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ノートPCのRAM規格と実装方式について - PC選びで注意したいこと

オピニオン

ノートPCのRAMについて
ノートPCのスペック表を見ていると「DDR4」「DDR5」「LPDDR5X」といったRAM(メモリ)の規格が目に入ります。数字が大きいほど新しい規格、というのは皆さん理解していると思いますが、PC選びの際にRAMの規格についてあまり注意を払っていない、という人もおられると思います (私もそうです)。

また、RAMについて、PCの使い勝手を左右するのは規格だけではありません。容量やチャネル構成(シングル/デュアル)、オンボードかスロットかといった実装方式も重要なポイントです。

この記事では、DDR4からDDR5、LPDDR5Xまでの規格の違いを整理するとともに、ウインタブが実際にPCをレビューして感じてきた「体感差」や、拡張性の観点から注意したいことをまとめます。

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1. DDR4からDDR5、そしてLPDDR5Xへ

規格 主な周波数 (MT/s) 特徴
DDR4 2,133~3,200 旧世代。安価でまだ現役機も多い
DDR5 4,800~7,600 最新世代。帯域が広く大容量化に対応
LPDDR5 4,266~6,400 モバイル向け。省電力設計
LPDDR5X 6,400~8,533 LPDDR5の発展版。超低電圧・高帯域

DDR4は2015年ごろから主流となった規格で、長らく多くのPCに搭載されてきました。現在でも比較的低価格な製品にはDDR4規格のRAMが搭載されています (例:ACEMAGIC K1GMKtec NucBox G10)。

DDR5は帯域幅やクロックが向上し、省電力性も改善した、とされています (関連記事:GEEKOM)。さらにモバイル向けにはLPDDR5、そしてLPDDR5Xが使われるようになっています。

表の「周波数 (MT/s)」は、メモリが1秒間に処理できるデータ転送の速度を示しています。数字が大きいほどデータの通り道が広く、処理をスムーズに行えるイメージです。特に画像処理やゲームのように大量のデータを扱う場面では、この帯域の広さが性能に影響します。

先日製品紹介記事を掲載したASUSのポータブルゲーミングPC「ROG Xbox Ally/Ally X」では、下位モデルのAllyが「CPU:Ryzen Z2 A、RAM:16GB (LPDDR5-6400)」、上位モデルのAlly Xが「CPU:Ryzen AI Z2 Extreme、RAM:24GB (LPDDR5X-8000)」と、CPUの型番やRAM容量だけでなく、「RAMの規格」にも差がつけられていました。ちなみに、AMDは公式サイトで対応するRAMの規格を開示していませんが、IntelはRAMの対応規格まで開示しています (例:Core Ultra 7 255H)。つまり、メーカーがRAMの規格を決定する際にはCPU側の制約もあります。

しかし、文書作成やWeb閲覧といった軽い用途では、DDR4とDDR5の差を体感できるかというと「正直あまりわからない」というのがウインタブの感想です。特にビジネス系のノートPCでの普段使い (文書作成やプレゼン資料の作成、動画視聴やWeb閲覧などの比較的軽めの作業)では体感差はほとんどないでしょう。ウインタブでは外部GPU搭載のゲーミングノートの製品紹介記事や実機レビュー記事も掲載していますが、多くはビジネス系のノートPCやミニPCですし、私自身の日常の作業もほとんどが軽負荷なものなので、(本来は良くないことですが)どうしてもRAMの規格には無頓着になってしまいます。

2. オンボードか、スロットか

RAMの規格により「搭載方法」も変わります。DDR4やDDR5は基本的にモジュール(SO-DIMM)をスロットに挿す形で、購入後に増設や換装ができます(MSIのようにメーカー側でユーザーによるRAM交換を認めていない、ユーザーが作業をすると保証が切れてしまうところもあります。また、実際にはRAMの交換が可能であってもメーカー側で「交換不可」としていることもあります)。

一方でLPDDR5Xはオンボード (マザーボードに直付け)になっており、購入後の増設や換装ができません。つまり「購入時の構成がそのまま上限」になるので、長く使うことを想定しているなら余裕を持った容量を選んでおく必要があります。ウインタブとしては「増設・換装の予定がなくとも、購入時に『その余地があるのかないのか』は確認しておくべき」と考えています。

3. シングルチャネルとデュアルチャネル

もうひとつ見落としがちなポイントが「チャネル構成」です。ということです。最近はAMDのRyzen AI 300シリーズのように4チャネルとか8チャネルの製品もありますし、IntelのLunar Lake (Core Ultra 258Vなど)のようにCPUとRAMが一体化したものもありますが、この記事では「RAMが1枚 (シングルチャネル)なのか2枚 (デュアルチャネル)なのか」ということに絞って説明します。

同じ16GBでも、8GB×2のデュアルチャネルと16GB×1のシングルチャネルでは性能が変わってきます。特に内蔵GPU (iGPU)のパフォーマンスに大きく影響します (デュアルチャネルのほうがずっと性能が高い)。逆に外部GPU (dGPU)を搭載している機種では、この差はそれほど目立たない、…と思います (基本外部GPUを搭載するような高性能PCはほぼ全てデュアルチャネルなので…)。

ウインタブでは、PC選びの際には「RAMの規格」よりもむしろ「チャネル数」のほうが重要だと思っています。また、シングルチャネルであってもマザーボードにスロットが2つあり、スロット1つが空きになっている製品もあります (例:dynabook Tシリーズ)。この場合、当初はシングルチャネルにして購入金額を節約し、後日必要性を感じたらRAMを1枚追加すれば良いので、シングルチャネルのデメリットを心配する必要はありません (ただし、RAMを追加する際にお金はかかりますけどね)。

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4. 実際の製品例

例えばThinkPadシリーズでは、X1シリーズやXシリーズでは「LPDDR5Xオンボード」というものが多いです (例:X1 Carbon Gen 13 Aura EditionX13 Gen 6。いずれもLPDDR5X-8533MT/s)。拡張性よりも軽さと薄さ、ということでしょう。

一方でEシリーズや一部のTシリーズはDDR5スロット式を採用しており、増設や交換が可能です (例:T16 Gen 4、DDR5-5600MT/s)。「据え置き用途ならこちらが安心」と言えるでしょう。

HPのOmniBookシリーズはLenovo ThinkPadシリーズとは少し異なり、LPDDR5Xオンボード(例:OmniBook Ultra 14iconOmniBook 5 16-agicon、LPDDR5x-7500MT/s)を採用するケースが多いようです。

「●●ブランドの◯◯シリーズは全部このRAM規格」というパターン化は困難ですが、基本的にメーカーサイトのスペック表にはRAMの規格が開示されていますので、購入時にチェックすることは可能です。

5. まとめ

メモリ規格の数字が新しいほど高性能、というのは間違いではありません。しかし、ウインタブの感想としては、軽作業ではRAM規格による体感差 (速度差)はわずかであり、やはり重要なのは「容量 」「チャネル構成」そして「拡張性があるかどうか」です。

あくまでウインタブの意見として結論づけると、ビジネス用のノートPCの場合「CPUがIntel CoreとかAMD Ryzenなのであれば容量は16GBでデュアルチャネルにしたい。RAM規格にはこだわらない。できればオンボードメモリでないほうが良いが、初期容量が自分にとって十分なのであれば、それほど固執しない」と考えます。なお、RAM容量については別記事でも見解を述べていますので、こちらもご参照ください。
ノートPCのメモリは16GB以上が必須?本当に8GBでは足りないのか? - 用途別に考えるRAM容量

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執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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