数日前ですが、Microsoft-News.comにこんな記事が載っていました。
Windows RT’s Future Remains Bright as Intel Continues to Struggle in Mobile
(Intelがモバイル分野で苦戦を続けている中でもWindows RTの未来は明るい)
この記事の要旨は
Windows RTは初代のSurface RTが登場したときからハードウェア的に、性能に大きな問題を抱えていて、サードパーティがほとんど逃げてしまった。残っているのはノキアくらいなものだ。Windowsストアの充実もおくれをとっていて、WindowsPhoneストアに比べると魅力がなく、人気アプリが育っていない。ソフトウェアとハードウェア、メーカーとサードパーティの関係という「エコシステム」の整備も進んでいない。
Intelは長年Windows PCの世界でほとんど競争にさらされることなく独占的な地位にあったが、ARMベースのモバイル端末の急成長によって大きな問題を抱えることになった。ARMには「低価格」「より小さなサイズ」「電源の効率性」という3つのメリットがあり、iPhoneやAndroid端末に採用され、劇的に普及したのである。一方Intelのモバイル用チップはほとんど採用されることなく、専門家からも「ARMより三世代は遅れている」と酷評される始末。にも関わらずIntelのモバイル対応はのんびりしたもので、いまだに4G/LTE対応すらできていない。
Microsoftは8インチのSurface MiniではQualcommのARMチップを搭載することにしている。MicrosoftがARMをサポートするというのは消費者にとって歓迎すべきことだ。Windows8の成功はWindows RTの成功をも意味する。タブレット上でWindowsストアアプリがもっと利用され、レガシーなデスクトップソフトウェアが消え去る、というのは低価格帯でこそ実現する。より多くの選択肢と競争環境は常に消費者を利する。Microsoftは短期的なつまづきに怯むことなく、競合するiPhone/iPadやSamsungのAndroidと同じくARMで動くWindowsに投資を継続すべきだ。それらの投資はWindows8あるいは9の成長持続というペイオフとなって取り戻せるはずだ。
スポンサーリンク
RTではない、フルのWindows8.1の方はWindows8.1 with Bingを追加し、小型で安価なPC(9インチ未満のタブレットなど)では無料化されるなどの攻勢をかけており、今月初めのComputexでは7インチのタブレットや予想売価100ドルの中華タブレットも登場するなど、低価格帯でAndroid端末をキャッチアップすべく活発な動きを見せています。
このことを考えるとWindows RTの位置づけが非常に微妙なものとなる、と思っています。フルのWindowsとWindows RT、価格面での棲み分けが難しくなり、低価格帯ではフルWindowsとRTが混在してしまう結果になりそうですから。
「PCと同じデスクトップが使え、エクセルのマクロも動く」というのはフルWindowsを搭載したタブレットの最大のメリットだと思います。たとえデスクトップ用ソフトウェアの使い勝手が悪かろうと、いざというときの「保険」と考えれば本当に安心できますからね。個人的には事務系ソフトウェアやブラウザゲームくらいなら「保険」というのが失礼なくらいタブレットは快適に動いてくれると思っています。
なので、限定的にしかデスクトップが使えないRT機というものの存在意義に疑問を持っていました。しかし、海外メディアの論調を見れば、長期的にはWindowsをARMで動かすことに大きな意義はあるし、ボトムレンジをしっかりカバーできるくらいの低価格であれば、若干でもiOSやAndroidのシェアを奪い、Windowsストアアプリの充実にも寄与することになりますね。
でも、WindowsPhoneのOSがどんどん進化していて、アプリもWindowsストアアプリとのユニバーサル化が進んでいることを考えると、モバイル用にWindowsPhone、タブレットやPCにフルのWindows8で十分なんじゃない?という気もします。WindowsPhone8.1もARMで動くOSですし。1万円台前半とか1万円を切るくらいの価格でないとRT機が生き延びるチャンスはないのかもしれませんね。優秀な長男と三男に挟まれたかわいそうな次男坊というか、部下から突き上げられ、上司から痛めつけられる中間管理職というか…。