最近のノートPCのSSDは「512GB以上が普通」になったと思います。また、上位クラスのノートPCで1TB以上のSSDを搭載しているものも多いです(特にHP製品で目立ちます)。実際、各所のレビュー記事やSNS、さらには家電量販店のセールストークでも256GBでは足りないという話を見聞きします。
しかし、すべての人に1TB以上のストレージが必要というわけではありません。この記事では、用途や使い方を踏まえて、「いま最適なSSD容量」を考えてみたいと思います。
1.なぜ「1TBが安心」と言われるのか
ノートPCは年々高性能化し、「できること」の範囲が拡大しています。また、(ウインタブもそうなんですけど)気軽に制作した動画を共有できるサイトが増え、動画編集ツールも高度化し、かつ使いやすいものになりました。そんなわけで…
・ゲーム1本で100GB以上!:PCゲーム、特に大作タイトルではインストール容量が100GBを超えることも珍しくない。
・動画編集データの肥大化:動画編集では、1つのプロジェクト(1本の動画を作るための元データ)で数十GBのストレージを使用することもある。特にFHD/4K素材を扱うもの
・“備え”として大きめを選びたい!:「後から足りなくなるのが嫌」「消すのが面倒」などの理由で、実際の使用量よりも余裕を求めてしまう。
といった理由で、大きめのストレージ容量にニーズが生まれているのは間違いないでしょう。
2.実際、どのくらい使うのか?
とはいえ、仕事や学習用途がメインの場合、PC内部に保存するファイルはWordやExcel、PDFなどのドキュメントが中心で、容量はたかが知れています。OSと基本アプリをインストールした状態で約100GB、ドキュメント類を合わせても合計200GBに満たない、と考えていいでしょう。
また「法人向けとかビジネスに特化しているようなノートPC(ThinkPadやEliteBookなど)ではいまでも256GBのSSDが標準構成」だったりします。セール情報記事やレビュー記事を書いていて「いまどき256GBかよ」などとも思いましたが、考えてみればビジネス専用としてノートPCを使う場合、大量の動画とか画像、ゲームアプリなんかはインストールしないはずなので、それなら256GBでも問題ない、ということなんでしょう。
3.クラウドや外部ストレージとの使い分け
ローカルストレージの容量が限られている場合でも、クラウドストレージや外部ストレージを併用することで、快適な運用が可能です。クラウドにはGoogle ドライブやOneDrive、iCloud、Dropbox、そして買い切り型で注目されている「pCloud」など、用途や容量、課金体系に応じて多くの選択肢があります。
これらのストレージサービスには、単なる「ローカルストレージの節約」にとどまらず、以下のようなローカルにはない利点があります。
・デバイス間のファイル共有が簡単にできる:PC、スマホ、タブレット間でシームレスにファイルをやり取りできる
・PCの故障・紛失への備えになる:大切なファイルをクラウド上に保存しておけば、万が一PCが故障してもデータを失わずに済む
・一部サービスではバージョン管理や復元も可能:pCloudなどはファイルの履歴保存やバックアップ機能も充実しており、ビジネス用途にも有用
一方、ローカル以外のストレージには注意すべき点もあります。クラウドストレージは通信環境に依存し、オフラインでは使えません。また、無料プランでは容量が限られています。NAS(家庭内ストレージ)については、通信環境次第でクラウド並みに便利に使える反面、導入コストや設定の手間がかかるというデメリットもあります。
…しかし、最近では「NASあるいはホームサーバー」が注目されている感もありますよね。ウインタブでも、NASとして使うことを想定したミニPCの実機レビュー(GMKtec NucBox G9)をしていますし、様々な選択肢が出てきています。
4.用途別、おすすめのストレージ容量
ウインタブが考える用途別のおすすめストレージ容量は下記のとおりです。ゲームやコンテンツクリエーション(動画編集)にも使う場合はやはり1TB以上が望ましいと思います。というか1TBでも足りないかもしれません。一方でゲームやコンテンツクリエーションには使用せず、事務系の用途では1TBもいらないんじゃないかと思います。
用途 | おすすめ容量 | 補足 |
---|---|---|
文書作成 / 学習用途 | 256GB〜512GB | 写真・動画を保存しない前提 |
Office+写真保存+動画視聴 | 512GB | 一般的なノートPC利用に最適 |
動画編集 / ゲーム | 1TB以上 | 素材やインストール容量が大きいため |
クラウド活用前提 | 256GB〜 | Google Drive、pCloudなどとの併用で十分 |
5.まとめ
先日の記事「ノートPCのメモリは16GB以上が必須?」で「RAMは多ければ多いほどいい」と書きましたが、ストレージについても同じことが言えます。しかし、RAMほどではないにせよ、SSDも容量が大きくなれば価格も上昇しますので、使いもしないのにやたらと大きなストレージを確保するのは無駄ですよね。
動画編集や大容量ゲーム、あるいは何らかの専門業務にPCを使用する人にとっては「1TB以上のSSD」は必須になっていると言えるかもしれませんが、それ以外の多くの人にとっては、512GBで不自由を感じることはほとんどなく、使い方次第では256GBでも問題ありません。
RAMとストレージで異なる点は「整理できるか」という点にもあります。「PC内部のフォルダ構成をしっかり整えて、不要なデータをこまめに削除する」ということを励行できる人ならストレージ容量は小さめでもOK、私のように「ダウンロードフォルダに未整理のデータが数GB、タイミングによっては数十GB」も放置されているような使い方だとストレージはいくら大きくても足りなくなりますねw
6.関連リンク
「スペック信仰」に待った!記事一覧
Copilot+ PCとは?要件と「NPUが本当に必要か」を冷静に考える
CPUは最新でなくても大丈夫!仕事・勉強・娯楽に最適なノートPC選び
ノートPCのメモリは16GB以上が必須?本当に8GBでは足りないのか? - 用途別に考えるRAM容量
コメント