PECRONのポータブル電源「E300LFP」の実機レビューです。容量が288Whと小さめ、そのぶん非常にコンパクトなサイズになっており、筐体もかっこいいデザインに仕上がっています。また今回は「100Wソーラーパネル」も併用し、その実力をチェックします。
・コンパクトで持ち運びしやすい、携帯性が考慮された筐体
・定格出力は最大600Wと、容量の割に大きめ
・必要十分なポート数
・製品仕様の割に安価で手軽に購入できる
ここがイマイチ
・容量288Whと小さく、使い道が限定される
・スマホアプリはモニター程度の機能
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PECRON E300LFPポータブル電源:PECRON公式ストア
PECRON 100Wソーラーパネル【新版】:PECRON公式ストア
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1.製品概要
PECRON E300LFP
スペック表
PECRON E300LFP | |
容量 | 288Wh(19.2V/15Ah) |
定格出力(AC) | 600W(瞬間最大1200W) |
出力波形 | 純正弦波 |
バッテリー種類 | リン酸鉄リチウムイオン電池 |
サイクル寿命 | 3500 (初期容量の80%以上) |
入力 | AC:100~120V、最大300W DC:12~28V、最大7A、最大100W ソーラー:12V~28V、最大7A、最大100W シガーソケット:12V~28V、最大100W |
充電時間 | AC:約80分 シガーソケット:約3時間 ソーラーパネル:約3時間 |
出力 | AC×2:定格600W、瞬間最大1,200W DC 5525ポート×2:12V/5A(60W)、24V/5A(120W) シガーソケット× 1:DC 12V/ 10A(120W) USB-A×2:5V、9V、12V(最大18W) USB-C×1:5V、9V、12V、20V(最大100W) ワイヤレス×1:最大15W |
充電温度範囲 | 0°C~45°C |
放電温度範囲 | -20°C~45°C |
サイズ | 254 × 172 × 154 mm |
重量 | 約4.8 kg |
コメント
PECRON E300LFPは容量が288Whで重量4.8 kgと、ポータブル電源としてはごく小型のタイプです。また、定格出力は600W、瞬間最大で1,200Wです。この容量と定格出力だとスマートフォンやタブレット、ノートパソコンの充電用としては十分、といいますか、数名のグループで日帰りの屋外レクレーションに出かけたとして、全員分のデバイスを問題なく充電できるくらいです。
一方で電気ポットや電気コンロなら定格出力の小さいものであれば使えます。例えば、このあと実際にテストしてみますが、私が所有している電気ポットは定格出力が430Wなので、普通に湯沸かしができますが、E300LFPだと、だいたい40分くらいで容量を使い切ります。また、私が所有している電気コンロは「(火力が)強」で600W、「弱」で300Wなので、強でも弱でも使えますが、強だと30分弱、弱でも1時間弱で容量を使い切る計算です。なので、「コンロで料理をする場合は手早く」しないといけませんw
それと、ポータブル電源は「予備電源」的な使い方をすることもあると思います。E300LFPの容量だと、さすがに家庭用の予備電源としては厳しいものがありますが、E300LFPは「UPS(無停電電源装置)」としても使えますので、日頃から有効な使い道があります。ただし、UPSは「0ms切り替えはできず、8~20ms切り替え」となりますので、サーバーなど0ms切り替えが必要なハードウェアには使えません。
100Wソーラーパネル
スペック表
PECRON 100Wソーラーパネル | |
公称最大出力(Pmax) | 105W±5% |
公称最大出力動作電圧(Vmp) | 19.4V±5% |
最大出力動作電流(Imp) | 5.4A±5% |
公称開回路電圧(Voc) | 24.5V±5% |
公称短絡電流(Isc) | 5.8A±5% |
モジュール変換効率 | 22% |
種類 | 単結晶シリコン |
防塵防水規格 | IP67 |
作業環境温度 | -20℃〜+60 |
コネクタ | DC5521 |
サイズ | 収納時:475 × 426 × 42±1 mm 展開時:1,740 × 426 × 27±1 mm |
重量 | 約3.5 kg |
コメント
