Lenovo ThinkPadの「Pシリーズ」は、他のThinkPadとは少し位置づけが違っていて、「モバイルワークステーション」です。高性能PCとワークステーションの違いってなんなのよ!という疑問も出てきますが、PシリーズはCPUにCore i7などではなくXeonを選べたり、GPUがGeForceではなくQuadroだったりしますので、「わかる人ならわかる」かもしれません。オンラインゲームというよりは高度な技術計算をしたり、CADを操作したりといった専門職系の人の利用を意識した構造になっていて、CPUやGPUだけでなく、全般にセキュリティがPCよりもさらにしっかりしていたり、システムの安定性、安全性も一段と高くなっています。
今回紹介する「P1(2019)」はThinkPad Xシリーズのハイエンド「X1 Extreme」の姉妹機という感じの製品で、X1 Extremeよりも一足早く2019年モデルとなりました。
1.スペック
P1の2019年モデルは7月3日現在、販売代理店モデル(≒法人モデル)が先行して発売されていて、Web直販モデルは7月5日の発売予定です。そのため、この記事では販売代理店モデルのスペック表を元に説明します。
CPUは「Core i5、Core i7」のほか、この秋からXeon Eシリーズも選択できるようになるとのことですが、販売代理店モデルのスペック表に明記されているCPUの型番は上記の2つのみです。Core i5に関してはおそらくCore i5-9300Hと9400Hが採用されるものと思います。なおCore i7-9850HとCore i5-9400Hというのはあまり聞き慣れない型番ですが、法人など組織のPC一元管理に役立つvProに対応するもので、個人が購入して悪いということはありませんが、価格がかなり高くなります。
Xeonは一般のPC向けCPUではなく、マルチソケット(つまり複数のCPUを搭載すること)やECCメモリ(データ修復機能付きのメモリ)に対応していたりと、ハイエンドなパフォーマンスだけでなく、金に糸目をつけずにパワーアップするような手法とか、よりセキュアなPC環境を作り出すために使われます。ただし、ThinkPad P1には複数のCPUは搭載できません。
GPUはQuadro T1000/T2000で、GeForceの最新モデルと同様「Turing」世代となります。GeForceがDirect Xに最適化されているのに対し、QuadroはOpen GLに最適化されており、GeForceはゲーム向き、Quadroはクリエイター(CADなど)向きと言われています。現状オンラインゲームの多くはDirect Xが使われていますし、GeForceでもクリエイター系の作業には十分な性能があると思いますので、やはりQuadroは使用目的がはっきりしているプロ向けと言えるでしょう。
RAMは販売代理店モデルだと一律16GBとなっていましたが、Web直販モデルだとおそらく8GB~64GBの範囲でカスタマイズができると思われます。また、ECCメモリの搭載も可能です(ただし、CPUにXeonを選ぶ場合のみ)。ストレージも販売代理店モデルでは256GB/512GB SSDのみが設定されていますが、プレスリリースでは最大2TBまで搭載可能ということなので、Web直販モデルでは1TBや2TBのSSDも選択できるでしょう。
ディスプレイは15.6インチのIPS液晶で、FHD解像度と4K解像度が選べます。ただし、販売代理店モデルではタッチパネルの設定はありませんでした。
入出力ポートはThunderbolt 3が2つ、それを含めUSBポートが合計4つと、スペックと数量のいずれも充実していると思います。また、SDカードリーダーもしっかり残りました(最近のLenovo製品はSDカードリーダーを廃止しているものが増えています)。
サイズのほう、2018年モデルと同じです。また、X1 Carbonとも同じサイズですね。そのため、(細かい部分では変わっているにせよ)基本的には同一筐体が使われていると考えていいでしょう。
2.筐体
X1 CarbonとP1、ディテールは大きく異なりますが、外見はほぼ同じです。なので、先日ウインタブで実施したX1 Extremeの実機レビューを見ていただくと筐体の雰囲気はわかりやすいと思います。「ワークステーション」と聞くとやたらと大きな筐体をイメージしますが、それは昔の話、P1は15.6インチのスタンダードノートとしても小さくて軽量な部類になりますし、ゲーミングノートよりもずっと薄くて軽いです。
天板です。天板のデザインに一部変更がありました。選択するディスプレイの種類によってデザインが異なります。4Kディスプレイを選択する場合、天板は「カーボン柄」となります(FHD液晶は従来どおりの黒無地)。筐体素材は「カーボンファイバーとマグネシウム合金」で、ThinkPadの名にふさわしくミルスペック(米国国防省調達基準)の12のテストをクリアしています。
キーボードです。15.6インチサイズですがテンキーはありません。画像は英語配列ですが、日本仕様は標準でJIS配列となり、バックライトも装備されます。おそらく、Web直販モデルでは日本語配列と英語配列を選択できるようになるでしょう。
側面と入出力ポートの配置です。USB Type-C(Thunderbolt 3)が左側面、USB Type-Aが右側面に配置されています。この配置は2018年モデルと全く同じです。
3.価格など
Lenovo ThinkPad P1(Gen 2, 2019)はLenovo直販サイトで7月5日に発売される予定で、プレスリリースによれば価格は「331,000円(税抜)より」となっていました。ただし、ThinkPadシリーズ、というかLenovo製品は定価のまま販売されることはまずありません。P1に関してもおそらく今週末(7月6日から)には30%前後の割引率が設定されるものと思います。
P1はGPUがQuadroで、セキュリティ関連にもコストがかけられ、Web直販モデルでECCメモリーを選択したり、CPUにXeonやvPro対応のCore iプロセッサーを選択したりすると、かなり高価になると思います。データの保護やセキュリティにしっかりコストをかけられるプロ向けの製品と言えますので、個人利用でノートPCを購入するのなら、おそらくP1よりもX1 Extremeのほうが向くと思います。ただし、X1 Extremeのほうは7月3日現在だとまだ2019年モデルになっていませんので、もうしばらく待たなくちゃいけないですけどね。
4.関連リンク
ThinkPad P1(Gen 2):Lenovo
コメント
直販モデル、販売開始になりましたね。
クーポンなしで¥343,440からでした。