こんにちは、natsukiです。今回レビューするのは、……えーっと、これはどう表現すればいいんでしょうか? 子供向けおもちゃによくある、からくりボールコースター(「Marble Run」って呼ぶみたいです)の一種ではあるんですが、見ての通り、それだけでは終わりません。そう、いつまでも終わることはない。いったん流れ下った玉を再び汲み上げるギミックも魅せどころです。あえて呼ぶとすれば「永久機関」、かな?
ただ、メカ。ひたすら、純粋に、メカ。スチームパンク感あふれる巨大なギア、ピストン。それでいて、木材の素朴さと、エッシャーのだまし絵を彷彿とさせるデザイン。エッシャーいいですよね。大好きです。そこに目的はなく、小さな世界の中で完結する、幾何学的法則の美があります。
この製品は、ROBOTIMEのROKRブランドシリーズの1つです。先日レビューした飛行船モデルも同じシリーズのもので、素晴らしいものでした。なお、今回のレビュー品はBanggoodより提供していただいたものになります。Banggoodにはこの場を借りてお礼申し上げます。
1.歯車 歯車 尽くそう、歯車 歯車 働こう
では、組み立てていきましょう。
箱です。落ち着いたレトロな雰囲気がいいですね。
中身です。
説明書はもちろん英語です。ただ、画像が詳しくかつ分かりやすいので、基本的に読まなくて大丈夫です。
パーツの番号は、前回の飛行船モデルはほぼ組み立て順に振ってあったのですが、今回のは厚さの異なるパーツを組み合わせる場合が多く、ちょっとややこしいです。それでも、紛らわしいパーツには、画像のようにパーツ側に番号が振ってあるので、作業スペースを広めにとって整理しておけば迷うことはないでしょう。実際、今回も作成は小学生のうちの子供がやっています。私が手助けをしたのは、デリケートなパーツの切り抜きと、はめ込みが固めだった部分だけです。
必要な工具類は、こんなもの。最低限必要なのは、カッターナイフです。接着剤は、万が一の破損対策と、完成後、子供が遊ぶことを想定した補強のためです。部品の精度は非常に高く、組み合わせが緩かったり、きつすぎたりすることはほとんどないので、接着剤はあくまで予備です。また紙やすりと、こすれ合う部分の潤滑剤として、ワックスが付属します。
飛行船モデルのときは、多少のバリは放置しても問題なかったんですが、こちらは駆動部分が多いので、そういうところのバリは、ていねいに紙やすりをかけてあげましょう。
各パーツは、このようにギリギリで枠に固定されています。多くのパーツは、指で力をかければ、簡単にパキッととれます。ときどき、固いのもありますが。ただし、やはり木の、それも合板なので、慎重にやらないと、この枠につながっている部分から割れてしまう場合もあります。
これは、前回の飛行船モデルでの失敗例。
そこで、切り離すときには、あらかじめカッターナイフで切り込みを入れてやるとよいです。木目の向きを見て、割れそうな角度のものは特に要注意です。また、全体的に飛行船モデルよりも細かい部品が多いので、手で簡単に切り離せなさそうなら、無理をせずにカッターナイフで切りましょう。
このシリーズの魅力のひとつは、釘やネジなどを使わず(正確にはハンドル部分のみネジです)、部品の固定を、ただ「はめ込み」のみで行うというところです。すると、はめ込みの精度が気になるわけですが、これがまた完璧。きつい場合は、たいてい角度がズレています。正しい角度でさしこめば、キュッとはまります。
また、金属やプラスチックの部品も最小限。特に、歯車はすべてが木製。歯車の軸すらも、大きいものは木製です。
特徴的な階段機構を組み立てていきます。
玉を汲み上げる部分ができあがりました。この、途中での動作確認が、完成に近づいている感があってワクワクするんですよね。
スロープ部分を組み上げていきます。
このギミックは……? あとの動画をお楽しみに。
もう少しです。
ついに完成!!
