5月末にリリースされたThinkPad T14sは、ThinkPad T490s/T495sの後継機種としての位置づけで、14インチと絶妙なサイズ感でメインとしてもモバイル用途としても使えるパワフルなノートパソコンです。
最大約23時間と長いバッテリー稼働と約1.24kgに抑えた軽量設計にくわえ、IBM時代から変わらない真ん中に赤ぽっちのある伝統のキーボードは、まさに「ザ・ThinkPad!」。
CPUには、第10世代CoreのComet Lake、第3世代AMD Ryzen PRO 4000 Uシリーズから選ぶことができますし、Wi-Fi 6対応やLTEモデルもラインナップするなど通信環境にも抜かりがありません。最近ではテレワークの需要が高まっていますが、こんなPCが一台あればいう事なしです。
目次
1.スペック
Lenovo直販モデルは購入時にカスタム可能です。Intel版は第10世代(Comet Lake)のCore i5/Core i7からの選択となりますが、法人など組織のPC一元管理に役立つvProに対応するCore i5-10310U/Core i7-10610Uも選択できます。ただし、vPro対応CPUはカスタマイズ料金が高額(Core i7-10510Uを10610Uに変更する場合、定価ベースで27,500円)になりますので、個人利用の場合はあえてvPro対応のCPUを選ぶ必要はないと思います。
AMD版はモバイル用第3世代のRyzen 5 Pro/Ryzen 7 Proが搭載されます。現状ウインタブでこれらのCPUのテストをしていませんが、第2世代Ryzen(型番3000番台)と比較して大きく性能アップしているものと思われます。なお、下記にT14sに搭載されているCPU性能について考察を書いています。
RAMは「オンボード」なので、購入後にDIYで増設することができません。スペック表の上ではともに「最大32GB」という表記になっていますが、6月6日現在Intel版は最大で16GBまで、AMD版のRyzen 7モデルのみ32GBの搭載が可能になっていました。
ストレージは128GBから2TBまで(6月6日現在、AMD版は1TBまで)と、ニーズに合わせて細かくカスタマイズが可能です。
最近のThinkPadシリーズはディスプレイの仕様を細かく選べるようになっています。T14sは基本IPS液晶、FHD(1,920 × 1,080)解像度なのですが、タッチパネルやPrivacy Guard(後述します)つき、そして省電力タイプのものが選べます。ただし、直販モデルでは省電力タイプとPeivacy GuardつきのものはIntel版のみの設定です。また、これもIntel版のみとなりますが、4K(3,840 × 2,160)解像度のものも選べます。
通信まわりではWi-Fi6(ax規格)に対応します。入出力ポートは基本的に同じ構成ですが、Intel版のみType-Cのうちの1つがThunderbolt 3となりますので、この点は注意が必要です。それと、T14sにはLTEモデルの設定がありますが、直販モデルは6月6日現在Intel版のみとなるようです(販売代理店モデルはAMD版もLTE対応の設定があります)。
それと、バッテリー稼働時間ですが、AMD版の直販モデルには詳しい稼働時間が記載されていませんでした。AMD版の14.9時間というのはRyzen 5モデル(販売代理店モデル)の数値なので、Ryzen 7モデルはこれとは少し異なると思われます。また、Intel版になんと「23.1時間」という記載がありますが、これは省電力ディスプレイ搭載の販売代理店モデルの数値です。どうやら省電力ディスプレイの効果はかなり大きいようです。
CPU性能の比較
※PassMark Software -CPU Benchmarks 参考
PassMarkのベンチマーク値で単純に性能を比較できませんが、Intelモデルには大きな性能差はないようですので、カスタマイズするならメモリーを増やす方が効果がありそうです。
AMDモデルはIntelモデルに比べるとCPU性能が高い傾向が見て取れますね。この数値の差がが体感性能差として分かる差かは判りませんが、高負荷の処理をするならAMDモデルが有利そうです。普段の軽い用途でならストレスを感じない性能があるCeleron N4100のベンチマーク値と比較して、当然ながら両モデルは格段に性能が高いですから、超快適なんでしょうね。ロースペックのPCしか使っていない私には、うらやましいかぎりです。
2.筐体
伝統と安定のデザインで、まさに「ザ・ThinkPad」です。画面左右のベゼルは細くなっていてボディサイズを一段とコンパクトに見せてくれています。ディスプレイを閉じた厚みは16.7mmに抑えられており、「超スリムというわけではないけれども十分スリム」であり、重量も1.24kgからとモバイル用途でも持ち運びやすいものになっています。
ディスプレイはいくつもの選択肢が用意されていますが、4Kタイプを除きどれも非光沢になっています。4K IPS液晶を選べばエンターテイメントでも十分活躍してくれそうです。
同様スペックのThinkPad X1 Carbon Gen 8とどうしても比較してしまいますが、X1 Carbonは14.95mmで1.09kgとさらにスリムで軽量なんですよね。それに対してT14sはディスプレイの選択肢が豊富で最大23.1時間のロングライフバッテリーのアドバンテージがあります。さらには、価格が若干安い事もありますので、バッテリー持ちと価格の安さを取ればT14sという事になります。どちらにせよ、悩ましいところですね。