ウインタブが家庭用のソーラーパネルをしっかりレビューするのは今回が初めてです(過去に一度テストしたことがありますが、そのときは外観の説明をした程度です)。このソーラーパネルはE300LFPと同じPECRON製ですが、E300LFP専用ではなく、接続端子(DC5521)形状が合っていれば他社の機器でも使えます。
要は「太陽光で発電し、最大100Wの電力でE300LFPを充電できる」というもので、計算上は288WhのE300LFPを容量ゼロから満充電するための所要時間は最短で3時間弱ということになります。言うまでもなく、容量が小さなE300LFPにとって非常に頼りになるパートナーです。
2.外観
前面です。中央上部にLEDインジケーターがあり、向かって右側がAC出力(コンセント2つ)、右側がDC出力(シガーソケット1つとDC5525ポート2つ)、中央下部にUSB出力(Type-C 1つとType-A 2つ)があります。
また、電源ボタンはDCとACそれぞれ独立しており、左上(DC)と右上(AC)にあります。
パッキンで覆われているのはシガーソケットのみ。ただ、E300LFPは見た目がブラックでオレンジのアクセントカラーになっていて、「見るからにタフネス」ですが、メーカー公称で防水・防塵性能とか耐久性については謳われていません(つまり、防水設計とかタフネス設計ではないということです。
これ、開梱してすぐの状態ですが、背面にバッグがついていました。このバッグはスナップボタンで簡単に着脱でき、中には…
電源ケーブルとシガーソケット用ケーブルが入っていました。いずれも外部からE300LFPを充電する際に必要になるもので、バッグに収納してすぐに取り出せるように配慮されています。私がこれまでレビューしてきたポータブル電源にはなかった親切設計だと思います。正直これだけでPECRONに対する信頼性がアップしてしまいましたw
ではバッグを取り外して、改めて背面です。上部にハンドルがあり、中央に製品仕様が書かれたプレートがあります。ポート類やボタン類はありません。
左側面です。上部にLEDライトとそのON/OFFボタンがあります。LEDライトは明るさを2段階に調整でき、SOS点滅も可能です。E300LFPはサイズが小さく、設置する向きも簡単に変更できるので、このライトはテントの中などで便利に使えそうです。
また、左側面下部にはパッキンで覆われたDC5521ポートとAC入力ポートがあります。ソーラーパネルはDC5521ポートのほうに接続します。ポートの下には通気口。
右側面です。E300LFPに限らず、ポータブル電源にはほとんどの場合冷却ファンがついていますが、そのための通気口があります。右側面にポート類はありません。また、充電中/給電中に断続的に冷却ファンが動作し、動作音は屋内だと結構大きめです(通気口のそばだと70dB以上あり、ノートパソコンのファン音よりもかなり大きい音が出ます)。ただし、これはE300LFPに限った話ではなく、ポータブル電源全般に言えることです。
底面です。こちらには何もありません。
上面にはワイヤレス充電ポートがあります。
次に100Wソーラーパネルです。すみません、室内では展開した画像をきちんとお見せできない(デカすぎる)ので、とりあえず畳んだ状態で見ていただきます。表面素材は樹脂製で、ご覧の通り「なかなかカッコいい」です!E300LFPとしっかりカラーコーディネイトされている、という感じ。
また、ケーブルを収納するケースもついていて、なにげに「かなり便利」です。持ち運びの際、どうしてもケーブルって邪魔になりますからね。
スタンド部分です。ソーラーパネルは「立てかけて使う」ものなので、このようにスタンドがついています。収納性も高く、持ち運びに邪魔になりません。
スマホアプリ
PECRONはGoogle Play(Android)とApp Store(iOS)にポータブル電源用のスマホアプリを用意しています。AC/DC出力のオン/オフやLEDライトのオン/オフ、ECO静音モードのオン/オフなど、基本的な操作ができるほか、マニュアルもあります。この製品の場合、サイズが小さくて手近なところに置くことが多いと思いますので、必ずしもアプリで操作する必要性は感じないのですが、購入されたらスマホに入れておくといいでしょう。
4.性能テスト
開示数値に問題があるとは思っていませんが、一応簡単に容量と負荷のテストしてみることにしました。
電気ポット(430W)と電気コンロ(強で600W、弱で300W)でお湯を沸かしてみます。E300LFPの最大出力は600W、瞬間最大で1200Wと開示されています。
