Teclastのタブレット「T50 Plus」の実機レビューです。Teclastは日本のAmazonでもAliExpressでもたくさんのタブレット製品を販売していますが、製品ラインに「Tシリーズ」「Mシリーズ」「Pシリーズ」があります。製品名からわかる通り、T60 PlusはTシリーズの製品で、TシリーズというのはTeclastタブレットの最上位モデルです。そのため、比較的安価なTeclast製品にあってお値段は少し高め(しかし、市場の水準から見て割安です)、そして品質も高めの製品です。
なお、このレビューはレビュー機をメーカーよりサンプル提供され、実施しています
ここがおすすめ
・12インチと大きめサイズのディスプレイ
・ディスプレイの発色がよく、リフレッシュレートも90Hz
・Android 14搭載でクセのない大画面デバイス向けUIを採用
・金属製で質感の高い筐体、筐体色も爽やかなアクアブルー
・上位モデル「Tシリーズ」ながら2万円台前半とリーズナブルな価格
ここはイマイチ
・SoC性能はそれほど高くない。UNISOC T606よりも若干上くらい
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TECLAST T60 Plus Helio G88 タブレット:Amazon
1.製品概要
スペック表
Teclast T60 Plus | |
OS | Android 14 |
SoC | MediaTek Helio G88 |
RAM | 6GB(拡張機能により最大16GB) |
ストレージ | 128GB |
ディスプレイ | 12インチIPS(2,000 × 1,200)90Hz |
LTEバンド | FDD:B1/3/5/7/8/20 TDD:B34/38/39/40/41 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン5MP/アウト13MP |
バッテリー | 8,000 mAh |
サイズ | 282 × 178 × 8.2 mm |
重量 | 550 g |
コメント
OSはAndroid 14、SoCにはHelio G88を搭載しています。のちほどAntutuスコアを掲載しますが、Helio G88そこまで高性能とは言えず、1万円台半ばくらいで販売されているタブレットが搭載するUNISOC T606よりも「ちょっと上」という感じです。一方でディスプレイは12インチと大きめサイズで解像度も2,000 × 1,200と高く、Widevine L1(NetflixでもL1判定です)、そしてリフレッシュレートも90Hzなので、動画視聴の快適性に期待できます。
では、筐体から見ていきます。
2.外観
外箱です。画像の掲載にあまり深い意味はありませんが、Teclast製品ではTシリーズのみ外箱に「匠心」という漢字が入っています。メーカーのプライド、でしょうか。
同梱物です。ペーパー類は取扱説明書と保証書で、取扱説明書は多言語で書かれており、日本語も含まれますが、分量が少なく、内容のほとんどが「Android OSの基本操作」に関するものなので、もう少し製品固有の特徴とか機能を盛り込んでほしかったところです。
ACアダプターは出力10Wのもので、日本のコンセントに合うプラグ形状です。あとはUSB Type-A – USB Type-CのケーブルとSIMイジェクトピン。
前面です。2万円強で買えるタブレットにしてはベゼルは細めだと思いました。インカメラは画像上部中央(上部ベゼルの中央)にあります。また、液晶保護フィルムは貼付け済みで、レビュー個体に関しては気泡はほとんどありませんでした。
背面です。金属製で筐体色は「アクアブルー」という薄めのスカイブルーで爽やかな印象があります。また、筐体の工作精度も良く、剛性感もあります(軽くねじってもミシミシとは言いません)。さすがTシリーズ。
上下側面です。上側面には電源ボタンと音量ボタンがあります。配置的には割とオーソドックスですね。横持ち時に左手の人差し指で操作する感じになります(…いや、別に好きな指で操作してもらって結構なんですけどね…)。
下側面にはスピーカーが2つ。ステレオスピーカーです。
右側面です。こちらには何もありません。
左側面には画像左からイヤホンジャック、SIM/microSDスロット、USB Type-Cポートがあります。Androidタブレットの場合、イヤホンジャックは「ついていたり、いなかったり」ですが、Teclastのタブレットはほとんどのモデルでイヤホンジャックを装備しています。
