることをおすすめします。

ACEMAGIC RX16 PC Mark

クリックで拡大します

表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PCMark 10のスコアです。ビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。ウインタブが最も重視しているテストです。

参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 9 185H:8,099
Ryzen AI 9 365:7,896
Ryzen AI 9 HX 370:7,511
Ryzen 7 8845HS:7,446
Core Ultra 7 258V:7,527
Ryzen 9 PRO 6950H:6,987
Ryzen 7 8840U:6,949
Ryzen 7 PRO 6850H:6,858
Core Ultra 7 155H:6,849
Ryzen AI 5 340:6,767
Ryzen 5 8645HS:6,708
Core i9-13900H:6,542
Core Ultra 5 135H:6,485
Core Ultra 7 255U:6,404
Core Ultra 7 155U:6,392
Core Ultra 5 125U:6,376
Ryzen 5 7535U:6,021
Core i7-1360P:5,929
Core i5-1340P:5,677
Core i7-1355U:5,452
Core i5-1334U:5,145
Core i7-1255U:4,834
Core i5-1335U:4,775
Core i5-1135G7:4,066

まず、PCMark 10で6,000点オーバーというのは、ビジネスPCとしては不満なく使える水準だと評価できます。過去データを見ると同世代のRyzen 5 7535U (6,021点)とさほど大きなスコア差がなく、さらに古い世代ながらほぼ同一アーキテクチャのRyzen 7 PRO 6850H (6,858点)に差をつけられています。6850Hは電力設定上有利なミニPCでのテスト結果ですから、その点を割り引いて考えるとしても、レビュー機はもう少し (10%くらい?)高いスコアでも良かったのでは?と思います。

おそらくRAMがシングルチャネルであるために若干スコアが抑えられた、ということでしょう。

ACEMAGIC RX16 3D Mark

グラフィック性能を測定する3DMarkのスコアです。

参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 7 258V:4,397、8,611、35,677
Core Ultra 9 185H:4,143、8,223、31,710
Core Ultra 7 155H:3,924、8,338、24,476
Ryzen AI 9 365:3,895、8,885、34,303
Ryzen AI 9 HX 370:3,800、8,026、31,138
Core Ultra 5 135H:3,454、7,235、24,791
Core Ultra 5 125H:3,392、7,301、23,168
Ryzen 9 7940HS:3,362、7,776、29,076
Ryzen 7 8845HS:3,330、7,908、29,873
Ryzen 7 8840U:2,943、7,206、27,471
Ryzen 9 PRO 6950H:2,846、7,051、27,983
Ryzen 7 PRO 6850H:2,660、6,601、26,920
Ryzen 5 8645HS:2,437、6,253、24,401
Core Ultra 7 255U:2,430、4,916、20,096
Core Ultra 7 155U:2,319、5,162、19,024
Ryzen AI 5 340:2,123、5,159、22,941
Core Ultra 5 125U:2,081、4,826、19,421
Core i9-13900H:1,956、5,440、19,477
Core i7-1360P:1,786、4,991、16,779
Core i7-1355U:1,760、4,859、16,891
Core i5-1334U:1,386、3,672、13,157
Ryzen 5 7530U:1,281、3,137、13,730
Ryzen 7 5825U:1,242、3,226、12,859
Ryzen 3 5425U:1,122、2,848、11,949
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア

3DMarkのスコアは低いです。Ryzen 7 7735HSであればTime Spyでは2,000点以上、Fire Strikeでも6,000点台くらいは期待できるはずですが、グラフィック性能 (内蔵GPUの性能)はメモリ帯域幅による影響が大きいため、ここでもRAMがシングルチャネルであることがネックになったと思われ、デュアルチャネル化すれば改善しそうです。

