Lenovoはドイツ・ベルリンで開催されているIFA2018にて、Yoga Book C930を発表しました。覚えておられますか?「Yoga Book」。2016年のIFAで発表された、物理キーボードを廃した極めて挑戦的な構造のコンバーチブル 2 in 1です。日本でもWindows版、Android版が発売され、当初は「瞬殺」され、欲しくてもなかなか購入することができないくらい大人気を博した製品です。
Yoga Bookは現在でも販売されていますが、さすがに発売から2年を経過した今、話題にする人はほとんどいない、という状況です。しかし、リニューアルされたYoga Bookはスペック面でも機能面でもさらなるパワーアップを遂げています。
1.スペック
現行機のYoga BookにはOSにWindows 10を搭載するものとAndroidを搭載するものの2タイプありますが、8月31日時点ではYoga Book C930のOSはWindows 10 Homeのみとなります。
CPUはAtom Z8550から大きくパワーアップし、第7世代のCore m系CPU、Core m3-7Y30/Core i5-7Y54が搭載されます。RAMは4GB、ストレージは最大で256GB SSDとなっていますが、「最大で」ということはきっと64GBとか128GBのモデルも存在するんでしょうね
ディスプレイも大型化し、現行機の10.1インチから10.8インチになりました。解像度も1,920 × 1,200から2,560 × 1,600になり、一段と高精細になっています。もちろんタッチ対応です。
そして、この製品を語る上で忘れてはならないのがキーボード面です。正確には「キーボードがあるべき面」ですね。Yoga Bookには物理キーボードがなく、かわりにサブディスプレイ(現行機ではクリエイトパッドという名称で、Haloキーボードというセンサータイプのキーボードを表示させたり、手書き入力用のキャンバスとして使ったりといったことができます)があります。Yoga Book C930ではこの部分がなんと「E-Ink」になりました。
「サブディスプレイ」と書きましたが、現行機では、好きなものを表示させるような機能はないので、実際のところディスプレイという表現は妥当ではありません。しかしC930の場合は「キーボード」「手書き入力用のキャンバス」そして「電子ブックリーダー」としてこの部分を使えます。
キーボードを表示させるとこんな感じです。見た目は現行機から変わっていないように思われますが、キーを押すと「そのキーが沈み込むようなアニメーション」効果があります。また、現行機でもそうですが、適度なフィードバック(振動)があり、より物理キーボードに近い感覚で打鍵できるようです。ただ、このへんは実際に使ってみないとなんとも言えませんけどね。それと、性質上当たり前かもしれませんが、日本語配列とか英語配列といったことに頭を悩ませる必要はないです。つまり、キーは「描かれている」だけなので、配列は簡単に変更できてしまいます。物理キーボードじゃないというメリットでしょう。
電子ブックリーダーとしてはこんな感じになります。E-Inkなんでもちろんモノクロ(グレイスケール)です。また、この部分で好きなアプリを表示させたりといったことはできず、「できること」には制約があるようです。
手書き入力用のペンも用意され(プレスリリースにはOptionalと表記されていたので、別売りだと思われます)、4,096段階の筆圧に対応します(Wacom Technologyと明記されていました)が、E-Inkをキャンバスとして使っているため、描き味についてはなんとも言えません。言えるとしたら「BOOX Note」をレビューしたnatsukiさんくらいですかね、ウインタブ関係だと。
サイズの方ですが、現行機と比較してみましょう。
Yoga Book C930: 260.4 x 179.4 x 9.9 mm / 775 g
Yoga Book(現行機): 256.6 x 170.8 x 9.6 mm / 690 g
ディスプレイサイズが10.8インチになりましたので、全体的に少しずつ大きくなっています。しかし、この製品をノートPCと捉える場合、775 gでも驚異的な軽さと言っていいでしょう。同様に、ヒンジを閉じた状態で厚さ9.9 mmというのも依然としてすごい!と思います。
2.筐体
スペック説明のところでいろいろ書かせてもらったとおり、この製品は非常に素晴らしい進化を遂げていると言えますが、外観のイメージは現行機とあまり変わりません。やはりキーボード形状というか、キーボードがあるべき面の形状が特徴的なので、そこに見た目の印象が引っ張られてしまうのかもしれませんね。
Lenovoが製品名に「Yoga」を使う場合、その製品はヒンジが360度回転するコンバーチブル2 in 1筐体になっていることを意味します。この製品も上の画像のように多彩な形態で使うことができます。そして、特性上「タブレットモードで使いたくなる」製品だと思います。
