NECが15.6インチのクリエイターノート「LAVIE VEGA / LAVIE Direct VEGA」を発売しました。全くのニューモデルで、クリエイターノートに対するNECの独特な思想が感じられる製品だと思います。デザインも非常にカッコいいので、クリエイターに限らず高性能なノートPCを探している人にもぴったりかと思います。ただし、ゲーマー向けの製品じゃないですね。
1.スペック
この記事ではNECダイレクトでのみ販売されるカスタマイズモデル「LAVIE Direct VEGA」について説明します。注文時に構成を変更できるカスタマイズモデルのほうが読者のニーズに合っていると思うためです。
OSはHome版とPro版を選択できます。CPUは3種類、Intelの第9世代(Coffee Lake)のCore i5-9300H/Core i7-9750HとAMDのRyzen 7 3750Hです。いずれもゲーミングノートに使われる高性能版のCPUですね。ただし、外部GPUの設定はありません。クリエイターノートというジャンルだと、外資系メーカーや国内のBTOメーカーの製品は軒並みGeForceやRadeonといった外部GPUを搭載していますが、国内の伝統大手メーカー(NECや富士通、Dynabookなど)製品ではなぜか外部GPUを搭載するノートPCというのがほとんど見当たりません。「なぜ」なのかは私にもわかりません。
以前アニメーション制作会社のクリエイターの方にお話をうかがう機会がありまして、その方は「2D系の制作ならCore i5くらいの普通のノートPCで十分です。ただし、3D系はそもそもノートPCでは無理なんじゃないかと思います」と言われてました。この製品は高性能版のCPUを搭載していることもあり、イラストやマンガなどの制作なら外部GPUは不要、動画系は「ものによる」、そして3D系なら外部GPUは必須、くらいに考えていいんじゃないかと思います。オンラインゲームをするのには向かないですね。
RAMは選択するCPUによって選択範囲が決まります。Ryzen 7とCore i5は8GBのみ、Core i7は8GBと16GBを選べます。またストレージはRyzen 7のみOptaneメモリー非搭載のもの(256GB/512GB/1TB)に限られ、Core i搭載モデルはこれに加え512GB/1TB SSDに32GBのOptaneメモリー(システムやアプリの起動を高速化するためのHDDキャッシュ)がセットされるものも選べます。
ディスプレイは15.6インチのIPS液晶、FHD解像度のものが基本ですが、Core i7/RAM16GBという構成のみ4K解像度の有機ELディスプレイも選べます。NECダイレクトのカスタマイズモデルの場合、構成の自由度は必ずしも大きくはなく、この製品の最大の魅力と言ってもいい有機ELディスプレイは最上位モデルにしか設定されません。
またRyzen 7搭載モデルは細かい部分で仕様に違いがあります。通信まわりではCore i搭載モデルがWi-Fi6(ax規格)に対応するのに対し、Ryzen 7搭載モデルはWi-Fi6には対応しませんし、入出力ポートでもRyzen 7搭載モデルのみThunderbolt 3ではなく、普通のUSB Type-Cとなります。
その入出力ポートですが、「かなり特殊です」。USB Type-Aポートがありません。そのかわりType-Cポートが4つあり、Ryzenを除くモデルはそのうちの2つがThunderbolt 3です。HDMIも有線LANもありません。Thunderbolt 3はもちろん、普通のType-Cポートも映像出力には対応しますので、不便ということはないんでしょうけど、変換ケーブルとかBluetooth機器なんかは必須になりそうです。また、クリエイターノートながらSDカードリーダーはmicro規格です。かなり思い切った構成だと思います。
サイズは高性能な15.6インチノートとしてはコンパクトですし薄型になっています。後述しますが、LAVIE VEGAは筐体デザインにもかなりのこだわりが感じられるんですよね。
2.筐体
横幅が360 mmを切っているということもあり、ナローベセルで非常に美しいデザインだと思います。また四隅が少し尖って見えますが、これもデザインアクセントになっています。
天板です。基本的にこの製品は2色(アルマイトネイビーとアルマイトシルバー)なのですが、天板素材が「普通のアルマイト(画像左上と左下)」と「プレミアムカラーガラス(ゴリラガラス6を使用。画像右上と右下)」になっています。ただこれ、オプション項目ではなく、Core i5モデルとCore i7/RAM16GBモデルのみガラス天板、それ以外はアルマイト天板になります。
実物を見ていないのでガラス天板の質感がよくわかりませんが、この画像のような感じなんだろうと思います。
キーボードも少し特殊です。15.6インチながらテンキーはなく、左側に「プロキー」と呼ばれる「ショートカットを任意に登録できるキー」が5つあります。キーピッチ 19 mm、キーストローク 1.7 mmと開示されていますので、テンキーがないぶん、余裕のある配置になっていると思います。
側面と入出力ポートの配置です。上に書いたように15.6インチノートとしてはかなり特殊なポート構成と言えますね。なお、繰り返しになりますが、Ryzen 7モデルのみThunderbolt 3ではありません。
3.価格など
NEC LAVIE Direct VEGAはNECダイレクトで販売中で、1月22日現在の価格は183,800円(税込み202,180円)から、となっています。またNECダイレクトはクーポン割引が常に設定されていて、この製品の場合10%OFFで購入が可能です(クーポンコードは製品ページにあります)。なので、165,420円(税込み181,962円)から購入できますね。
高性能CPUや4K有機ELディスプレイなど、クリエイターPCらしい仕様になっている製品ですが、CPUやGPU性能という点だけ見れば競合他社のクリエイターPCに少々見劣りすると言えなくもありません。一方で筐体のデザインやプロキー搭載など、他社製品とは異なる独自性も見られます。クリエイターならば使うPCのデザインにもこだわりがあるんだろうと思います。筐体の美しさ、という点は素晴らしく、NECらしいクリエイターノートと言えるのかもしれませんね。