サイトのイメージ写真にはシルバーモデルが存在するようなのですが、カスタマイズ画面には選択できる余地がありませんでした。この先いずれは発売されるだろうという憶測しかありませんが、ブラックはビジネス感が強いのでシルバーが良いと思う方もいるでしょうからラインナップに登場してほしいですね。
画面は180度開きます。本体底部にはメンテナンスハッチなどは見えないので、SSDの交換や増設、メモリーへアクセスなどは簡単にはいかないようですね。メモリもオンボードのようなので、購入時にしっかりカスタマイズする必要があります。
上に記載したとおり、ポート類は充実していますね。右側側面にヒートシンクの排気口が見えますが、右手でマウスを使った場合は直風を受けそうです。
充電に使用する方を含め2つあるType-Cは本体左側にあります。できれば左右に振り分けて、どちらからでも充電できる方が取り回しに自由度があって嬉しいですけれど、右にあるのはセキュリティーホールとパソコンを閉じていても給電できるPowerd USBだけでした。まあ、これはこれで便利ですけどね。(記事を公開後、セキュリティーホールをType-Cと見間違って書いていて、コメントで指摘してくれた方に気づかされました。ありがとうございました。)
3.特徴
豊富なディスプレイを選択可能
Intel版直販モデルでは、豊富なディスプレイの種類から好みに応じて選択が可能です。FHDマルチタッチ液晶あるいはマルチタッチ非対応モデルであったり、ソーシャルハッキングを未然に防ぐ、ThinkPad Privacy Guard付のFHDマルチタッチ液晶やロングライフバッテリーを実現するFHD省電力モデル、さらには高精細な4K(3,840×2,160)モデルも選択可能です。ですが、4K液晶は消費電力が高いので、モバイルメインの使い方には向いていないかもしれません。
現状では4Kモデルの設定のないAMDモデルも、今後出来ればモデル設定してもらいたいところです。
パフォーマンスとモビリティを両立
個人的には、モバイルに使うなら14型がギリギリ許容範囲だと思います。狭額縁の採用で比較的コンパクトにまとまっていますし、パフォーマンスとモビリティを両立できていると言えるでしょう。インターフェイスも豊富ですから、社内移動はもちろんのこと、テレワーク時の持ち出しなど、さまざまなシーンで活躍してくれるでしょう。より高性能を求めるなら、AMDモデルがおススメです。
過酷な作業環境でも使える高い品質
IBM時代から受け継がれている高い品質もThinkPadの良いところ。12項目の米軍調達基準をクリアしていて、さまざまな過酷な利用環境に耐えられる品質は安心感が違います。落下テストや気温・気圧の変化、ディスプレイの開閉耐久性など、実際以上の使用環境でも耐えうる品質こそが、信頼の「ザ・ThinkPad」ですから。
「のぞき見」を防止するThinkPad Privacy Guardを選択可能
Privacy Guard付のFHDマルチタッチ液晶を選択すれば、内蔵されたプライバシーフィルターで横からの「のぞき見」を防止してくれます。手動でのオンオフ設定ができるのはもちろんの事、ユーザーの背後からの「視線」を検知し、自動でオンにすることも可能のようです。さらにパスワード入力を求められるアプリの使用時や、のぞき見を検知した時点で自動的にオンになるような機能があるって言うじゃないですか。のぞき見防止フィルムを貼ってあるだけかと思っていましたが、時代は進化していたんですね。
長時間バッテリー駆動
スリムな筐体に大容量バッテリーを収めている以外にも、省電力IPS液晶を利用することで長時間のバッテリー駆動を可能にしています。また、急速充電を可能にする65W ACアダプターを利用することで、1時間で約80%まで充電できる急速充電に対応していす。余裕があればこちらのタイプのACアダプターをチョイスしたいですね。
受け継がれたデザインだからこそ
伝統と言えるデザインのThinkPadだからこそ、今お使いのThinkPadを最新の機種に買い換えたとしても、家族に悟られない利点も見逃せません。
直販で割引クーポンが付いて格安で購入できるとしても、やはり高価なお買い物になりますからね。当然家庭のお財布を握る奥様の視線は気になりますが、ThinkPadならこっそりためたヘソクリで買い換えても気付かれることなく、快適な環境を手に入れられるでしょう。
4.価格など
ThinkPad T14sはLenovo直販サイトで販売中で、6月6日現在の価格はInte版が税込み129,591円から、AMD版が税込み119,504円から、となっていて、この価格は週末クーポン(クーポンコードは製品ページに記載されています)をしようしたものです。
Intel版プレミアムモデルで、Core i7‐10510U /RAM 16GB /512GB SSD /65W ACアダプターの構成では、クーポン適用で104,335円OFFの187,803円(税込・送料無料)、AMD版プレミアムモデルで、Ryzen 7 Pro 4750U /RAM 16GB /512GB SSD /65W ACアダプターの構成が、クーポン適用で125,840円OFFの160,160円(税込み、送料無料)です。いつもながら、Lenovoの割引がえげつないお買い得感満載です。
コメント
> 右側のType-C
右側にあるのは、セキュリティ・キーホール(とType-A)では?
ご指摘ありがとうございました。何を勘違いしていたんでしょうね、わたし。
記事修正しました。