ACEMAGIC RX16 CINEBENCH 2024

CPU性能を測定するCINEBENCH 2024のスコアです。

参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 9 275HX:132、2,094
Core i7-14700:122、1,177
Core Ultra 7 258V:121、676
Core i9-13900H:117、687
Ryzen AI 9 HX 375:114、1,144
Core Ultra 9 185H:111、910
Ryzen AI 9 HX 370:110、942
Ryzen AI 9 365:109、1,008
Snapdragon X Elite:108、1,038
Ryzen 9 8945HS:108、958
Snapdragon X Plus X1P-42-100:108、754
Ryzen 7 8845HS:106、956
Ryzen 9 7940HS:106、914
Core Ultra 7 155H:105、964
Core Ultra 7 155U:101、533
Core Ultra 7 255U:101、516
Ryzen 5 8645HS:98、585
Core Ultra 5 125U:95、533
Core Ultra 5 125H:95、516
Ryzen 9 PRO 6950H:93、774
Ryzen 7 PRO 6850H:91、765
Ryzen 7 5825U:85、590
Ryzen 3 5425U:78、365
※左からシングルコア、マルチコアのスコア

シングルコア (シングルスレッド)、マルチコア(マルチスレッド)とも妥当なスコアだと思います。繰り返しになりますが、過去データのRyzen 7 PRO 6850H/Ryzen 9 PRO 6950Hは電源設定上有利なミニPCでの測定結果なのでマルチコアのスコアで差をつけられてしまいましたが、これは仕方ないでしょう。

ACEMAGIC RX16 Crystal Disk Mark

SSDの読み書き速度を測定するCrystalDiskMarkのスコアです。レビュー機のSSDはPCIe 3.0 ×4接続で、超高速という感じではありませんが、ビジネス用途ではまず不満を感じない水準です。レビュー機の製品特性を考慮すれば「十分」なスコアだと思います。

バッテリー駆動時間

Windowsの電源モードを「最適な電力効率」に、ディスプレイ輝度を70%に、音量を30%にして下記の作業をしました。当たり前ですが「バッテリー駆動」での測定です。

・ブラウザー上で動画視聴を約40分
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約20分
・ブラウザー上でテキスト入力を約25分

上記トータルで約85分使用し、その間のバッテリー消費は26%でした。単純計算だと1時間あたり約18%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は5時間半程度となります。

モバイルノートとして見ると5時間半というバッテリー駆動時間は短めですが、ACEMAGIC RX16は16インチのスタンダードノートなので外出先に持ち出す機会はあまり多くないでしょうから、その意味ではこのバッテリー持ちで問題ないと思います。

4. レビューまとめ

ACEMAGIC RX16はAmazonで販売中で、ACEMAGICより読者向けクーポン「SRDACYEQ」をいただいており、これを使うと69,999円で購入できます (クーポン期限は10月12日)。

ウインタブでは数年前まで中国メーカーのノートPCを頻繁にレビューしていましたが、ここ最近は中国メーカー製品だとAndroidタブレットとWindows ミニPCのレビューがほとんどで、先日実施したACEMAGIC AX15のレビューは「久々に中国ノートPCをレビューした」という感じでした。

ということで、立て続けにACEMAGIC製ノートPCのレビューをさせていただきましたが、「もはや以前の中国ノートとは別物」と言える品質だと感じました。筐体の質感は大きく向上して安っぽさは全く感じられず、英語配列のキーボードには(賛否がわかれると思いますが)日本語のシートが付属します。OSのライセンスも正当なもので問題がありませんでした。

一方で、大手メーカー製の国内向けノートPCとの比較では、スピーカーの音質設定やカメラの画質調整、メーカー独自のパフォーマンス設定など、各種設定系のプリインストールアプリがなく「素のWindows」に近い状態であることが指摘できます。また、「RAMが初期状態ではシングルチャネルで、空きスロットがあるので容易に増設できる」「SSD用の空きスロットがあり、増設が可能」といった点はPC知識のある人なら歓迎でしょう。ただ、RAMについては最初からデュアルチャネルにしておくほうが一般受けはするかもしれないですね。

最新の上位クラスのノートPCと比較するとパフォーマンス面ではやや見劣りするものの、メインで使うノートPCとして十分な品質になっており、7万円を切る価格というのは素晴らしいと思います。

5. 関連リンク

※クーポンコード「SRDACYEQ」(10月12日まで)

執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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執筆者:ウインタブ
ノートPCやタブレットのレビューを中心に、実用的な製品選びを提案する情報サイトです。
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