Dynabookのモバイルノート「XP/ZY (XPZシリーズ) 」の実機レビューです。重さ1キロを切る超軽量なモバイルノートにしてCopilot+ PCですが、なんと「自分でバッテリーを交換できる」構造になっています。
なお、このレビューはDynabookより機材をお借りして実施しています。
・CPUにCore Ultra 7 258V (Lunar Lake) を搭載するCopilot+ PC
・14インチで重さ1キロ切りの超軽量筐体
・ユーザーが自分でバッテリーを交換できる構造
・ディスプレイやキーボードは「さすがのDynabook品質」
ここがイマイチ
・特になし。強いて言えばお値段ちょっとお高め
ID:dyna204cls / パスワード:T8Y7GRSV
目次
1. スペック
スペック表
項目 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Intel Core Ultra 7 258V ※NPU内蔵, Copilot+ PC対応 |
RAM | 32GB (LPDDR5X-8533) ※CPU内蔵、増設/換装不可 |
ストレージ | 1TB SSD (PCIe 4.0対応) |
ディスプレイ | 14インチ (1,920×1,200) ※高輝度・高色純度・広視野角 |
無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
ポート類 | USB4 Type-C (Thunderbolt 4) × 2 USB 3.2 Gen 1 Type-A × 2, HDMI LAN (RJ45), 3.5mmオーディオジャック |
カメラ | Webカメラ (500万画素) 顔認証対応 |
バッテリー | 動画再生 約15.0時間 |
サイズ | 312.4 × 222.5 × 18.7〜18.9 mm |
重量 | 約958 g |
バリエーションモデル
XP/ZYはMicrosoft Officeの付属有無のみを選べますが、システムスペックは単一です。
2. 外観と使用感
ACアダプター
ACアダプターは出力65Wのものでサイズはやや小ぶり、電源ケーブル込みの実測重量は242 gでした。出力、重量ともモバイルノート用としては「普通」くらいですね。
天板と底面
天板です。筐体はマグネシウム合金製で筐体色は「ダークテックブルー」という濃いブルー。Dynabookのモバイルノートではよく使われている色です。
底面です。ここにdynabook XP/ZYのセールスポイントがあります。
画像中ほどの左右にあるネジを取り外します。ここは普通のドライバーで作業できます。
ネジを外し、その下にあるレバーを押しながら背面カバーを外すとバッテリーが出てきます。詳しくは説明しませんが、PC初心者の人であっても簡単にバッテリーを取り外すことができます。
最近はPCのCPU性能も上がり、数年は快適に使えるようになったと思います。なので、性能の陳腐化よりもバッテリーがヘタるほうが先、というケースも多いでしょう。XP/ZYの交換用バッテリーはDynabook Directで21,780円(会員価格)で購入ができます。
側面
前面です。こちらにはポート類やボタン類はなく、中央にヒンジ開口の手がかりとなる突起があります。
背面です。通気口があるのみでポート類、ボタン類はありません。
左側面です。画像左からUSB Type-C(Thunderbolt 4)、HDMI、USB 3.2 Gen 1 Type-A、イヤホンジャック、microSDカードリーダーがあります。
右側面です。こちらには画像左からUSB 3.2 Gen 1 Type-A、USB Type-C(Thunderbolt 4)、有線LAN、セキュリティロックスロット。4つのUSBポートは「左右側面対称」に配置されています。製造コスト的には「どちらか一方の側面にThunderbolt 4を2つ、もう一方の側面にUSB Type-Aポートを2つ」という配置にするほうが有利だと思うのですが、使い勝手ではこのように左右にThunderbolt 4とType-Aが1つずつある方が上ですよね。
1キロを切る超軽量モバイルノートでありながら、このように使い勝手を優先させた構造にしていること、また有線LANポートもしっかり装備していることなど、Dynabookの企業姿勢は素晴らしいと思います。
ディスプレイ
ディスプレイは14インチ(13.3インチじゃありません)で解像度は1,920 × 1,200、「高輝度・高色純度・広視野角」という説明になっていますので、IPS相当のものが使われていると思います。また、モバイルノートとして快適に使えるノングレア(非光沢)タイプです。
発色は非常にきれいです。メーカー側で詳しい数値(100%sRGBとか45%NTSCとか)を開示していませんが、おそらく100%sRGB以上の発色品質ではないかと思われます。手持ちのPCモニター(99% sRGBの発色品質)と比較しても全く遜色はなく、むしろXP/ZYのほうが上だと感じられました。
また、パネルがノングレア(非光沢)タイプなので映り込みも小さいです。ノングレアでこれだけの発色を実現しているのは素晴らしいと思いますね。
また、Dynabook色合い調整ユーティリティという機能があり、非常にシンプルなものですが色味の微調整には有効です。個人的には色を少しだけ濃く調整すると「黒がしっかり黒く」感じられ、かなり好印象でした。
※液晶ディスプレイは、液晶パネルの特性や製造工程により、各製品で色合いが異なる場合があります。
キーボード
