本当のことを言うと、スマホは軽くてコンパクトなものが好きな.TAOです。そんな私が、ごっついアウトドア系スマホBlackview BV9800のレビューをする機会を頂きました。この場をお借りして実機をご提供いただいたメーカー、Blackviewに感謝申し上げます。さて、コンパクトであることと真逆の存在のこのスマホは、私に何を語ってくれるのでしょう。
1.スペック
すでにこの製品の紹介記事を掲載済みなので、ここではサラッと紹介します。CPUはミドルスペックにMediaTek Helio P70、OSは新しめのAndroid 9.0となっています。RAM、ストレージともに余裕のある容量で、ノッチ付きの6.3インチFHD+IPS液晶。防水防塵でミルスペック(MIL-STD-810G)のタフネスボディは322gの重さを誇ります。
防水のためにUSB端子とイヤフォンジャックにはゴムキャップが付いているので、できればワイヤレス充電を利用したい所です。グローバルモデルとして申し分のないLTEバンドのカバー領域があり、アウトカメラは48MPのSony製で、暗い場所の撮影では肉眼よりも明るく鮮明な写真を撮ることができます。
バッテリーはアウトドアスマホとして申し分のない6,580mAhを確保していて、バッテリー切れを心配する必要がないほどですが、その分重さが比例して増加しています。
実際に1日普通に使って約20%位の消費でしたので、十分以上のバッテリー持ちでした。その他にも、GPSはアメリカ、ロシア、中国と3大巨頭の衛星ネットワークが利用できますし、内蔵の気圧計での高度測定やNFCにも対応と全部詰め込みました的な意欲的なスマホとなっています。
■防塵防水規格について
IP69K …固形異物に対しては粉塵が内部に侵入しないこと。 水に対しては高温、高水圧、スチームジェット洗浄の環境下でも有害な 影響を受けないこと。
IP68 …IP規格とは、国際電気標準会議(IEC)が定めた電機機器内への異物や水の進入に 対する保護規格。 防塵性能・防水性能に関する保護等級である。 IPの後の2桁の数字で第1記号(左側の数字)は固体異物に対する保護等級を意味し (0~6で、6が最高)、第2記号(右側の数字)は水の進入に対する保護等級(0~8で、 8が最高)を表現。 IP6□は、固形異物に対しては粉塵が内部に侵入しないことを表す。
■MIL規格(MIL-STD-810G)について
Chromebookでもよく耳にするミルスペックというのは、堅牢性の強さを表した規格ですが、いくつかの過酷なテストをクリアできる事を証明しています。その中でも米国防省が制定した規格がMIL規格であり、具体的なテスト項目が840ページにわたって細かく定められています。そのなかで、MIL-STD-810G規格とは工業製品の環境耐性を示す試験方法をまとめた規格で、それをパスできる堅牢性を備えている証となります。
・MIL-STD-810Gの主なテスト内容の一部
振 動 車両での1,600kmの陸上輸送相当の振動を与える
落 下 76cmの高さから、様々な角度で合板上に落下させる
衝 撃 1軸1方向あたり3回×6方向の衝撃を与える
粉じん 吹き付ける塵に6時間さらす
湿 度 湿度95%の環境に10日間晒す
高 度 高度4570mでの操作を再現する
高 温 動作時60℃、非動作時71℃の高温環境にさらす
低 温 動作時-28.89℃、非動作時-51℃の低温環境にさらす
温度変化 1分あたり10℃を超える急激なペースで温度変化させる
引用元:ビジネス+IT
こう見ると、なかなかのテスト内容で、これをクリアできるのだから丈夫ですよね。
2.筐体
パッケージは、本体にUSBケーブル、EUプラグタイプの充電器、カナル型ヘッドフォンと保護フィルムに説明書(日本語表記ありだけど微妙)などとなっています。充電器にはBlackviewのキラキラしたロゴが印刷されており質感は良いです。別途ワイヤレス充電器を用意できれば、10Wのワイヤレス充電に対応しているので、USBポートのゴムキャップを外してケーブル充電する手間が省けます。Amazonなどで2,000円前後で入手できるので、ぜひ用意したいアイテムですね。
本体には保護フィルムがあらかじめ貼ってありましたが、気泡とほこりも挟んでありお世辞にもキレイとは言えないものでした。それとは別にもう一枚保護フィルムが付いています。
ありがたい事に、今回もPDA工房より専用保護フィルムを提供して頂きましたので、純正フィルムは、初期レビュー後に速攻剥がしてPDA工房のアンチグレア仕様高硬度9HコーティングPET保護フィルムに張り替えました。
