こんにちは、近郊ラピッドです。今回もCPUについての記事になりますが、よろしくお願いいたします。1月14日にCeleron G6900はPentium Gold G7400と同時に発売されました。税込みでも1万円切りの価格で発売が開始された安価なモデルですが、果たしてどれほどの性能を持つCPUなのかを検討したいと思います。
なお、比較に出てくるCINEBENCH R23のスコアにはCPU Monkeyで公開されているベンチマーク情報に基づく予想が含まれています。慎重に計算してはいますが実測ではありませんのでご注意ください。また、この記事で取り上げているCeleron G6900はデスクトップ向けのCPUです。
目次
1.基本情報
基本スペックと価格情報
製品名 | Celeron G6900 |
開発コード名 | Alder Lake(第12世代) |
半導体技術 | Intel 7 |
コア数 | 高性能Pコア(Golden Cove) : 2 高効率Eコア(Gracemont) : 0 |
スレッド数 | 2(ハイパースレッディングなし) |
クロック | 3.4GHz(ターボブーストなし) |
キャッシュ | L2 : 2.5MB L3 : 4MB |
PBP(TDP) | 46W |
内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics 710(0.3~1.30GHz、16EU(実行ユニット数)) |
CINEBENCH R23 | Core i3-12100のスコアから計算し、マルチスレッドは2656pts、シングルスレッドは1328pts程度になると予想(間違っていたら申し訳ありません) |
1月現在の価格 |
7280円(税込み、PCワンズなど多くのショップでの価格) |
基本的なスペックや価格は上記の表にまとめました。
Celeron GシリーズやCeleron G6900の概要
Celeron GシリーズはIvy Bridge(第3世代)のCeleron G1610以降ずっと2コア2スレッド、ターボブーストなしです(厳密に言えばごく一部の組み込み向けではターボブーストのあるCPUも存在するようですが、一般用には販売されていません)。またskylake(第6世代)のG3900からComet Lake Refresh (第10世代)のG5905まではskylake系マイクロアーキテクチャを採用し続けていました。そのため世代が交代してもクロックが0.2GHz程度上がる以外の変化がなく、性能向上は緩やかなものになっていました。
Celeron GシリーズはPentium Gシリーズとはskylake(第6世代)までは大した差はありませんでした。どちらも2コア2スレッドで、クロックの多少高い製品がPentium Gを名乗っていました。しかし、Kaby Lake(第7世代)のPentium G4560からハイパースレッディングに対応し、2コア4スレッドに昇格したため、それ以降はそれなりに差が付いています。
今回のCeleron G6900もPentiumとはある程度の性能差がありますが、Comet Lake (Refresh)(第10世代)の頃と比較すると少しだけ差は縮まっています。
今回のCeleron G6900では、2コア2スレッドやターボブーストなしと言う点は変わらなかったものの、第12世代(Alder Lake)に刷新され、Golden Coveコアを採用したためクロック当たりの性能が大幅に向上しています(公式ではskylakeから+28%とされていますが、ベンチマークはもっと伸びているようです)。グラフィックス性能やメモリのサポートも向上しています。
上位モデルと比較するとかなり見劣りしますが、例えばノート向けのCore i3-8130UやCore i5-7200Uと比較すると、CINEBENCH R23のスコアはシングル・マルチコア共にCeleronの方が大幅に上回ると予想されます。Alder Lake世代で最も安く、7000円台で買えるCPUであることを踏まえると、なかなか健闘していると言えるでしょう。従来のCeleronブランドのCPUと比べてもかなり性能が上がっています。特にシングルコア性能は第10世代(Comet Lake)のCore i5~i7(Kなし)と遜色がないほどで、他のCeleronブランドのCPUとは一線を画すと言えるほどの性能です。
2.他の製品との比較
Core i3-12100(F)とPentium Gold G7400(上位グレードとの比較)
今世代のCeleronは性能が大幅に向上していますが、それでもPentiumやCore i3と比べると性能が低く感じてしまいます。ただ、上位グレードと比較すると見劣りするとはいえシングルコア性能は比較的高いです。
Celeron G5905(前世代との比較)
前世代と比較すると、クロックは少し下がっているとはいえグラフィックス性能やシングル・マルチコア性能等が順当に上がっているのが分かります。
Celeron 7305(同世代のモバイル向けとの比較)
今世代のモバイル向けCeleronはクロックがとても低いので、デスクトップ向けの方がかなり性能が高いです。特にシングルコア性能は大差が付いています。ただ、グラフィックス性能はモバイル向けの方が上です。
3.Celeron G6900の特徴
利点と活用方法
Celeron G6900は従来よりも性能が大幅に上がっていますので、以前の世代よりも使いやすくなったと言えます。G6900はCeleronとしてはシングルコア性能がかなり高いです。それでいてAlder Lake世代としては安いのが利点です。マルチコア性能もCeleronとしては高くなっています。
またPentiumよりもクロックが抑えられていますので、Pentium以上に発熱が抑えられます。そのことを踏まえると、出来る限り省電力なPCを自作する場合には選択肢の一つに入るでしょう。
弱点
Celeronブランド共通の弱点ですが、安価な代わりに上位グレードとは性能差が大きいのが弱点です。現在はマザーボードの価格が高くCeleronと組み合わせにくいのも弱点です。
また、前世代より性能が上がったとはいえ2コア2スレッドのままでマルチコア性能が低めなのは気になります。
Celeron G6900の特徴まとめ
Celeronは価格が安いCPUのため、上位グレードと比較するとどうしても性能が低く感じてしまいます。また、組み合わせるマザーボードの価格が高いのがPentium以上に弱点になっています。しかし、価格の割にはシングルコア性能は比較的高く、Alder Lake世代としては価格も安いのは利点です。以前のCeleronシリーズから性能がかなり底上げされているので、実用性が大きく向上していると思います。
7000円台のCPUで、シングルコア性能がComet Lake世代のCore i5~i7(K無し)並みにあるという点は利点と言えるのではないでしょうか。マルチコア性能もCeleronとしては高いです。