PC上でAndroidのソフトウェアを動作させる互換環境としては有料の「BlueStacks」や「Genymotion」あたりが有名ですが、新たにJideの「Remix OS Player」がその中に加わることとなりました。同社がリリースしている「Remix OS 3.0(Android 6.0.1”Marshmallow”ベース)」を元にWindows上で動作する互換環境としてリリースしたものとなります。
Remix OSはすでにWindows PCでデュアルブートOSとして直接起動できるものがリリースされていますが、今回リリースされたRemix OS PlayerはWindows上で直接実行できるものとなります。
1.最低でもCore i3
Remix OS Playerの最低動作環境として、以下のスペックが必須となります。
OS: Windows 7 SP1以降*32bit版OSは未サポート
CPU: Intel Core i3以上(Core i5、およびCore i7を推奨)
RAM: 4GB
HDD: Android仮想領域として8GB必須(16GBの空き容量推奨)
注:BIOS側でIntel VTテクノロジの有効化必須
競合するBlueStacksが2GB RAM、Intel VT非対応のCPUでも動作する割と緩めな条件であることを踏まえると、Remix OS Playerはかなりハイスペックな構成を要求されます。Intel VTに対応しているとはいえ、WindowsタブレットやスティックPCで数多く採用されているIntel Atomプロセッサ搭載PCはこの時点で動作環境から外れてしまうことになります。
これらのPCでもネイティブに動作するRemix OS 3.0はサポートされていますが、Windows上でAndroid環境を動作させることを考えるとここら辺はやむなしといったところでしょうか。
2.実際にインストールしてみる
実際にメインPCにRemix OSをインストールしてみることにしました。なお今回インストールする環境は以下の通りとなります。
OS: Windows 10 Pro RS1 64bit版
CPU: Intel Core i7 4710MQ 2.5Ghz
RAM: 8GB
HDD: Intel SSD540 480GB
事前にIntel VTテクノロジはBIOS側で有効化したうえでインストールします。
公式からのダウンロードはtorrent経由かミラーサイトからのダイレクトダウンロードの2種類が選択可能です。どちらもダウンロードできるものは同じなので、好みで選択してください。ミラーサイトのほうもSourceForgeやOSDNのサーバーのため、高速ダウンロードが可能となっています。
インストールファイルは「Remix OS Player.exe」というファイル名で687MBほどあるので固定回線からダウンロードしたほうがいいでしょう。
ファイルは7-Zipの自己展開形式ファイルとなっているのインストール先のフォルダを指定して展開します。
あとは展開してできたフォルダ内にある「RemixOSPlayer.exe」を実行するだけで起動メニューが表示されます。「Advanced Setting」をチェックすると仮想環境内で起動するRemix OSに割り当てるCPUコア数、メモリの容量、液晶解像度の設定を変更できます。
しばらくするとRemix OSが仮想環境内で起動します。Remix OS PlayerはAndroidの公式開発ツール「Android Studio 2.0」に含まれているエミュレーターをベースに開発されているようです。初回起動で選択できるのは英語と中国語のみですのでここでは英語を選択して初回起動を済ませます。
初回起動時にインストールするアプリを選択できるようです。日本向けのアプリ(メルカリや中古車検索グーネット、クックパッドなど)も選択可能になっていました。必要なものにチェックして続行します。
初回起動を済ませるとRemix OS Playerが起動します。あとは通常通り利用可能です。
設定の言語と入力から日本語設定に変更することも可能です。
ベースOSはAndroid 6.0.1 Marshmallow。最新のRemix OS 3.0環境になります。
Remix OSなのでWindowsやMacなどPC向けのOS同様複数のAndroidアプリをウィンドウ表示することも可能です。Office Mobile For Androidも問題なく動作しました。
動作のほうはCore i7+8GB RAM構成の環境に入れているにも関わらずもっさりとした動作です。ベースになっているAndroid Studio公式エミュレーターは2.0で動作パフォーマンスが向上して十分実用的な速度になっているのですが、どうもRemix Playerだとすべての動作がもっさりしたような感じになってしまっています。感覚的には2012年あたりに出回っていたシングルコア~デュアルコア世代のAndroid端末に無理やりAndroid 6.0のカスタムROMを導入した環境に近いような印象です。
3.現状はやや厳しいか?今後に期待
Remix OSをWindows上で動く仮想環境として使えるようにするという試み自体は面白く、ベースOSがAndroid 6.0.1のRemix OS 3.0なのでかなりのアプリは動作するものの、初回リリースの段階だと公式AndroidエミュレーターでRemix OSをそのまま動作させているだけにすぎず、あまりWindows上で動作させる環境としては最適化されていない段階としか言いようがないです。
すでにBlueStacksやGanymotionが実用的な速度でAndroid向けソフトをWindows上で動作させることができることを考えると、現時点では常用するにはちょっと厳しいかなぁというのが正直な感想です。これならまだ通常版Remix OSをVMware Playerに導入したほうが快適に動作するので、余計にRemix OS Playerの存在意義はなんなのかということを感じてしまいますが、実際にデュアルブート環境としてRemix OSをインストールする前にWindows上でRemix OS環境を気軽に試せるという意味では面白い試みだとは思います。
また、エミュレーターの動作パフォーマンスが向上すれば、魅力的なAndroid互換環境の一つになりえるとは思いますので、今後のバージョンアップに期待したいところです。
余談ですが現在Remix OS PlayerをダウンロードするとRemix OS搭載小型PC「Remix mini」が40ドル引き(89.99ドルが49,99ドルになる)クーポンが発行されます。
4.関連リンク
Remix OS Player:Jide Technology公式サイト
かのあゆブログ
※この記事の執筆者のブログです
コメント
レポートありがとうござます。
実用性には難あるとのことですが、面白いですね。
それにしてもJideはどうやって開発に必要な資金を調達しているのか
気になってしまいます。RemixOSがあまり普及してない現状で、どうして
いるのでしょうか。
>>うこんさん
現状はAndroid Studioで動いてるだけにすぎないので正直本当に別のAndroidエミュレーターを動かしたほうがアプリ動作環境としては幸せになれると思うのですが、今後のバージョンアップ次第によっては面白いものになると思うので個人的には…
Remix搭載機は結構増えてはいるんじゃないかなぁと。一応Remix Miniなんかは日本でも正式販売されていますし、中華タブレットでも搭載機がぼちぼち増えてきてる現状ですし。
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