ASUSが「折りたたみ式PC」、Zenbook 17 Fold OLEDを発表しました。少し前に発売されたLenovo ThinkPad X1 Foldとよく似た構造ですが、サイズがふたまわりくらい大きくなっています。また、ASUSが昨年末から注力している「有機EL」ディスプレイを採用しています。今回のCESは斬新なニューモデルが多いですね!
1.Zenbook 17 Fold OLED スペック
スペック表
Zenbook 17 Fold OLED UX9702 |
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OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core i7-1250U |
外部GPU | なし |
RAM | 16GB(最大16GB) |
ストレージ | 1TB M.2 PCIe Gen4 SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 17.3インチOLED (2,560 x 1,920) タッチ |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C(Thunderbolt 4)× 2、オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(5MP)顔認証対応 |
バッテリー | 75Whr |
サイズ | 378.5 x 287.6 x 8.7-11.7 mm |
重量 | 1.65 kg |
これまで何機種か第12世代CPUを搭載する製品の紹介記事を掲載してきましたが、Zenbook 17 Fold OLEDに搭載されているCore i7-1250Uという型番は初めて目にします。Alder LakeのCoreプロセッサーには「型番末尾H」「末尾P」「末尾U」のものがあります。末尾Hは高性能版、末尾Uは省電力版で、この2種類は従来のCoreプロセッサーでもありましたよね。また、末尾Pは「その中間」の特性を備えています。要するにCore i7-1250Uというのは「第12世代の省電力版Core i7」ということで、おいおい(Intel出所以外の)ベンチマークスコアを見られるようになると思います。
RAMは16GBでストレージは1TBです。RAMはオンボードなので増設や換装はできません。SSDのほうはM.2 NVMeで、これだけ見ると換装可能のように思われますが、筐体構造から考えて「多分かなり難しい」ように思われます。というか1TBあればあえて換装を考えなくても良さそうです。
ディスプレイはスペック表の上では「17.3インチ(2,560 x 1,920)アスペクト比4:3」ですが、折りたたみ式なので、たたむと「12.5インチ(1,920 x 1,280)アスペクト比3:2」になります。特にたたんだ際のサイズと解像度に関しては、一般的なモバイルノートのディスプレイサイズと比較しても遜色がありませんので、「展開時でも13.3インチ」のThinkPad X1 Foldと比較すると、展開時はもちろん、たたんだ状態での使用感も大きく向上していると思われます(詳しくは後ほど…)。
また、製品名にある通り、この製品のディスプレイは「有機EL」です。100% DCI-P3、133% sRGBの色域、PANTONE認証の取得、そして最大で500nitの輝度と、クリエイターのニーズにも十分応えられる品質になっています。というか最近のASUSの有機ELは「どう使っても感動レベル」の美しさです。
入出力ポートはかなり厳しいですね。筐体の仕様が仕様なので、ポート構成に関しては「17.3インチノート」とは思わないほうがいいです。手持ちの周辺機器を大至急USB Type-Cのものに切り替える必要があります。
サイズは…、ちょっとコメントがしにくいです。比較すべき製品がないので…。例えば重さ1.65 kgと言われても、「モバイルノートとしては重いけど、17.3インチノートとしては非常に軽い」ということになってしまいますよね。
2.Zenbook 17 Fold OLED 筐体
これが本体です。ご覧の通り「大型タブレット」ですね。もちろんこのままの状態でタッチ操作で使うことができます。ASUSの製品説明ではそのまま「タブレットモード」になっていました。