入出力ポートの画像もありました。画像の上側、左側面は「1.USB-3.1 (Gen 1) Type-C、2.microSDスロット」、画像の下側、右側面は「3.音量ボタン、4.電源ボタン、5.USB-3.1 (Gen 1) Type-C」です。そういえばこの製品、オーディオジャックがないような…。
3.価格など
Lenovo Yoga Book C930がEMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)で9月に発売される予定で、価格は999ユーロ(約129,000円)からと発表されています。また、THE VERGEによれば北米での価格は999.99ドル(約110,800円)からになるとのことでした。日本での発売時期や価格は未定ですが、ほぼ確実に日本でも発売されると思います。
CPUをはじめ、各パーツが大きくレベルアップしていることと、E-inkディスプレイを採用したことなどにより、現行機よりもかなり高価になってしまいました。ウインタブ読者に限らず、10.8インチサイズでCore m搭載となれば、思わず食指が伸びてしまいますが、10万円以上のお金を払うわけで、せめてキーボードの使い心地くらいはチェックしたい、と思うでしょうね。私もです。
また、日頃から電子ブックリーダーを愛用している人にとっては、より大きな画面で読書ができるということになりますし、モバイルノート兼電子ブックリーダーということで手荷物も減らせそうなので、大きな魅力と感じるかもしれません。しかし、その場合でもやっぱり「キーボードの試し打ちくらいはしてみたい」って思うでしょう。ということは結局キーボードの出来次第ってことですかね…。
4.関連リンク
Yoga Book C930:Lenovo(米国サイト)
Lenovo’s new Yoga Book replaces the keyboard with an E Ink screen:THE VERGE
コメント
なにこれ。最強じゃん。前のは色々残念なところあったけど全部改善されてる。
これマジ?性能面が向上し過ぎてるだろ・・・
ワコム対応なのは大きいですね。
前のは描いてるときにショートカットキーが押せなかったから選外に。
今回は改善ててほしいな。
いくつか登録して画面ハジに表示して置ける…とか
液晶側もペン対応だからお絵描き用にもいけそうですね
E-ink側でもラフスケッチ程度のアプリがあれば買っちゃうかも
ペン動作がAESに変更なったのはやや懸念事項ですけど
EMRセンサボード2つは重量的に無茶だからかな?
なに…何コレ? 前機種もブッ飛んでたけれど、これはあまりに斬新すぎて、使い方から模索していく感じですね。
CPU性能もこのクラスとしてはそれなりに高いし、液晶・E-ink両方デジタイザ対応だし、何よりUSBポートも2つと(むっちゃ重要!)拡張性もなんとか確保しているしで、すごいポテンシャル。これだけの盛りだくさんをいかに使いこなせるか、使う側の発想が要求されますね。
こういう製品を構想して、実際に販売してしまうってのは、Lenovo恐るべし。
買ってから使い方を考える人間としては、非常に悩ましいものが同時に出ますね…。SD850というのも興味深いが、これも斬新です。
前機種は、「自立するタブレット/簡易入力可能」という感じで、テントモード+外付けキーボードで使ってました。ただ、入力側の画面ではたいしたことが出来なくて、思ったほど遊べませんでした。今回はどうなるでしょうね。
現行機使ってますが、ちょこっとwindowsで作業があるときに便利なんですよね。
C930もLTE対応だと即買いなんだけどなぁ。
あと、微妙に10.1ってのがOffice無料版を使える最大サイズなんですよね。。。
LTE対応とRAM8GBモデルに期待
> スペック面でも機能面でもさらなるパワーアップ
は否定しませんが、価格も超パワーアップですよね…
現行機を予約購入しましたが、今回は見送りました。
(泣)
キーボードの振動フィードバックは、期待しません。
現行機の、どこを触っても同じ振動が返ってくるのでは、意味ないですよね?
キーの中心か端かで、振動パターンが変わるくらいでないと、物理キーボードの代わりのフィードバックにはならないと感じています。
あと、キーボードに軽く触れているだけで入力されてしまうのは、改善してほしいです。
物理キーボードなら、各指のポジションのキーには常時触れていて、押しこむ動作で入力できますが、それができないと、常時指を浮かせておく必要があるので、ホームポジションがずれてしまっても自覚できないのです。
バンジーさん、こんにちは。確かにいろいろパワーアップですね。従来機を愛用していて気に入ってる、という人もいたりするので、やっぱりクセはかなり強いようです。ちなみに私の知り合いはバンジーさんに似た評価をしてました。いろんな意味でエッジな製品だと思うので、使用感がかなり異なるのを納得づくで買う必要がありますね。