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CPUのシングルスレッドとマルチスレッドの違いとは?用途別に解説

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CPUのシングルスレッドとマルチスレッドの違いとは?用途別に解説

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ウインタブも含め、PC関連のサイトでCPUの「シングルスレッド性能」「マルチスレッド性能」という用語をよく見かけます。用語自体は多くの人が知っていると思いますが、実際に「どんな場面(利用シーン)でシングルスレッド性能が重視され、どんな場面でマルチスレッド性能が重視されるのか」については、いまいちピンとこない人もおられるのではないでしょうか。

この記事ではシングルスレッド、マルチスレッドそれぞれが「効く場面」と、それに合わせたPC選び(CPU選び)について解説します。

シングルスレッド性能が効く場面

シングルスレッド性能とは「CPUが1つの処理(スレッド)を実行する速さ」を示します。実際にはそのスレッドは1つのコアで処理されるため、ベンチマークソフトの中には「シングルコア性能」という表現を使っているものもあります(CINEBENCH 2024など)。

シングルスレッドが効く作業例:
・OSやアプリの起動
・Webページ表示やJavaScript処理
・WordやExcelの一般的な編集
・ゲームの一部動作
・古いソフトや軽量アプリ

ウインタブでよく言っている「普段使い」の快適さはシングルスレッド性能に依存する部分が多いです。

マルチスレッド性能が効く場面

マルチスレッド性能とは「CPUの複数のタスクを、複数のコアやスレッドを同時に使って並列処理する速さ」を示します。

マルチスレッドが効く作業例:
・動画編集・エンコーディング
・3DCGレンダリング
・大規模・複雑なExcelやPowerPoint
・AI処理(CPU実行時)
・プログラムのコンパイル
・配信や録画をしながらのゲームプレイ

 いわゆる「重い処理」では、マルチスレッド性能の高さが快適性につながることが多いです。

「2コア4スレッド」と「4コア4スレッド」の違い

Intel CoreやAMD Ryzenでは「コア数≠スレッド数」であるものが少なくありません。シンプルな例として「2コア4スレット」を挙げると、「 実コアは2つだが、ハイパースレッディング技術により、1コアで2スレッドを同時に処理できるため、合計4スレッドとして動作する」ということです。一方で「4コア4スレッド」のCPUの場合「 実コアが4つあるので、ハイパースレッディング技術によらず、リアルに4スレッド処理が可能」です。

※ハイパースレッディング(Hyper-Threading Technology)はIntelの商標ですが、AMDでもSMT(Simultaneous Multi-Threading)という同種の技術を使っています。この記事ではよりメジャーな表現である「ハイパースレッディング」の用語を使用します。

CPUの解説記事でよく見かける例えを使うと2コア4スレッドは「2人の作業員が掛け持ちで4種類の作業を同時に行っている」、4コア4スレッドは「4人の作業員が1人1作業を行っている」ということです。よって、同じ4スレッドでも実効性能は異なります。

Intelの路線変更 - ハイパースレッディング廃止へ

現行の型番であるCore Ultraシリーズ2で、Intelは基本的にハイパースレッディングを廃止しました。主な型番を見てみると…

型番 コードネーム コア数 スレッド数
Core Ultra 9 285HX Arrow Lake-HX 24 24
Core Ultra 7 255H Arrow Lake-H 16 16
Core Ultra 5 225U Arrow Lake-U 12 14
Core Ultra 7 258V Lunar Lake 8 8
Core Ultra 7 155H Meteor Lake 16 22

この表のうち、Core Ultra 7 155HはCore Ultraシリーズ2ではなく一世代古いCore Ultraシリーズ1 (Meteor Lake)です。Meteor LakeではPコアにハイパースレッディングを採用しているため、コア数とスレッド数が異なります(スレッド数のほうが多い)。また、Core Ultraシリーズ2でもArrow Lake-Uは引き続きPコアにハイパースレッディングを採用しているため、スレッド数のほうが多いです。それ以外のArrow LakeとLunar Lakeはハイパースレッディングを廃止しており、コア数=スレッド数になっています。

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ハイパースレッディング廃止についてはライターの渋谷Hさんが解説記事を書いていますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ハイパースレッディングが無くなる?Intel次世代CPUへの影響

要するに省電力性や設計の効率化などの要因と、GPUやNPUとの役割分担という観点でハイパースレッディングが廃止されたわけですが、このことはマルチスレッド性能に多少影を落としています。

最新CPUのPassmarkスコア

この表はIntelとAMDの最新CPUのPassmark公表スコアです。ご覧のとおり、Lunar Lakeのスコアはやや特殊で、シングルスレッド性能は非常に高いのに対し、マルチスレッド性能(CPU Mark)はRyzen AI 7 350やRyzen 7 250よりも低めになっています。これはLunar Lakeのコア数が少なく、さらにハイパースレッディングを廃止した影響が出ていると考えられます。これに対しRyzenはSMT(同時マルチスレッディング)を温存しており、少ないコア数でもスレッドを倍化してマルチコア性能を上げています。一方、Core Ultra 7 255Hはハイパースレッディングを廃止しているものの、コア数が16と多く、個々のコアの性能向上によって、マルチスレッド性能も高水準です。

とはいえ、Lunar Lakeは驚異的とも言えるバッテリー持ちを実現していますし、内蔵GPUとNPUの性能も高いです。ウインタブとしては「モバイルノートには最もおすすめの型番である」という評価は変わりません。

まとめ

日常用途(Web、文書、動画視聴):
ウインタブが記事内でよく言っている「普段使い」の範疇です。私は毎日長時間PCで作業をしていますが、ほぼ全て「ブラウザー上でのテキスト入力、画像加工ソフトでの簡単な画像加工、息抜きに動画視聴」くらいの使い方です。このような場合は「シングルスレッド性能重視」で良いと思います。

コンテンツクリエーション:
上にも書きましたが、要するに「重いとされる処理」ですね。3Dレンダリングや高度な画像加工、手の込んだ動画編集、職人レベル(膨大なデータを扱う、複雑な動作をする、という意味)のExcel・パワポ作業などです。これらの作業にピンとくる人なら「マルチスレッド性能重視」かと思います。

ゲーム:
PCゲームに関しては「CPUよりもGPU(外部GPU)」の影響が大きいと思われ、この記事の本旨には合わないかもしれません。ゲームの高度な描画処理は外部GPUで処理されるため、CPUの性能よりもGPU性能のほうがフレームレートや画質に直結します。ただし、ゲームの各種制御や配信・録画を同時に行う場合などはCPUのマルチスレッド性能も無視できません。

実際のところ、最新世代のCPUであれば「良いCPU(高価なCPU)を選べばシングルスレッド性能もマルチスレッド性能も両方上がる」ケースがほとんどです。例外はLunar Lakeのように省電力やGPU/NPUに注力した設計で、マルチスレッド性能が控えめな場合でしょう。

また、(シングルスレッド性能が効く)軽めの用途を前提とするなら必ずしもハイエンドCPUは必要ありません。Passmarkのスコアを見ても、Core i5-1335Uのような旧世代の中位モデルでもシングルスレッドのスコアが3,000を超えており、普段使いでは十分に快適です。

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執筆者:ウインタブ
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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ノートPCやタブレットのレビューを中心に、実用的な製品選びを提案する情報サイトです。
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