HPが13.3インチモバイルノート「ENVY 13-aq1000」を発売しました。HPのプレミアムブランド「ENVY」の13.3インチと言えば、ウインタブ的には「ENVY x360 13」です。CPUにAMD Ryzenを搭載するコンバーチブル2 in 1で、プレミアムなのに激安価格で販売されている大人気モデルですね。しかし、もともとENVYの13.3インチって、クラムシェルノートが先に発売されていて、とってもバランスの良い上質な製品なのですが、x360の陰に隠れてしまった、という感じでした。
リニューアルされたクラムシェルのENVY 13はx360とは大きく異なる雰囲気を持っていますので、「こっちがいい!」と思う人も少なくないでしょう。
1.スペック
上級クラスのモバイルノートとしては、はっきり言って派手なスペックになっていません。CPUは第10世代(Comet Lake)のCore i5-10210Uのみで、Core i3やCore i7の設定はありません。またRAMも8GBのみで、4GBとか16GBはありません。ストレージは256GBか512GBのSSDを選べます。PCのスペックにこだわりのある人だと少し物足りなく感じるかもしれないですね。
ENVYという製品ブランドはHPの中ではプレミアムPCと位置づけられていて、上位にSpectre、下位にPavilionというブランドがあります。「何をもってプレミアムと言うか」ということを考えてみると、CPUの型番だったりRAMやストレージ容量だったり、というのも要件としてあるとは思いますが、筐体素材とかデザインというのも重要な要素です。「ものすごく高性能なんだけどデザインがダサくて安っぽい」のもイヤですし「めちゃめちゃカッコよくて高級感があるんだけどCPUがCeleronでストレージもHDD」というのも「プレミアム」とは言わないでしょう。
HPが考えているENVYの位置づけというのは、おそらく「ハイエンドではないが上質な性能と筐体」ということだと思います。「妥協なきハイエンド」ならSpectreを、「十分な実用性」ならPavilionを、ということでしょうね。そう考えると、この製品がなぜCore i5のみを搭載し、RAMも8GBのみなのかが理解できます。また、個人的にも「ビジネス利用でCore i5とCore i7にたいして体感差なんてない」と思っていますし、「RAM8GBで不足を感じる場面はない」とも思います。ただし、ここをどう捉えるかは人それぞれで、ビジネス利用であっても「コンマ何秒かでも高速に」とか「使っているソフトウェアが大容量のRAMを必要とする」とかの場合もあると思うので、そういう人はこの製品は向かないかもしれませんね。
ディスプレイは13.3インチのIPS液晶、FHD解像度で、クラムシェル筐体ながらタッチパネルになっています。HPのプレミアムノートはクラムシェルでもタッチパネルを採用することが多く、「スマホ感覚で操作可能」とか「ニュースやショッピングもタッチで楽々操作」などと説明がされています。
入出力ポートは「必要十分」という感じでしょうか。Type-Cを含めてUSBポートが3つあり、microSDカードリーダーも装備しています。HDMIはありませんが、Type-Cポートが映像出力に対応していますので、外部ディスプレイへの出力も可能です。
サイズはx360とほぼ同じで、x360よりもコンマ何ミリか厚みがあり、30グラムほど軽くなっています。まあ、手で持った感じは違いがわからないくらいのレベルですね。もちろん13.3インチモバイルノートとしては十分にコンパクトで、重量もそこそこは軽いと思います。
2.筐体
ENVY 13の筐体は非常に美しいです。筐体に関しては文句なしの「プレミアム」と言っていいでしょう。正面から見るとベゼル幅が細く、とてもスタイリッシュです。
天板です。HPのロゴはプレミアムPC用のものが使われています。筐体素材はアルミニウムで、表面には梨地加工(手触りを良くするため、あえてわずかにざらついた処理をすること)が施されています。筐体色は「ルミナスゴールド」という、淡いゴールドでとても高級感があります。ちなみに従来モデルは「シルクゴールド」という色名だったのですが、写真で見る限り、ほとんど同じ色に思われます。
それと、筐体サイズですが、重量が20グラムほど軽くなっているものの、タテ・ヨコ・厚さは従来モデルと全く同じで、デザインもほとんど変わっていないため、ニューモデルと従来モデルを見分けられる人はいないんじゃないか、と思います。
側面から見たところです。ご覧のようにリフトアップ式のヒンジが採用されていて、ヒンジを開口すると天板後部が底面に潜り込み、キーボード面に適度な角度がつくようになっています。
ちょっとアングルが悪いですね。キーボードです。HPのモバイルノートらしく、Enterキーの右に一列あるタイプになっています。この画像では英語配列になっていますが、日本仕様は日本語配列、バックライトつきのものになります。キーピッチは19.0 × 18.7 mmと十分な余裕があり、キーストロークはやや浅めの1.3 mmです。この仕様であれば長時間のテキストライティングもラクラクこなせるでしょう。
また、この画像だとわかりにくいですが、キーボード面上部にはスピーカーが配置されています。スピーカーシステムはもちろんBang&Olufsenで、4スピーカーを搭載します。詳細な配置は不明ですが、x360はキーボード面に2つ、底面左右に2つという構成になっていましたので、おそらくそれと同じだと思います。それと、パームレスト右側に指紋センサーがありますね。
従来モデルとほとんど変わらないデザインですが、入出力ポートの配置は変更されています。また、従来モデルでは指紋センサーが側面にありましたが、ニューモデルではキーボード面に移動されました。それと、これもHPが最近非常に力を入れていることですが、「プライバシースイッチ」という物理スイッチがついていて、カメラ機能をシャットダウンすることができます。
3.価格など
HP ENVY 13-aq1000はHP Directplusで販売中で、11月23日現在の価格は104,800円(税込み115,280円)から、となっています。この価格が悪いということはありませんが、Ryzen搭載のENVY x360 13のほうが激安価格になっていますので、それと比較すると少々高く感じられてしまいますね。
この製品はCPUやRAM、ストレージ構成がハイエンド、ということはないものの、ビジネスモバイルノートとして十分な性能を確保し、非常に美しく、上質な筐体を備えているのが魅力です。これも「プレミアムPC」のひとつの形と言えるのではないでしょうか。