レノボの週末セール情報です。今週末から「四半期決算セール Part1」がスタートしました。このセールでは「ポイント増倍(5倍、10倍)」や「メモリアップグレードキャンペーン」などの特典が用意されています(一部のモデルが対象です)。私が見たところ、特に1 kg切りの超軽量モバイルノート「ThinkPad X13 Gen 6」がもともと割安な上にポイント10倍というのが魅力的だと思いました。
「ポイント増倍」というのは「Lenovoリワードポイントの倍率が上がる」という意味で、ポイントを獲得するためには「My Lenovo Reward」というプログラムに登録する必要があります(登録無料)。登録後は楽天などのポイントプログラムと同様に購入金額に応じてポイントがもらえ、次回以降の購入代金に充当できる仕組みです。ポイント10倍の場合、購入金額(税抜き)の10%のポイントがつきます。PCって決して安価な製品ジャンルではないので、増倍されるポイントの価値は決してバカになりません(もらったポイントでモニターとかキーボードも入手できます)。
また、ウインタブではこの記事とは別にレノボのノートPCとタブレットのセール価格一覧表を作っていますので、こちらもあわせてご覧ください。
【2025年5月】レノボ(Lenovo)ノートパソコン・タブレットのクーポン情報・セール価格の一覧(ThinkPad・IdeaPadなど)
1.「IAL」と「ILL」ってなに?
セール情報に入る前にちょっと解説します。最近ThinkPadシリーズの名称に「IAL」「ILL」「IRL」といった3文字のアルファベットが付加されているものが増えました。これは…
IAL:Intel Arrow Lake
ILL:Intel Lunar Lake
IRL:Intel Raptor Lake
という意味です。つまりCPUのコードネームの略称ですね。IALとILLはCore Ultraシリーズ2の最新型番で、この先上位クラスのノートPCの主流になっていくものです。IRLはCoreシリーズ1、シリーズ2、第13世代Coreが該当しますが、レノボでは新しいモデルの製品名のみにこれを付加しています。決して低性能なものではありませんが、AI処理チップは内蔵しておらず、メーカー各社が連呼する「AI」の性能はやや劣ります。
IALとILLの代表的な型番について基本的なスペックを表にしました。
CPU | コア数/スレッド数 | ベースパワー (W) |
GPU (TOPS) |
NPU (TOPS) |
RAM | Copilot+ PC | Passmark | ||
コア数 | スレッド数 | シングル | マルチ | ||||||
Arrow Lake(製品名がIAL) |
|||||||||
Core Ultra 7 255U | 12 | 14 | 15W | Intel Graphics(–) | AI Boost(12) | 別 | ✕ | 3,915 | 18,530 |
Core Ultra 7 255H | 16 | 16 | 28W | Arc 140T(74) | AI Boost(13) | 別 | ✕ | 4,445 | 29,853 |
Lunar Lake(製品名がILL) | |||||||||
Core Ultra 7 256V | 8 | 8 | 17W | Arc 140V(64) | AI Boost(47) | 内蔵(16GB) | ◯ | 4,064 | 19,970 |
Core Ultra 7 258V | 8 | 8 | 17W | Arc 140V(64) | AI Boost(47) | 内蔵(32GB) | ◯ | 4,050 | 19,145 |
共通の特徴:
・Intel最新のノートPC向けCPU
・AI処理チップNPUを内蔵
Arrow Lakeの特徴:
・末尾Hと末尾Uでは仕様が大きく異なる
・末尾Hは設計電力が大きく、内蔵GPUの性能が高い
・末尾Uは設計電力が小さく、内蔵GPUの性能はあまり高くない
・NPU性能はCopilot+ PCの要件を満たさない
Lunar Lakeの特徴:
・IntelでCopilot+ PCの要件を満たすNPUを内蔵しているのはLunar Lakeのみ
・RAMをパッケージ化し、ユーザーの選択余地なし
・ハイパースレッディング廃止の影響によりマルチスレッド性能が低め
・バッテリー駆動時間が顕著に長い(実機レビューの傾向)
2025年5月現在のIntel CPUでCopilot+ PCの性能要件を満たしているのはLunar Lakeのみで、Arrow LakeはNPU性能が高くないため、Copilot+ PCの要件を満たしません。しかし、CPUやGPU性能においてはLunar LakeよりもArrow Lake(のH型番)のほうが上です。また、Arrow LakeはGPU性能が高く、「NPUでの処理」に限定しなければAI性能も高いです。というか、Microsoftが定めるCopilot+ PCの要件はNPU性能重視というかNPUしか見ていないので、Arrow LakeとLunar Lakeの関係性においては「Copilot+ PC=高性能、非Copilot+ PC=低性能」ということは「全く成立しない」です。
