ASUSがCPUにSnapdragonを搭載するWindowsのデタッチャブル2 in 1「ExpertBook B3 Detachable B3000DQ1A」を発売しました。いわゆるARM版Windows(WoA、Windows on ARM)PCですが、既存のWoA機よりもかなり低めの価格設定になっており、10.5インチの2 in 1というパッケージングも魅力的です。
目次
1.ExpertBook B3 Detachable スペック
スペック表
ExpertBook B3 Detachable | |
OS | Windows 11 Home (S モード) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 7c Gen 2 |
外部GPU | なし |
RAM | 4GB/8GB(LPDDR4X-4266) |
ストレージ | 128GB eMMC |
ディスプレイ | 10.5インチ(1,920 × 1,200)タッチ |
LTEバンド | — |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB 3.2 Gen1 Type-C、オーディオジャック |
カメラ | イン503万画素/アウト1,297万画素 |
バッテリー | 38Wh(15.7-18.6時間) |
サイズ |
タブレット:260.3 x 172.1 x 8.99 mm カバー込:260.4 x 172.2 x 12.74 mm キーボード・カバー込:260.4 x 178.44 x 18.89 mm |
重量 |
タブレット:595 g カバー込:767 g キーボード・カバー込:1,011 g |
バリエーションモデル
・B3000DQ1A-HT0058MS:RAM4GB
・B3000DQ1A-HT0102MS:RAM8GB
※相違点はRAM容量のみです
コメント
OSはWindows 11 Homeの「Sモード」です。Sモードはアプリの導入に制約があり、Microsoftストア(Windowsストア)経由でしかアプリをインストールできません。そのぶんセキュリティ上は安全と言えるので、お子さんなどが使う場合にはSモードのままでいいと思いますが、ウインタブ読者にはかなり窮屈です。ただし、Sモードは無料で簡単に解除できますので購入検討時のネックにはならないと思います。
CPUはSnapdragon 7c Gen2です。WoAに使われるSnapdragonとしては下位クラスの型番ですね。残念ながらウインタブではこの型番を搭載するWoA機の使用経験はなく、実際の挙動についてはなんとも言えません。WoA機は以前だと「64ビットのアプリはほとんど使えない」というウイークポイントがありましたが、Windows 11環境となったいま、その弱点もほぼ解消されました。現在ではほとんどのWindows向け64ビットアプリが動作します。
RAMは4GBと8GBを選べます。ごく軽い作業(Webサイトの閲覧や文書作成など)であれば4GBでも行けると思いますが、様々な用途で長く使いたいという場合は8GBにしておくのが無難でしょうね。ストレージは128GB eMMCと、(CPU性能がそこまで高くはないので)eMMCである、という点はいいとしても、128GBというのはガッツリ使いたい場合には少々容量不足かと思います。
ディスプレイは10.5インチのWUXGA(1,920 × 1,200)解像度でタッチ対応し、4,096段階の筆圧に対応するペン入力もできます(ペンも付属します)。
通信まわりで注意したいのが「Wi-Fi専用機である」という点です。WoA機で5G/LTE対応しない、というのはかなり珍しいです。またWoAのメリットとして「スリープ時にも通信を行い、適宜通知を受け取れる」というのがありますが、モバイルネットワークに対応しないのであればこのメリットも十分に生かせません。
WoA機のもう一つのメリット(と言われている)、バッテリー駆動時間ですが、タブレット単体利用時には約15.7時間、キーボード接続時には約18.6時間と開示されており、長時間駆動が可能と言えますが、これまでのウインタブのレビュー経験上、WoA機だからといって抜群にバッテリーが長持ちする、という印象はなく、またメーカーの公称値もJEITAの規格を使っている(実勢に全く合っていません)ので、実際の駆動時間とは大きな開きがあります(経験上、どこのメーカーの製品であっても公称値の半分程度の駆動時間にとどまります)。
2.ExpertBook B3 Detachable 筐体
タブレット本体の前面と背面です。ごくプレーン、と言いますか、Androidタブレットとそんなに変わりません。前面のベゼル幅はやや太め、背面はキックスタンドもありません。筐体色は「スターブラック」です。
付属するペンは本体に格納できます。また、格納しておけば自動的に充電される仕組みです。これ、絵描きさんには便利で安心(なくしてしまうリスクが小さい)な構造だと思います。
ExpertBook B3 Detachableはデタッチャブル2 in 1なので、キーボードが付属します。この画像では英語配列になっていますが、日本仕様は「83キー日本語キーボード」です。本体とはマグネットを使ったPOGOピンによる物理接続で、Bluetooth接続ではありません。
また、このキーボードは「アンチバクテリアガード」加工が施されており、時節柄安心です。
タブレット本体にキックスタンドがないため、スタンドカバーが付属します。
このスタンドカバーはタテ折り、ヨコ折りに両対応し、この画像のように本体を縦向きにも横向きにも立てることができます。
側面と入出力ポートの構成です。上の画像が(横持ち時の)上下面で、上面にはステレオスピーカーが、下面にはキーボード接続用のPOGOピンがあります。また、下の画像(横持ち時の左右側面)の上が左側面で電源ボタン、音量ボタンがあり、下が右側面でUSB Type-Cポートとイヤホンジャックがあります。ポートは明らかに不足してますね…。この製品にはDC-INジャックがないので、充電/給電時もUSB Type-Cポート頼みです。
3.ExpertBook B3 Detachable 価格など
ASUS ExpertBook B3 Detachable B3000DQ1AはASUS Storeで販売中で、10月6日現在の価格はRAM4GBモデルが税込み69,800円、RAM8GBモデルが税込み89,800円です。RAM8GBモデルのほうが2万円高価ですが、長く愛用することを考えるとやはりRAM8GBモデルのほうが安心できると思います。
従来のWoA機(Surface Pro Xシリーズなど)の場合、Core i7搭載PCと大差ない価格になってしまい、また(あくまでウインタブの体感ですが)その割に「WoA機ならでは」のメリット、具体的にはバッテリー駆動時間やスリープからの爆速復帰などが十分に感じられず、「それなら普通にCore i7機を買うほうがいいや」などと思いました。しかし、ExpertBook B3 Detachableは価格が比較的安く、モバイルに適したコンパクトなデタッチャブル2 in 1である、という点で魅力的と感じられます。
4.関連リンク
ExpertBook B3 Detachable B3000DQ1A(RAM4GB):ASUS Store
ExpertBook B3 Detachable B3000DQ1A(RAM8GB):ASUS Store
コメント
これ、低性能とはいえ、出張中の事務作業用として興味はあるんですが、やはりキーボードを含めると1キロを超えてしまい、昨今の軽量モバイルPCに比べて重くなってしまうのですよね。
クラムシェル型を800g前後で出してもらえると、食指が動きます。
eMMCはさすがにきついですなあ・・・
この価格ならプラス1万で、i5 かつ SSD の Surface Laptop Go が視野にはいってくる。
もっと富士通レベルに軽量じゃないと価値が出てこないですね。