この本体が中央から折りたためます。ちなみにこの画像の状態をASUSでは「ブックモード」と呼んでいます。「読書向きの適度な角度」ということでしょう。
この製品には物理キーボード「ASUS ErgoSense Bluetooth keyboard」が用意されます(付属品なのか別売りなのかは不明です)。このキーボードはキーピッチ19.05 mm、キーストローク1.4 mmという本格的なもので、上でご説明したとおり、「折りたたんでも12.5インチ」ですから、この状態であれば一般的なモバイルノートとほぼ同様の使用感が得られそうです。ASUSではこのモードを「ラップトップモード」と呼んでいます。
説明用に一部のキーに縁取りの画像加工がなされていますが、キーボードはほぼフルサイズでタッチパッドもついています。日本発売があるかわかりませんけど、あるようなら日本語配列になるでしょうね。
これは素晴らしい!このように17.3インチのディスプレイをフルに活かしたPC、としても使えます。ちょっとしたオールインワンPCですね!ASUSでの名称は「PCモード」。
トップ画像を再掲します。この状態でディスプレイの下部に「ソフトウェアキーボード」を表示させれば、物理キーボードなしでもノートPCのようにして使うことができます(ただし、ソフトウェアキーボードでは物理キーボードのような打鍵感は得られないので、使用感は落ちると思います)。これをASUSでは「オンスクリーン・キーボードモード」と称しています。
そしてASUSの言う「エクステンドモード」。いまいち効用がイメージできませんが、PCモードで使うには場所が狭いとか、縦長の画面を使いたいといったときに有効なんでしょう。
背面です。構造がいまひとつわかりませんが、ヴィーガンレザーが貼られたキックスタンドが装備されているとのことです。筐体素材はマグネシウム合金。
こちらが折りたたんだ際の背面。
入出力ポートの配置です。確証はありませんが、画像上が左側面、画像下が上側面ではないかと思われます。この製品は4スピーカーを搭載しており、左右の側面にスピーカーグリル(チューニングはHarman/Kardon、ドルビーアトモス対応)が配置されています。
3.Zenbook 17 Fold OLED 価格など
ASUS Zenbook 17 Fold OLEDの発売時期、価格、そして日本発売の有無は不明です。ASUSのグローバルサイトに詳細な製品説明があり、かつスペックもほぼ完全に明らかになっているので、そう遠くないうちに発売になるとは思います。
ThinkPad X1 Foldでは、誰もがその先進性を認めたと思いますが、「じゃ買うか?」となると二の足を踏んだ、というのも間違いないところでしょう。この製品はどうでしょうか?思い切ったディスプレイサイズにしたことで、「展開してもたたんでも」高い実用性を備えているとは思いますが、「あとは価格次第」ですかね?
4.関連リンク
Zenbook 17 Fold OLED UX9702:ASUS グローバルサイト(英語)
コメント
X1 Foldは価格とスペックが噛み合ってなかったのが売れない原因の一つだったのでこれはどんなふうに売れるのか気になる
そうですね。あと、X1 FoldはCPUが少し非力だったかと。個人的には17.3インチをフルに享受できるPCモードを試してみたいです。あと、タブレットモードにしてネトフリとか。
そういえばX1 Foldもx86系でbig.LITTLEなCPU(SoC)のLakefieldを使ってましたね.
こっちはその進化系?のAlderLakeなので奇遇にも色々な意味で後継機種と言えますね.
たぶん、パフォーマンスはかなり違っていそう…。私がレビューしたのは高性能版(末尾H)のAlder Lakeでしたけど。
ThinkPad X1 Foldは記事で見てワクワクしてもの触ってガッカリだった。値段以前の問題で欲しいとは思わなかった。これはどうなるかな。
どうなるでしょうね。説明を見た限りだとかなり良さげに思われますが、新規性が高い製品なので、使う側も慣れが要求されるとは思います。
価格を度外視したうえで感想をいえば
収納サイズ的にはビジネスバックに合わせた13-14サイズが最も売れ筋なので
Fold系の合理的なサイズはこういう大型になるであろうと思う
ただ現状のコストや実験的な内容の観点から
しばらくは単機能のType-Cモニタとして販売した方がよさそう
確かに。とりあえず単機能のモニターとしてなら割と手が届きやすそうですね。