SIM/microSDスロットはよくある「nanoSIM × 2もしくはnanoSIM + microSD」というタイプです。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。プリインストールアプリに独自のものは少なく、したがって「余計」と感じられるものもありません。アイコンのデザインがTeclast独自のものになっているアプリもありますが、Google関連のアプリも一通り揃っています。
初期状態のストレージは17GBが使用済みとなっていました(画像左の状態ではRAM拡張機能を使用していません)。RAM拡張は最大10GBまで可能です。この製品のスペックで10GBの拡張は必要ないと思われましたので、拡張機能をなしにしたり、4GBだけ拡張したりと、いろいろといじってみましたが、RAM拡張容量にかかわらずストレージの使用済み容量は変わりませんでした。おそらく「表示上、ストレージのうちの10GBが拡張用に確保されている」ということだと思います。
設定項目は「ほぼ日本語化」されていますが、Teclast独自と思われる機能については英語のままになっているケースが多いです。上に掲載したRAM拡張の画面が英語のままでしたが、他にはディスプレイの設定項目に英語のものが見られました。
ディスプレイの発色は「色温度のみ」調整が可能です。今回のレビュー機T60 Plusに関しては発色のクセはあまり感じられませんでしたが、Teclast製品は全般に寒色が強め(画面が少し青っぽい)の傾向がありますので、場合によっては(お好みによっては)画像右の「カラー」の項目で色温度を調整するといいでしょう。この機能はウインタブが知る限りすべてのTeclast製品についています。
ディスプレイの設定項目に「Launcher Style」というのがあり、デフォルトとクラシカルを選べます。デフォルト・ランチャーは大画面デバイス向けのレイアウトとなり、画面下にタスクバー(ナビゲーションバー)が表示されます。クラシカル・ランチャーは「いつものAndroid」ですね。なお、この画像では3点ナビゲーションにしていますが、ジェスチャナビゲーションにすることもでき、ジェスチャナビゲーションの場合はデフォルトランチャーにしてもタスクバーは表示されません。
それ以外の項目についても確認しましたが、概ね日本語化されており、特にTeclast独自と思われる機能は見当たりませんでした。
4.カメラ
カメラアプリは「しょぼい」ですw この画像の真ん中に「設定」いうのがありますが、明らかに項目が少ないですよね?ただし、撮影モードは割と多彩です(画像右)。撮影サイズはアウトカメラで「13MP(4:3、4,160×3,120)」「8MP(4:3、3,264×2,448)」「5MP(4:3、2,560×1,920)」、インカメラで「8MP(4:3、3,264×2,448)」「5MP(4:3、2,560×1,920)」「3MP(4:3、1,920×1,440)」が選べ、動画ではアウトカメラで「2K(2,560×1,440)」「FHD(1,920×1,080)」「HD(1,280×720)」「VGA(640×480)」が、インカメラで「FHD(1,920×1,080)」「HD(1,280×720)」「VGA(640×480)」「CIF(352×288)」が選べます。
ズームは設定メニューにはなく、撮影時に画面をピンチすることで最大4倍まで可能です。
以下に作例をいくつか掲載します。すべてアウトカメラで画素数は13MP、撮影モードは「無効(シーン指定なし)」にしています。
個人的にタブレットで写真を撮影することは皆無です。実機レビューのときだけ写真を撮りに地元駅周辺に行きます。おそらく多くのタブレットユーザーも私と同様だと思います。写真撮影ならスマホを使うのが普通でしょうし、スマホのカメラのほうがタブレットよりもずっと高品質ですから。あと、T60 Plusのような12インチタブレットを使って屋外で写真撮影すると「めんどくさい上に目立つ」んですよね。
この観点から言うと、「これだけの写真が撮れれば十分だろう」と思います。スマホカメラには及びませんが、思ったよりキレイに撮れたと思います。
一応ズーム撮影もしてみました。2倍くらいならそれほど画質は悪くはなく、4倍(最大倍率)にするとさすがに粗さが目立ちますが、拡大鏡的に使うのなら悪くないですね。
5.性能テスト