キーボードです。「86キー(JIS配列準拠)(バックライトキーボード)、キーピッチ:19mm、キーストローク:1.5mm」と開示されています。
Dynabook製品のキーボードは例外なく使いやすいです。このキーボードもキーピッチは標準サイズでキーストロークも超軽量モバイルノートとしては深め、配列も素直、打鍵音も小さく、非常に気持ちよくタイピングができました。「キートップが濃色で印字が白」そして「アルファベットがキートップ中央に配置されている」ので、薄暗い場所でも視認性はよく、バックライトは不要と感じられました。
筐体その他
ヒンジは180度開口します。
また、dynabook画面回転ユーティリティというアプリが入っており、「Ctrl+Alt+↑/↓」で画面の向きを変えることができます(この機能はオン/オフできます)。このようにヒンジが180度開口し、ワンタッチで画面を上下反転させる事ができれば、ミーティングの際に対面にいる人と容易に画面共有ができます。
スピーカー・マイク・カメラ
スピーカー音質はクリアでBGM鑑賞も快適です。Dynabookの一部モデルではスピーカーが底面の前方にあり、キーボードを使いながら音楽を流すと音質が変わってしまう(スピーカーの音の出口と手首が干渉する)ものがありますが、XP/ZYはスピーカーが底面の側面よりに配置されていますので、キーボードを使用しながらでも音質は変わりませんでした。
音響アプリはDolby Access。イコライザーもついているため、好みに合わせ音質調整が可能です。
これはカメラ設定の画面です。dynabook XP/ZYはCopilot+ PCなのでWindowsスタジオエフェクトが使え、自動フレーミングやアイコンタクトにも対応しています。また、Webカメラは画素数が5MPもありますので、Webミーティング中の画質も非常に高いです。個人的にはFHD(1080p, 約2MP)でも十分だと思いますけどね。
あと、マイクのノイズキャンセリング機能も優秀です。「拍手をしながら喋る」テストをしてみましたが、拍手の音はほぼ消してくれました。
3. 性能テスト
ベンチマークテスト
dynabook XP/ZYはゲーミングノートPCに見られるような「パフォーマンスを調整する」機能はありません。そのため、Windowsの電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定し、本体を電源接続して測定しました。
なお、ウインタブの実機レビューでは必ず実施しているPC Markは今回測定していません。XP/ZYで測定中にエラーが出てしまったためです。おそらく初期設定のどこかを変更する必要がありそうに思われるものの、レビュー期間中には原因を究明できませんでした。というかPC Markのために長時間を費やすのは時間の無駄だと考えました。
CPU性能を測定するCINEBENCH 2024のスコアです。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 9 275HX:132、2,094
Core i7-14700:122、1,177
Core Ultra 7 258V:121、676
Core i9-13900H:117、687
Ryzen AI 9 HX 375:114、1,144
Core Ultra 9 185H:111、910
Ryzen AI 9 HX 370:110、942
Ryzen AI 9 365:109、1,008
Snapdragon X Elite:108、1,038
Ryzen 9 8945HS:108、958
Snapdragon X Plus X1P-42-100:108、754
Ryzen 7 8845HS:106、956
Ryzen 9 7940HS:106、914
Core Ultra 7 155H:105、964
Core Ultra 7 155U:101、533
Ryzen 5 8645HS:98、585
Core Ultra 5 125U:95,533
Core Ultra 5 125H:95、516
Ryzen 9 PRO 6950H:93、774
Ryzen 7 PRO 6850H:91、765
Ryzen 7 5825U:85、590
Ryzen 3 5425U:78、365
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
過去の同型番(Core Ultra 7 258V)での実績よりもやや低めのスコアとなりました。Core Ultra 7 258Vは「Lunar Lake」型番で高性能なNPUを内蔵していますが、コア数/スレッド数は少なく、ハイパースレッディングも廃止されたため、マルチコア(マルチスレッド)性能は低めとなります。ただし、シングルコア(シングルスレッド)性能は非常に高く、通常のビジネス利用ではごく快適に使えるはずです。
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 7 258V:4,397、8,611、35,677
Core Ultra 9 185H:4,143、8,223、31,710
Core Ultra 7 155H:3,924、8,338、24,476
Ryzen AI 9 365:3,895、8,885、34,303
Ryzen AI 9 HX 370:3,800、8,026、31,138
Core Ultra 5 135H:3,454、7,235、24,791
Core Ultra 5 125H:3,392、7,301、23,168
Ryzen 9 7940HS:3,362、7,776、29,076