何度か貼り直す雑な作業でしたが、シリコン吸着のおかげで気泡無しでキレイに貼り付けられました。本当にいつも高品質なフィルムをご提供いただき、感謝しています。
実際に貼ってみると、PDA工房のアンチグレア仕様は指の滑りが気持ちよく、透明度も高めなのでお勧めです。
「重っ。」
実際手に取った最初の印象は、322gの数値以上にずっしりとした重量感でした。正直、私が使っているXperia Z5 Compactの2倍以上の重さのインパクトは絶大なものがありました。
右側面です。右からMicroSD/SIM スロット、電源ボタン、そして中央が指紋センサーになっています。指紋センサーの感度は非常に良いですね。ほぼ100%で瞬時にロック解除になります。フロントカメラでの顔認証にも対応しているので、寒い野外でグローブをはめたままでもロック解除がOKです。アウトドアスマホには顔認証は必須かもしれません。
側面は金属系の頑丈なダンパーで覆われています。上下側面と4つ角と背面全体にかけては更にラバーで覆われており、うっかり道路に落としても大丈夫でしょう。
左側面には、ボリュームボタンとファンクションキーがあります。デフォルトでボリュームボタンがシャッターボタンに割り当てられていました。ファンクションキーは設定から任意のアクションを設定できて、ワンクリック、ダブルクリック、長押しの3パターンを登録できます。例えば、長押ししたらスクリーンショット、ダブルクリックでカメラを起動みたいにカスタムできて何気に便利でした。
背面には3つのレンズとLEDがあります。メインカメラはSony製の48MPを有し、深度レンズと広角レンズと相まって写真の表現力は非常に豊かなものになっています。背面下左右にスリットが見えますが、右がモノラルスピーカーで左はダミーでした。左手でスマホを持つと丁度スピーカーを隠す様な位置にあたり、音が小さくなってしまう事がありました。スリット部分を指で隠すと、消音するほど筐体の密閉度が高い所がMIL規格を雄弁に語っています。
そして、この厚み。手持ちのノートPC「CHUWI AeroBook」とほぼ同じ厚さです(AeroBookには、フリップスタンドが貼り付けてあるのでひっくり返して置いてあります)。側面上部にはヘッドフォン端子と赤外線(IR)ポートがあります。Google Playからリモコンアプリをインストールすれば、スマホからTVなど赤外線リモコンの操作ができるそうです。試しにXiaomi Mi Remote ControllerをインストールしてTVを登録してみたらちゃんと操作可能でした。
このサイズ感、どこかで見覚えがあると思ったら、最近のウインタブの記事で紹介していたPDAスマホーCosmo Communicatorとほぼ同じサイズでした。
Cosmo Communicatorの紹介記事では、「まあ、中華のアウトドアスマホだと思えば胸ポケットに入れられなくもないでしょうw」というオチでしたが、Blackview BV9800の重さもサイズもドンピシャで、中華のアウトドアスマホど真ん中だったんですね。
画面は雫型ノッチのあるタイプで、画面の隅は大き目のRで丸められていますが、同型のアウトドア系スマホの中では画面占有率が高い方でしょう。それもあってか、どちらかと言えばスマートな印象すらあります。
3.カメラ性能
私はこれまで48MPクラスのカメラを使った事がなかったので、その性能に物凄く期待していたのですが、その期待は裏切られる事はなく写真のきめ細かさに感動すら覚えました。この辺りの知識はほぼ素人ですので、細かなウンチクを語れません。写真の感想程度の話に終始しますが大目に見てください。
普段使っているXperia Z5 Compactの写真。日の出前の曇り空、薄っすら明るくなってきている朝のコンビニです。肉眼で見るより写真は暗めになっています。
BV9800での撮影。肉眼で見るより明るく写っています。ソフトウエア処理されているのか若干シャープネスが強めな印象。
某湖畔からの朝焼け。水面の陰影や左にある木々の枝がキレイに撮れていますね。遠くの山影の輪郭が不自然にはっきりしているのは、やはり強めのシャープネスの影響でしょうか。
左がメインカメラ×1倍、右が高角レンズ×0.6倍で同じ位置からの撮影。標準カメラアプリで倍率を×1.0以下にすると広角レンズカメラに切り替わるようです。メインカメラは奥がぼやけて奥行きの表現がいい感じです。
