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同じインチでもこんなに違う!ノートPCのインチ数・アスペクト比・面積の関係を解説

オピニオン

同じインチでも面積が違う!ノートPCはアスペクト比で「見える広さ」が変わる
ノートPCのスペック表には必ず「○○インチ」という表記がありますが、この数字は画面の対角線の長さを示しているだけで、タテ・ヨコの長さや表示領域の広さ(面積)は含まれていません。余談ですが、以前2画面のPCの製品紹介記事を書いていて(例:Lenovo YogaBook 9i Gen 10)、「14インチディスプレイを2枚並べて使ったら28インチじゃん」と思ったりもしたのですが、上に書いた通りディスプレイのインチというのは「対角線の長さ」なので、14+14=28という単純な計算は成り立ちません(正解は約24.9インチ)。

ただ、「インチ数が大きいほうが画面が大きい」という直感的な理解でも実用上(PC選びでは)困らないので、私を含め、皆さん「画面サイズの定義」にはそれほど厳密性を要求していないと思います。

さらに最近は16:9、16:10、3:2など、アスペクト比(縦横比)の種類が増え、同じインチ数でもタテ・ヨコサイズや面積が異なるケースがあります。この記事では、よくある画面サイズや解像度を整理しつつ、アスペクト比の違いによる面積・用途適性を解説します。

※日本国内では計量法により「インチ」は法定計量単位に含まれないため、メーカー仕様表では「○○型」と表記するのが一般的です。ウインタブは役所とは関係がないので、この記事では普通に「インチ」を使います。

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1. ノートPCでよく見るインチ数

サイズ(インチ) 主な特徴 主な用途
13.3 軽量モバイルの定番。持ち運びやすいが表示は小さめ(スケーリング前提) 出張・外出用
14.0 モバイルと据え置きのバランス型。最近増えている 据え置き時々モバイル
15.6 据え置き寄り。作業領域が広くテンキー搭載が多い 据え置き・事務作業など
16.0 16:10採用が多く縦方向が広い。やや大型 据え置き・クリエイティブ作業

この表は日本で販売されているノートPCのディスプレイサイズでよく見かけるものです。13.3インチで「表示は小さめ」と記載しましたが、実際は125%とか150%に拡大(スケーリング)して使うことが多く、拡大した場合は表示が大きくなり、そのかわり作業領域は狭くなります。

また、15.6インチと16インチは「ちょっと無理やり」分けています。既存の15.6インチノートの定番モデルがモデルチェンジで16インチに変更されるケースも多く、実態としては15.6インチと16インチの特徴や用途にはあまり差がありません。

2. よくある解像度とアスペクト比(ノートPC)

解像度 アスペクト比 備考
1920×1080 16:9 フルHD。動画視聴に最適
1920×1200 16:10 縦長で事務作業向き。最近増加
1920×1280 3:2 Surface系に多い。縦方向がさらに長い
2560×1440 / 2560×1600 / 2560×1700 16:9 / 16:10 / 3:2 2.5K(WQHD系)。精細度アップ
3840×2160 / 3840×2400 / 3840×2560 16:9 / 16:10 / 3:2 4Kクラス。高精細だが消費電力大きめ

3. タブレットでよくある解像度とアスペクト比

解像度 アスペクト比 備考
1280×800 16:10 低価格帯によくある
1920×1200 16:10 中価格帯の標準
2048×1536 4:3 iPadやお絵描き向けAndroidタブに多い
2800×1752 16:10 Galaxy Tab S系など高解像モデルでも採用
2880×1920 / 3000×2000 3:2 Surfaceや一部Chromebook/Windowsタブレット
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4. アスペクト比で変わる用途適性

同じ14インチでも面積は異なる

インチ数は画面の「対角線の長さ」なので、アスペクト比が変わると横幅と高さの比率が変化し、面積も異なります。ここではディスプレイサイズが14インチ(対角線の長さ355.6 mm)のものを例にとってサイズを比較してみます。

アスペクト比 横幅(mm) 高さ(mm) 面積(cm²) 面積差(16:9比)
16:9 約310 約174 約540 基準
16:10 約302 約188 約568 約+5%
3:2 約296 約197 約584 約+8%
4:3 約285 約213 約607 約+12%

画面が正方形に近づくにつれ、横幅が少しずつ小さくなり、高さが少しずつ大きくなります(ここは当たり前ですね)。この記事で最も言いたいのは「同じ14インチでもアスペクト比によってディスプレイの面積が異なる」ということです。例えば4:3は16:9より面積が約12%広くなります。つまり「大きい」です。

作業用途(表計算・資料作成など)

個人的にはアスペクト比が変わってもあまり使用感の変化を感じません。しかし、アスペクト比が変わると使い勝手が上がる、あるいは下がると感じる人も多いようです。まず、Officeアプリなどを使っての資料作成やA4文書の表示では、こんなことが言えます。

  • 16:10:16:9より高さ(縦の長さ)が約8%増加するので、Excelやブラウザで表示できる行数が増える。一方で横幅は16:9よりも約3%減少するが、高さによる恩恵のほうが大きい。
  • 3:2:16:10よりさらに縦方向が伸びるため、A4縦の文書や長文Webページでスクロール回数を減らせる。見出し+本文の見える範囲が広がり、表示倍率も上げやすい。
  • 4:3:紙面に近い比率(A4はおよそ 7:5、= 4:3と3:2の中間でわずかに4:3寄り)。縦が長く、PDF・電子書籍・イラストで表示倍率を上げても見渡しやすく、スクロール回数も減りやすい。

動画視聴

1920×1200のモニターでYouTubeを視聴

16:10のモニター・全画面表示でYouTube動画を視聴すると上下に黒い帯が出る

一方で、映画をはじめとする「動画視聴」では、縦方向に長い形状よりも、16:9のほうが見やすいということも言えます。

  • 16:9:動画配信サービスの標準比率で、画面全体を使用可能。
  • 16:10 / 3:2 / 4:3:16:9動画では上下に黒帯が入り、同インチでは横幅もやや短いため、映像サイズはわずかに小さく感じる。16:10では黒帯は細め、3:2や4:3では黒帯が太くなり、没入感がやや低下。

ただし、黒帯の有無や横幅が狭くなることによる表示サイズの小ささなどは、人によっては「わずかな違い」としか感じられないかもしれません。

クリエイティブ作業

  • 4:3 / 3:2:縦方向が広く、ツールパレットやキャンバス表示に余裕。
  • 16:9:横長で動画編集のタイムライン表示に適する。

5. まとめ

今回は「ディスプレイのインチ数」と「アスペクト比(画面の縦横比)」について説明しました。冒頭に書いた通り、インチ数というのは対角線の長さなので、同じインチ数でもアスペクト比によって横幅・高さ・面積は変わります。

また、インチ数にしてもアスペクト比にしても「正解」はありません。使い方によって快適性が上がることも下がることもありますし、私のように「別にどうでもいいや」という人もいるでしょう。

非常に乱暴に結論づけると「事務仕事に使う場合は16:9よりも縦方向に長い形状のほうが視認性が上がる」「動画視聴の場合はコンテンツが16:9もしくはそれよりも横長のことが多いので、16:9が向く」「タブレット系の製品でイラスト制作など、ペン入力をする場合、またA4文書をあまり縮小することなく表示させたい場合は4:3が使いやすい」とは思います。

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執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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