2.ああ パーツ一体感
細部をご覧ください。
この、木の質感と、スチームパンクなデザインの調和がたまりませんな。
そして、動きをご覧ください。
階段機構が、2つ同時に玉を持ち上げてしまうのはご愛敬。この部分だけは、ビー玉サイズくらいがちょうど良さそうなんですが、それだと他の部分を通らないし……。
箱庭のような閉じた空間。その中で、動き、循環し、完結するひとつの宇宙。木材のシンプルな色調が、幾何学的な美しさを強調します。ああ、これはまさしくエッシャーの世界だわ。いや、ほんとうにエッシャー好きなんですよ。
3.まとめ
このところ、ROBOTIMEのROKRブランドシリーズを、相次いでレビューさせていただきましたが、いずれも驚くほどの高品質です。ギミックが魅力的なのはもちろんのこと、細部まで非常に丁寧な造形で、木材の質感と幾何学的なデザインは、ずっと眺めていても飽きが来ません。これは、惚れる。
記事執筆現在、Banggoodでの価格は4,029円となっています。一応、現在、2個買うと20%OFF、3個買うと25%OFFというセール対象ではあるんですが……微妙(笑) もっとも、Amazonだと5,000~6,000円くらいはするので、この価格でも十分安価だと思います。なお、先日までやっていた飛行船モデルのセールは終わってしまったようです。残念。
ところで、実はこの「Magic Crash」モデルには、ギミック違いの4つの種類が存在し、そのうち現在Banggoodで取り扱っているのは、今回レビューした1種類のみです。それぞれに魅力あるギミックなので、ここはぜひ4種類すべてを取り扱って欲しいところ。ROBOTIMEのROKRブランドシリーズは、もっともっと流行ってよい製品群だと思います。より多くの人に実際に手に取ってもらって、是非この素晴らしさを知って欲しいですね。
4.関連リンク
3D Wooden Puzzle Marble Run:Banggood
コメント
Robotime社のROKRのネット通販には本家のドイツ製の他に1000円~1500円割安な中国製が出回っていますが、私は中国製のMagic Crash のシリーズのうち2つを購入しました。写真で見る限り製品はほぼ同等、説明書の解説図も全く同じなので、実際には中国製で何ら問題がありませんでした。
パーツには部品番号が刻印され、説明図がしっかりしているので、向きや表裏に注意しさえすれば、パキッとしっかりとはめ込みされる安心感があります。はめ込みには指先の力が必要で、テーブルなどに置いて上から付属の工具で押し込むようにします。細かいバーツも多いので指先だけでは指が痛くなります。木製ながらパーツの精度が高いので、うまくはめ込み出来ない場合は、位置が微妙にずれてしまっている場合がほとんどです。それでもはめ込み出来ない場合は、凸部の角をカッターで少し削ってやるとよいでしょう。
組み立ては14歳以上となっていますが、中学生ではやや難しい部分もあります。組み立て途中で間違いに気づいた場合、分解してやり直しが可能ですが、はめ込みを外すのに難儀する箇所もあり、間違わないようにしたいものです。丁寧な組み立てを行えば、カタログ時間より5割りほどは多くかかります。不要になった木枠の残りなどを利用して金属ボール受けを作り、土台に割り合わせるとより雰囲気がアップします。
解説図にない注意点として2つほど。
1)大型ギヤの貼り合わせに、Gの鋲パーツで固定する場合があるが、あらかじめ軸のステンレス棒を通しておき、軸とギヤが垂直になるようボンドで貼り合わせるのも一法。(ギヤの中心穴の微妙なずれのために回転軸が歪み、ギヤの回転が左右に振れて噛み合わせが外れる経験から)
2)エレベータ仕掛けのROKRの説明書P8のパーツA7の固定が鋲パーツのみだが、強度を要するのでボンドで補強する。(鋲が抜けて外れてしまい苦戦した経験から)
私の組み立てでも、精度は不安なところは全くなかったですね。
組み立てはほとんど図のまんまですが、確かに、数か所、先を考えて解釈する部分はあったので、子供だけではきついかも。親子で一緒に組み立てるのもまた楽しいものです。