色々試し撮りしてみましたが、接写やポートレート、暗い所での撮影には強いようです。風景は倍率×1.0ならは細部までキレイに撮れる印象ですが、×2以上になると鮮明さに欠けてきます。広角レンズは広がりや奥行きの表現が豊かになり面白い写真がとれますので、集合写真なんかでも活躍しそう。
近距離でのメインカメラでの撮影は流石にキレイです。普段気にならない毛穴や肌の質感を目の当たりにするようなリアルさには「やばい。」の一言です。物(ぶつ)撮りには深度カメラが表現力を豊かにしてくれている様で、一眼レフ風のプロっぽい写真に仕上がって楽しくなりました。
カメラ性能については、期待を裏切らない性能と言っても良いでしょう。一日中あれこれ撮影して歩いていたら楽しくなってしまって、このスマホに愛着すら生まれてきているようです。そのせいですかね、「重たいスマホはちょっとね…」なんて言っていた自分が、もう重さの事は気にならなくなっていました。
4.プリインストールアプリ
プリインストールされているアプリには、Android9.0標準アプリ以外にBlackviewのアウトドアスマホに定番となっているツールボックスや、グローバルモデルっぽいTranslatorという翻訳ソフトなどがはいっていました。
翻訳ソフトはPOKETALKライクに使用できそうです(翻訳精度は微妙ですけど)。
5.性能テスト
Antutu benchmark V8.0.6での測定です。
参考:
ASUS Rog Phone 2(Snapdragon 855+) : 487,784
Samsung Galaxy S10e SM-G9700(Snapdragon 855): 410,899
Sony Xperia XZ2 Compact SO-02K(Snapdragon 845) : 289,484
Samsung Galaxy S8 SC-02J(Snapdragon 835) : 237,841
Huawei Mate 10 Pro(Kirin 970) : 210,485
Apple iPhone SE(Apple A9) : 193,246
Blackview BV9800(Helio P70):188,265
UMIDIGI S3 Pro(Helio P70):179,103
Smartisan U3 Pro(Snapdragon 660) : 167,968
Teclast M30(Helio X27) : 116,771
Xiaomi Redmi 6(Helio P22) : 83,181
KYOSERA Android One S4(Snapdragon 430): 68,802
Helio P70については、性能のバラつきがあるという話も聞きますがなかなかの健闘ぶり。ゴリゴリの3D系ゲームは別にして、何をするにもサクサクで快適な性能でした。
ゲームはほとんどしないのですが、試しに「PUBG Mobile」をやってみました。
初期設定は標準画質が自動的に選択され、実際のプレーでもコマ落ちやカクツキも見られず、筐体の重い事を別にすれば快適にゲームが楽しめました。
6.まとめ
私は100%のインドア派です。そんな私が普通の生活の範疇で使う前提なら、バッテリーも1日持てば何とかなるし、ミルスペックの頑丈さも必要はないでしょう。でも、登山が趣味とか、釣りが趣味とかとなると話は別。山で遭難なんていう万が一の時を考えると、バッテリーは極力容量が大きいものが良いし、岩場や川に落としたりする危険性も考慮して頑丈な方がいい。GPSも精度が良くて悪条件でも受信できる方がいい。
北海道では、高齢者が山菜取りに出かけて帰ってこないなんて事件が時々起きますが、BV9800のようなミルスペックのスマホを持っているとちょっと安心な気がします。バイクが好きなら、防水防塵だからナビ代わりにするのも良いかもしれない。
何が言いたいのかというと、何がベストかなんて使う人それぞれでまったく違うという事。あえて言うなら、一番身近で毎日がっつり使うスマホなら、高スペックで値が張っても使用時間単価にすれば安いものだし、サクサク快適に使える方が幸せだし時間の節約にもなると思うのです。
都会的でスマートなスマホが多い中、確実に一定のシェアを持つタフネススマホ。その魅力は実際に使って見るとハマるものがあります。もしもアウトドアの趣味をお持ちなら、ラフに使えてバッテリー持ちがよくカメラ性能も申し分なしときたら、使わない選択肢は無いでしょう。
7.関連リンク
Blackview BV9800/Pro: Blackview メーカーサイト
Blackview BV9800:Blackview Official Store(Aliexpress)