T60 Plusの搭載SoCはHelio G88です。Antutuスコアは約28万点と、中国タブレットに広く使われているUNISOC T606(スコア25万点程度)よりも若干高く、Helio G99(スコア30万点台半ばから40万点)よりはかなり劣ります。
ただし、GPUスコアに関してはUNISOC T606の2倍弱(T606は22,000~24,000点程度)ありますので、ゲームプレイ時の使用感は結構な差になると思います(ゲームタイトルによって使用感は異なります。Antutuのスコア差だけですべてを説明できるわけではありません)。
まあ、Antutu30万点に届かない性能ですから、ゲーム向きとは言えません。パズルゲームや2Dシューティングゲームなど、ライトなゲームタイトルで息抜きをする、という感じでしょうか。
6.使用感
※以下はレビュアーであるウインタブ個人の感想です。あらかじめご了承ください。
ディスプレイ
ディスプレイの発色品質は高いです。ウインタブではこれまでに何度もTeclast製品のレビューをしていますが、その中でもトップレベルかと思います。手持ちのPCモニター(27インチIPS液晶、100%sRGBのもの)と比較すると、ちょっと色味が淡い(コントラストが弱い)かな、と感じられましたが、発色は自然ですし、不満を感じませんでした。
また、ここのところ1,280 × 800解像度のタブレットのレビューが続いていましたが、T60 Plusの2,000 × 1,200解像度はやはり「いい」ですね。ディスプレイに近づいて見てもフォントに粗さを感じません。
Widevineはメーカー開示通りL1です。NetflixでもL1判定になっていることを確認しました。それと、今どき当たり前の話ではありますが、タッチ感度は良好で、反応しないとか反応が鈍い、ということもありませんでした。
なお、「リフレッシュレート90Hz」については、…すみません、私の感覚では特に恩恵を感じませんでした…。
スピーカー
スピーカーは横持ち時の下側面左右にあります。この配置だとステレオ感はしっかり出ますね。音質の方は「そこそこ…」くらいでしょうか。特段高音質とは言えず、この手の製品にありがちですが「低音が弱い」です。なので、全体的に少し薄っぺらい感じです。ただ、低価格帯のAndroidタブレットとしては決して低品質ではなく、動画の視聴をするぶんには問題ないと思います。
その他
T60 Plusに限らず、タブレットの主用途として動画視聴というのが大きなウェイトを占めると思います。動画視聴の場合「タブレットスタンドは必須」ですよね。T60 Plusはディスプレイサイズが12インチと大きめですから、ずっと手で持っているのはしんどいですし、ある程度は画面から離れて視聴しないと目が疲れてしまいますから、タブレットケース(タブレットスタンドとしても使える)はぜひ一緒に購入しておきたいところです。
外観のところでもご説明しましたが、筐体の質感は高いです。2万円台前半という実売価格の割に所有満足感を与えてくれると思います。
7.レビューまとめ
Teclast T60 PlusはAmazonで販売中で、この記事を執筆している11月27日現在だと「ブラックフライデー先行セール」により21,900円で購入ができます(製品ページにある3,515円OFFクーポンを使用)。また、専用ケースも販売されており、本体とセット購入すると合計価格22,650円となりますので、セット購入されることをおすすめします。
12インチと大きめサイズのディスプレイは発色がよく、リフレッシュレートも高いので、動画視聴やWebでの調べ物、SNSの利用はとても快適です。カメラ品質は「それなり」でしたが、ここは想定内です。SoC性能に関しては、レビュー期間中の感想としては「UNISOC T606と大差ない」ですね。ただ、Antutuスコアの傾向を見ると、ゲームに関しては多少性能差を感じられるかもしれません(T60 Plusのほうが高性能、という意味です)。まあ、ゲーム向きの製品じゃないですけど。
筐体の仕上げは「さすがTシリーズ」だと思いました。2万円台前半という価格で買えるタブレットにしては満足感が大きいです。
8.関連リンク
TECLAST T60 Plus Helio G88 タブレット:Amazon
2014年、低価格な8インチWindowsタブレットに触発されサイト開設。企業でユーザー側代表としてシステム開発や管理に携わっていました。「普通の人」の目線で難しい表現を使わず、様々なガジェットを誰にでもわかりやすく紹介・レビューします。