電気ポットと電気コンロ(弱)を同時に使う(430W+300W=730W):このときは給電開始後数秒で「落ちました」。…いや、負荷過大となり、自動的にストップしました。730WというのはE300LFPの定格出力600Wをオーバーし、瞬間最大出力1,200Wよりは低いですが、実用上は600Wを越えた状態で継続使用するのは不可能だと評価します。「瞬間最大」というのはまさに「瞬間」であって、使用中に一瞬600Wを越えても大丈夫、というふうに理解するといいでしょう。
電気ポットと電気コンロを個別に使う:電気ポットのみを接続した際にモニターに表示された出力は最大約450Wで、ポットの定格出力430Wを若干オーバーするくらいで推移しました。また、電気コンロ(強)のみを接続した際は618W程度の出力と表示され、ここでもコンロの定格出力600Wを若干オーバーしていました。618WというのはE300LFPの定格最大出力600Wも越えているのですが、設計上は多少の「遊び」が許されているようですね。実用上、特に問題はないと判断します。
スマホをワイヤレス充電:本体上部にあるワイヤレス充電器で手持ちのGoogle Pixel 8をワイヤレス充電してみました。E300LFPのスペック表上のワイヤレス充電の最大出力は15W、Pixel 8のワイヤレス充電の充電能力は最大12W(市販のQi充電器の場合)ですが、私が試した限りだと概ね6-7W程度で充電されました。スマホのワイヤレス充電の場合、機種によってバラツキが大きいと思いますので、あくまで参考程度の話になってしまいますが、「そんなに急速な充電はできない」と考えていただければ、と思います。ただ、キャンプ場などで寝る前にスマホをE300LFPの上に置いておけば朝には充電が完了しているはずなので、手軽ではありますね。
容量の確認:容量についてごく簡単に計算してみました。「電気コンロ(強)をE300LFPの容量が20%減るまで使う」ことで測定・計算しています。
1.まず、E300LFPの容量は288Whなので、その20%というのは57.6Whです。
2.次に、電気コンロ(強)で湯沸かしをした際、E300LFPのモニター上で残量が20%減るまでに要した時間は4分58秒(≒5分)でした。このとき、モニターに表示された出力はおおよそ618W程度でした。このときの消費電力をWhで計算すると618W × 5分 ÷ 60分 = 51.5Whでした。
つまり、E300LFPのモニターを使った実測値はスペック表上の容量よりも少し少なめ、という計算結果になっています。ただし、もともと288Whという小さな容量のポータブル電源ですし、測定時間も短かったため、長時間の利用、あるいは別な家電製品の利用の場合、異なる計算結果になる可能性はあります。短時間かつアバウト(正確な測定器具を使っておらず、出力の推移も目視によるざっくりした測定であった)なテストだったので、個人的には「まあ、こんなもんか」と思いました。少なくとも「計算上の容量の半分くらいしか使えない」などということはないと思います。
利用イメージ(計算上のもの):
・テストに使用した電気コンロ:強(600W)で30分弱、弱(300W)で1時間弱、連続して使えます。
・テストに使用した電気ポット:40分程度、連続して使えます。このポットは容量1リットルで、15分程度でお湯(約80℃)を沸かせますので、40分間連続して通電する可能性は低いです。朝晩1回ずつお湯を沸かすのならE300LFPで十分かと。
・パソコンの充電:私が所有しているThinkPad X13 Gen 4のバッテリー容量は54.7Whなので、残量ゼロから残量100%までの充電を5回程度できます。
・スマホの充電:私が所有しているPixel 8のバッテリー容量は約17Whなので、残量ゼロから残量100%までの充電を17回程度できます。
計算上の目安ですが、ノートPCやスマホの充電であればグループでのアウトドアレジャーにも十分、調理用品の利用だと少し心もとない、という感じでしょうか。また、この製品はUPS(無停電電源装置)としても使えますので、その場合はコンパクトな筐体サイズが大きなメリットになると思います。
4.外に持ち出してみた
E300LFPとソーラーパネルを持って2回ほどお出かけしてみました。
最初に行ったのが「津久井湖城山公園」です。ここに行ったのは少し前で、3月中旬でした。
E300LFPとソーラーパネルのサイズ感です。2つあわせて約8キロあります。E300LFPはポータブル電源として超小型と言っていいサイズ感ですが、ソーラーパネルと一緒に長距離を持ち歩くのは少々厳しいです。基本的には自動車に積み込んで出かけることになります。ただ、車両乗入れ不可のキャンプ場などで駐車場からテントサイトまで持ち歩く程度なら特に辛くはないですね。
公園内にちょうどいい感じのテーブルとイスがありましたので、ここでE300LFPとソーラーパネルを展開して、少し試してみることにしました。