Lunar LakeはNPU性能は高いものの、Arrow Lakeよりもコア数/スレッド数が少なく、ハイパースレッディングが廃止されたことによる影響があって、マルチスレッド性能は低めです。そのかわり(私の個人的感想ですが)「バッテリー持ちは驚異的」で、むしろAIよりも「性能とバッテリー持ちの両立」という点で高く評価されるべき型番だと思っています。
この章の最後に個人的な見解を書きます。Arrow Lake(のH型番)とLunar Lakeはどちらも高性能ですが、ビジネスPCたるThinkPadに向くCPUは省電力性が極めて高いLunar Lakeのほうだろう、と考えます。ただし、動画編集やRAM現像といった高負荷な作業を念頭に置いている場合はArrow Lake(のH型番)かと思います。注意していただきたいのは「同じArrow LakeでもU型番とH型番は仕様が大きく異なり、特に内蔵GPUの性能差がかなり大きい」という点ですね。
関連リンク:
ノートPC用CPUの選び方 - 2025年前半・最新CPU編
ノートPC用CPU一覧 - Core Ultraシリーズ1、Core Ultraシリーズ2
ハイパースレッディングが無くなる?Intel次世代CPUへの影響
Core Ultra 200V(Lunar Lake)、実際のところどうなの?- 電池持ちでMacに追いつく
では、セール情報です。…すっかり記事が長くなってしまいましたので、ここでは直近で発売されたThinkPad T14 Gen 6 IAL/ILLを紹介します。
2.ThinkPad T14 Gen 6 IAL/ILL
セール価格:
IAL:149,666円から
ILL:176,880円から
●スペック例1・IAL・191,312円モデル
OS:Windows 11 Home
CPU:Core Ultra 7 255U
RAM:32GB
ストレージ:512GB
ディスプレイ:14インチ(1,920×1,200)
サイズ:315.9 x 223.7 x 21.95(最厚部)mm/1.38 kg
●スペック例1・ILL・176,880円モデル
OS:Windows 11 Home
CPU:Core Ultra 5 228V
RAM:32GB
ストレージ:256GB
ディスプレイ:14インチ(1,920×1,200)
サイズ:315.9 x 223.7 x 21.95(最厚部)mm/1.46 kg
T14はThinkPadシリーズの上位モデルで14インチサイズです。とは言え筐体重量は1.4 kg前後とやや重く、超軽量なXシリーズ/X1シリーズと比較すると毎日バッグに入れて持ち運ぶのは少し大変かもしれません。しかし、有線LANポートがついていたり、USBポート4つ(うち2つはThunderbolt 4)を装備するなど、ポート構成が充実していますし、注文時のカスタマイズ範囲が非常に大きいです。
スペック表を掲載したモデルについて、ちょっと補足します。まずIALですが、上に書いた通り「Arrow LakeにするならH型番」がおすすめです。カスタマイズ画面でU型番からH型番に変更でき、Core Ultra 5であれば差額は8,000円程度です。
ILLに関してはCore Ultra 5/7とも内蔵RAMが32GBの型番(Core Ultra 5 228V/Core Ultra 7 258V)で、RAM16GBの型番は設定されていないので、お好みに合わせて選ぶといいでしょう。なお、IAL、ILLともvPro対応の型番を選べますが、個人購入の場合はvProは不要だと思います。
また、T14はRAMとSSD容量、そしてディスプレイの仕様も変更できます。特にディスプレイは標準だと45%NTSC(並クラスの品質)なので、個人購入の場合は100%sRGBのものに変更するほうがいいのではないか、と思います。
この他にもT14はカスタマイズ項目が非常に多いです。Webカメラの顔認証対応有無やキーボード配列(日本語配列か英語配列か)、バッテリー容量などをお好みに合わせて変更できます。
どこまでカスタマイズするかにもよりますが、私が試した感じだと「20万円以下」で概ね満足できる仕様にすることができました。
CPUだけでなく、細部の構成までしっかりこだわってビジネスノートPC選びをしたいという人に、T14はおすすめです。
レノボ製品ページ:
ThinkPad T14 Gen 6 IAL(Intel)
ThinkPad T14 Gen 6 ILL(Intel)
ThinkPad T14 Gen 6(AMD)
3.関連リンク
四半期決算セール Part1:Lenovo
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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