Ryzen 7 8845HS:3,330、7,908、29,873
Ryzen 7 8840U:2,943、7,206、27,471
Ryzen 9 PRO 6950H:2,846、7,051、27,983
Ryzen 7 PRO 6850H:2,660、6,601、26,920
Ryzen 5 8645HS:2,437、6,253、24,401
Core Ultra 7 155U:2,319、5,162、19,024
Core Ultra 5 125U:2,081、4,826、19,421
Core i9-13900H:1,956、5,440、19,477
Core i7-1360P:1,786、4,991、16,779
Core i7-1355U:1,760、4,859、16,891
Core i5-1334U:1,386、3,672、13,157
Ryzen 5 7530U:1,281、3,137、13,730
Ryzen 7 5825U:1,242、3,226、12,859
Ryzen 3 5425U:1,122、2,848、11,949
※左からTime Spy、Fire Strike、Night Raidのスコア
3D MarkのスコアはGeForceなどの外部GPUを搭載しない製品としては高水準ですが、過去データにある同型CPU(Core Ultra 7 258V)よりも低いスコアとなりました。dynabook XP/ZYはゲーミングPCではありませんが、このくらいのスコアが出るのであれば、少し古めのゲームは十分プレイできると思いますし、グラフィック設定を落とす前提であれば相当数のPCゲームが楽しめると思います。
なお、「CPUの選定」について、この記事でウインタブの見解を述べています。
CPUは最新でなくても大丈夫!仕事・勉強・娯楽に最適なノートPC選び
SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。このスコアはPCIe Gen4としては上位クラスの速度と言えます。
ノートPCのRAM容量、ストレージ容量については、こちらでウインタブの見解を述べています。
ノートPCのメモリは16GB以上が必須?本当に8GBでは足りないのか? - 用途別に考えるRAM容量
ノートPCの「ちょうどいい」ストレージ容量は?1TBが正解?用途と予算に合わせて考える
バッテリー駆動時間
Windowsの電源モードを「最適な電力効率」にし、ディスプレイ輝度を70%に、音量を30%に設定し、バッテリー駆動で下記の作業をしてみました。
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約30分
・ブラウザー上でYouTubeの動画・音楽視聴を約40分
・Web閲覧、テキスト入力などの軽作業を約30分
上記トータルで約100分使用し、この間のバッテリー消費は12%でした。単純計算だと1時間あたり約7.2%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は14時間弱となります。「さすがLunar Lake!」ですね。(作業内容にもよりますが)これなら充電を気にせずに終日バッテリー駆動で仕事ができると思います。
発熱とファン音
特筆すべきことはありません。文書作成やWeb閲覧、動画視聴などの場面ではファン音はほぼ聞こえません。ベンチマークテストなど高負荷な作業をするとファン音は大きくなりますが「サーッ」という音なので個人的にはそれほど耳障りに感じられませんでした。モバイルノートPCとしてはごく標準的なものだと思います。
レビューまとめ
dynabook XP/ZYはDynabook Directで販売中で、7月2日現在の価格は264,880円から、となっていますが、Dynabook Directの無料会員(登録無料)になるだけで大きな割引が受けられ、239,580円から、となります。
さらにウインタブ読者は「限定サイト」の利用が可能です。下記にリンクした限定サイトから購入する場合、会員価格からさらに安くなり、238,480円からです。
XP/ZY(XP9シリーズ)はDynabookの個人向けノートPCでは唯一のCopilot+ PCです。ウインタブの見解として「これから購入する上位クラスのノートPCはCopilot+ PCでなくてはならない」とは全く思いません。しかし、XP/ZYが搭載するIntelのLunar LakeというCPUは非常に高く評価しています。ビジネス用途では十分すぎるくらいの性能でありながら、抜群の省電力性を実現した、というのが大きな理由です。もちろんCopilot+ PCの本質とも言える(正直なところ今の段階であまり需要は感じていませんが)高いNPU性能によるオンデバイスAIの処理能力は、ウインタブとしても「あってよし」です。
筐体品質について、堅牢性が高く入出力ポート構成も充実、バッテリーも自分で交換できる構造でありながら重量1キロ切り、というのは「素晴らしい」の一言です。ディスプレイの発色品質やキーボードの使いやすさも「さすがDynabook」と言える仕上がりでした。
ウインタブとしてはお世辞抜きに「強くおすすめ」です。
6.関連リンク
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2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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