当日は私一人でしたが、ソーラーパネルの展開はごく簡単でしたね。パネルを展開するとそこそこの大きさになります。
で、ノートPCに給電しつつ、それだけだと物足りないので電気ポットで湯沸かしもしてみました(コーヒー飲んだ…)。E300LFPの定格出力は600Wなので、PCへの給電(最大でも100W、実際はそこまでの出力になりません)と電気ポットでの湯沸かし(430W)を同時にこなせました。
当日は「快晴」でした。なので、ソーラーパネルの実力もいかんなく発揮されるはず…と思い、しかしあまり信用せずに試してみたら「90W台前半」の出力になりました!私、ソーラーパネルを利用した経験が少なく、正直「どこまでやれるか…。」と思っていたのですが、これなら実用性は抜群だと思います。E300LFPの容量は288Whなので、計算上は3時間あればソーラーパネルだけで残量ゼロからフル充電にできます。また、E300LFPはパススルー充電も可能なので、PCなり電気ポットなりを使いながらE300LFPを充電できます。「400Wとか500Wの出力で、太陽光だけで無限に使うのは無理だが、E300LFPの駆動時間を延命できる」ということになります。
ただし、ソーラーパネルは曇り空とか雨の日だとまるっきり力が出ません。せめて直射日光に当てるようにしないとまともに充電ができませんので、キャンプ場などで使う際は「運任せ」なところがありますね。
あと、八王子市の「夕やけ小やけふれあいの里」にも行ってみました。このときは私一人ではなく、家族と一緒に行き(私と奥さんの2名で行きました)、まあ「ピクニックに使ってみてどうか」ということで携帯性と設置のしやすさを確認した、ということです。
目的地までは車で行き、駐車場に車を止め、2人で手分けしてE300LFPとソーラーパネル、ノートPCにお弁当、あと水筒にお茶を入れて公園内を数百メートル歩き、ご覧のようなベンチに荷物を降ろしました。2人で分担すればこのくらいの荷物を持って数百メートル歩いてもそれほど辛くありませんでした(このあたりは人によると思いますけど、私達は成人男女として力持ちな方ではなく、むしろ非力です)。
ソーラーパネルも展開してみましたが、「上野公園でお花見(めちゃめちゃ人が多いケースの例です)」とかではなく、普通の休日の公園であれば、特に周囲に気を使うこともなく、ソーラパネルを展開しても誰も気に留めない、という感じでしたね。
5.レビューまとめ
PECRON E300LFPはPECRON公式ストアにて5月17日に発売され、定価は29,900円ですが5月18日現在だと4,000円OFFの25,900円です。また、ウインタブ読者のために割引クーポンコード「wintab」をいただいており、これを使うとさらに5%OFFの24,605円で購入できます。
100WソーラーパネルもPECRON公式ストアで販売中で、定価25,900円のところ、5月18日現在だと9,100円OFFの16,800円になっていました。また、割引クーポンコード「wintab」が使え、これを使うと5%OFFの15,960円で購入ができます。それと、E300LFPの製品ページから「E300LFPと100Wソーラーパネルのセット購入」もでき、セットで購入する場合も割引クーポンコードが使え、39,425円になります。なので、セットで買うのが最もお得です。
アウトドアでの利用に関しては「主にPCやスマホ、またランタンなど照明器具の充電や給電に使い、補助的に調理器具にも活用できる」という感じかと思います。また、天候に左右されるというウイークポイントはあるものの、100Wソーラーパネルは(晴天であれば)90W以上の出力(充電能力)がありますので、E300LFPを3時間程度でフル充電することができ、E300LFPの小さめの容量をしっかり補ってくれると思います。
あと、「外観」のところでご説明した通り、E300LFP、ソーラーパネルともケーブルを収納でき、本体に備え付けられるポーチがついている、というのがなにげに良かったです。ポータブル電源のケーブルは太くて持ち運び時に邪魔になりますし、ソーラーパネルのケーブルはかなり長く、こちらも持ち運び時には邪魔になりますので、簡単に収納できるというのは本当に助かりました。
小容量だけに、ご自身にあった使い方をイメージできるかどうか、というのがポイントになりますが、個人的には「めちゃめちゃ気に入った」ポータブル電源です。車中泊とか「炭火と焚き火」で調理系をまかなうキャンプに、ぜひ持っていきたいですね。
6.関連リンク
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